バスに揺られたそのあとで


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※「バスに揺られて」の続編です。


バスを降りると夕立は通り過ぎていた。
雨上がりの匂いの中、夕焼けを背に歩く比呂美と眞一郎。
大きく伸びた二つの影は、寄り添って手を繋いでいる。

「今日も帰ったら絵本の続き?」
「そうだな。夏休みが終わるまでには一冊描き上げたいし」
「そう……」
「でも最近は暑さのせいか集中できなくてさ~」

不意に比呂美が立ち止まる。
「家に寄っていかない?」
一歩先で振り返る眞一郎。
「集中できるようにしてあげる……」

~♪
眞一郎の唇が動き出したと同時に、携帯電話の着信音が鳴った。
「ごめん……」
「…………」
「もしもし?帰り道だけど。えっ?……わかった」
――ピッ

「……おばさん?」
「今日は用事があるから早く帰ってこい、だって」
「じゃあ仕方ないね」
「ごめん」
「ううん」


一人アパートに帰った比呂美は、玄関を閉めると深いため息をついた。
「はぁ~……」
鞄を置いて右手を見つめる。
ほんの少し前まで、この手は眞一郎と繋がれていた。
それよりもう少し前には、眞一郎を握って上下していた。しかもバスの中で。

ポケットに手を入れて、取り出したハンカチをそっと広げる。
べっとりと付着した眞一郎の精液。
男子特有のキツイ臭いがむわっと漂う。
比呂美はこの臭いがどんな香水よりも好きだった。
「くんくん……」
鼻腔いっぱいに匂いを吸い込む。
(眞一郎君の匂いだ)
下腹部がじゅんと熱くなるような……
子宮が疼くような……
触りたい。いじりたい。気持ちよくなりたい。
比呂美の性欲が身体を動かす。
ハンカチを握り締めたまま、軽やかにロフトへ駆け上った。

ハンカチを鼻に当てたまま、ショーツを脱いで横になる。
(眞一郎君……)
スカートを捲りあげ、茂みの奥へと右手が伸びる。
視覚と触覚を満たし、そして嗅覚にダイレクトに響くリアルなオカズが
無意識のうちに比呂美の指使いをいつもより大胆にさせた。

ちゅくっ…くちゅっ…ぴちゃ…くちゃっ……

薄い粘液が奏でる水音と、甘美な吐息。
水音のボリュームが上がってくると、吐息は喘ぎ声に変わっていく。
「うぅっ!……眞一郎くん……もっと……あんっ……もっとぉ……」
この手が、この指が、眞一郎のものだったら……
そんなことを想像しながら、比呂美は快楽の頂点へと登りつめていく。
ハンカチを口の中に含んで噛み締める。
青臭い眞一郎の味が舌から脳に伝わる。
脳と身体が反射的にエクスタシーの記憶を呼び出して、あの気持ちよさを再現した。
「んっ……あっ…いっ…あっ…はぁん……んんっ!…アッ!…イ、ぃく…!!」
頭の中が真っ白に痺れる。
背筋にグッと力が入り、腰が大きくブリッジのように跳ね上がる。

そのまま比呂美は意識が薄れていくのを感じながら
強い眠気に身を任せて、瞼を閉じた。

それからどれくらいの時間が経ったのだろう。
意識を取り戻した比呂美は、重い身体を起こして時計を見たが、まだ長針が半周した程度だった。
シーツにできた無数の染みは、比呂美が飛沫をあげたことを物語っている。
本能が求めた満足感と、理性が生み出す罪悪感。
それは自慰行為を覚えたころから変わっていないが、その比率は変わってきている。



「何作ろうかな~」
シャワーを浴びた比呂美は冷蔵庫を開けて、夕食の献立を考える。
しばらく考えた後、アロエヨーグルトを取り出してドアを閉めた。
(海だもん。水着だもん。ダイエットしなきゃ……)
比呂美の身体には、落とすべき無駄な脂肪などないのだが
少しでも綺麗になりたいと思うのが乙女心。
ダイエットに水着選び、約束の日曜日まで、比呂美にとって忙しい毎日が始まった。
―終―
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