女子大生2人!?

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「さて、比呂美ちゃん、そろそろ」 「はい、おばさん」  理恵子に促され、比呂美は手にしていたポーチを戻し、店を出た。これから、ひろし、 眞一郎と合流して外で夕食をとる予定である。  実は、四人揃っての外食はこれが初めてだった。  所用で新潟に来たという出版者の担当に、眞一郎は会いに行っていた。ひろしは組合の 集会に出かけ、二人とも帰りは夜になるとの事だった。  そこで、理恵子が「たまには家族で外食を」と提案し、比呂美と二人で事務を一通り片 付けた後、少し早めに街に出かけ、店を覗いて時間潰しをしているところだった。 「でも、いいんですか?私もご一緒して」  比呂美の言葉はそれほど深い意味があったわけではない。それでも理恵子は一瞬驚いた ような、傷ついたような表情を浮かべると、笑いを作って 「当然でしょう?あなたはうちの子なんだから」  と答えた。  比呂美は自分の失言に気付き、謝ろうと思ったが、謝ればまた理恵子が悲しむだろうと 考え直し、 「ありがとうございます」  とだけ答えた。  待ち合わせた場所は中心からは外れた所にある、小さなフレンチレストランだった。海 の幸を使った料理が評判の店である。 「珍しいですね、おじさんが自分から洋食を食べたいなんて」 「実はね、オーナーの奥さんって、私の同級生なのよ」 「そうなんですか?」  初耳だった。 「まあ、そんな縁で、開店以来たまに来るのよ。変な話、仲上が使う店となれば信用も得 やすいから、それだけでも力になれるし」  言い換えればそれは、あらゆる付き合いで仲上家としての責任を自覚しておかなければ ならない、という事でもある。名家の人間というのも、中々に大変なのだ。  と、その時、二人を後ろから追い越してきた若い男二人組が、声をかけてきた。 「ね、これからどこ行くの?」  二人、完全無視で歩き続ける。 「二人で飯?俺達も一緒させてくれない?」  二人、足を止めず。 「無視しないでくれよ。お二人さん、姉妹?」  比呂美、無視。  理恵子、停止。 「え、あ、あれ?」 「・・・・姉妹?」 「違うの?よく似てるからそうだと思った」 「じゃ、大学の先輩後輩とか?」  似ている、と言われた事に対しては、理恵子にとっても比呂美にとっても異議を唱えた い部分であったが、そのもう一人の言葉は両者に決定的な温度差をもたらした。 「大学生・・・・・・・・!?」 「・・・・・・・・大学生?」  年上に間違えられた側は絶句し、二十近く若く見られた側は僅かながら眉を上げた。 「ね、俺らも男ばっかりでつまんねーからさー。これから一緒にどっか行こうぜ」 「えっと、私達、これから約束が・・・・」  比呂美がこの場を脱出しようと試みるも、この軽薄な二人組は引き下がらない。 「何、友達と待ち合わせ?向こうも女の子なの?そしたら俺達も友達呼ぶからさあ、みん なで盛り上がろうよ」 「ね、どこの大学?学部は?俺達ね・・・・」  自慢げに名乗るほどの大学でもない。 「・・・・悪いけど、急いでるの。通して下さらない?」  大学生に見られて多少気分をよくしていた理恵子も、もう相手をするのに飽きてきたら しい。比呂美に追いつき、そのまま歩き去ろうとする。 「行きましょう」 「あ、はい」 「ねえちょっと待ってよ――」  男の一人がなおも理恵子の前に回りこむ。 「しつこいわね。どきなさい」 「おばさん、あまり――」  事を荒立てない方が、と比呂美は言おうとしたのだが、その代名詞に男が反応した。 「おばさん!?」  理恵子の顔を改めて見る。 「なんだよ、よく見りゃオバサンじゃねえかよ」 「ゲ、マジかよ。ただの若作りかよ」  比呂美は間違いなく、理恵子のこめかみがピクッと動くのを見た。 「なんだよ、がっかりだよ」 「ん、もしかしてあんたも三十越えてるとか言わねえよな」  比呂美の目が一瞬で危険な光を帯びた。 「たく、行こうぜ。時間の無駄だ」 「暗いから危うくだまされる所だったぜ」  言いたい放題で立ち去ろうとする若者に向かって、比呂美と理恵子の声が飛んだ。 「待ちなさいよ」 「お、おい、母さん・・・・?」  ひろしが心配する 「比呂美・・・・さん。なんかありましたか?」  眞一郎が敬語になっている。 「別に、なーんにもありませんよ。ですよね、おばさん」 「ええ、なんにも。比呂美ちゃん、おかわりしましょうか」  女性陣に遅れて店に入ったひろしと眞一郎が見たものは、二人でマグナムボトルのワイ ンを空にする勢いで呷り続ける、それは恐ろしい光景だった。              了 ノート ・・・・駄目だ、ママンが動じてくれない・・・・

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