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 比呂美スレ的 第1話 改訂版
 
 仲上家にて。
 カタッ、カタカタカタッ。比呂美が真剣な表情で、何か作業をしている。
 「あ…」
 「何?また手伝い?」
 「うん、人手が足りないみたいだからね」
 「気を使うなって、いつも言ってるだろ? そうだ、メシ…食わないのか?」
 自分を気遣う眞一郎の言葉で、比呂美が元気に返事をする。
 「お世話になっているからね!あれ?、もうそんな時間?」
 「休んで食べた方がいいんじゃないか?」
 「うーん、でも…もうちょっとだから、がんばるよ!」
 「…そう…わかった」
 眞一郎は少し残念そうな表情。
 「あっ…」
 「ん?、何?」
 比呂美は微笑んで眞一郎に話しかける。
 「ゆっくり食べててね♪早く終わらせるからっ♪」
 「あ…うん…」
 笑顔で画面に向い直り、帳簿の続きを始めた。
 
 「何ですか?坊ちゃん、顔がニヤけてますよ?」
 「そ…そんな事ないって!」
 「ふーん、相変わらずアツアツですねー?」
 丁稚のからかう声を背中に受けながら廊下を歩き、居間に入っていった。
 
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 教室で。
 「いや…、アイツなら…」
 「なんかあったのか?」
 三代吉は驚きの表情で眞一郎に聞いた。
 「呪われた」
 特に興味なさそうな返答だが、思い当たるフシがあった。
 「ヤバイぜ…、それ…」
 「何?」
 「石動乃絵必殺奥義…悲劇を呼ぶおまじない」
 「んん?」
 「小さくなりますようにって呪われて、マジ使い物にならなくなったヤツが…」
 
 「眞一郎くん?何の話をしているの?」
 ひそひそと三代吉が話していた時、比呂美が話に割って入ってきた。
 「うおっ」
 「おっと」
 「何か妙なことでも話していたんじゃないのー?」
 同じく、いつの間にか近くにいた朋与まで加わってきた。
 「石動乃絵って聞こえたんだけど…?」
 声の調子がいつもと違う、表情も。何かを含んでいる。
 「聞いてたのか?」
 「き、聞こえたの!」
 少し慌てた感じで、言い訳めいた返事をした。
 「石動乃絵って、"あの"?」
 「朋与、知ってるの?」
 「変わってる、ってこととか、色々かな?噂がいっぱいあるじゃん」
 「まあ、かわいいんだけどなー」
 「やっぱ、愛ちゃんに言いつけよう」
 「うげ」
 
 「その石動乃絵を眞一郎くんは知ってるの?」
 比呂美は追及することを忘れていない。どうやら、眞一郎の口から女子の名前が
 出たことが気に食わないらしい
 「歩いていてたら、裏庭の方から何か聞こえて行ってみた。そしたら木に登ってた…」
 「はあ?何?それ?」
 朋与にはさっぱりわからない。
 「それで?どうしたの?」
 「よく分からないけど…、呪われた」
 「呪われた?どうして?」
 「からかった、からかな?」
 「どう呪われたの?」
 「"不幸が訪れますように"、とか何とか…」
 「はあ?何?それ?」
 朋与にはやっぱりわからない。
 
 「許せない…」
 比呂美の雰囲気が変わった。怒っているようだ。
 「比呂美?」
 「眞一郎くん、私に任せて!」
 「いや、何を任せればいいのか、分かんないんだけど…」
 「いいからっ!行こうっ!朋与っ!」
 「あっ、ちょっとっ!待ってよ…」
 瞬く間に比呂美は歩き出し、朋与も慌てて付いて行った。
 「良かったな、眞一郎。湯浅さんが何とかしてくれるらしいぞ」
 「あん?どういう意味だよ?」
 「愛されてるな、お前」
 「ちょっ…意味ワカラン…」
 と言いつつ、眞一郎の嬉しそうな表情には、弁解の余地が無かった。
 
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 その日の昼休み。珍しく4人で弁当を食べている。
 「というわけで、"呪い"は取り消すって。よかったね、眞一郎くん」
 「あ…そう…」
 何となく不機嫌そうな報告に、眞一郎はたじたじだ。
 「ま、比呂美に感謝すれば?"呪い"を解いた功労者なんだからさ」
 「そうだな、眞一郎が自分で解くのはムリだろうからな」
 「…」
 ここぞとばかりに朋与と三代吉がからかう。
 「別に…感謝してもらわなくてもいいけど…」
 今度は比呂美が少し頬を赤らめながら、ちらちらと眞一郎の顔を見ている。
 「えっと…ありがと…」
 「うん、どういたしまして♪」
 にこっと笑顔を作って正面から見つめると、眞一郎もつられて笑顔になった。
 「こういう場合、こっちはどうすればいいんだろう?」
 「放っておく、でいいんじゃないか?」
 朋与と三代吉は、ぱくぱくと弁当を再開した。
 
 「そうだ。どうする?今日も"あいちゃん"、行くべ?」
 その後、弁当が終わって話している時に何気なく聞いた。
 「うーん、いいよ」
 その言葉に反応したのが、他でもない、比呂美だ。
 「ふーん、"また"行くの?眞一郎くん」
 あれ?さっきまで上機嫌で話していたはずが…
 「え?いや…野伏が…」
 またも守備にまわる眞一郎。
 「さっきのことをもう忘れているのかな?」
 朋与のアシストは素晴らしいが、眞一郎には迷惑な話だ。
 「え?いや…野伏が…」
 「そんなに頻繁に今川焼きを食べなくてもいいでしょ?」
 「あ…あの…」
 「それに、今日は踊りの練習も無いよね?」
 「無いけどさ…」
 「…」
 
 別に比呂美は責めているのではない、面白くないのだ。眞一郎にもそれが
 何となくわかるのだが、三代吉と一緒だから別にいいんじゃない?という
 気持ちもある。"呪い解除"の件を思い出して、こう言ってみた。
 「じゃあ、部活が終わる頃にメールしてよ。迎えに来るからさ」
 予想外の提案に、一瞬で比呂美の機嫌が回復する。
 「うんっ!わかった!メールするね♪」
 比呂美の笑顔を見て、自分も嬉しくなる眞一郎。嬉しくないのは二人だ。
 「こういう場合、こっちはどうすればいいんだろう?」
 「放っておく、でいいんじゃないか?」
 朋与と三代吉は、同じやりとりをもう一度繰り返した。
 
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+ ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
 
 夕方、眞一郎は校門の辺りで比呂美を待っていた。"あいちゃん"からここ
 までは、もちろんダッシュだ。
 「眞一郎く~ん♪」
 にこやかな笑顔の比呂美が、駆け足でこちらへ向ってくる。
 「おお!」
 眞一郎は軽く手を振る。
 「待った?」
 「すげぇ待った。待ちくたびれた」
 「うっそー!?だって、私はちゃんと時間を計算したよ?」
 「ちょっと走ったからな」
 「どうして?」
 「聞くなっての」
 「あははっ♪帰ろっか?眞一郎くん♪」
 夕日に照らされて、仲良く並んで自宅へと歩いていく。
 長く伸びた二人の影は、もう少しで重なりそうだ。
 
 END
 
 
 -あとがき-
 もし第1話で比呂美が封印していなかったら…、というお話でした。
 あれ?乃絵がモブになってしまった。乃絵好きな方、ごめん。
 第1話にして最終回ですね。
 
 <これ以下は、アップ後に追加しました(8話視聴前に書いてます)>
 このSSの連想シーン=第1話の比呂美登場部分いっぱい
 テーマ=女らしいけど、女らしくない行動
 
 異母兄妹は?と思いませんでしたか?このSS比呂美がアニメと同じよう
 に、気持ちを封印してるという解釈が可能です。
 それは、眞一郎の女性関係を封印です。意味は同じになりますよね?
 お遊びなんで。
 
 実は最初は上のストーリーだったのですが、読み返したら比呂美がスト
 ーカーになってました。なので、細部の入れ替えとオチを変更して封印
 なし、という話になりました。最初の構成では比呂美が黒すぎて…
 
 最後の文、"重なりそうだ"としています。"重なるだろう"ではないです。
 異母兄妹問題が第1話では未解決なので、表現をあいまいにして余韻を
 持たせたつもりです。
 "重なるだろう"だと、比呂美が異母兄妹を無視して、眞一郎と結ばれる
 ことを望んでいる様な意味になるので、こうしました。
 日本語、ムツカシイデース。
 
 ありがとうございました。
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