「夜店めぐり」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「夜店めぐり」(2008/03/21 (金) 01:01:04) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
=比呂美が眞一郎と結ばれたアフターストーリーです。
=どうでもいい前置きはすっ飛ばしてもいいですよ。51行目からどうぞ。
夜店めぐり
「しんちゃん! しんちゃん! ちょっと、こっち!」
眞一郎を呼ぶ母の声が響いていた。
近くの神社の祭りの日。大きな祭りではないが、小さな神社に夜店が並び、派
手さはないが近所の人々にとっては夏の楽しみの一つだ。町内会の手伝いとし
て、比呂美、眞一郎とその母も参加している。主な担当は迷子などを一時的に
預かる場所の設営だ。三人で仲良く、とはなっていない原因が…
「しんちゃん! しんちゃん! そっち、引っ張って!」
眞一郎を比呂美に取られまいと、必死に指示を飛ばしている母の存在だった。
自分に少しも声を掛けず、独り占めしようとする姿を見て悔しさが募る。
(わ、私が眞一郎くんの恋人なの…)
口には出さず、胸の中で主張している。
(そ、それに周りから見たら、こ…婚約し…って、きゃっ♪)
ちょっと暴走している。
(さすがに、まだ先の話だけど…、でも、みんな私を…若奥さ…って♪)
暴走が妄想に変わりつつあった。
(ま、まぁ、でも近い内に眞一郎くんが…って、きゃっ♪)
などと、一人で顔を赤くして頬に手をあてていると…
「比呂美? どうした?」
目の前で眞一郎が見ていた。
「えっ!? 」
慌てて声のした方向を見ると…
「顔、真っ赤…、どっか具合でも悪い?」
見当違いの心配をしているが、比呂美にとっては幸いだった。必死に言い訳を
思いつく。
「あっ! ちょ、ちょっと電灯が熱くて…、火照っただけなの…」
頭の近くにスポットライトがあったので、それを言い訳に使った。
「ふーん…、こっちは終わったよ。行こうか?」
具合が悪いわけではなさそうなので安心して、誘った。
「えっ!? どこに?」
まだ、動揺していたので意味がわからなかった。
「夜店」
ちょっと疑っているような口調になる眞一郎。
「あっ、そうか。行こう!」
誤魔化しているつもりの、比呂美。
「本当は違うな? 言ってもらおうかなぁ?」
その後、比呂美は先程考えていたことを話してしまう。それを聞いて顔が真っ
赤になり、眞一郎はこう言った。
「もう…ちょっと…、かな?」
実は自分も同じようなことを考えていたようだった。二人はしばらくそのまま
立っていたが、夜店の呼び込みの声に誘われるように手を繋いで歩いていった。
- - - - - - - - - - - - -
<前置きがあって、すみません…>
さて、イチャイチャ夜店めぐりタイムの始まりです。
射的ゲームの場合:
「あっ! また外れた~。もうっ!」
比呂美はこれが苦手なようだ。眞一郎は黙ってしばらく見ていたが…
「ふふふん、射的のしんちゃんにまかせなさい」
と、言われたことがないのにアドバイスを始めた。
「もうちょっと…、そう…、うーん…、違うんだなぁ…、こうだって」
「あっ!、ちょっ!」
比呂美の背後から覆いかぶさって、密着。的を狙う。
「そら…、トリガー引いて…」
「うん…」
シュバッ、弾が発射されたが、比呂美は眞一郎の横顔を至近距離で見ている。
当然のように大きくそれて、的には命中しない。
「まだ…、わかんない?」
「うん、全然だめみたい…」
一度体を元に戻し、顔を見ながら撃鉄を起こして準備。眞一郎が弾を込める。
「もう一回?」
「うん…」
またもや、比呂美の背後から覆いかぶさって射撃の準備、密着。今度は視線を
お互いの目に設定、見つめ合う。
「はい…、トリガー引いて…」
「うん…」
シュバッ、一応射撃はできているが、狙っていない。体を起こしてからよく見
ると皿に弾が残っていないので、追加する。
「「おじさん、もう一回ね!」」
笑顔を二人で作ったが…
渋い顔でこう返事が返ってきた。
「まだやんのかい? 他の客が来なくて困ってんだけどなー」
金魚すくいの場合:
「あっ! もう少しだったのに~」
比呂美はまたしても苦手だったようだ。眞一郎がまた言った。
「ふふふん、金魚すくいのしんちゃんにまかせなさい」
と、一度も言われたことがないのにアドバイスを始める。
「こうやって持つんだよ…、そうそう。それで…、あー、ちょっと違うなー」
「あっ!、ちょっ!」
今度もわざと比呂美の背後に回って、右手を重ねる。
「ほら…、こうして…、こうして…、それっ!」
「うん…」
サブッ、と掬い上げたが、比呂美は金魚を見ていない。見ているのは間近にあ
る眞一郎の横顔。
「あちゃぁ、ちょっと無理だったか…。もう一回する?」
「うん…」
まだ破れていないので、再度挑戦するが…
サブッ、今度は紙が破れてしまった。
「「おじさん、もう一回ね!」」
笑顔を二人で作ったが…
渋い顔でこう返事が返ってきた。
「まだやんのかい? 他の客が来なくて困ってんだけどなー」
輪投げの場合:
「あっ! おっしい~っ!」
<途中を省略します>
「「おじさん、もう一回ね!」」
笑顔を二人で作ったが…
渋い顔でこう返事が返ってきた。
「まだやんのかい? 他の客が来なくて困ってんだけどなー」
その後、二人が夜店のゲーム屋に向うと、店主が姿を消す現象が起こった。
「何だかおかしいね?」
「そうだなぁ…。しょうがないから、何か食べようか?」
「うん!」
綿菓子屋を見ながら、相談が決まった。
綿菓子を食べる時:
「じゃあ、反対側から食べよ?」
「おっけー、競争な?」
「いいよ。よーい…、どん!」
はむはむ、と食べ始める二人。ちなみに夜店を離れて、木の陰で人目につかな
い場所にいる。棒をお互いの手で重ねて持ち、正面で向き合っている。
「んぐんぐ」
「んぐんぐ」
どんどん綿菓子が無くなっていく。
「あっ!…、ん…」
「ん…」
<お互いに反対側から食べて、無くなるとどうなるか、ご想像下さい>
「ん…」
「ん…」
しばらくそのままにして、綿菓子の味を確かめてから離れた。
「甘いね?」
「そうだな…、甘いな…」
二人の顔は赤かった、暗がりでよく見えないが。
たこ焼きを食べる時:
「はい…、あ…あ~ん…」
さすがにこの頃になると、少しは慣れてきた感じのある"あ~ん"だ。
「はふっ、はふはふ、んぐんぐ、んぐっ…」
「おいし?」
食べる口元を見ながら、比呂美が顔を覗き込む。
「うん…、うまい。食べる?」
「あ~ん♪」
ひょいっ、と食べさせる眞一郎。今度は明るい場所でくっついて座っている。
「はふっ、はふっはふっ、んぐんぐ…」
にこにこしながら食べる比呂美を、眞一郎が優しい目で見守る。お互いに一つ
ずつ食べて、無くなると…
「あっ! 眞一郎くん、口元にソース付いてるよ」
「ん? こっち?」
「違ーう、ちょっと待って。そのまま、ね?」
比呂美が顔を近づけて…
「ぺろっ」
<何をどうしたか、お好きなようにご想像ください>
「…」
「…」
さすがに無言になる二人。顔は赤い。そろそろ慣れてもいいんじゃ…
「うーん…、次は何か買おうか?」
先程の出来事を誤魔化すように眞一郎が聞いた。
「何があるかなぁ?」
きょろきょろと、店を見回していると、キラキラ光っている物を発見した。
「ね? あっち行ってみようよ?」
比呂美が眞一郎の手を引っ張っていく。着いたのは、おもちゃ屋だ。
「へぇ~、ほぉ~、こんなんあるんだ~? …ん?」
「…」
一点を見ているので、眞一郎が聞いてみる。
「何? 欲しいのがあったか?」
「…」
比呂美が見ているのは…
「それ…、欲しいか?…」
「うん…」
眞一郎が一つを手に取り、買う。
「おじさん、これね」
「100円ね、まいどーっ! いいもの買ってもらってたねぇ、お譲さん?」
祭りの電灯が二人を照らしている。周囲のざわめきが遠のいていく。
「おれが…、付けようか?…」
既に耳まで赤くなって俯く比呂美に、眞一郎が聞いた。
「うん…」
眞一郎の震える指が、震える左手の"その指"に"ある物"を嵌める。
「働くようになったら…、ちゃんとしたのを…、な?」
「うん…、ありがとう、眞一郎くん…。うれしい…」
こちらも俯いたまま、言った。
うーん、何を買ったんだろうね?
END
-あとがき-
10話、よかったですね。涙ぐみました。
今回のSSは、今までよりもちょっと踏み込んだ描写です。
ありがとうございました。
=比呂美が眞一郎と結ばれたアフターストーリーです。
=どうでもいい前置きはすっ飛ばしてもいいですよ。51行目からどうぞ。
夜店めぐり
「しんちゃん! しんちゃん! ちょっと、こっち!」
眞一郎を呼ぶ母の声が響いていた。
近くの神社の祭りの日。大きな祭りではないが、小さな神社に夜店が並び、派
手さはないが近所の人々にとっては夏の楽しみの一つだ。町内会の手伝いとし
て、比呂美、眞一郎とその母も参加している。主な担当は迷子などを一時的に
預かる場所の設営だ。三人で仲良く、とはなっていない原因が…
「しんちゃん! しんちゃん! そっち、引っ張って!」
眞一郎を比呂美に取られまいと、必死に指示を飛ばしている母の存在だった。
自分に少しも声を掛けず、独り占めしようとする姿を見て悔しさが募る。
(わ、私が眞一郎くんの恋人なの…)
口には出さず、胸の中で主張している。
(そ、それに周りから見たら、こ…婚約し…って、きゃっ♪)
ちょっと暴走している。
(さすがに、まだ先の話だけど…、でも、みんな私を…若奥さ…って♪)
暴走が妄想に変わりつつあった。
(ま、まぁ、でも近い内に眞一郎くんが…って、きゃっ♪)
などと、一人で顔を赤くして頬に手をあてていると…
「比呂美? どうした?」
目の前で眞一郎が見ていた。
「えっ!? 」
慌てて声のした方向を見ると…
「顔、真っ赤…、どっか具合でも悪い?」
見当違いの心配をしているが、比呂美にとっては幸いだった。必死に言い訳を
思いつく。
「あっ! ちょ、ちょっと電灯が熱くて…、火照っただけなの…」
頭の近くにスポットライトがあったので、それを言い訳に使った。
「ふーん…、こっちは終わったよ。行こうか?」
具合が悪いわけではなさそうなので安心して、誘った。
「えっ!? どこに?」
まだ、動揺していたので意味がわからなかった。
「夜店」
ちょっと疑っているような口調になる眞一郎。
「あっ、そうか。行こう!」
誤魔化しているつもりの、比呂美。
「本当は違うな? 言ってもらおうかなぁ?」
その後、比呂美は先程考えていたことを話してしまう。それを聞いて顔が真っ
赤になり、眞一郎はこう言った。
「もう…ちょっと…、かな?」
実は自分も同じようなことを考えていたようだった。二人はしばらくそのまま
立っていたが、夜店の呼び込みの声に誘われるように手を繋いで歩いていった。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
<前置きがあって、すみません…>
さて、イチャイチャ夜店めぐりタイムの始まりです。
射的ゲームの場合:
「あっ! また外れた~。もうっ!」
比呂美はこれが苦手なようだ。眞一郎は黙ってしばらく見ていたが…
「ふふふん、射的のしんちゃんにまかせなさい」
と、言われたことがないのにアドバイスを始めた。
「もうちょっと…、そう…、うーん…、違うんだなぁ…、こうだって」
「あっ!、ちょっ!」
比呂美の背後から覆いかぶさって、密着。的を狙う。
「そら…、トリガー引いて…」
「うん…」
シュバッ、弾が発射されたが、比呂美は眞一郎の横顔を至近距離で見ている。
当然のように大きくそれて、的には命中しない。
「まだ…、わかんない?」
「うん、全然だめみたい…」
一度体を元に戻し、顔を見ながら撃鉄を起こして準備。眞一郎が弾を込める。
「もう一回?」
「うん…」
またもや、比呂美の背後から覆いかぶさって射撃の準備、密着。今度は視線を
お互いの目に設定、見つめ合う。
「はい…、トリガー引いて…」
「うん…」
シュバッ、一応射撃はできているが、狙っていない。体を起こしてからよく見
ると皿に弾が残っていないので、追加する。
「「おじさん、もう一回ね!」」
笑顔を二人で作ったが…
渋い顔でこう返事が返ってきた。
「まだやんのかい? 他の客が来なくて困ってんだけどなー」
金魚すくいの場合:
「あっ! もう少しだったのに~」
比呂美はまたしても苦手だったようだ。眞一郎がまた言った。
「ふふふん、金魚すくいのしんちゃんにまかせなさい」
と、一度も言われたことがないのにアドバイスを始める。
「こうやって持つんだよ…、そうそう。それで…、あー、ちょっと違うなー」
「あっ!、ちょっ!」
今度もわざと比呂美の背後に回って、右手を重ねる。
「ほら…、こうして…、こうして…、それっ!」
「うん…」
サブッ、と掬い上げたが、比呂美は金魚を見ていない。見ているのは間近にあ
る眞一郎の横顔。
「あちゃぁ、ちょっと無理だったか…。もう一回する?」
「うん…」
まだ破れていないので、再度挑戦するが…
サブッ、今度は紙が破れてしまった。
「「おじさん、もう一回ね!」」
笑顔を二人で作ったが…
渋い顔でこう返事が返ってきた。
「まだやんのかい? 他の客が来なくて困ってんだけどなー」
輪投げの場合:
「あっ! おっしい~っ!」
<途中を省略します>
「「おじさん、もう一回ね!」」
笑顔を二人で作ったが…
渋い顔でこう返事が返ってきた。
「まだやんのかい? 他の客が来なくて困ってんだけどなー」
その後、二人が夜店のゲーム屋に向うと、店主が姿を消す現象が起こった。
「何だかおかしいね?」
「そうだなぁ…。しょうがないから、何か食べようか?」
「うん!」
綿菓子屋を見ながら、相談が決まった。
綿菓子を食べる時:
「じゃあ、反対側から食べよ?」
「おっけー、競争な?」
「いいよ。よーい…、どん!」
はむはむ、と食べ始める二人。ちなみに夜店を離れて、木の陰で人目につかな
い場所にいる。棒をお互いの手で重ねて持ち、正面で向き合っている。
「んぐんぐ」
「んぐんぐ」
どんどん綿菓子が無くなっていく。
「あっ!…、ん…」
「ん…」
<お互いに反対側から食べて、無くなるとどうなるか、ご想像下さい>
「ん…」
「ん…」
しばらくそのままにして、綿菓子の味を確かめてから離れた。
「甘いね?」
「そうだな…、甘いな…」
二人の顔は赤かった、暗がりでよく見えないが。
たこ焼きを食べる時:
「はい…、あ…あ~ん…」
さすがにこの頃になると、少しは慣れてきた感じのある"あ~ん"だ。
「はふっ、はふはふ、んぐんぐ、んぐっ…」
「おいし?」
食べる口元を見ながら、比呂美が顔を覗き込む。
「うん…、うまい。食べる?」
「あ~ん♪」
ひょいっ、と食べさせる眞一郎。今度は明るい場所でくっついて座っている。
「はふっ、はふっはふっ、んぐんぐ…」
にこにこしながら食べる比呂美を、眞一郎が優しい目で見守る。お互いに一つ
ずつ食べて、無くなると…
「あっ! 眞一郎くん、口元にソース付いてるよ」
「ん? こっち?」
「違ーう、ちょっと待って。そのまま、ね?」
比呂美が顔を近づけて…
「ぺろっ」
<何をどうしたか、お好きなようにご想像ください>
「…」
「…」
さすがに無言になる二人。顔は赤い。そろそろ慣れてもいいんじゃ…
「うーん…、次は何か買おうか?」
先程の出来事を誤魔化すように眞一郎が聞いた。
「何があるかなぁ?」
きょろきょろと、店を見回していると、キラキラ光っている物を発見した。
「ね? あっち行ってみようよ?」
比呂美が眞一郎の手を引っ張っていく。着いたのは、おもちゃ屋だ。
「へぇ~、ほぉ~、こんなんあるんだ~? …ん?」
「…」
一点を見ているので、眞一郎が聞いてみる。
「何? 欲しいのがあったか?」
「…」
比呂美が見ているのは…
「それ…、欲しいか?…」
「うん…」
眞一郎が一つを手に取り、買う。
「おじさん、これね」
「100円ね、まいどーっ! いいもの買ってもらってたねぇ、お譲さん?」
祭りの電灯が二人を照らしている。周囲のざわめきが遠のいていく。
「おれが…、付けようか?…」
既に耳まで赤くなって俯く比呂美に、眞一郎が聞いた。
「うん…」
眞一郎の震える指が、震える左手の"その指"に"ある物"を嵌める。
「働くようになったら…、ちゃんとしたのを…、な?」
「うん…、ありがとう、眞一郎くん…。うれしい…」
こちらも俯いたまま、言った。
うーん、何を買ったんだろうね?
END
-あとがき-
10話、よかったですね。涙ぐみました。
今回のSSは、今までよりもちょっと踏み込んだ描写です。
ありがとうございました。