本日の天気は 晴れ 一時 ジェラシー、明日は 晴れ の見込み

「本日の天気は 晴れ 一時 ジェラシー、明日は 晴れ の見込み」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

本日の天気は 晴れ 一時 ジェラシー、明日は 晴れ の見込み」(2008/04/05 (土) 23:46:08) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

負けるな比呂美たんっ! 応援SS第25弾 『本日の天気は 晴れ 一時 ジェラシー、明日は 晴れ の見込み』 「眞一郎くん、何見てるの?」 ここは仲上家の居間、 眞一郎が一人でテレビの紀行番組を観ていた。 「ああ、なんか妙に気になって」 「あ、この番組、私も好きなんだよ」 「比呂美も?」 「うん、お家に居た頃… あ、昔、よく観てた」 眞一郎は言い直す比呂美の気持ちを思い、 気付かない振りをした。 「これ、昔からやってるの?」 「うん、2、3年くらい前からやってるみたい」 「ふーん、知らなかった」 「毎日、短いのがあって、半年に1回くらい総集編があるの」 「ふーん」 「日本国内と、ヨーロッパ、中国も最近あったみたい、 そうそう、国内のは行程を変えてもあったみたい」 「ホントに好きなんだな」 「うん、なんだかのんびりしてて、いろんな人との出会いがあって好き」 「そんな感じだな」 「この俳優さんも飾らない感じで好きなの」 比呂美は『眞一郎くんが大きくなったらこんな感じかな』 と心の中で付け加えた。 「そ、そうなんだ」 眞一郎は普段比呂美が、例えテレビや映画であっても異性に対し 好意を示す事はなかったので少し面白くなかった。 「うん、この人ね、絵も上手いんだよ、色鉛筆で絵日記、とっても素敵なの」 比呂美は遠まわしに似ている点をアピールし、 間接的に眞一郎への想を込め嬉しそうに話す。 「ふーん」 眞一郎はすでに画面中の俳優に謂れのないジェラシーを感じているので、 比呂美のアピールは火に油以外の役にたっていない。 「悪い、お茶もらえないかな」 眞一郎はこのまま比呂美がその俳優のことを褒めるのを聞きたくなくて、 普段なら要求しないようなこと口にした。 「あ、ごめんなさい、気が付かなくて」 そういって比呂美が立ち上がりかけると、 番組がCMに切り替わったことがその音楽で知れた。 瞬間、こちらに向けられていた眞一朗の顔が、 素早く画面に引き戻されるのを感じた。 一体なんだろうと比呂美が画面をのぞく シャンプーのCMで20代前半くらいの長い髪の女性が優しそうに微笑んでいた。 眞一郎の表情を覗うと、もう半ば口をあけて、心ここにあらずといった態である。 「ふーん、眞一郎くんのタイプの女の人ってあんな人なんだ」 眞一郎の露骨な動きに対し、つい口が余計なことをしゃべる。 比呂美はそれほどまでに自分の心を支配している相手への想いに驚き、苛立った。 「え、別にそんな事ないけど」 眞一郎はどこか比呂美に似ていると思っているそのタレントのCMが好きで、 見逃さないようにするのが癖になっていた。 今でさえ大人っぽく見える比呂美が、この年頃にはこんな感じだろうかと。 だが、眞一郎は本人を前にそんなことを言えるほど図太くもなかった。 奇妙な緊張状態の中、比呂美は腰を下ろした。 「そういえば、私、眞一郎くんの淹れてくれたお茶、飲んだことない」 比呂美は軽く目を閉じ少し不機嫌モードで告げる。 確かに比呂美ばかりがお茶を入れなければならない法はない、 比呂美はメイドさんやウエイトレスではないからだし、 眞一郎もそのことは充分理解してはいた。 が、いきなりの比呂美の不機嫌オーラに戸惑ってもいたし、 先程からの比呂美の俳優に対する言動も少なからず影響したかもしれない。 「じゃ、別にいいや」 「眞一郎くん、私には優しくしてくれないんだ…」 比呂美も言いながら困惑していた。 何故こんな口しかきけないのか、何で苛立つのか。 気まずい沈黙の中、番組が再開した。 様々な風景 それぞれの風景の中には人々の暮らしがある 子供、老人、夫婦、俳優と様々な人々の出会い 何故だか安心できる、何でだろう 皆、素直だから? たぶんそう だけど 好きな人の前で素直になるのは意外と難しい その事に二人ともしばらくして気がついた 素直になれば思いは同じ こんなままで居たくはない 途中から互いをチラチラ覗い 仲直りの機会を待つ 再度、CMの時間となった 「あの、お茶淹れてくるね」 「いや、俺が淹れる」 「いいの、いつも私なんだし、ね、お願い、私に淹れさせて」 「でも」 「じゃあ、何かお茶請けになるものをお願いしていいかな」 「ああ、確かあったはずだ」 結局二人そろって台所に移動して、一人で出来る事を二人で手分けし、居間に戻った。 残りの時間を一緒に過ごし 綺麗な風景に感嘆し 子供の素直な言葉に目を細め 老夫婦の姿に自分達の遠い未来を重ねた 「こんな素朴な番組もいいもんだな」 「うん」 「これ総集編で、明日も続きがあるんだな」 「うん」 「なあ(あの)、明日も一緒に(明日も一緒に)…」 声が重なる 二人で顔を見合わせる。 どうやら同じことを考えていたみたいだ。 「プッ」 「クスッ」 「明日は俺がお茶を準備するから」 「じゃあ私がお菓子を用意しとくね」 それだけ言うと言葉が続かず見詰め合う やがて二人は我に返り 「じゃ」 「うん」 慌ててそう言い残し、その場を後にした。 了
負けるな比呂美たんっ! 応援SS第25弾 『本日の天気は 晴れ 一時 ジェラシー、明日は 晴れ の見込み』 「眞一郎くん、何見てるの?」 ここは仲上家の居間、 眞一郎が一人でテレビの紀行番組を観ていた。 「ああ、なんか妙に気になって」 「あ、この番組、私も好きなんだよ」 「比呂美も?」 「うん、お家に居た頃… あ、昔、よく観てた」 眞一郎は言い直す比呂美の気持ちを思い、 気付かない振りをした。 「これ、昔からやってるの?」 「うん、2、3年くらい前からやってるみたい」 「ふーん、知らなかった」 「毎日、短いのがあって、半年毎くらいに2、3日にわけて総集編があるの」 「ふーん」 「日本国内と、ヨーロッパ、中国も最近あったみたい、 そうそう、国内のは行程を変えてもあったみたい」 「ホントに好きなんだな」 「うん、なんだかのんびりしてて、いろんな人との出会いがあって好き」 比呂美は図らずも自分のお気に入りの番組を気に入ってもらえた事が嬉しく、 何時になく言葉数が多くなっていた。 「そんな感じだな」 「この旅してる俳優さんも飾らない感じで好きなの」 比呂美は『眞一郎くんが大きくなったらこんな感じかな』 と心の中で付け加えた。 「そ、そうなんだ」 眞一郎は普段比呂美が、例えテレビや映画であっても異性に対し 好意を示す事はなかったので少し面白くなかった。 「うん、この人ね、絵も上手いんだよ、色鉛筆で絵日記、とっても素敵なの」 比呂美は遠まわしに似ている点をアピールし、 間接的に眞一郎への想いを込め嬉しそうに話す。 今の彼女に許された精一杯の告白。 「ふーん」 眞一郎はすでに画面中の俳優に謂れのないジェラシーを感じているので、 比呂美のアピールは火に油以外の役にたっていない。 「悪い、お茶もらえないかな」 眞一郎はこのまま比呂美がその俳優のことを褒めるのを聞きたくなくて、 普段なら要求しないようなこと口にした。 「あ、ごめんなさい、気が付かなくて」 そういって比呂美が立ち上がりかけると、 番組がCMに切り替わったことがその音楽で知れた。 瞬間、こちらに向けられていた眞一朗の顔が、 素早く画面に引き戻されるのを感じた。 一体なんだろうと比呂美が画面をのぞく シャンプーのCMで20代前半くらいの長い髪の女性が優しそうに微笑んでいた。 眞一郎の表情を覗うと、もう半ば口をあけて、心ここにあらずといった態である。 「ふーん、眞一郎くんのタイプの女の人ってあんな人なんだ」 眞一郎の露骨な動きに対し、つい口が余計なことをしゃべる。 比呂美はそれほどまでに自分の心を支配している相手への想いに驚き、苛立った。 「え、別にそんな事ないけど」 眞一郎はどこか比呂美に似ていると思っているそのタレントのCMが好きで、 見逃さないようにするのが癖になっていた。 今でさえ大人っぽく見える比呂美が、この年頃にはこんな感じだろうかと。 だが、眞一郎は本人を前にそんなことを言えるほど図太くもなかった。 奇妙な緊張状態の中、比呂美は腰を下ろした。 「そういえば、私、眞一郎くんの淹れてくれたお茶、飲んだことない」 比呂美は軽く目を閉じ少し不機嫌モードで告げる。 確かに比呂美ばかりがお茶を入れなければならない法はない、 比呂美はメイドさんやウエイトレスではないからだし、 眞一郎もそのことは充分理解してはいた。 が、いきなりの比呂美の不機嫌オーラに戸惑ってもいたし、 先程からの比呂美の俳優に対する言動も少なからず影響したかもしれない。 「じゃ、別にいいや」 「眞一郎くん、私には優しくしてくれないんだ…」 比呂美も言いながら困惑していた。 何故こんな口しかきけないのか、何で苛立つのか。 気まずい沈黙の中、番組が再開した。 様々な風景 それぞれの風景の中には人々の暮らしがある 子供、老人、夫婦、俳優と様々な人々の出会い 何故だか安心できる、何でだろう 皆、素直だから? たぶんそう だけど 好きな人の前で素直になるのは意外と難しい その事に二人ともしばらくして気がついた 素直になれば思いは同じ こんなままで居たくはない 途中から互いをチラチラ覗い 仲直りの機会を待つ 再度、CMの時間となった 「あの、お茶淹れてくるね」 「いや、俺が淹れる」 「いいの、いつも私なんだし、ね、お願い、私に淹れさせて」 「でも」 「じゃあ、何かお茶請けになるものをお願いしていいかな」 「ああ、確かあったはずだ」 結局二人そろって台所に移動して、一人で出来る事を二人で手分けし、居間に戻った。 残りの時間を一緒に過ごし 綺麗な風景に感嘆し 子供の素直な言葉に目を細め 老夫婦の姿に自分達の遠い未来を重ねた 「こんな素朴な番組もいいもんだな」 「うん」 「これ総集編で、明日も続きがあるんだな」 「うん」 「なあ(あの)、明日も一緒に(明日も一緒に)…」 声が重なる 二人で顔を見合わせる。 どうやら同じことを考えていたみたいだ。 「プッ」 「クスッ」 「明日は俺がお茶を準備するから」 「じゃあ私がお菓子を用意しとくね」 それだけ言うと言葉が続かず見詰め合う やがて二人は我に返り 「じゃ」 「うん」 慌ててそう言い残し、その場を後にした。 了 ●あとからあとがき 7話まで視聴済み 「すれ違い」こんなんじゃダメ? 本編の露骨なすれ違いに少々食傷気味なもので… テレビの紀行番組はN○Kの某鉄道紀行番組をイメージしてます。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。