ある日の朋与・番外編

「ある日の朋与・番外編」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ある日の朋与・番外編」(2008/05/20 (火) 02:31:12) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

帰ってきたら、朋与スレが落ちてました……orz で、追悼の意味を込めまして、短編を投下させていただきます 時間軸は「乃絵と比呂美のあいだに」と「ある日の比呂美」の中間、 2年生の夏の終わりになります 勢いで書いたので、クオリティは低いです スミマセン 「ふわぁぁ~」 三日前に買った文庫本を三分の一ほど読み終えたところで、朋与は軽い眠気に襲われた。 しかし、目を閉じても全身に纏わりついた汗が邪魔して、快適な眠りは望めそうもない。 「それにしても…暑いなぁ……」 まぁ、真夏の昼間に冷房もつけず、ベッドでゴロゴロしていれば不快な思いをして当然なのだが、 母が下した『昼間はエアコン禁止令』を破る事だけは、絶対に許されない。 無駄な電気代使ったらアンタの小遣いから引く、という悪魔の宣言が、脳内で何度もリフレインする。 (……ママのけち!ママのけち!ママのけち!……) 出勤中の母に心で毒づいてから、お金の掛からない暑さ対策を思案していると、枕元に置いた携帯が振動を始めた。 「……あさみだ」 開いた液晶画面に表示される悪友の名前。通話ボタンを押して耳に当てると、開口一番にあさみは言った。 《ヒマか?》 「…………」 あさみのマイブーム、朋与が教えた刑事ドラマの中に出てくるセリフだった。 熱波に打ちのめされた精神に、更なる追い討ちを掛けるおちゃらけた声…… 正直、イラッとする。 《ちょっと朋与、ここは亀ちゃんみたいに『暇じゃありません』って返してくんなくっちゃ》 「ハイハイ、どうもスイマセンね~。で、何か用?」 今の返事は『特○係の亀○』っぽかったな、と自分で思いつつ、朋与はあさみの話に耳を傾ける。 ……あさみの用事は何ということもない。 終わりが近づく夏休み、その負の産物『宿題』を共に片付けないか、というものだった。 《図書館ならさ、冷房効いてて仕事もはかどるし》 と、共同戦線を持ちかけるあさみを、朋与は「パス」の一言で切り捨てた。 電波の向こうで「なんでよ~」とむくれるあさみを無視し、「今、留守番中」と告げて電話を切る。 「…………」 鍵を掛けて出掛ければ済むのに、取り付く島無く断ったのには、ちゃんと理由がある。 (……図書館はダメなんだよ……) 心でそう呟くと、朋与の顔が一気に曇った。 ……あそこは眞一郎と比呂美に遭遇する確率が高い…… 出来れば用の無い時に、あの二人が一緒に居るところを見たくないと、朋与は思っていた。 今日のようにバスケ部の練習が無い日、比呂美は眞一郎を誘って図書館で勉強をしているはずだ。 比呂美がメールで『その事』を自分に知らせてきたということは、これはもう、無意識の牽制と考えるしかないだろう。 (……邪魔なんかしないっつーの) 予想外のきっかけで眞一郎のことが思い出され、朋与は苛立った。 開いたままの携帯を弄って、一度も掛けたことの無い眞一郎のアドレスページを呼び出す。 そこには何故か、比呂美の携帯と全く同じ眞一郎の画像が登録されていた。 (…………) 部屋に遊びに来た比呂美がトイレにたった隙を見て、赤外線送信で『盗んだ』眞一郎の写真…… 朋与と比呂美の携帯はメーカーが同じなので、操作も送信履歴を消してしまうことも簡単だった。 「比呂美にしか見せない笑顔……か」 画像を凝視しながら思わず声にすると、苛立ちが更につのる。 (………ええいっ!) ピッピッと慣れた手つきでボタンを操り、朋与は比呂美専用の笑顔を輝かせる眞一郎を、メモリーから消去した。 ………… (平気よ……私には、あの思い出がある) 朋与は携帯を閉じて放り投げると、またベッドに横たわった。 瞼をを閉じて想えば、すぐに浮かび上がる『自分だけの眞一郎』。 ブラもしていないTシャツの上から、少し乱暴に乳房を弄り始める。 (……眞一郎……また……) 『あの時』、眞一郎が行った指使いを反芻し、再現しようとする朋与。 荒々しく全体を掴んだかと思えば、人差し指で乳首だけを集中的に攻めたりもする。 「んんっ……ん……ふっ……」 朋与の口から漏れ出す甘い息…… そして滲み出す汗に、先程までとは違う物質が混じりだす。 (……………眞一郎……しよ……) ………… 部屋の中はすぐに、外から聞こえる喧しいセミの鳴声と、朋与のくぐもった嬌声に満たされていった。 妄想の中の眞一郎と交わり始めた朋与は、もう暑さなど感じていなかった。 そんなモノよりもっと『熱い』ものが、身体の中心から込み上げてくる。 (……眞一郎……好き……好きなのぉ……) 半年前の初体験…… 絶対に忘れることなど出来ない夢の時間…… 比呂美のため……いや、眞一郎のために『無かったこと』にしたあの日…… だが、その思い出を触媒にして襲ってくる淫靡な感情には抗えず、朋与は時折、劣情に身を任せていた。 (欲しいの……い、挿入れて…… 眞一郎の…挿入れて……) 乳房を弄っていた手を片方、陰部へと向かわせる。 ホットパンツとその下に履いているショーツを抜け、指先が陰裂に達した。 「んん……はぁ、はぁ、はぁ、…………」 男性経験を経ても、朋与の自慰行為は基本的に変化が無かった。 胸を揉みしだいて性感を高めてから、指で陰裂を擦り上げて開花させる。 そして潤いが出てきてから、陰核を力の弱い薬指でグッと押し込み、円を描くようにゆっくりと刺激していく。 「……あ……あぁ……んんんんッッ!!」 脳内で眞一郎の姿を映像化し、その名を連呼しながら、朋与は体験前より進化した唯一の行動に入った。 以前は第一関節までしか入らなかった中指……  その中指と隣にある人差し指を、根元から直角に折り曲げる。……そして…… 「んああああッッ!!!」 充分に濡れ、解きほぐされた膣に、二本の指を一気に潜り込ませる。 そして、眞一郎の陰茎に見立てたそれを、朋与は自分の胎内で存分に暴れさせた。 「はああっっ!!眞一郎!!眞一郎ぉぉ!!!」 眞一郎の愛してくれた場所、刺激してくれたところを思い出し、重点的に擦り上げていく。 恥骨の裏側……眞一郎の亀頭のエラが引っ掻いてくれた……最高に気持ちいい部分…… 指先をクイッと曲げて、その場所を狙い撃つと、快感はすぐに頂点に達した。 「ああああッッ!!……し…んいち…ろ…………い、イクぅッッ!!!!」 絶頂が引き起こす身体の痙攣が、挿入している二本の指にも伝わり、それが『とどめ』となった。 膣を震わせる微振動が、射精前に陰茎が起こす痙攣に思え、朋与の意識を飛ばした。 背筋の収縮と共に頭の中が空っぽになり、また白い世界に包まれていく…… その中で朋与は、遠ざかっていく眞一郎に向かって手を伸ばしたが、 彼はそれに応えず、別の人影と共に、白い闇の中に消えていった………… ………… ミンミンとうるさいセミの声が、朋与を幻想から現実に引き戻す。 全身汗まみれになり、ハァハァと息を切らせている自分を、朋与は無様だと思った。 (諦めたんだ……諦めたんだから……) そう何度も心の中で繰り返す…… ……しかし…… とてつもない快楽を与えてくれる『眞一郎との情事』から、抜け出ることが出来ないのも、また朋与の現実だった。 埋め込んだままだった指を引き抜き、目の前にかざす。 それは全身で感じた悦楽を証明するかのように、胎内から分泌された体液で、惨めに白く塗装されていた。 (……最低……) 眞一郎から射出された白濁ならしゃぶりついていただろうが、自分の愛液など汚濁の象徴でしかない…… そう思った朋与は、枕元にあるティッシュを数枚取り出すと、汚らしい指を拭った。 身体を起こして、丸めた紙を少し離れた所にあるゴミ箱へと投げつける。 (……まったく……何やんてんだろ……) ささくれ立った気分を、セミの合唱と股間の不快な潤みが更に逆撫でる。 セミ…本当にうるさいな……と朋与が思っていると、そこに別の雑音が混じってきた。 ドアをカリカリと引っ掻く爪の音…… 朋与はその主を黙らせるために、立ち上がってドアを開いた。 「にゃあ~」 愛猫ボーの間の抜けた鳴き声。それは「腹が減ったぞ、朋与」という彼の意思表示だ。 自分のしていた事を見透かすように、視線を向けてくるボーに、後ろめたさからか、思わず朋与は言った。 「…………いやらしい目で見んな、バカ……」 朋与は汚れた衣服の洗濯と、薄汚い汗を洗い流すために、一階のバスルームへと向かう。 空腹のボーも、その朋与の後につづいた。 (…………ちゃんと吹っ切れるきっかけ……欲しいな……) そんな事を思いながら、にゃあにゃあと纏わりつくボーを振り切ってバスルームに逃げ込む朋与。 何ヶ月か先……その悲しい願いが、とても残酷な形で叶えられることを、この時の朋与はまだ知らなかった。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。