truetearsVSプレデター4


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眞一郎の手が愛子の肩にかかった。
「いっつ!ちょっと・・・」
「五月蝿いっ!!」
そのまま客席のテーブルに強引に押し倒す。
「やっ、だ・・・、離して!」
愛子の手が眞一郎の顔を引っ掻き、がむしゃらに抵抗する。
「誰でもいいんだろっっ!」
許せなかった。思い出を汚され、比呂美まで汚された気がして、本気で憎らしかった。
襟に手をかけると力任せに左右に引き裂く。
その勢いで彼女の乳房が跳ね上がり、薄桃色の乳頭が飛び出した。
ゴクリッ・・・
さっきまで盛んに行われていた乱交のイメージが重なり、股間が沸騰する。
「きゃぁあっ!だめぇ!」
気が付けば夢中で、おっぱいに喰いつきベロンベロンと舐めしゃぶる。
「誰かぁ!助け、・・・んっ!」
五月蝿い口を掌で掴む。愛子の歯が噛み付き、皮を裂き、血が垂れる。
乱暴に体を引き倒すと、机にある調味料や割り箸がこぼれて周囲に散乱した。
足で必死に蹴ってくるので、ジーンズを膝まで引き降ろして下半身を拘束する。
「やだぁああ!誰かぁああ!!」
泣き叫ぶのを無視して、上半身を机にうつ伏せにすると、右腕をねじり上げて動きを封じる。

「別にいいだろう?俺のこと好きだったんだから!」
そうだ。愛子のことを何にも知らないような男たちと淫らに交わる癖に、どうしてオレじゃダメなんだ!
「んんんっんんっうーーー!!」
彼女が被っていたバンダナを口に突っ込んで塞ぐ。
丸い尻に薄く張り付いたショーツを引き降ろすと、自分もベルトに手をかけた。
焦りながらトランクスを下ろすとガチガチに勃起した逸物を引き出す。
「んうっーーー!!!」
頭の片隅で‘今すぐやめるべきだ’と、大切な何かが叫んでいるが、
ここまで来てしまった勢いと、脳を焼きつかんばかりの性欲で前後の見境もつかない。

「・・・あ、あれ?くっ、くっそ・・・」
なかなか入り口にうまく入らない。眞一郎は先走りでドッロドッロなのに対し、
愛子は少しも濡れていないのだから当然だ。
経験の無さを馬鹿にされたような、雄としての自分を否定されたような屈辱で、乱暴に陰部を擦り続ける。
「くっそぉお!くっそぉおお!」
それを繰り返すと、愛子の肉体が防衛反応で膣口に愛液を垂らしはじめた。
「!・・・やっぱり淫乱だったな・・・」
これは無理やりな性交で、性器を傷つけないための、生理的な処理であって、性的興奮とは一切無縁だが、
我侭な彼に察する余裕などない。
「いっくぞお」

ゴガァアンッ!
入り口に先端が触れた瞬間、眞一郎の頭部に鈍く重い衝撃が走って、視界が暗転した。
「大丈夫!愛ちゃん!?」
そこには全身をずぶ濡れの三代吉が、立っていた。その拳は皮がさけて、真っ赤に染まっている。
「っぶあ!・・・どうして・・・?」
戒めを解かれた愛子が、突然の救援で呆気にとられている。

「オレ・・・知ってたんだ愛ちゃんが、その・・・他の男と・・・してること。
でも、オレはガキで・・・愛ちゃんを満足させられなくて・・・だから、知らないふりして・・・」
三代吉の目には涙が溢れていた。雨でずぶ濡れの顔でもはっきりと分かった。
「だけど・・・だけど心配で!やっぱり辞めてほしくて・・・それでつい来てみたら・・・」
彼の心を今占めているのは、彼女を襲われた憎しみではない。
親友を殴ってしまったこと・・・そして、失ったことを悲しんでいた。
「み、三代吉・・・」
「・・・出てってくれ」
「・・・・・・・・・ごめん」
眞一郎はヨロヨロと立ち上がると、不恰好にズボンを締めながら正面から出て行く。

戸が閉まるまで三代吉は胸からせり上がる嗚咽を噛締めていた。
「・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
愛子も頬を濡らしながら必死で謝罪する。悔やんでも悔やみきれない。
いつも自分の傍にいてくれた、自分をこんなに思ってくれていた彼。
どうして、それに気付かなかったのか、どうして向き合おうとしなかったのか。
「いいんだ・・・いいんだよ愛ちゃん・・・」
二人は抱き合うと、泣いた。赤ん坊のように、恥も外聞もなく、ただただ思いっきり泣いた。
失ったものの大きさの痛みと、今愛する人を抱きしめている幸せで。

傷だらけのプレデターが罠にかかった獲物をチェックする。
負傷兵の悲鳴は恰好の陽動になるし、死体なら盾にする。武器も回収して、再利用できる。
「・・・クァア?」
ふと見れば、棘が飛び出す壁から、それを避けた敵を吸い込む落とし穴を白い直線が結んでいる。
細いロープだった。
金属を切り出した突針はなだらかとは言い難く、その凹凸にロープの端がひっかかり、
落とし穴の口まで続いているのだ。
ジャキンッゥ
必殺のリストブレイドを展開して、身構える。
想定できるのは、罠を確認しにきたプレデターを逆に攻める仕掛け。
先に爆弾か何か、装置を取り付けているのか・・・だが見るからに稚拙だ。
これはカモフラージュで二重トラップがあるのか、と穴が何か囁いた。
「こ・・・こんなに・・・可愛い子がっ、お、女の子なわけ、・・・ないじゃないか?」

知ってる声紋だ。データから読み取れる骨格や体格からも誰なのか直ぐに分かった。
ギギギ・・・
壁を蹴って、落とし穴の閉じられた口を開くと、その淵で少女が懸命に底へ落ちるのを抗っていた。
「よ、よかったら・・・手を貸してくれないかな?」
比呂美は地面が裂けたとき、とっさに止血用のに腰を巻いていたロープの端を、
自身を貫こうとしていた刃に引っ掛けたのだ。
何か使うことになるだろうと、余分にロープの長さを作っておいたのが幸いだった。
ミチミチミチ・・・
「うがぁっ」
しかし、彼女の体重を支えるためそれは深く腹に食い込んで苦痛をもたらしたし、
そのロープは今にも外れそうで穴を登ろうと身を揺することもできなかった。
キュイィィィィン
「・・・!」
プレデターのマスクから伸びた赤い光線が比呂美の額を指す。
それが鉄も溶かすプラズマキャノンの道標であることは彼女もよく知っている。

「わたしは死にたくない・・・あなたもそうじゃないの?」
今は少し優勢に戦闘を展開しているプレデターだが、朽ちた檻の中で篭城を続ける限りいつかは限界がくる。
プレデターはその終末を覚悟で闘っていた。
「聞いて・・・私だけでも、あなただけでもこの包囲を抜け出せない」
いまや比呂美を殺すのに、何の造作も無い。ほんの少し、チョイと文字通りの命綱に触るだけでいいのだ。
それで穴の底で待っている針の束が、少女の形をした肉を作ってくれる。
「でも2人一緒ならきっと超えられる」
比呂美を救う義理はひとつもない。
「一人だけなら飛べない羽でも、二人揃えば翼になれる」
彼女は自分を追い回す人間の仲間だ。
「翼なら飛べる!」
比呂美は助けに来たのでも、助けを求めたのでもない。
「地べたを這ってる私でもない、雷を轟かすあなたでもない・・・私たちでここから羽ばたくのよ!」
プレデターと協力しに来たのだ。

ブツッ
その瞬間とうとうロープが重力に負け、杭から外れて宙に放られた。
「あ」
プレデターが咄嗟に縄の端を掴んだ・・・が、雨でツルツルに滑って手の平を抜け、小指に引っかかる程度になってしまう。
「ひぃっっ!!」
ガクンッと揺れが襲い、ロープに捕まっていた比呂美は泥でグチャグチャの縁に手と足を掛け、ギリギリで踏ん張る。
それでも怪物の握力ならゆっくり引き上げられる筈だったが、そんな猶予はなかった。

シュカッ
突然振り返ったプレデターが通りの影にディスクを飛ばすと、血潮が広がり割れた人影が転がる。
「いたぞ!撃て撃てぇっ!!」
影から一斉に銃弾が注いでくる。キャノンで応戦するが、比呂美を支えるのに体勢をとらえ狙いがつかない。
怪物の握力とは関係なく、ロープの強度と、表面の摩擦のせいで、強引に持ち上げられないのだ。
四肢を銃弾が掠めていく。だがそれでもプレデターは比呂美の命綱を離そうとはしなかった。
「ヴオオオオオオォォォォッッッ!!」

土砂降りの豪雨が注ぐ公道を、道路工事の看板を立てた数人の警備員が封鎖している。
彼らはプレデター捕獲のため、ユタニ社が要請した民間警備会社だ。
もちろん末端のさらに端、間に合わせの彼らにそんなことを知る由はない。
「しっかし、こんなひでぇ中働かせるとはなぁ・・・」
「しかもなんでまた絶対勧告令なんか敷くんだか」
「まぁ金払いのいいのが救いだけどな」
「終わったらパーッと遊びに行くか?今度いい娘が入ったんだと」
「いいねいいねー・・・おい、来たぞ」

カーブの向うから猛スピードでバイクが走ってくる。
1メートル先の視界も不確かな天候下であの運転は、正気の沙汰と思えない。
どこぞのスリルジャンキーなライダーだろう。
とはいえ、大型車両を壁のように道路に並べているから、映画のように強行突破するのは不可能だ。
警備員たちの予想通りバイクは彼らの手前で停車した。
「はーい、ご苦労様。ここは今工事中でして、って・・・」
驚いたことにまだ十代の少年だ。しかも少女との2人乗りだ。
「君ぃ、命知らずは結構だけど、女の子を巻き込んじゃいけないよ」
少年、といっても同年代より遥かに体格もよく、マスク越しからも分かる精悍な彼がバイクから降りて告げる。
「そうもいかないんだ・・・こいつの命のために」

石動純は雨も気にせずにマスクを外すと、警備員たちに向き直って頭を下げた。
「お願いします!ここを通らせて下さい!」
少女の表情はよくわからない。だがこの雨のなか、わざわざ来るということは深刻な事情でもあるのか。
「そうしてあげたいけど・・・ここは使えないから」
「なんなら車で送ってあげようか?」
警備員たちも同情はするが、トップからの指令に逆らえばクビは必至だ。
「そうですか・・・残念です」
純は本当に残念そうにいうと頭を戻した。
ホッとする警備員たち。だが次の瞬間、彼らの表情は驚愕に凍りつき、悲鳴に染まった。
「警告はしたぞおおおオオキャアアアアアアッッッ!!!」
端正な少年の影が蠢くとその全身を包み、真っ黒い肉体と真っ赤に裂けた口と牙、そして顔を埋め尽くす真っ白い目の怪物が現れた。

仲上眞一郎はフラフラと雨のなかを彷徨っていた。
後悔などという言葉では到底追いつかない絶望感、自我をぐちゃぐちゃにしてしまうほどの罪悪感に苛まれていた。
安藤愛子、野伏三代吉。
はっきりと意識したこともないが、一生に2人と得られない友人を同時に失ったのだ。
一切の弁解なしに、ただ己の過失、最悪の所業によってばかりに。

「・・・なんで、なんでこうなるんだよ・・・」
なんで?それを自分に問う権利などある筈がない。原因はただ自身の本性が卑劣であったというだけにある。
それを知ってしまったのだ。
多くの法律や慣習、因習によって雁字搦めに封じられ隠されてきた本性、
今まで自分は世界の白い部分に属すると、意識もせず思っていたのにそうではなかった。
「仲上眞一郎は・・・・・・悪人だったよ」

そうやってひとしきり葛藤していたが、いい加減肉体が悪天候の中、傘もささずうろつくことに耐え切れなくなった。
「・・・帰ろう」
純や愛子のいうとおり、比呂美はどこかで自分の知らない男の腕のなかにいるのかもしれない。
自分がみたことのない陶然とした顔で、喜びの悲鳴をあげる比呂美の痴態が浮かぶ。
艶やかな髪を振り乱し、眞一郎のモノよりずっと立派なモノにむかって腰を叩きつけ、
胎内に子種を何度も何度も注がれる比呂美。
学生らしいキスとはかけ離れた生々しい唇同士のセックス。互いの舌を絡め、唾液を交換し、
餌を求める小鳥のようについばみ合う。
ブラジャーなしでも芳醇な乳房は垂れることなく、男の指で粘土のようにグニャグニャとこねくり回される。
その相手の男は・・・石動純だった。

「いないっていってたじゃないか・・・」
比呂美にも純にも、乃絵にも失礼な話だ。
それでも恥知らずな想像を戒める心地も起こらない。
想像の比呂美の感触を味わい、純に自分を重ね、その絶頂に同調する。
「・・・っ!」
無意識に自慰していたらしく、ズボンのなかがグッチョリと汚れてしまった。
「どうせ・・・ずぶ濡れで分かりゃしないか・・・比呂美も濡れ濡れだろうし」
ほんのつい先ほどまで、近くに感じた比呂美の存在がどこか遠く、ずっとずっと彼方にいってしまったようだ。

「母さん、ごめん・・・」
普段は口煩い母親。しかし、己が矮小を自覚したとき浮かんだのはそんな自分を見捨てないでくれた母の愛だった。
「ごめんよ・・・」
大切なものを失ってしまった、自ら零してしまったのだ。
だからこそ、確実に自分を認めてくるひとの温かさが、この今になってはっきりと分かった。
心配してほしい。凍えた肌を抱きしめてほしい。一人じゃないと信じさせてほしかった。

「宇宙生物を押さえました!現在、残存兵力を集結させています。鹵獲はほぼ確実かと」
ユタニ軍の前線司令部となっているハイテク車両内に通信が入る。
「了解した。敵の生命力は極めて強大。くれぐれも注意されたし」
吉報を受けた司令官は努めて冷静にいうと、ホッと腰を下ろした。
「クビがつながったな」
傍らにいる副官に共感を求める。
「まだ決まったわけではありません・・・が、化け物は連絡地点から何故か動けないようです。
あとは態勢を戻されないよう兵力で圧倒しつつ、止めに液体窒素弾で凍らせれば完璧です」
司令官は、まだ予断を許してはいけないと知りつつ、
勝利の美酒を思わずにおれない。
「宇宙の狩人を仕留める・・・か。今は無理でも遠い歴史において、我々の名は無限に語られるだろう」

しかし直接部隊の情報を受けた部下のひとりが、渋々といった感じで進言する。
「現場の兵たちが相当消耗しており、必要な人員をとても避けません」
副官が正確な数字を確かめるが、苦々しくかぶりを振る。
「追い詰めているのは確かです。しかし、現在の状況ではこっちのスタミナが先に尽くでしょう。
そうすれば、増援を手配するまでにヤツは高エネルギー爆発を起こすでしょうね・・・」
「なんてこった!」

司令官がやるせない憤懣で机を叩く。
正しく千載一遇の機。ほんのもう少し、押し続ければ悲願が叶うと分かっているのに、
その寸前に至って、ゴールテープを目前にして力尽きるのか。
「くっ・・・止むを得まい。化け物が本当に追い詰められてるなら、今こそアレを使うぞ」
副官が即座に理解して、あつらえた金庫を空けるとトランクを引き出し、
長々とした手順で封を解除していく。
そして最後のキーに辿りついたとき、今一度司令官に問う。
「これで仕留められなければ私たちの命はないでしょうね?」
「それは今ヤツを倒せなくても同じことだ・・・やれ」
「了解」

箱に収まっていたのは、電話だった。
司令官は受話器をとると、コードを押してどこかに連絡する。
「こちら最前線対策司令部指揮官。認識コードXXXーXXXXーXXX」
「確認しました。命令をどうぞ」
「‘強化外骨格’の使用を要請す」
部隊から離れて近くの山中に隠れていた輸送用コンテナを配備したヘリが飛び立つ。
その内側では、大型の機械が起動を開始した。

「さて、あとは祈るばかりだな」
ユタニの前線司令官が副官に向き直る。
今回の有事に対し、友好企業のウェイランド社から本社が直接交渉して借り受けた切り札。
分厚い書類と手続きの末に使用の有無を本社から許された試験兵器。
「ええ、待ちましょう・・・」
この最重要機密を万が一にも知られないため、自軍を含めた周囲一帯に強力な通信障害を施すことになる。
そのため本当に、あとは祈るしかないのだ。・・・もっともそれはある意味、正しかった。

ビーッ!ビーッ!ビーッ!
「何事だ!?」
緊急事態を警告するサイレンが響く。同時に車内のランプが非常用の真っ赤なライトに切替わる。
「わ、分かりません!友軍との連絡が急に・・・!」
モニターに示された味方の位置を知らせる光が、瞬く間に消失していく。
「馬鹿なっ!まだ早いぞっ!・・・ん?」
真っ赤なランプの光が奇妙に歪む。まさかこのシルエットは・・・!
ガキュンッ!
異変に気付いた副官が虚空に向かって、ホルスターから抜いた銃を撃つ。
すると空中で青白い放電が奔り、そこに色を塗るようにして、凶悪な狩人の姿が現れた。
「馬鹿なっ・・・何時から!?」

あちこちで青白い光と、真っ赤な爆発が起こり、焼けた鉄の音が広がる。
「始まったか・・・」
穏やかでない手段によって最初の警戒線を超えてきた純は、路肩にバイクを停車して、
付近の山々から微かに届く花火の連鎖を眺めていた。
乃絵の目にはその光景を見つめる兄が恍惚としてるように思える。
「行くの・・・?」
純がバイクから降りると、妹を雨から庇いつつ庇いつつ、乗り手のいなくなったトラックに移す。
「ああ、乃絵はここでじっとしてるんだぞ」

「できれば・・・誰も殺さずにやれないかな?」
縋るような目で兄に訴える。これから戦場にいくのに無茶だというのは分かる。
ただ、自分の罪悪感ばかりではない。このままでは純の心まで真っ黒になってしまう予感があったからだ。
「どの道、プレデターは皆殺しにするつもりだ。
下手に町に逃げられたら、平気で巻き込むぞアイツラは」
乃絵に嘘はつけない。だから口約束をせず、純は道理を説く。納得できなくても、だ。

「じゃあなんで自分たちだけでやらないの?仲間を助けに来たんでしょ」
青年はつい笑ってしまう。確かに人間の常識で考えるとそうなんだが、
「それが少し違うんだな・・・あの戦闘ジャンキー共にとって、
戦いに救いを差し伸べるのは酷い侮辱なんだとさ」
大体自分から宇宙を飛び回っては、頭蓋骨のトロフィーを作りまわってるくせに、
何を拘るのかという価値観だ。
「だから已むを得ず・・・、技術を奪われそうになったりした時にだけアイツラは動く。
結果的にそれが助けになるなら、せめて代わりに試練をたそうってわけだ」

乃絵は納得するどころか余計憤懣にかられた。
「じゃあ自分たちでやればいいじゃない!」
「そうもいかないんだ・・・。何しろ年中ドンパチやってる異常な宇宙人が
仲間同士で殺し合いを始めたら、あっという間に絶滅しかねない」
「それでお兄ちゃんが代わりに戦ってほしいって・・・
身勝手迷惑の塊じゃない、どこの星で育ったらそうなるの?」
純は肩を竦める。なんにせよハンカチでも咥えて、号泣して見送られなくて幸いだ。
「さてね・・・。でもオレが選ばれたのはコレ、
共生体‘シンビオート’と共鳴したかららしい」
仲上眞一郎が訪ねてきたとき、必要以上に荒れたのは宇宙アメーバのせいだったのか。
その黒いコスチュームに親しみの感情を向ける純が乃絵にはつらい。
それは兄をおかしくさせていると、どうして気付かないのか。

「あ・・・雪」

鼻に伝わる冷えに乃絵が空を見上げると、
いつの間にか降りしきる雨は嘘のように止み、代わりにキラキラとした結晶が降りてくる。
純は妹の瞳に照らされた白い輝きを認めると、それを失うまいと決意を固くする。
「そろそろ行く」
「ん」
乃絵がトラックの奥に引っ込むと、肩を震わせて白い息を吐く。彼から目をそらして、その姿を見ようとしない。
プレデターの命令に従って、ここに来るまでずっとむくれていた。
眉を寄せて、苦そうに笑う純は上着を脱ぐと、彼女に渡す。
「預かっといてくれ・・・」
「・・・ん」
濡れた上着を懐に抱きしめ、兄の温もりを確かめる乃絵。彼女は思う。
もし戻ってきたとしてもそれは‘石動 純’なのか、と。
その不安に駆られて我慢できず兄に顔を向ける。

純も乃絵を見つめていた。その眼差しは温かかった。
いつもの、いつか分からないほどずっとずっと昔からそこにあった。
それだけはきっとこの先も変わらないのだと、
そう確信できる光がそこにはあった。
「いってらっしゃい、お兄ちゃん」

「じゃあ見ててくれ・・・オレの‘変身’!」

血と肉、鉄と炎に染まった土を白銀の雪が覆い隠す。
そこに踏み出した少年の姿が、そおだけ光が吸い込まれたように黒く輝く。
白い牙のような模様が刻まれたマスクをしばし向けると、何もいわず彼は駆け出した。

夜中にお使いに出た湯浅比呂美はレイプ集団に襲われるが、死闘の末勝利する。
近くまで来ていたプレデターは、その勇敢さを称えて、ちょっと挨拶に現れるが、
そこにプレデターを追って、日系企業ユタニ社の軍隊が登場。
熾烈な争いの渦中に比呂美も巻き込まれ、撃たれてしまう。

一方、眞一郎の母は丁稚とカーセックス。
眞一郎は、安藤愛子の乱交現場を目撃したショックで愛子を強姦。
幸い三代吉の活躍で未遂に終わるが、同時に友情も終わった。

そのころ、プレデターの仲間に乃絵は爆弾をつけられ、
純も寄生生命体を植えつけられて‘ヴェノム’に改造されてしまう。
それは純をプレデターの敵にするためだった。

ユタニの軍はプレデターの仲間によって駆逐されつつあったが、
最後に‘強化外骨格’なるものを投入していた。

そして比呂美はプレデターに協力を提案するが、
その矢先、落とし穴に落ちて、早くも足を引っ張ることに。
ユタニの残存兵力が集結するなか、プレデターは比呂美を守って闘うことになる。

(ここまでが前回までのあらすじ)

路地の真ん中で、針の落とし穴に落ちそうになる比呂美をギリギリで支えたまま、
プレデターは前後から注がれる砲火に応戦する。
「グゥウッ・・・!」
彼の怪物が自己の生死さえ貧窮している極限で、比呂美の命を救う義理立てなどない。
というか、そうでなくても助けることはなかったし、
実際比呂美がレイプ犯に囲まれたときも手を出さなかったくらいだ。
しかし、今はまさに命がけで彼女の体を支えている。

「・・・ごめんなさいっ!」
比呂美がプレデターの小指に掛かった自身の命綱を、身を揺すって振りほどく。
「クァア!」
彼女の自殺行為に、プレデターが心外、といった声を上げる。

生きたい。本当に死にたくない。
その思いが強いからこそ、同じく懸命に足掻くものの邪魔をしたくなかった。
一分一秒でも長く呼吸するのではなく、意思を持って前進することが生きることだ。
だからその志をせめて、同じ渦中にある戦士に託すことが、
比呂美なりの生存欲求、運命への抗いといえた。

それでも、その英断は自身を永遠に喪失するのを代償としたことに変わりない。
ほんの一瞬、しかし四肢を突き刺される確実な苦痛。その恐怖を歯を噛締めてこらえる。
後悔などしない。いや、どうせ手遅れだからしてもいいか。
瞬きにも満たない刹那の間に、
比呂美は高潔な決断と、気の抜けた諦観を同時にやって、自身の最期をやり過ごすつもりだった。

ヒュー ガキッ
「っ?・・・へ」
プレデターの片腕から発射されたネットランチャー・・・本来、獲物を縛り上げ、その体をサイコロステーキのように、
解体する殺傷道具が、比呂美を落とし穴の壁面に貼りつけ、死に至るのを阻止していた。
「あ・・・あぁあ・・・」
途端に比呂美の肌を、電気のように生きている悦びが駆け抜ける。

「グゥウオッウ!」
しかし彼女に注意を向けた怪物の背に、太い杭が打ち込まれる。
その先端は鉤状になっており、鉄線を編んだ太いワイヤーが
それを引き寄せて深く肉に食いこみ、ガッチリと拘束して引き寄せる。
「「ガァアアアッッッ!!」
プレデターは決心すると、そのまま敵に突進していった。
直進すれば、それだけ的に晒されて、集中的にやられてしまう。
事実、今まではなんとか肌を掠める程度だった攻撃が、もろに前面に注いでくる。
一歩進むだけでも、窓にぶつかる虫のような足掻きだったが、それでも止まらない。

プレデターが比呂美を助けようとしたのは、ほんの気の迷いだった。
自身に向かって懸命に協力を訴える少女が消えそうになったとき、つい手を出しただけだ。
このモンスターに干渉や後悔の類は縁がないが、一方で、リスクに左右されるような迷いや躊躇もしない。
助けようとしたのだから、手向かわない限りは最後まで助ける。
つまり比呂美に何かを期待したわけでもなかった。
だから、あれほど懸命に足掻いていた彼女が自分のために動いたこと、約束を守ったことが嬉しかった。
孤軍のなかに射した、ほんの小さな光。それが力になった。

ドシュッ!ガキィッ!メチッ!
「ひいいいいぃぃぃ!」
それでも兵隊の束に、自らを槍として叩き込み、その懐にもぐりこんだプレデターは五体を振り回して、応戦する。
たった今、小さな少女が見せた勇気、それが怪物の攻勢に向かう意思を目覚めさせ、発揮させた。

ユタニの兵たちはもう殆ど肉体的にはプレデターを殺していた。
事実、かつての歴史でこの種族を単身で打ち破った人間のように、冷静かつ捨て身で挑めば、倒すことができた筈だった。
しかし、手負いの獣が見せる悪鬼そのものも蛮勇に気圧され、結果として逆に死ぬこととなった。

気付けば残った最後の一人が、背を向けて逃走する。
「・・・ルウゥゥウッ・・・」
プレデターも満身創痍極まる感じで、追おうとしても水漏れのように、膝から力が抜けていく。
だからノロノロと背に突き刺さった杭を引き抜くと、欠けたリストブレイドでワイヤーを丁度よく切断すると、
カウボーイのように腕に携えてそれを振り回す。
すでに敵は通りの向うに消えていたが、化け物じみた(?)感覚で、位置を把握すると、
目に届かない向うに杭をぶん投げた。
「ごひゃっ!?」
目の届かない通りの向うで断末魔が弾け、それっきり静かになる。

轟音で溢れかえっていた戦場はいつの間にか、かすかに焼けつく炎の音だけになっていた。
気がつけば、濁った雨はやんで、静かに雪が降ってきている。
「終わった・・・んだ」
ネットを半分だけ剥がして、足場にし、穴から外を覗いた比呂美はホッと息を吐く。
フラフラのプレデターが応えるように彼女を振り返る。そのとき、

シュバァッ!
ドグォオオオオオンンンッッッ!!!
空から青い閃光が轟き、プレデターのいた地面を吹き飛ばした。
「グゥオァッ!?」
手負いの怪物に対する不意打ちの効果は絶大で、受身も取らず宙に飛ばされると、
瓦礫に跳ね返って地面を転がった。
「この醜い化け物が・・・っ!皆殺しにしおってからに」
空から重厚な排気音を響かせて、巨大な鉄の塊が降りてくる。
驚いたことにそのデザインはまるで、展覧会に出品されるような洗練されたルックスと圧倒的な重量感、
攻撃的かつスタイリッシュなフォルムは最新鋭の工業製品であることを示している。
「ロボット?」

3m以上はある真っ白い鉄の塊が、人の姿をしている。
胴体からは2対の小さな─全体から比べればであり、そのサイズは大人の腕と変わらない─腕が生えた
四本腕使用で、それは巨大な腕と連動しているらしく、指先まで同じ動きをする。
全身は無骨さを感じさせない美しい稜線で構成されていて、美しくすらある。

「仇は討たせてもらうぞ・・・貴様だけでは足りないがなぁ!」
しかし、デザインから逸脱した乱暴な台詞が、ノイズのないスピーカーから出ると、
グッタリと伸びたプレデターを蹴り上げて、浮き上がった背中に肘を叩き込む。
「グォオオッッアァア!?」
プレデターもしがみつくようにして、強化外骨格にパンチを打ち込むが、
わずかに胴体が揺らいだだけで、逆に押さえ込まれると、足を掴まれてジャイアントスイングをかけてきた。
「おらぁあああっっ!!」
止めとばかりに、その図体を大地に投げ落とす。とても機械とは思えない自然で滑らかな動きだ。

外企業のウェイランド社が未来の兵器市場に並べるべく開発したそれは、
歩兵に「ゴリラも容易く倒せる怪力」と「戦車並の装甲」と「戦闘車両並の重武装」と
「要塞並の環境適応力」と「戦闘ヘリ以上の機動力」を持たせた装備である。

最大の特徴は「マスター・スレイブ方式」、
即ち着用した人間の動きをそのままフィードバックして動かせる点であり、
従来の搭乗兵器から格段に飛躍した操作性を誇っている。
文字通り手足の如く、だ。

さらに内蔵されたシステムは、ヘルメットのサイバネティックインタフェースで読み取られた
脳波パターンによってコントロールされている。
人工知能をベースにしたオペレーティングシステムを備えた非常に洗練されたもので、
様々な戦術的な情報を提供し、内外のセンサーを使って常にスーツの状態をフィードバックしている。
思考そのものがマシーンと同化した、といってよい。

故に武器を交えた総力戦ならともかく、肉弾戦に限定すればプレデターに互角以上の勝負も可能なのだ。



ツールボックス

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