高岡ルミの未来・後編


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あれから私と二塚君は、日が暮れるまで公園で話をした
自分のことをたくさん話して、相手のことをたくさん知った
次の日はパボーレに行った。家族や友達と来るたびにカップルをチラチラ見ていたけれど
こうして自分が恋人とデートで来るなんて考えたこともなかった
ウインドウショッピングをして、食堂街でラーメンを食べて
嫌がる彼を強引に連れ込んでプリクラを撮った。最後の一枚のとき肩を抱き寄せてくれた
帰り道、海を見ながら二塚君が言った
「明日はどこ行こうか」
「明日は……学校に行く」
「…じゃあ俺も」
そっと握ってくれた手から優しさが伝わる
人の手がこんなにも温かかったなんて知らなかった

翌日、二塚君は朝早くに迎えに来てくれた
だけど学校に着いても、やっぱり教室には行けなくて…
二塚君は休み時間のたびに保健室まで来てくれた
体育館へ行ってみようかとも思ったが
皆と何を話せばいいのか考えたら、急に怖くなって足が動かなくなった
夕暮れの帰り道で意外な人物と出会う
「高岡キャプテン」
「比呂美……どうしたの?……練習は?」
「今日は休みです」
「そう…」
会話が続かない。何を話せばいいのかわからない
少し前まで一緒にバスケをしていた仲間なのに…
「キャプテン、少し話しませんか?」
「…」
「俺、先に帰ってようか?」
「…二塚君も一緒に来て……」

公園のベンチに比呂美と座る
二塚君は少し離れて、バイクの形をした遊具に乗って遊んでいる
背の高い彼が小さな遊具で遊ぶ姿は、サーカスみたいで滑稽だった
「あの人、キャプテンの彼氏ですか?」
「…ちょっと変だけどいい奴なのよ」
「優しそうな人ですね」
「…うん…それで、話って?」
「バスケ部に戻ってきてください」
「それは…」
「もうすぐ転校するんですよね?」
「…そうよ」
「でも、それまでは私たちのキャプテンですよね」
「……」
「皆が蛍川との試合を組んでくれました。男子バスケ部が運営をしてくれるそうです」
「………」
「朋与は、キャプテンとの最後の試合だから絶対勝つんだって張り切ってます」
「………」
「明日の放課後、練習に来てください」
「…でも」
「私が停学になったとき、キャプテンは言ってくれましたよね
 “待ってるから”って…。私も待ってますから」
一礼してから比呂美は去っていった
「いい後輩じゃん」
「聞いてたの?」
「耳は良いからな」
「どうしよう…」
「それは高岡さんが決めなよ。だけど…」
「…だけど?」
「自分のことを心配してくれる仲間ってのはさ、願っても手に入るものじゃないぜ」
「二塚君…」
「高岡さんがちょっと羨ましいな」
その夜、私はもう着ないと思っていたユニフォームをクローゼットから取り出した

二塚君に背中を押されて、私は体育館の中へ入る
「遅くなってゴメン…」
「高岡キャプテン!」
「キャプテン!来てくれたんですね!」
「ちょっと聞いてよ、朋与がスタンドプレーばっかりでさ~」
「先輩!あれはスタンドプレーじゃなくてですね、積極的に…」
「はいはい。キャプテンからも言ってやってよ」
「高岡キャプテン、待ってましたよ」
「比呂美…皆、ありがとう」
皆と一緒にコートを走っているうちに、わだかまりは消えていった
パスを交わすうちに、また心が通じ合っていく気がした
壁を作っていたのは私だったのかもしれない


あれから一ヵ月後、私は転校先の学校でもバスケットボール部に入った
引退が近づいてきているけど、残りの高校生活もバスケを楽しもうと思う
まずはレギュラーを勝ち取るために精一杯頑張るつもりだ

私の机には二枚の写真が飾られている
一枚は蛍川との試合に勝った後、麦端高校の皆と撮った写真
もう一枚は、少し髪を短く切った二塚君の写真
どちらも私に未来をくれた大切な宝物
―終―


あとがき
高岡キャプテンも好きなキャラなんで、救われる結末を書いてみました
「二塚」という名前は、高岡駅の隣の二塚駅(城端線)から取っています
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