こんな嘘だけ吐けたらいいな 比呂美視点ver


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負けるな比呂美たんっ! 応援SS第35弾

『こんな嘘だけ吐けたらいいな 比呂美視点ver』


◇帰り道

「あれ、比呂美?」

突然、背後から声をかけられた
どんなときでも聞き分けられる
この声…
信じられないような幸運!
高鳴る鼓動を何とか制し
なるべく自然に振り返る

「あ、眞一郎くん」

髪 大丈夫かな?
今日 靴 少し汚れたままなのに…

「今帰りか?」

どうしたんだろう
こんな時間に?

「うん。 練習も終わったし、あとはお買い物だけ」

どうしよう
顔が自然にうれしそうになるの
止められない

「買い物?」

おねがい
ドキドキしてるの
気付かないでね

「うん、おば様に頼まれて調味料を… 眞一郎くんは?」

ダメ 焦っちゃ
早口になってる

「本屋にちょっと参考にしたいものがあって」

なんだろう?

「参考? あ、ひょっとして絵本とかの?」

そっか 絵本か…

「あ、うん」

あれ 少しバツが悪そう

「ふうん」

絵本に夢中なんだ…

「俺もヒマだし一緒していいか?」

え?
今日は何ていい日なの!

「うん、ありがとう。 でもいいの? 絵本とか描かなくて?」

どうしよう
ドキドキが止まらない

「まあ、机に張り付いてるだけじゃあ イメージわかないし」

よかった このあと予定はないみたい

「ありがとう」

ご一緒 ご一緒

「重いもんなら任しとけ」

ホントはそんなに重くもないけど いいよね

「助かります♪」

お礼は大切

「途中のスーパーか?」

そうだけど…
どうせなら…

「うん。あ、いえ、橋の向かい側のお店なんだけど…」

途中のスーパーだと通り道…
だけど
橋の向かい側のお店だったら…
遠いぶん、長く一緒に居られる…
大丈夫かな?

「少し遠回りだな」

そうだよね

「あの、やっぱりダメ… かな?」

おねがい…

「いや、たまにはいつもと違う道も歩いてみないとな」

うん!
そうそう

「良かった」

よかった



◇橋の向かいのお店にむかって

えーと何か話題… 話題… そうだ!

「どんな絵本なのか訊いていい?」

「え、と、ごめん、まだ自信ないから…」

立ち入った事 訊いちゃったかな?

「そう、ごめんなさいヘンな事訊いて…」

無遠慮な子だって思われたらどうしよう?

「いつか完成したら見てもらってもいいかな?」

見せてくれるんだ

「うん、楽しみに待ってる」

絵本を描いてるときはお部屋にこもっちゃうから
全然会えないし、ホントは イヤなんだけどな…
こんなコト考えちゃいけないのは分ってるけど…
でも…

「あのね、眞一郎くんは 絵本の作家さんになったら…  ううん、なんでもない」

『東京の出版社』って何だろう?
地元 出て行っちゃうのかな…
やっぱり 訊くの怖い…

「ん? 作家かあ なれるかなぁ」

夢のある彼は素敵…

「大丈夫だよ、応援してる」

応援したい気持ちは嘘じゃない…
嘘じゃないけど…

「ああ、ありがと」

素直に笑ってくれる彼…

「…。」

胸が痛いの 何でかな…



◇お店が見えてきた辺り

「ほら、あのお店」

せっかく遠回りしてのお話なのに…
ホントに楽しい会話が見つからない…

「久しぶりに来たな」

なんだかモヤモヤする
よーし
試してみよう

「あ、大変!」

時計なんか見て…
わざとらしかったかな?

「なに?」

驚いてくれてる

「もうこんな時間、タイムセールなの 走るよ?」

ホントはタイムセールなんてやってない
どうしよう?

「間に合うのか?」

さあ?

「わかんないっ」

走り出す
ホント
私 何やってるんだろう?

「ま、待って」

彼も走り出した

「待ってあげなーい」

彼が追いかけてきてくれる
夢みたい
ずっとこうなら良いのに…



◇お買い物の後 お店の前

「おかげさまで間に合いました♪」

彼にはお店の前で待っててもらった
タイムセールなんてやってない
買い物を済ませ彼の元に駆け戻る

「比呂美、走るの 速いな…」

彼ったらまだ息が荒い
イジワルだったかな?

「鍛えてるんだから!」

少し自慢!

「追いつけないや」

バツが悪そうに笑う彼

「早く捕まえてね」

捕まえて欲しいけど…

「え?」

意味が分らないみたい
ま そうじゃないと
困るけど

「ううん、なんでもない」

捕まえて欲しい…
けど…
私にそんな資格なんて…



◇お家の前

「とうちゃーく♪」

着いちゃった…
夢のようなひと時も
これでおしまい

「やっと家か」

ごめんね
遠回りさせて

「ご協力感謝します♪ 任務終了です。 貸して」

買い物袋
彼に持たせるわけにはいかない

「え、台所置いときゃいいんだろ?」

おねがい…

「ううん、いいの貸して」

もういいから…

「ハイ。」

よかった

「ありがとう」

ほんとうに
ありがとう

「…。」

お願い

「…。」

先にお家に入って

「入らないのか?」

おばさんに見つかったら
また怒られちゃうから…

「うん、あのね朋与に電話してから…」

こうでも言わないと先に入ってくれないかな?
おねがい 先に行って

「そか、じゃお先に」

よかった

「今日はありがとう、ごめんなさい」

うれしかった
でも
いっぱい

吐いちゃった
ごめんなさい

「いいって」

手を振って彼をお見送り



◇お家の前 壁にもたれて

携帯を取り出して
メールでも見ている振りをしながら
時間をつぶす

「…。」

どうしよう
いつものお店と違うレシート
また怒られるのかな?
値段は変わらない筈だけど…

「…はぁ…」

一緒に居たいと言えない自分
言う資格のない自分
でも…
この気持ち
抑えきれない
今日みたいなことがあると
つい期待をしてしまう私
いっそ
何もかも話してしまえたら…
『封印』
自分の心への大きな嘘…
そして彼への嘘…
でも
今日みたいな嘘だけなら…
こんな嘘だけ吐けたらいいな
なんて…
そんな夢みたいなこと…

「…。」



◇玄関

「ただいまー」







●あとがき
9話まで視聴済み


今回は会話だけでどこまでイメージできるか?
という#7の実験作(?)に比呂美視点で加筆したものです。
二人の距離感は本編5話前半の海のシーン辺りを参考にしています。

封印の為、本当のことが言えない比呂美が、
誰も(自分も)傷つけない嘘だけ吐きたいと思い
切なくなっている感じをだしたかったものです。
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