タイトル未定2


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「比呂美ちゃんはいいなあ」

「え?」

愛ちゃんが話題を変えた
わたしが少し暗かったからかな…

「だって、ずーっと眞一郎と一緒だよね」

「ずーっと?」

「学校で、一日中」

「あ… 別に そんなに一緒って訳じゃ…」

「あたしとミヨキチなんてさぁ このお店でか、お休みの日だけだよ、逢えるの」

「そうなんだ」

野伏君と愛ちゃん 眞一郎くんがきっかけをつくったらしい
ホントにもう 人の事ばっかり…
わたしへのおせっかいだって…
だけど
自分の想いを捨ててでも わたしを思ってくれての行為だとしたら
それを責める資格なんて わたしに無い
そう分かっているけど でも…
想っててくれたんなら… って、つい 思ってしまう
この我侭な気持ち 抑えられない…

「いいなぁ」

羨ましそうな目で愛ちゃんが わたしを見つめてくる

「でも… その方が新鮮味があっていいかも… よ?」

「えー、比呂美ちゃんたちのほうが初々しいよねー、ミヨキチ?」

わたしの当たり障りの無い言葉 お返しは野伏君にバトンタッチ
野伏君 わたしの顔をチラと見て

「俺は知っている
 祭りの日くらいから湯浅さんは
 眞一郎をボーっと見てることが多くなったなぁ」

ダメッ!

「そ それっ 違うのっ」

「あ-ゆーのを『幸せそーな顔』ってんだろうなぁ
 今日もまあ すごかったけどなっ」

「キャー なーにそれ?」

わたしの抗議は空回り
さっそく愛ちゃん飛びついた
野伏君 芝居っけたっぷりに言って うんうん頷いてる
ああもう むちゃくちゃ
治まってた身体のほてり ぶり返してる… とっても熱い…
眞一郎くんは… 天井とにらめっこで忙しそう…
わたしも真似してみようかな?

自分でも気づいてた
教室で、いつの間にか 目が眞一郎くんを追っている
胸に封じてた想い
もう我慢しなくていいんだ
そう思うと止められなかった…

時折重なる視線 それが嬉しくて 見逃したくなくて
心が通じている事 確かめたくて…

朋与のニヤニヤ顔が脳裏に浮かぶ
朋与にも気づかれて冷やかされた
なんとかシラを切りとお… あれは無理だったかな…
やっぱり隠せないのかな…
野伏君にまで気付かれてたんじゃ
きっと他の人にも…

「眞一郎ぅ 羨ましいぞぉ いいよなあぁ 
 オレも愛ちゃんに あーんなふうに ずーっと見つめて欲しいなぁ」

『あんなふう』って… もう 考えたくない 
でも 愛ちゃんに甘えてる野伏君 こんなことするんだ 少し意外かな

「そ、それはミヨキチがもっとイイ男になったらそうしてあげる」

やっと 話題がそれてくれた…
愛ちゃん わたし達を気にして 慌ててる
あれ 可愛いな 

「えー、傷つくなぁ、俺イイ男だよねぇ、湯浅さん?」

「え? あの、うん、いえ、その… 」

愛ちゃんの前でそんなこと 他の子に訊くなんて…
お愛想は 両方のお隣が気になって 歯切れが悪い…

「こらっ 比呂美ちゃん、困ってるじゃない
 眞一郎の前で 他の男を褒められるわけないじゃない
 ねー? 」

「それは、その… 」

言い当てられ 俯くしかない
今日はこんなのばっかり

「比呂美ちゃん、かわいい!
 ほーら、眞一郎も、大事なカノジョが困ってるんだから、助けてあげなさいよっ!」

誰のせいで困ってると… もう…

「カノジョ…? あ… そうか…」

眞一郎くんっ 頭掻いてないでっ しっかりしてっ!
カノジョって わたし以外に誰が居るの
あ、わたし「カノジョ」って 人に言われたのは初めてかな…

「あれ、眞一郎あんなコト言ってるよ? どうする? 比呂美ちゃん」

「それは… 」

言葉に詰まる…
そういえば「カレシとカノジョ」この事知っている人は少しだけ…

「湯浅さんと眞一郎は学校ではヒミツだもんな」

「なにそれ?」

野伏君が説明してくれてるけど
眞一郎くん ドコまで話してるんだろう?

「えー 現在、このおふたりは『わたしたちはただの幼馴染です』
 というバレバレの言い訳でクラスメイトを欺こうとしてるんだが見事に失敗してるんだよな」

あれ、やっぱり失敗してる?

「なーにぃ、学校じゃオープンにしてないの?」

愛ちゃんが好奇心丸出しの顔ですり寄ってくる
でも これは 嫌な事も関係してる…
あまりお話はしたくない…

「…うん」

自然と愛ちゃんの顔から視線は下がった

「ああ」

眞一郎くんも答えてくれる

「えー、どーしてぇ」

愛ちゃん なんだか不服そう

「比呂美は ウチに居たし 今は一人暮らしだし…
 いろいろヘンな話になっても不味いんで
 秘密って訳でもないんだけど
 まあフツーの幼馴染って トコロで… な?」

言いにくいわたしに代わって
眞一郎くんが半分の理由だけサポートしてくれた
ありがとう

「うん 眞一郎くんにも悪い噂 立っちゃったらいけないし…」

もう半分の理由…
秘密にするのはわたしの希望
わたしのせいだから…

「あの事ならもう気にするなって…」

「うん ごめんね でも…」

眞一郎くんは本当に優しい…
でも、これは甘えては いけない事だから
自分のしでかした事 思い出すたび情けない…
大切なひとが みすみす悪い噂に巻き込まれるの
黙って耐えられるほど わたし それほど強くない

「『でも』はなし、だったよな?」

「…うん」

この事 話すたび 同じ会話の繰り返し…
この間は あやうく喧嘩寸前になった
まだ気持ちの整理はついてない…
けど…

後悔…
今感じてる この気持ち 今まで何度もあったけど…
今度のは 特別…

「ごめん、なんか悪い事、訊いちゃったかな」

わたし達の微妙なやり取り察して
愛ちゃん 申し訳無さそうにしてる

「あ、ううん、大丈夫だよ」

やっちゃった 愛ちゃん 全然悪くないのに…
ダメだな 眞一郎くんが関係すると周りが見えなくなる
悪い癖…
うまく笑えてると良いけど…

「ああ、大丈夫さ」

眞一郎くんも言葉を添えてくれる

「んー? 未だにゴチャゴチャ言ってる奴がいるのかぁ?
 湯浅さん、ヘンな事言う奴はぶっとばしてやるからっ」

ずっと聞いてた野伏君 優しく言ってくれた

「え、ううん、大丈夫だから… ありがとう」

眞一郎くんだけじゃなくて 朋与、愛ちゃん、野伏君… 
こんなひとたちが居てくれる…
あんな事がないと気がつけなかったかもしれない…

「ふうん?」

愛ちゃん 声色がなんだか不穏…

「な、なに?」

ジト目で見られた野伏君 引いてる

「ミヨキチィ、なんだかさっきから 湯浅さん、湯浅さんって… まさか…」

愛ちゃん 怒ってますポーズ
えーと こんな時は 何にも言わない方がいいよね

「え? ちょ、やだなぁ オレは愛ちゃん一筋だよう
 なー 眞一郎 オレ そうだよなぁ?」

眞一郎くんにお助けコール
頑張って

「え? あー うん そうだ、俺が保証する」

眞一郎くん ふたりをキョロキョロ見ながら焦ってる
ダメだよ もう少し自信たっぷりに言ってあげないと…

「おー、しんいちろー、心の友よー」

野伏君 眞一郎くんの肩に抱きついて…
わたしだってまだ… あ… いけない…

「眞一郎に保証されてもなー
 ねえ、比呂美ちゃん ミヨキチは学校でどう?」

「えっ、はいっ? 野伏君? えーと、どうだろう…」

ヘンな事考えてたら不意打ちが…
焦って答えられない
えーと 野伏君、野伏君…

「ああ 愛ちゃん ダメだ
 湯浅さんは眞一郎しか眼中にないから
 他のオトコのことなんて分かんないって
 なー 眞一郎?」

野伏君ニヤニヤしながら
眞一郎くんの肩に回した手で首を締るまねっこ
ハズレてるとは言い切れないのが困りもの…

「ああ、そうなんだぁ 良かったねぇ 眞一郎」

愛ちゃんも眞一郎くんを冷やかす側に回った
とりあえず セーフかな
でも…

「えっと 野伏君 お掃除のとき 重いもの持ってくれたりとか…
 体育祭の準備のとき 他の男子がサボってても きちんと手伝ってくれて助かるって… 聞いた事があるかな…
 中にはちょっとコワそうって子も… 居たかな?」

思い出した記憶の欠片を頼りにフォローする
頼りになる男の子って野伏君みたいなひと…?
あれ、こんなこと考えちゃイケナイのかな…

「え? オレ 怖がられてんの? ショックだなあ…
 ねえ、愛ちゃん、オレ 怖がられてるんだってぇ」

野伏君 ワザとらしくガックリポーズ

「ふうん、ミヨキチは同じクラスの女の子には親切なんだねっ」

愛ちゃん 怒ってますポーズのまま

「エエッ?」

「いいなあ アタシも親切にして欲しいなぁ」

愛ちゃんは少し甘えた声 こんな愛ちゃん初めて見た

「するする オレ 愛ちゃんの為なら何でもするっ」

「うん、アテにしてる」

ご機嫌取りの野伏君とにんまり愛ちゃん
これは 愛ちゃんの勝ち…?
言葉の掛け合い 楽しそう

「比呂美、どうした?」

「え? あ、うん、なんだか 仲がいいな って思って」

ふたりにつられて緩んだ口元
眞一郎くんに見つかった

「え? オレ達が… どーしよ、愛ちゃん」

野伏君 猫みたいにゴロゴロしてる
野伏君の赤い顔 初めて見た

「もう、眞一郎っ」

「えっ?」

今度はなに?
愛ちゃん 顔が赤い テレ隠し?

「比呂美ちゃん、もっと仲良くして欲しいみたいだよっ」

「えっ? あの、別にそういう訳じゃ…」

どうしてこっちに来るかな?
せっかく平和だったのに…

「えっと、どうすればいいのかな?」

眞一郎くん わたしと愛ちゃんを見ながら困ってる

「そのくらい自分で… 待って! そーねえ…」

愛ちゃん チラッとわたしを見てニヤッと笑った

「例えばぁ 夕暮れの海岸でぇ ファーストキスとか どーかなっ?」

「キッ…」「ケホッ」

「あっ ごめんねっ そんなにびっくりした?」

悪戯っぽく笑う愛ちゃん

「うっ、ううん、別に…」

あわてて否定
でも 愛ちゃんの目 見れないかも
まさか知られてるのかな…
でも夕暮れじゃないし…

雪雲… 暗い海… 眞…
もうダメ 顔の熱さ… 止まらない
ものすごくドキドキしてるし…
もしかして雰囲気でバレちゃうのかな…
どうしよう…

眞一郎くんに視線で緊急質問

『愛ちゃんに何か言った?』

お返事は

『言ってない』

みたい
うーん 本当かなあ

「比呂美ちゃん達は いつの予定?」

「え?」

あ、良かった 知らないんだ よ ね?
愛ちゃん ニコニコしてるけど 少し顔赤い?

「だから キ ス…」

「あの…」

どうしよう
また 膝の上とにらめっこ
もう顔だけじゃない 身体が全部 熱い…
このままじゃ ドキドキしてるの気付かれる
何とかしなきゃ…

「愛ちゃん、比呂美、困ってるから…」

隣から庇ってくれる声がした

「あ ごーめんねっ 比呂美ちゃん 大人しいから こんな話ダメだったかな?
 そーだね このあと眞一郎と気まずくなっちゃうかもしれないもんね ごめんね」

気遣うような愛ちゃんの声が聞こえる
愛ちゃんにとってのわたしはまだ小さい頃のままなのかな…

「あ ううん 大丈夫だから」

顔はまだ上げられないけど なんとかお返事…

「眞一郎っ!」

「な… なに…」

「いーいっ! ファーストキスは大切な想い出になるんだからっ!
 きちんと比呂美ちゃんの心の準備が出来てる時にっ!
 ちゃんと眞一郎からしてあげるんだよっ!」

早口の愛ちゃん 急にヒートアップ
気になって見てみた すごく顔が赤い…

「間違っても女の子からさせたりしちゃダメなんだからねっ!
 不安だったり、相手を繋ぎとめたくて…つい…  
 なんて気持ちでさせちゃ 絶対っ! 可哀想なんだからっ!」

なんでっ?
わたしの心 覗かれてるみたい…
ホント 気付かれてないよね?

「そんなのは 何かの間違いっ! 事故みたいなもんなのっ!
 キスなんかじゃないんだからっ!」

あーん もう帰って良いかなぁ

「眞一郎はっ! ちゃんと比呂美ちゃんだけっ!
 しっかり見ててあげればっ! 良かったのにっ!
 隙がありすぎるんだよっ! 眞一郎はっ!
 だからっ…」

あれ 愛ちゃん 悲しそう…
ホントに真剣に応援してくれてたんだ…
でも もういいから… ね?

「ごめん…」

黙って聞いてた眞一郎くん やっと口を開いた

「あ… ごめん… つい…」

愛ちゃん やっと止まってくれた…
眞一郎くん かしこまって反省…?
いえ なんだか辛そう…
野伏君も固まってる…
なんだか気まずい… 沈黙が…

女の子からのキスかぁ
愛ちゃんと野伏君 何かあったのかな
でも…
あの時のこと どう思ってるの?
あの後 何にも言ってくれない…
怖いけど
ふたりきりの時だと絶対訊けないから…
訊いてみたい…

「あのね… 眞一郎くんは…」

どうしよう… でも… 今なら…
恥ずかしいけど…
きちんと目を見て…

「女の子からのキス… どう思う?」

どうかしてる こんな質問
でも…

あ… 困ったような顔してる
やっぱり 一方的だったの 良くなかったのかな…
わたしの気持ち 押し付けただけ…
もう目を見れない
もしかして これも 後悔する事になるの…?

「もし 比呂美が そうしてくれたら 素直に嬉しい…」

え?
あれ、悲しそうだけど 優しい 顔…

「だけど もし 不安な気持ちでそんな事させたんだったら…
 俺が悪いに決まってる だから… 今のうち… 謝っとく…
 ごめんな…」

そんなことないっ

「ううん 眞一郎くん 悪くない…」

気がつい時には 取り縋ってた…
見つめる瞳の奥…
そこにある気持ち…
精いっぱい受けとめる…

「そこっ! 人前でっ ふたりの世界っ 禁止っ!」

「あ…」「え?」

愛ちゃん 立ち上がって 顔、真っ赤…
ふたりとも慌てて飛びのいた
またやっちゃった

「ご、ごめんなさいっ…」

「ごめん、愛ちゃん…」

こっそり上目遣いで窺うと野伏君はヤレヤレの仕種…
お隣… 眞一郎くん… あれ? なんだか… 落ち込んでる…?

「ホント 眞一郎を好きになった女の子は大変だよっ!
 あーあっ アタシはミヨキチで良かったーっ!
 眞一郎みたいに女の子 泣かせてばかりの奴なんて
 好きになってくれるのは 比呂美ちゃんくらいなんだからっ!
 眞一郎っ! これ以上 比呂美ちゃん泣かせたりしたら
 お姉ちゃんのこのアタシが許さないんだからっ いーいっ!」

愛ちゃん 立ったまま眞一郎くんを指差して宣言ポーズ
少し泣き笑いに見える…
ホント お姉ちゃんみたいだ…

「ああ、お姉ちゃんの言うとおりだ…」

眞一郎くん 愛ちゃんの言葉を噛み締めてるみたい
そんなに落ち込まなくても…
後で元気づけてあげないと…

「そうそう、眞一郎には言ってなかったけど
 アタシ、眞一郎のお姉ちゃんだけど、
 比呂美ちゃんのお姉ちゃんにもなったからっ」

愛ちゃんは「ねっ」と目で合図をくれた
そう あの日…
愛ちゃんは わたしのお姉ちゃんになってくれた…



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