バスに揺られたそのあとで

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バスに揺られたそのあとで」(2008/08/23 (土) 02:44:30) の最新版変更点

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※「バスに揺られて」の続編です。 バスを降りると夕立は通り過ぎていた。 雨上がりの匂いの中、夕焼けを背に歩く比呂美と眞一郎。 大きく伸びた二つの影は、寄り添って手を繋いでいる。 「今日も帰ったら絵本の続き?」 「そうだな。夏休みが終わるまでには一冊描き上げたいし」 「そう……」 「でも最近は暑さのせいか集中できなくてさ~」 不意に比呂美が立ち止まる。 「家に寄っていかない?」 一歩先で振り返る眞一郎。 「集中できるようにしてあげる……」 ~♪ 眞一郎の唇が動き出したと同時に、携帯電話の着信音が鳴った。 「ごめん……」 「…………」 「もしもし?帰り道だけど。えっ?……わかった」 ――ピッ 「……おばさん?」 「今日は用事があるから早く帰ってこい、だって」 「じゃあ仕方ないね」 「ごめん」 「ううん」 一人アパートに帰った比呂美は、玄関を閉めると深いため息をついた。 「はぁ~……」 鞄を置いて右手を見つめる。 ほんの少し前まで、この手は眞一郎と繋がれていた。 それよりもう少し前には、眞一郎を握って上下していた。しかもバスの中で。 ポケットに手を入れて、取り出したハンカチをそっと広げる。 べっとりと付着した眞一郎の精液。 男子特有のキツイ臭いがむわっと漂う。 比呂美はこの臭いがどんな香水よりも好きだった。 「くんくん……」 鼻腔いっぱいに匂いを吸い込む。 (眞一郎君の匂いだ) 下腹部がじゅんと熱くなるような…… 子宮が疼くような…… 触りたい。いじりたい。気持ちよくなりたい。 比呂美の性欲が身体を動かす。 ハンカチを握り締めたまま、軽やかにロフトへ駆け上った。 ハンカチを鼻に当てたまま、ショーツを脱いで横になる。 (眞一郎君……) スカートを捲りあげ、茂みの奥へと右手が伸びる。 視覚と触覚を満たし、そして嗅覚にダイレクトに響くリアルなオカズが 無意識のうちに比呂美の指使いをいつもより大胆にさせた。 ちゅくっ…くちゅっ…ぴちゃ…くちゃっ…… 薄い粘液が奏でる水音と、甘美な吐息。 水音のボリュームが上がってくると、吐息は喘ぎ声に変わっていく。 「うぅっ!……眞一郎くん……もっと……あんっ……もっとぉ……」 この手が、この指が、眞一郎のものだったら…… そんなことを想像しながら、比呂美は快楽の頂点へと登りつめていく。 ハンカチを口の中に含んで噛み締める。 青臭い眞一郎の味が舌から脳に伝わる。 脳と身体が反射的にエクスタシーの記憶を呼び出して、あの気持ちよさを再現した。 「んっ……あっ…いっ…あっ…はぁん……んんっ!…アッ!…イ、ぃく…!!」 頭の中が真っ白に痺れる。 背筋にグッと力が入り、腰が大きくブリッジのように跳ね上がる。 そのまま比呂美は意識が薄れていくのを感じながら 強い眠気に身を任せて、瞼を閉じた。 それからどれくらいの時間が経ったのだろう。 意識を取り戻した比呂美は、重い身体を起こして時計を見たが、まだ長針が半周した程度だった。 シーツにできた無数の染みは、比呂美が飛沫をあげたことを物語っている。 本能が求めた満足感と、理性が生み出す罪悪感。 それは自慰行為を覚えたころから変わっていないが、その比率は変わってきている。 「何作ろうかな~」 シャワーを浴びた比呂美は冷蔵庫を開けて、夕食の献立を考える。 しばらく考えた後、アロエヨーグルトを取り出してドアを閉めた。 (海だもん。水着だもん。ダイエットしなきゃ……) 比呂美の身体には、落とすべき無駄な脂肪などないのだが 少しでも綺麗になりたいと思うのが乙女心。 ダイエットに水着選び、約束の日曜日まで、比呂美にとって忙しい毎日が始まった。 ―終―

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