第十二話の妄想 後編


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 true tears  SS第十七弾 第十二話の妄想 後編

「本当だ、俺、何やってんだろ」 

 第十二話の予告と映像を踏まえたささやかな登場人物たちの遣り取りです。
 妄想重視なので、まったく正誤は気にしておりませんが、
本編と一致する場合もあるかもしれません。
 本編に出て来た伏線を回収してみたいなと思います。
 石動純は登場しますが、乃絵にキス発言をします。
 明るい展開を心掛けているので、良識のある登場人物ばかりになりました。
 最後には第十二話の妄想の要約をしてあります。

 前作
 true tears  SS第十六弾 第十二話の妄想 前編
「きれいよ、あなたの涙」「何も見てない私の瞳から…」
「キスしてもいいか?」 
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 比呂美は眞一郎母の部屋で眞一郎母と着付けをした。
 振袖は薄紅色の生地で下のほうは赤く染められていて、眞一郎母が所有しているものだ。
 たくさんの想いが込められていて、比呂美はさらに含ませようとする。
 比呂美は白粉をして唇には紅を引いてもらっている。
 それからふたりは比呂美部屋を訪れて正座で対峙する。
「本当にいいの?」
 何度もされてきているが、眞一郎母による最終的な意思の確認だ。
「覚悟をしていますから」
 比呂美は言葉を少なくして決意を伝えた。
 自分から仲上夫妻に申し出て、この振袖に袖を通したのだ。
 祭りで眞一郎の花形のような大役を比呂美は担おうとしている。
「本当に比呂美はお母さんに似ているわ」
 眞一郎母はふと洩らした。
「ありがとうございます」
 比呂美は頬を朱に染めてしまう。
 兄妹疑惑があったときには、眞一郎母に母娘ともにふしだらと言われ続けられていた。
「あの写真はどうしているの?」
 眞一郎母は表情を曇らせている。
「両親の形見であるアルバムの中に仕舞ってあります」
「そうなの。ごめんなさいね」
「もうその話はいいです。おばさんが嫉妬する気持ちがわかりましたから」
 比呂美はあの逃避行の前に言ったことを繰り返した。
「いろいろあるようね。あのバイクの男の子はどうしたのかしら?」
「もう別れました。バイクは修理できるようです」
「お金が必要なときには言いなさいね」
「これ以上はさすがにいただけません」
 比呂美が一人暮らしをする生活用品を一式を揃えてくれたのは仲上家の提供だ。
 眞一郎よりも資金が費やされているようなものだ。
 仲上家にとっては今までの謝罪が込められているので、比呂美は丁重に受け取った。
「今日はお祭りだから、堅いお話を抜きにしましょう。
 そうね、まずはあの人との馴れ初めよね。
 私が今回の比呂美の役をするようになったのは、あの人との両親に交際を認められてからよ。
 やはり仲上家のお酒を振舞うだけなら、私のような普通の着物でもいいの。
 でも比呂美は他の意味があるようね」
 眞一郎母は単なるお酒を振舞う役を、比呂美が求めているのではないのを悟っている。
 去年、比呂美は普通の着物姿をしていたからだ。
「やはり気づかれていますよね」
 上目遣いで眞一郎母を見つめてしまう。
「さすがにね。今回のは決定的だわ。
 仲上家に来たときですら、私は薄々ながら感づいていた。
 他人の家であっても同い年の幼馴染の家に来たがらないでしょう。
 比呂美にはアパートを用意できるし、家事だってこなせるし。
 それに私がつらく当たっても我慢していたから」
「その話はもう……。
 いろいろ学べましたからいいです」
 仲上家でも学校でも乃絵や純に対してでも比呂美にはさまざまな影響を与えてくれている。
「でもよくわからないのは、なぜ引っ越そうと思ったことよ。
 自立がしたいからという理由のようだけど、眞一郎と仲良くしたいなら、
うちで構わないわよ」
 眞一郎母は比呂美に眞一郎の部屋に着替えを運ばせるほどに、
ふたりの部屋の行き来を認めている。
 あれは自立というよりも、眞一郎のそばに乃絵がいるから甘えられないからだった。
 眞一郎の部屋で比呂美の絵を見つけてから、引越しするときに仲上家に来た理由を告げた。
 少しでも可能性があるかもと、眞一郎に賭けてはいた。
 あの一枚絵が引越しの相談する以前なら、迷っていただろう。
「でも一人暮らしは楽しいです。充実していますから」
「学校や世間では受け入れてもらっているから、比呂美の好きにすればいいわ。
 でもふたりの母として、比呂美は身持ちを固めておいたほうがいいわね」
「そういうことまでは考えていません……」
 視線を逸らすことで追及を逃れようとした。
「あなたたちなら、引っ張ってゆくのは比呂美のほうみたいね。
 比呂美がしっかりしていれば大丈夫だと思う」
「そう見られているのですか?」
「この前まで不機嫌な比呂美が、眞一郎に当たっているようだったから。
 眞一郎は比呂美に言い返せなかったわ」
 眞一郎母の見解は正しいのだが、比呂美のほうからキスをしたようなことを考慮していない。
「そうかもしれませんね」
「それに私のときとは違うのかもしれないし」
 眞一郎母は宙に視線を漂わせている。
「おじさまがお母さんを好きだったことですか?」
 比呂美は初めて眞一郎母に問うてみた。
「そうかもしれないわね。あの人に訊いてはいないけど。
 でも比呂美の役をして欲しいと言ってくれたのはあの人からよ。
 それと比呂美のお母さんは、お父さんしか見ていなかったし……」
 言葉を濁したのは眞一郎父が比呂美母を諦めてから、眞一郎母を選んだかもしれないからだ。
 いつまでも確かめられなくて比呂美たちを恨んでしまったのだろう。
「誰もが幸せになるようにするのは難しいですね」
 変に誰かの肩を持つことはできなくて、自分の立場に重ねていた。
 眞一郎が比呂美か乃絵かを選ぶ時点で、しこりができてしまう。
「それでも比呂美はその姿でいるのね。
 眞一郎には話したの?」
 眞一郎母の懸念は比呂美の態度だけではない。
「まだです。祭りがもう少し後だったら話せたかもしれません。
 それに驚かせたい気持ちもあるし、仲上家の娘としてめかし込むという意図もあります」
 比呂美はさまざまな解釈をできる対策を練っている。
 眞一郎との仲が磐石ではないし、仲上夫妻の期待に応えられない場合もありうる。
 眞一郎が乃絵を選ぶ可能性や第三者が将来的に介入してくるかもしれない。
「見せて来なさい。そこにある絵本も持って行くのでしょう?」
 比呂美が仲上家に来たときに、部屋の扉を開けてから壁に立て掛けて置いていた。
『雷轟丸と地べたの物語』を持参していて、朝に返す約束をしている。
「読まれたことはありますか?」
「眞一郎の部屋に入ったときに、机の上で開かれていたときに眺めたことはあるわ。
 でもあの人と相談していて、眞一郎が見せてくれるまで待とうと思っている」
 眞一郎母はスケッチブックに視線を送っている。
「とても想いが込められています。
 さらに祭りで書き加えるつもりです」
 比呂美は屈託なく微笑した。
 うまくできていないのを自覚しながら。
「いつまでも待っているわね」
 眞一郎母は立ち上がり去って行く。
 次の行動は比呂美の自由にさせたいからだろう。

                    *

 比呂美は絵本を返すために眞一郎の部屋の前に立つ。
 ノックをすると眞一郎が扉を開けてくれた。
「……その振袖はどうした?」
 眞一郎は比呂美の頭から足先まで視線を往復させた。
「おばさんに借りたの。中に入っていいかな?」
 比呂美の問い掛けに眞一郎は行為で応じる。
 比呂美はすっと中に入って机まで歩いて行く。
「絵本は置いておくわね」
「そうだな……」
 消えてゆく言葉で比呂美は眞一郎の動揺を悟った。
 この振袖の意味までも、理解はできていないだろう。
 仲上夫妻には口止めをしていたのだから、深い意味を伝えられるほどの余裕はない。
「眞一郎くん、似合っているよ」
 まじまじと仕返しをするかのごとく眞一郎の姿を眺める。
「比呂美もいつもよりも大人びた雰囲気がいい」
 少しだけ言葉を選んでくれていたのは嬉しい。
 比呂美は眞一郎に近づいて行く。
「しっかりと結べていないわ」
 比呂美は一度だけ解いてからきつく結び直す。
「本当だ、俺、何やってんだろ」
 眞一郎はまったく気づいていなかったようだ。
「踊っているときに着崩れしたら、せっかくの花形の衣装が台無しよ」
 比呂美はかすかに目に力を入れて訴えた。
 ふたりの瞳が見つめ合ってしまう。
 そっと眞一郎から唇を重ねてくる。
 比呂美は抵抗する事無く受け入れると、軽く一瞬だけ合わせただけだった。
「昨日、言っていた絵本を見るか?」
 赤らめたままの眞一郎が話題を変えてきた。
「今はいいわ。これ以上、何かあると化粧が落ちてしまうかもしれないから」
 比呂美は眞一郎に身体を預けると、眞一郎は優しく支えてくれている。
 勇気を出してこの振袖に身を包んだ甲斐があった。

                    *

 比呂美が振袖でお酒を振舞うだけでも、人々が集まってしまう。
 予想以上に冷やかされている。
 別に眞一郎との仲のことばかりではなく、口説こうとする者まで現れる。
 適当に受け流しつつも、比呂美は眞一郎を探してしまう。
 いつの間にかにいなくなっていて、笑顔が崩れ始めている。
「比呂美、休憩がてらに眞一郎を探して来てくれないかしら?」
 しゃがんでいる比呂美のそばにいる眞一郎母から指示をされてしまった。
「私のせいでこんなことになってしまって……」
 昨年も似たようなことがあったけれど、今年は異常だ。
 ますます好奇な眼差しに晒されている。
「私のときと比べては人数が少ないほうよ。
 昨年の噂を聞いて来てくれている方々もおられるでしょうし」
 眞一郎母はにこやかに明かしてくれていた。
「そういうものでしょうか?」
「祭りの後には話し合いが各地であるのよ。
 比呂美は帳簿を見ていたからわかると思うけれど、売り上げは急には下がらないのよね。
 比呂美のおかげで宣伝にはなっているし、同業者を出し抜く機会になっているわ」
 耳元で内部事情を囁いてくれていた。
「売り上げに貢献できて嬉しいです」
 看板娘のように扱われるのは心地良い。
「さっきまで俯いていたのが直っているわね。
 その顔を維持したまま、眞一郎のところに行きなさい」
 眞一郎母の言葉を受けて比呂美は立ち上がって歩き始める。
「旦那を迎えに行くのかい?」
「男には首輪を付けておいたほうがいいぞ!」
「夫なんてすぐに油を売りに行くもんだよ、比呂美ちゃん」
 男ばかりでなく女の声も混じり始めている。
 いつの間にか主婦の仲間入りにされているようだ。
 そんな煽りを受けると、比呂美の身体全体が桜色に染まりつつある。
 足取りも不安定だ。
「まだ眞一郎との交際を認めていません」
 眞一郎母の声が響いて、一瞬だけ静まり返る。
 比呂美も立ち止まってしまったが、歩き始める。
 ふたりを守るための嘘だとわかっているから。

                    *

 眞一郎は自動販売機のそばのベンチにひとりでいる。
 比呂美の人気を目の当たりをして避けてしまった。
 ずっと眺めているわけにもいかずに、外に出てしまった。
 特に踊り場で親しい人がいるわけではなかった。
 愛子と乃絵だけだった。
 そのふたりと会うのは難しくはある。
 乃絵は踊りを見に来るように誘ったが、話ができるか微妙だ。
「よう」
 三代吉がひとりで会いに来てくれた。
「愛ちゃんの店でバイトをしていたよな」
「休憩時間はあるから、お前に会いに来た。
 これはお裾分けだ」
 三代吉が今川焼きを渡してくるので、眞一郎は食べてみる。
「堅いな。焼きすぎのような」
「やはり愛ちゃんのようにはいかないか」
 三代吉は気落ちしてしまった。
「少しずつうまくなればいい。
 俺が味見するから」
 眞一郎はにこやかに応じた。
「そのときは頼む。店に顔を出してくれよな。
 さっき仲上酒造のところに行ったが、すごい人だかりだった。
 湯浅比呂美がきれいすぎて驚いた」
 三代吉は感嘆してしまうのは頷ける。
 その比呂美は眞一郎と二度も唇を重ねている。
 それでもあの場にいる比呂美は別人に思えてくる。
 幼馴染がテレビの中にいるような距離感があるのだ。
「そうだよな……。
 化粧をして振袖というだけで変わるものだな」
「そういうものだろ。
 そういえば石動乃絵とはどうなった?」
 三代吉は平然と訊いてきた。
「別れたようなものかな?
 気まずくなっている」
「これで湯浅比呂美と一緒になれる。
 あいつのことはどうでもいいし」
 三代吉は歯を見せるほどにすがすがしい。
「比呂美はあいつと別れたようだ。
 ふたりから聞かされている」
「もう何の問題がないよな。
 良かった、いい話が聞けて」
 三代吉は眞一郎から視線を外した。
「これでいいのかな?
 いろいろな人を巻き込んでおきながら、比呂美と結ばれて。
 比呂美と俺が両想いだったら、最初から素直になっておけば良かった……」
 さすがに比呂美の前では言い出せなかった。
 仲上家に来たときから積極的になっていれば、
 純が好きだと打ち明けられても告白しておけば、
 兄妹疑惑のときにはふたりで相談しておけばと悩んで苦しむ。
「話すべきか迷っていたが、言わせてもらおう。
 愛ちゃんはお前に強引にキスしたらしいな。
 別にお前を責めているんじゃないんだ。
 ここらですべての葛藤から開放して欲しい。
 俺はお前と湯浅比呂美を最初から応援していたから」
 力強く魂が込められた声調だった。
 親友でありながら友達である彼女を奪われたようなものなのに、
眞一郎と愛子を許そうとしてくれている。
「ふたりにも悪いことをした。
 俺が愛ちゃんのことに気づいていれば、仲を取り持とうとはしなかった」
「俺も気づけなかったから、お互いさまだ。
 これ以上、何か言うと怒るぞ」
 三代吉は眉根を寄せて睨んでくる。
 冗談のようだが、本気も混じっているのだろう。
「あのことを三代吉にも知ってもらえてありがたい」
「これで後腐れ無しだ。
 ぜひ湯浅比呂美と一緒に愛ちゃんの店に来てダブルデートの相談をしようぜ」
 三代吉の思考には親友である眞一郎も狂わされる。
「そんなことまで考えていたのかよ……」
 眞一郎は言葉を流そうとするのが精一杯だった。

                    *

 眞一郎母は比呂美の後姿を見送った。
 不満げな男たちを一睨みで黙らせる。
 踊り場のメンバーである中年の能登と茶髪の有沢が近寄って来る。
「奥さん、余計なお世話かもしれないが、聞いて欲しい話がある。
 坊ちゃんと比呂美ちゃんに関係することじゃが」
 能登はためらいがちに声を掛けてきた。
 あまりふたりのことを気にしていなかった眞一郎母は振り返って驚いてしまった。
「何でしょうか?」
 構える事無く自然体でいようとしたが、できなかった。
「坊ちゃんは踊り場に比呂美ちゃんとは別の女の子を連れて来ていた。
 一度目はその子が勝手に入って来たのじゃが、二回目は坊ちゃんと一緒じゃった」
「麦端の制服を着ていまして、小柄でかわいらしい女の子でした。
 我々が踊り終えると立ち上がって拍手をしてくれました。
 踊り場の雰囲気を読めてはいなかったようですが、それだけ感動してくれたのでしょう」
 能登の発言に有沢が補足していた。
「貴重な情報をありがとうございます」
 知らない内に眞一郎父まで口を挟んできた。
「あなた……、こんなことって……」
 比呂美が振袖になる前に決着していた。
 踊り場に女の子を連れて来るということは、交際していると宣言しているものだ。
 眞一郎は比呂美が引越しするときに自転車でトラックを追い駆けるほどに、
比呂美に好意を寄せているとばかりに思っていた。
 直接に眞一郎の気持ちを確認いておけば良かった。
 そうすればこんなことにならなかったかもしれない。
「このことは比呂美に内密にしておいてください」
 眞一郎父は畏まって頭を下げた。
「話す気はない。情報を提供するのは我々の義務じゃからの。
 その女の子は感じの良い子じゃった」
「愛ちゃんと親しくしていましたよ。
 詳しく訊いてみては?」
 能登と有沢の連携からすると、その女の子に悪い印象はないようだ。
「愛ちゃんですか、覚えておきます」
 買い物をするときに遭遇するときもある。
 本当は愛子のような女性が眞一郎にはお似合いと考えたこともあった。
 酒造も接客をするときもあるので、愛想が良いほうがいい。
 愛子には今川焼き店があるから、仲上家で手伝うのは困難だ。
 幼い頃から、眞一郎を良い方向に導いてくれそうではあった。
 今では比呂美を認めているのは揺るぎがない。
「眞一郎がその子を選んだとしたら受け入れよう」
 眞一郎父も比呂美と結ばれて欲しいという想いがある。
「わかっています。でも……」
 そうなった場合、比呂美はどうなるのかと考えてしまう。
『誰もが幸せになるようにするのは難しいですね』
『おばさんが嫉妬する気持ちがわかりましたから』
 今朝の比呂美の台詞。
 比呂美は幸せになろうとしても、なれないかもしれない。
 眞一郎母が比呂美に嫉妬していたなら、比呂美は誰かに嫉妬していた。
「もしかして比呂美はその子のことを知っているかもしれません。
 同じ学校ですから、知っていてもおかしくないでしょう。
 でも踊り場のことまではわからないかもしれません」
 確証がなくとも眞一郎母はそう信じることにした。
「女同士で何かわかるものがあるのだろう。
 詳しくは訊かないが」
 本当は眞一郎父は知りたがっているのを理解できている。
 夫婦の会話でしてみるのはいいかもしれないが、この場では控えるべきだ。
「今はそうして欲しいわ」
「話しておいて良かったようじゃな。
 子どもたちを理解できる機会にはなったようじゃ」
 能登は複雑な表情でまとめた。
 踊りメンバーで最高齢だから、代表して話してくれた。
「ありがとうございます」
 仲上夫妻は声を揃えた。
「比呂美が仲上の娘として自覚してくれたのは事実だ」
「まだ比呂美の応援を私はしてゆきますよ」
 比呂美の決意を無駄にはできない。
 あの振袖で眞一郎父と結ばれるきっかけになったという縁起の良いものだから。

                    *

 比呂美は眞一郎を探しに行くことになった。
 まったく当てが無いが、そんなに遠くには行っていないだろう。
 まわりを見渡すと、三代吉が歩いている。
 ふたりの関係を詳しくは知らないが、後を追ってみる。
 運良く眞一郎がいる場所に導いてくれた。
 せっかくの機会だから、物陰に隠れて聞き耳を立てている。
 眞一郎は三代吉が焼いた今川焼きを味見をして感想を洩らしている。
 そういえば三代吉が愛子の名前を出しているのを聞いたことがあった。
 少しずつ三人の関係を把握できつつあるが、ますます出て行けなくなる。
 特に愛子のキスは衝撃的で、足がすくんでしまっていた。
「そんなことまで考えていたのかよ……」
 眞一郎の発言がきっかけになった。
「私は賛成だから……」
 ゆっくりと歩み寄った。
「湯浅比呂美……」
 さすがに三代吉は硬直してしまった。
「比呂美、どこから聞いていた?」
 眞一郎は無表情だ。急な出来事だから、余裕がないのだろう。
「愛ちゃんとのキスから。
 責める気はないし、過去のことのようだから」
 変に何も知らないと否定するよりは、核心を突いていたほうが良さそうだ。
 きっと眞一郎は比呂美に聞かれたかもと悩むだろうから。
「そう言ってもらえて嬉しい。
 これで四人とも共通の見解になったようだ。
 俺はそろそろ戻る。
 後はふたりでな、お前の麦端踊りを愛ちゃんと見に行くからな。
 湯浅比呂美の振袖はかなり似合っているぜ。
 踊り場で会おう、ふたりとも」
 三代吉は一方的に語って去って行く。
「いつかお店に行くから」
 比呂美が声を掛けると、三代吉は右手を挙げた。
「眞一郎くん、今川焼きの半分をくれないかな?」
 比呂美の希望を叶えて、ふたりは食べ終わる。
「おいしかった」
「わざわざ呼びに来てくれたのか?」
「おばさんに言われて休憩がてらに」
「とても落ち着ける話ではなかった」
「そんなことはないわ」
 比呂美は左右に首を振った。
「愛ちゃんには三代吉がいる。あのふたりにはうまくいって欲しい」
「いつかふたりでいる姿を見てみたいわ。
 私、愛ちゃんとも会っていないし」
 いつから会っていないかのも定かではない。
「そうだったな。俺たち幼馴染なのに」
「いつまでも一緒というわけにはいかないから。
 それと石動乃絵のお兄さんとは何もなかったから」
 先手を打って確認してみようとした。
「俺も乃絵と何もなかった……」
 眞一郎はかすかに語尾を濁した。
「良かった」
 比呂美は微笑んであげた。
 眞一郎の表情から、そんなに深い関係ではなかったようだ。
 ふたりは並んで歩き始める。
「男同士の友情ってすごいね。
 野伏くんはかっこ良かった」
 コートに入る純よりも自然体であったのを評価したくなる。
「あいつだからだろうな」
「眞一郎くんは今川焼きを味見してあげていたよね」
 比呂美の発言に眞一郎は渋る。
「さっきの話、最初から聞いていたようだな」
 眞一郎の追及に比呂美は早足になる。
「だってすぐに入れないような重い話をしていたから」
「別に怒っていないからさ。
 比呂美だって黒部さんと仲良くしているだろ」
「そうね」
 おんぶ野郎と眞一郎がメールに記述されていたのを思い出す。
「何をにやけているのか気になる」
「眞一郎くんの勘違いよ」
 もうすぐ仲上酒造に着いてしまう。
「俺はどこにも行かない。
 他の人と話しくらいはしておかなければ」
 ふたりは立ち止まって考えを改めようとする。
「私の目が届く位置にいて欲しい。
 口説かれたり嫁として誘われたりされるとね」
 眞一郎が間に入って阻止してもらおうとは思っていないが、笑顔を引きつらせてしまう。
「そろそろ入るか?」
「そうしないとね」
 ふたりは見つめ合ってから、並んで姿を現す。
「やっと旦那を連れて帰って来たか」
「せめて手を繋いでくれよ」
「抜け出して遊んでくればいいのに」
 ふたりが揃ってしまうと、祝福する野次が飛び交ってしまう。
 俯いてから視線を交錯させていると、ますます羞恥に染められる。
「比呂美、手伝って」
 眞一郎母が声を掛けてくれた。
「はい」
 比呂美が返事をすると、まわりの男たちが騒ぎ出す。
 眞一郎は同じ踊りメンバーを探すと、有沢がいる。
 話し掛けようと試みる。

                    *

 祭の描写

                    *

 乃絵は石動家の中を探すと、兄の純がいない。
 バイト先のバイク屋に行ってみる。
 作業着姿の純がいる。
「お兄ちゃん、お祭りに行こうよ」
 いつものごとく元気良く誘ってみた。
 勤務中であっても、一日中も仕事をするわけではないはずだ。
「俺は行かない。仕事が忙しくてね」
「そう……」
「今の乃絵なら一人でも行けるだろう。
 楽しんで来るといい」
 純は固い表情で告げてから作業に取り掛かる。
 これ以上、邪魔をするわけにはいかず、乃絵は外に出る。
 今まで一人でイベントに参加することはなかった。
 この祭りも純と一緒に行けるか、眞一郎のところに行けばいいと考えていた。
 それができないなら、家に帰るだけだ。
 乃絵は少しだけでも祭りの雰囲気を味わおうとする。
 楽しそうな声がしてきて、人々が出店で購入した焼きそばやたこ焼きを食べている。
 お金を出せば買えるわけだが、乃絵の欲求を満たせてくれるわけではない。
 やはりあのときに飛んでおいたほうが良かったかもしれない。
 大勢の中でたったひとりというのは、学校では慣れていても、祭りでは過酷だ。
「乃絵ちゃん」
 いつの間にかにそばにいた愛子が声を掛けてきた。
「愛ちゃん……」
「どうしたの? 元気ないな。
 これから彼氏の眞一郎のところに行くんでしょう?」
 愛子は微笑んで訊いてきた。
 あの踊り場で出会ってから、その後のことを知らないのだろう。
「眞一郎とは別れました」
 乃絵の中ではそう思っている。
「ごめんね、変なことを言って。
 でもこれで眞一郎に振られた者同士だね」
 愛子は翳りを帯びていても、笑顔であろうとする。
「どうしてそんなに強いのですか?」
 乃絵は率直に訊いた。
「いっぱい泣いたからな」
 愛子は空を見上げる。
「私は泣けなくなりました」
「でも泣けるようになるといいね」
 愛子は深く事情を知らなくても、的を得ているようだ。
「眞一郎の踊りはどうやったら見れるの?」
 乃絵の積極性に愛子は深く頷く。
「私と一緒に行けば前列で見られるわ。
 そのために踊り場でお世話をしていたのだから」
 愛子の微笑には苦悩が含まれている。
 眞一郎の晴れ舞台を見るのを望んでいたのだろう。
 彼女として。

                    *

 合鍵とキスに続いて振袖だ。
 比呂美は外堀を埋める作戦を企てた。
 振袖でめかし込めば仲上家の娘というよりも、眞一郎の嫁として認識される。
 明確に一言で述べられる関係でなくても、人々の野次に肯定も否定もしない。
 ただ頬を染めて、たまに眞一郎の様子を窺う。
 それだけでも周囲は公認してくれるのだ。
 ここまですれば眞一郎がちゃんとしてくれるはず。
 比呂美にはこれ以上は何もできない。
 さすがに既成事実まで作ろうとは思っていない。
 今までは乃絵との勝負とばかり考えていた。
 水面下では愛子とも戦っていたのを知らされた。
 眞一郎は三人の女性に求愛されていて、誰かひとりを選べなくなっている。
 三代吉との会話で考えを改められたとは思えない。
 比呂美も同意しそうになりつつある。
 でも誰もが避け合ってしまえば、誰もが幸せになれない。
 愛子は眞一郎から決別して三代吉を選んだ。
 純は比呂美の言葉で乃絵を選んだ。
 今はそうしていても他の女性と接するようになるかもしれない。
 乃絵は……?
「比呂美ちゃん」
 急に名前を呼ばれたので、音源のほうを向く。
 愛子と乃絵という不可解な組み合わせ。
「よくわかりましたね」
 振袖で、あまり会っていないから、他の人と区別できないはずだ。
「さっき私ひとりで仲上酒造のところに行ったからね。
 すごい人だかりで覗いてから帰ったわ。
 それにしても、きれいになったね、比呂美ちゃん」
 愛子はずっと笑顔を絶やさなかった。
 それに比べて乃絵は俯いたままだ。
「ありがとうございます。仲上の娘として手伝っていますから」
「そっか、これから一緒に眞一郎の麦端踊りを見ない?」
 愛子の提案に比呂美と乃絵は口を開けてしまった。
 昔から変わらずに突拍子もない発言をする。
 比呂美と乃絵との対立を理解していないかもしれない。
「昨日、私は眞一郎に麦端踊りを見て欲しいと言われた」
 乃絵は顔を上げていた。
 比呂美に敵意はなく、誘いに乗ろうとしているようだ。
「ひとりやおばさんたちよりもいいかもしれません。
 ご一緒しますね」
 比呂美は引きつりながらも同意した。
 このふたりを監視するという意図もあるし、まったく予想できないことをしそうだ。
「この組み合わせはありえるのか……?」
 近づいて来た三代吉の表情は苦渋に満ちている。
「祭りなんだからみんなで楽しみましょう。
 眞一郎だって探す手間が省けるし」
 愛子は先に行って、複雑な心境の三人を誘う。

                    *

 眞一郎は舞台に上がる。
 観客席を見ると最前列に右から、三代吉、愛子、乃絵、比呂美の順に並んでいる。
 どうすればこういう状況になるかがわからない。
 四人ともどことなく表情は固くて緊張しているようだ。
 他には両親や親しい知人たちがいる。
 なぜこの舞台にいるのかを考える。
 最初は嫌々ながらしていた。
 仲上家の息子だから花形に選ばれただけだからだ。
 日常で何か不満があると、発散するために踊ったこともあった。
 だんだんとうまくなってゆき、楽しくなり始めた。
 海岸で比呂美を踊り場に誘おうとしたが、乃絵の話をされて遮られていた。
 乃絵が踊り場に勝手に来たこともあったが、二度目は自分で誘った。
 愛子と乃絵は知り合いになり親しくなった。
 そう考えると愛子は乃絵と比呂美も誘い、三代吉ともいようとしたのだろう。
 誰のために踊ろうと考えると答えは出ない。
 乃絵に合図を送るのはできない。
 神聖な祭りを穢したくないからだ。
 自分のためであり、みんなのために踊ろう。
 今まで迷惑を掛けてきた反省を込めて。
 踊り終えたときには、どうなっているか不安だが。
 自分と真剣に向き合った結果を受け入れよう。

               (完?)

 あとがき
 踊りの最中に終わるということで、誰と結ばれるかがわかりにくくなりました。
 踊り終えた後の眞一郎の様子や観客席の反応もです。
 眞一郎は比呂美との仲を深めようとはするのですが、
今までの行動を振り返ってしまい、二の足を踏んでしまいます。
 比呂美も同様でそばにいる愛子と乃絵に遠慮をしてしまうでしょう。
 つまりすれ違うのではなくて、ふたりだけ幸福を享受できないのです。
 それでも愛子と三代吉が補佐してくれて、乃絵も後押ししてくれるかもしれません。
 振袖を着るという覚悟で眞一郎の嫁として周囲に認められようとも、
眞一郎が比呂美に告白してくれるまで待ってしまいそうです。
 この後にも祭りが続くのですが、五人で遊びに行きそうです。
 告白するなら、両方の絵本を完成させた後日になるかもしれません。
 もちろん祭りの最中にふたりだけになるというイベントはありそうですが。
 乃絵については複雑です。
 涙を流すのがいつかでも悩みます。
 眞一郎が飛ぶという踊りの後でも、ふたりの後押しをした後、
さらに五人で遊んでいるときとも考えられます。
 前作では、乃絵が狭い世界から人と交流できる広い世界に飛んでいくべきと述べました。
 それは愛子が導き手となり、恋敵であった比呂美とも親しくなる機会を与えてくれました。
 愛子についてです。
 意外ですが、愛子の交流範囲は広くて、朋与などの学校関係者以外は接点があります。
 そのためのフラグを立ててきたと判断しまして、
踊り場に重要人物を集めるという大役を果たせました。
 制作者が愛子をどう扱うかが楽しみです。
 あらゆる人物に愛を注げるようになるという希望を込めました。
 個人的には第十二話は愛子が大活躍する回と思っています。
 ヒロインというのは眞一郎と結ばれるいう意味だけではありません。
 三代吉についてです。
 愛子から眞一郎とのキスを聞かされて、眞一郎に伝えます。
 その場に比呂美まで登場しても、うろたえることなく対処させました。
 愛子と同様にすべての罪を許してくれる偉大な存在になりました。
 純についてです。
 公式の画像ではバイク屋で作業着姿ということで祭りに参加させませんでした。
 乃絵の自立のためにひとりで行かせました。
 本当は乃絵と一緒にいたいでしょう。
 比呂美は相手が悪かったので、他の女性と付き合えるようになって欲しいです。
 仲上夫妻についてです。
 もうふたりの交際を認めるしかありません。
 眞一郎の自転車の疾走では、トラックの運転手から一部始終が伝わっているでしょう。
 乃絵が踊り場にいたという事実があろうとも、ふたりの仲を温かく見守ってくれそうです。
 さて第十三話への繋がりを意識した結果がこうなりました。
 SSにはありませんが、本編には予告があります。
 台詞や画像から想像する楽しみは残されています。
 個人的には誰と結ばれるよりも、きれいにまとめてくれればと考えています。
 今回は不遇な愛子の活躍に注目します。
 乃絵の涙への布石が気になりますし、眞一郎がどう向き合うか、
比呂美が眞一郎との距離をどう置くかが興味があります。
 比呂美には眞一郎を中心とするのではなく、
乃絵たちにも気配りができるようになって欲しいです。
 乃絵は眞一郎の後押しの結果、比呂美に幸福をもたらすのですから。
 愛子から学べるものがあれば、比呂美はさらに魅力的になるでしょう。
 ご精読ありがとうございました。


 第十二話の妄想

 テレビでの予告 音声

Ⅰ 「きれいよ。あなたの涙」 乃絵。
 乃絵との別れの場面で眞一郎が涙を流す。
 絵本を読ませた後に、乃絵が地べたを掲げているときに。
 しがみついて止めようとする眞一郎に対してだ。

Ⅱ 「本当だ、俺、何やってんだろ」 眞一郎。
 これは難しい。
 声が軽くて、どのような場面でも通じる。
 自分が想定していなかったことに気づかされたときだろう。
 花形の衣装を着付けていたが、どこかおかしい部分を指摘されたとき。
 相手は比呂美であり、直してもらうかもしれない。
 三代吉に振袖でいる比呂美が、仲上家に深く関わろうとしているのを知らされたとき。
 踊りの最中でミスをしたとき。
 絵本の誤字を指摘されたとき。

Ⅲ 「キスしてもいいか?」 純。
 冗談のように声調には重みがない。
 乃絵に自立を促すかのように言っている。
 本当にキスをすることなく、断られそう。
 あったとしても頬か額にだろう。
 比呂美に対してでは、軽い冗談みたいなものだろう。
 もう乃絵が好きなのに比呂美を利用していると悟られているので、強引にはしなさそう。
 その場面を眞一郎に見られるという誤解はあるかもしれない。
 純にとっては断られるのを承知で、比呂美との決別を意味する。

Ⅳ 「何も見てない私の瞳から…」 乃絵。
 これも難しい。
 声質は重苦しくて腹の底から出しているようだ。
 よってそれなりの覚悟をしていると思われる。
 何も見ていないということは、逆に何かを見ていたことを意味する。
 眞一郎への好意を消して、別れの言葉を待っているようだ。
 つまり瞳には地べたが何であるかを悟っていて、目で訴えようとしている。
 眞一郎にわかってもらうためにしていて、答えは比呂美である。
 純に対してでもありうるのだが、乃絵の中では眞一郎のほうが上だろう。
 第五話でデートを応援する場面があったので、純はお兄ちゃんという想いしかない。


 テレビでの予告 場面

A 地べたを飛ばす乃絵。
 眞一郎が駆けつける前に実行しそうではある。
 やはり絵本を読んだ後のほうが、演出として盛り上がるかもしれない。
 よって地べたを掲げることで、絵本の新展開を眞一郎に考えさせるためかもしれない。

B 男たちが駆け寄って、振袖の比呂美が立ち上がる。
 振袖の比呂美には誰もが注目してしまう。
 お酒を振舞うので男たちには喜ばれるだろう。
 顔を染めて歩いているには、
 眞一郎母に眞一郎を呼びに行くように言われたからかもしれない。
 立ち上がるときに手前にいて背を向けているのは、眞一郎母だろう。
 そのときには比呂美と眞一郎との仲についての野次があるかもしれない。

C 山車が出る。
 お祭の場面。

 公式のあらすじの画像   左上から右に順番で

1 着物姿の眞一郎母が振り返っている。
 眉に力が入っているので、何かを指摘されたのかもしれない。
 踊りメンバーに、眞一郎が乃絵を踊り場に連れて来たことを教えられた。
 てっきり眞一郎は比呂美が好きなものと思っていたのに違っていたと知らされた。
 眞一郎母はふたりの仲を認めようとしていた矢先にだ。

2 真正面の乃絵。
 難解。
 表情が微妙で場所も不明。
 背景にあるナヨは出店のようだ。
 強引に愛子に話しかけられたとする。 
 眞一郎との仲を訊かれれば、答えにくいかもしれない。
 祭で乃絵に親しくするのは、愛子しかいなくて、眞一郎と比呂美には距離を置かれる。
 眞一郎の踊りを一緒に見に行こうと誘われるかもしれない。

3 麦端踊りをしている眞一郎。
 舞台で真剣に麦端踊りをしている。

4 驚いている比呂美
 いつものごとく口を開けている。
 どことなくそんなに驚いているようには見えない。
 愛子と乃絵に声を掛けられたのかもしれない。
 それから三人に三代吉が加わって眞一郎の踊りを見に行く。
 他には、
 愛子が眞一郎にキスをしたのを知らされた。
 乃絵が踊り場に来ていたのを知った。
 純が祭りに来ていた。

5 花形姿の眞一郎と三代吉
 眞一郎の右手には今川焼きがある。
 どことなく親しく会話をしているようには思えない。
 愛子が眞一郎にキスをしたことを知った三代吉が打ち明けているのかもしれない。
 眞一郎と比呂美との関係を気にしていて相談をしているのだろう。

6 振袖の比呂美。
 場所は比呂美の部屋か眞一郎母の部屋で着付けをした後であろう。
 向かい合っているのは眞一郎母であるのが妥当であるが、眞一郎父も同席しているかも。
 頬を染めているようなので、比呂美にとって喜ばしいことだろう。
 比呂美母と似ているのを指摘されたのかもしれない。
 眞一郎との関係を訊かれたり、仲上夫妻の馴れ初めや仲上家の生活を振り返っているかも。

7 乃絵と純。
 純の服装がバイク屋のものであるので、場所はバイク屋かもしれない。
 石動家では棚が大きくて、上には修理道具らしきものが乗っている。
 乃絵は驚いているというか固まっているように見える。
 祭に一人で行くように言われたのかもしれない。
 他には、
 交換条件について教えられたのか、Ⅲの「キスをしてもいいか?」と純に訊かれている。


8 複雑な顔の眞一郎。
 肩が上がっていて不自然な姿勢である。
 乃絵の家でのときにしていたニット帽とマフラーがない。
 帰宅してから自転車に乗っているかもしれない。
 理由として考えられるのは比呂美のアパートにだろう。
 ただ疾走しているだけかもしれない。
 あの自転車には籠がなかったが、片手で運転すれば雷轟丸の絵本を運べる。

 前作

 true tears  SS第一弾 踊り場の若人衆
ttp://www.katsakuri.sakura.ne.jp/src/up30957.txt.html

 true tears  SS第二弾 乃絵、襲来
「やっちゃった……」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4171.txt.html

 true tears  SS第三弾 純の真心の想像力 比呂美逃避行前編
「あんた、愛されているぜ、かなり」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4286.txt.html

 true tears  SS第四弾 眞一郎母の戸惑い 比呂美逃避行後編
「私なら十日あれば充分」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4308.txt.html

 true tears  SS第五弾 眞一郎父の愛娘 比呂美逃避行番外編
「それ、俺だけがやらねばならないのか?」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4336.txt.html

 true tears  SS第六弾 比呂美の眞一郎部屋訪問
「私がそうしたいだけだから」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4366.txt.html

 true tears  SS第七弾 比呂美の停学 前編 仲上家
「俺も決めたから」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4403.txt.html

 true tears  SS第八弾 比呂美の停学 中編 眞一郎帰宅
「それ以上は言わないで」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4428.txt.html

 true tears  SS第十弾 比呂美の停学 後後編 眞一郎とのすれ違い
「全部ちゃんとするから」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4464.txt.html

 true tears  SS第十一弾 ふたりの竹林の先には
「やっと見つけてくれたね」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4523.txt.html

 true tears  SS第十二弾 明るい場所に
「まずはメガネの話をしよう」
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4585.txt.html

 true tears  SS第十三弾 第十一話の妄想 前編
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4598.txt.html
「会わないか?」「あなたが好きなのは私じゃない」
「絶対、わざとよ、ひどいよ」

 true tears  SS第十四弾 第十一話の妄想 後編
「やっぱり私、お前の気持ちがわからないわ」
「うちに来ない?」(予想)
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4624.txt.html

 true tears  SS第十五弾 眞一郎の比呂美の部屋深夜訪問
ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4688.txt.html

 true tears  SS第十六弾 第十二話の妄想 前編
「きれいよ、あなたの涙」「何も見てない私の瞳から…」
「キスしてもいいか?」 
 ttp://www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4773.txt.html
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