ある日の朋与


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授業が終わり、黒部朋与は親友の湯浅比呂美と校門へ向かって歩いていた。
「じゃあ朋与、お先」
比呂美が歩く速度を速め、自分の横をから離れた。
「何?石動さんと待ち合わせ?」
比呂美は振り向きもせず、手を振って去っていく。
その先にある公園では、蛍川高校・男バスの4番、石動純が待っている。
二人が付き合いだしてから、バスケ部の練習が無い日はいつもこうだ。
授業が終わると、4番が比呂美をバイクで迎えに来る。
やれやれ、という気分でその様子を見ていた朋与は、
もう一人、比呂美の後姿を見つめている人間がいる事に気づいた。
(あ、おんぶ野郎)
道の端に仲上眞一郎が棒立ちになっている。
朋与は眞一郎の情けない姿を見てしみじみ思った。
(あ~あ、ざまぁないわね)
仲上眞一郎と比呂美は、家庭の事情で同居している。
一時、朋与は比呂美が眞一郎の事を想っていると考えていた。
しかし、実際に比呂美が好きなのは蛍川の4番だった。
で、今は念願かなってその人と付き合っている。
完全に朋与の勘違いだったわけだ。
(あの様子だと、仲上くんの方は比呂美に未練タラタラって感じだけど)
朋与は思う。
そんなに好きなら、なぜ早く自分の物にしなかったのかと。
自業自得だよ、おんぶ男くん。
石動乃絵みたいな電波女に目移りしているから、こんなことになるのさ。
「フフ……」
思わず声を出して笑ってしまった。眞一郎がこちらに気づいく。
朋与は眼を細め、哀れむような視線を送ってやった。
『ざまぁみろ』という気持ちを込めて。
だが眞一郎は怒るでもなく、顔を背けて歩き出した。
(なによ、無視?!)
頭に血が上る。
眞一郎にとって、朋与は比呂美の付属品でしかないということか。
比呂美がいなければ空気以下、気に留めるまでも無いということか。
腹の立つ奴……。
仲上酒造だか地元名士のお坊ちゃんだか知らないけど、いい気になるな!
「……よーし……」
朋与は眞一郎の後について歩き始めた。
どうせ練習のない日はヒマなのだ。
(今まで比呂美と私を振り回してくれた分、たっぷりお返ししてあげる)
そう、精神的にネチネチと。
そしてキッパリ、比呂美を諦めさせてやる。
ヒヒヒと心の中で笑うと、朋与は眞一郎に合わせて歩く速度を上げた。

眞一郎は意外にも歩くのが早かった。
何度か「仲上くん」と声を掛けてみたが、
速度を緩める気はまるで無いらしい。
(帰宅部のくせに!)
毎日まじめにトレーニングしている自分より脚力があるなんて……
ますます許せない存在だ。
「ちょっと待ちなさいよ!!」
声を張り上げた。眞一郎の脚が止まる。
「何か用か」
振り向いた眞一郎の声は、当たり前だが不機嫌だった。
「別に。クラスメイトだもん、ちょっと話したいな~ってだけ」
自然に横に並ぶと、間髪入れずに一番嫌がる話題を切り出す。
「比呂美がね……」

  ※  ※  ※  ※

海岸通りに着くまでの間、朋与は延々『比呂美』という単語を繰り返した。
比呂美から4番との事で相談を受けた。
4番はどんな服が好きだろう、と比呂美が言っていた。
4番にもっと好かれるために髪型を変えようかと比呂美は悩んでいる等々。
全て口からでまかせだったが、眞一郎への効果は絶大だった。
眞一郎がダメージを受けているのが手に取るように分かる。
(そろそろいいかな。これ以上はさすがに良心が痛むわ)
最後の『〆』はちゃんと用意してある。
朋与の知っている『仲上くん』なら、この一言で比呂美には近づけなくなるはずだ。

「仲上くんもさぁ、比呂美のこと応援してあげて。家族じゃん」

よし、キマッた!と朋与が思った瞬間、眞一郎が信じられない様な大声で叫んだ。
「……家族じゃねぇよ!!!」
朋与の全身が凍りつくほどの凄まじい怒声……いや、殺気が言葉になったような感じだった。
恐る恐る振り向く朋与。眞一郎の身体は怒りに震えていた。
「俺と比呂美は家族じゃない!!」
比呂美の現状を知る朋与にとって、その一言は無視できなかった。
「ちょっと仲上くん…それ酷くない?一緒に暮らしてるんだから家族同然でしょ?!」
比呂美と自分が『血縁』を示す単語で括られる事が、
今の眞一郎にどれ程の苦しみを与えるか、朋与は知らない。
眞一郎の怒りは限界を越え激発する。
「お前に……何が分かるってんだ!!」
両手が朋与の肩に襲い掛かり、激しく揺さぶる。
指が食い込んで朋与のしなやかな筋肉を抉った。
男に力で自由を奪われるのは、初めての体験だった。
恐怖と同時に、何か理解不能な感情が朋与の中に沸き起こる。
(な、なに……この感じ……私……何を……)
状況にそぐわない甘美な感情……。
…………
だが、それも一瞬だった。すぐに正気を取り戻す朋与。
そう、今は比呂美の為に……この『おんぶ野郎』を追い払わなければ。
「は、離して!」
拘束を振り解いて距離をとると、朋与は眞一郎に負けない声で叫ぶ。
「家族じゃないって何よ!今更好きだとでも言うつもり!!」
気圧されないよう、矢継ぎ早にまくし立てる。
「比呂美が好きなのは蛍川の4番なの!石動さんなのよ!!」
その言葉を聞いて、今度は眞一郎が硬直する。
「あんたにはあの電波女がいるでしょ!おんぶでも何でもしてりゃ……」
……?……
様子がおかしい。さっきまでの怒気が欠片も見当たらない。
眞一郎だけが時間から切り離されたように固まっていた。
すぐに、朋与は眞一郎のもうひとつの異常に気づいた。
(……泣いて……る)
すぐに顔を伏せてしまったので良く分からなかったが、
確かに眞一郎の目元に何か光る物があるのを朋与は見た。
……泣かせてしまった……男の子を泣かせてしまった。
口を手で押さえてみたが、発した言葉を引き戻せるはずも無い。
眞一郎は顔を伏せたまま、放り出した鞄を拾うと、朋与の横をすり抜けていく。
すれ違う時に小声で…
「そんなこと分かってる」
と言った気がするが、朋与には良く聞き取れなかった。

モヤモヤした気分のまま、朋与は家に帰ってきた。
「ただいま~……って言っても誰もいないけど~」
扉を閉め、中から施錠する。
朋与の両親は共働きで、平日は夜まで帰らない。
部活の無い日の夕方は、朋与にとって自由を満喫する貴重な時間だった。
(くだらない事に時間使っちゃたな~)
制服を脱ぎながら、心の中で呟く。
いつもならスナック菓子を片手にテレビでも観るところだが、
今日はとてもそんな気分にはなれなかった。
髪留めを外し、机に放り投げると、
パジャマも着ずにベッドへ潜り込む。
(……一眠りして忘れよう……)
掛け布団を被り、きつく眼を閉じてみる。
…………
(あぁ……ダメ、眠れない……)
眞一郎の泣き顔が頭から離れなかった。
(まさか泣くなんてね……そんなに比呂美が好きなら…どうして……)
黙って見ているのか……。4番との仲を取り持ったりしたのか……。
『石動乃絵』なんかと仲良くしているのか……。
眞一郎と比呂美の隠された事情を知らない朋与は、
二人の微妙な関係が全く理解できなかった。
自分だったら渡さない。好きになったら奪っちゃう。
そんなことを考えるうちに、朋与は何やら妙な気分になってきた。
眞一郎に掴まれた肩が、少しだけ痛む。
(仲上くん、結構力が強かったな……)
両肩を押さえつけられ、自由を奪われたあの時、恐怖とは別の何かが朋与の心に生じた。
(男の子にあんな事されたのって……そういえば初めてかも)
思い出すと心臓の運動量が上がっていく。顔が火照って熱い。
……『マゾヒスト』、『被虐の悦び』、『変質者』……
いやらしい単語が脳みその中を跳ね回る。
(ち、違うわよ!わたしはノーマルなんだから!)
内心で否定してみたものの、眞一郎の手の感触を思い出すたび、
どうしようもなく興奮してくる自分がいる。

…………
……ダメだ……しちゃおう……

布団の中で下着を脱ぎ去ると、朋与は身体を弄り始めた。

なんという事だろう。
こんな簡単なことが、これほど快感を増幅するとは。
「な……仲上くん……や、やめて……」
今、朋与は頭の中で、自分に襲い掛かる仲上眞一郎を想像していた。
両手の動きは普段の自慰と変わらない。
だが、その手が自分の物ではなく、眞一郎の物だと思い込むだけで、
朋与の興奮はいつもの何倍にも拡大されていた。
空想の眞一郎が朋与を後ろから羽交い絞めにし、乳房に手を伸ばす。
「いやっ…恥ずかしい……」
脳裏に浮かぶ像に合わせ、小ぶりだが十分に張りのある胸を自分で蹂躙する朋与。
全体を揉み解し、乳首を指で摘み上げて刺激する。
「んあああっ!!……だ、ダメっ!!」
四肢が緊張と興奮で痙攣を始める。
同時にへその下辺りに電流が走るような感覚が生じ、
秘所が刺激を求め、疼き始めていた。
(こんな感じ……初めて……し、子宮が……何か欲しがってる……)
身体の要求に素直に応じ、片方の手を下腹部へ差し向ける朋与。
まずは秘所全体をゆっくり擦り上げていく。
「仲……上……くん……」
花びらが開花するように、ゆっくりと左右に広がり始める大陰唇。
その中に隠れていた朋与の陰部は、
すでに内側から湧き出る液体で、しっとりと光沢に塗装されていた。
(はぁ……はぁ……も、もっと……もっと!!)
朋与の、いや『眞一郎』の指は、更なる快楽を掘り起こす為、行動を開始する。
人差し指と薬指が小陰唇を割り広げると、中指がその中心を目指して進攻を始めた。
尿道口と膣口の間を往復し、快美感を引き出す絶妙な動作。
「んんんっ!!」
連続する刺激に反応し、収縮した腹筋と括約筋が膣を絞り上げ、
朋与の胎内で精製された愛液を外へと噴出させる。
潤滑油を得た事で、更に激しくなる『眞一郎』の手の動き。
「んん……はぁ、はぁ、はぁ……」
もう少しだ、もう少しでイける……。
あと一息……、朋与は強烈な『とどめ』を欲していた。
(あぁ……仲上くんの…………欲しい!!!)
往復運動に専念していた中指が動きを止める。
そして一瞬の躊躇いの後、愛液でふやけた膣口に、その三分の一が突き入れられた。
「!!!!」
痛みと快感と痺れが、朋与の脳髄に連続攻撃を仕掛け、心の防壁を破壊した。
(イ……イクッ!!!!)
背中を海老のように反らせ、身体全体で悦びを表現する朋与。
空想の中の眞一郎が白い霧に消えていくのと同時に、
朋与の意識もまた、その中へと飲み込まれていった。

気を失っていたのは一分にも満たない時間だろう。
朋与はすぐに眼を覚ました。
自分の現状を確認する。
全身がしっとりと汗ばみ、その蒸発が体温が奪って寒い。
掛け布団はいつの間にかフローリングの床へと蹴落とされていた。
気だるい身体に心で鞭を打ち、ベッドから立ち上がる。
股間をティッシュで丹念に拭ってから、朋与は鏡の前に立ってみた。
(いやらしい顔……)
悦楽を存分に与えられ、満足しきった『牝』がそこにいた。
(私……こんな女だったんだ……)
本当に……なんて女なのだろう。
ほんの数時間前、責め立て、追い詰め、涙まで流させた男の子を『オカズ』にしたのだ。
打ち明けられない想いを抱えたあの男の子を……汚してしまった。
朋与は、自分が決して許される事のない罪を背負ったような気がした。
身体が震える。だがそれは、寒さのせいではなかった。
掛け布団を拾い上げるとベッドに戻り、頭からそれを被る。
「ごめんなさい、仲上くん……ごめんなさい……」
布団の中で呪文のように眞一郎の名を唱えながら、
朋与は何時間も泣き続けた。

                   [つづく]

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