遠回り


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負けるな比呂美たんっ! 応援SS第33弾

『遠回り』


「眞一郎くん」

今では聞きなれた比呂美の優しい呼び声
以前のような遠慮がちな響きとは少し違う声
いつまでも聞いていたい透き通った声
そんな事考えながら返事をする

「おつかれ」

「待った?」

「いや」

「よかった」

校門を並んで過ぎながら考える
比呂美はこんな他愛もない会話の最中も気を使う
そんな気遣いをさせてしまうことを申し訳なく思う

「今日、何か予定とかはあるの?」

「いや、なんにも」

「じゃあ、つきあって欲しい場所があるんだけど いいかな?」

こちらを見上げながら
『お願い聞いてくれるかな』
そんな表情と共に訊いてきた
比呂美が道草の提案とは珍しい
夕食の買い物なら特にこんな言い方はしないはずだ
まあなんにせよ
こんな顔でお願いされたら普通了解するしかない

「いいよ」

「ホント? よかった」

「どこ?」

「えへへ 内緒♪」

不安げな表情から一転して楽しそうな表情へと変化する
本当に表情が豊かになった
元々クラスで女友達とのやり取りを見ていたのでこれが自然だと思う
俺の前ではやっと自然になってきた
というより最近はさっきのような不安げな表情は
演技では? などといらぬ事まで心配してたりもする
しかし、これはお付き合いをしている仲の特権だろうとも納得する
比呂美がさっきのような表情を誰彼かまわず振りまいていたら
それはそれでかなり面白くないというものだ

真っ直ぐ帰宅コースから 途中 比呂美の示す方向へ経路を変える
この辺りは日常の行動半径内なので特に珍しくもない辺りだ
何度か『内緒♪』の中身を訊き出そうとしたがはっきりとはしない
ただ比呂美は少し恥ずかしそうにしている
一体どこへ行きたいのだろう?
服かアクセサリーとかの見立てにでも付き合えということなのだろうか?
その手の話ならプレゼントにするしないとの問答に発展しかねないので
比呂美の性格からして自分から誘ってはこないと思うのだが…

比呂美はある交差点である方向へと向きを変えた
なにかイヤな予感がする
このまま進めば例の場所のはずだ
まさか比呂美は何か知っているのか?
今まで気付かれそうな話題をしたことはないはずだ
少なくとも俺自身は…
では、誰か他の奴から聞いたのか?
それなら、ありそうなルートから
考えるのも嫌なルートまでいくつかはありうる
まて、その場合だとしても
どこまで知っている?

胸のうちの不安をどうにか隠しながら比呂美の表情を覗う
特段、怒っているようには見えない
むしろ小さな子供が連れて行って欲しい場所に
連れて行ってもらっているような
満足そうな表情ではある
どこへ行きたいのかは分からないが
取りあえず修羅場では無さそうだ

と油断していたのだが…
比呂美の目的地はどうやら例の場所に限りなく近そうだ
せめて前をとおり過ぎるだけにしてくれとの願いもむなしく
その場所の前で比呂美は立ち止まった
いまさら看板など見る必要もないが

あいちゃん

何度見ても間違いなくここは俺とミヨキチが入り浸っている
例の場所である
比呂美はここで俺に

「お願いね」

と俺に鞄を預けたあとで店に小走りで入っていった
ひとり取り残された俺は店の前で
両手に自分と比呂美の荷物を提げながら

『どうか何もおきませんように』

とひたすら祈り続けていた

すぐに戸が開き、比呂美が戻ってきた
引き続いて誰も登場しそうにないので
幾分ホッとする
比呂美は両手に紙袋を大事そうに抱えている
悪戯っぽい表情を浮かべながら

「はいっ、今川焼き、あんこは黒と白、どっちがすき?」

そう訊いてきた
とりあえず
最悪の展開では無さそうなので
祈りが通じた礼を天にしながら
俺は安堵した
にしても…
本当に大丈夫なのか?
そもそも比呂美はこの店を何で知っている?
などどつらつら考えていたのがいけなかった

「あの、眞一郎くん、甘いもの嫌い?」

比呂美の言葉に我に返り
慌てて比呂美を見た
さっきまでの悪戯っぽい表情は消えうせ
すっかりしょげ返っていた

「え?」

何が起きているんだ?
甘いものがなんだって?

「ごめんなさい… わざわざつきあってもらたのに…」

俺に向かって差し出していた紙袋の中身 今川焼きが二つ見える
それも今は比呂美の腕と共に下がってしまっている
比呂美はすまなそうな表情まで浮かべてしまっている
ひょっとして、今川焼きが食べたかっただけなのか?
自分の空回り加減に愛想をつかす
罪滅ぼしに少し大胆になってみる

「比呂美はどっちが好き?」

「え?」

「だから、黒あんと白あん」

「あの、ううん、眞一郎くんの好きなほう選んで?」

比呂美は少し元気が出てきたみたいだ

「じゃあ、黒を貰おうか」

「うん、…あれ、どっちか分んなくなっちゃった」

「え?」

「お店の人に教えて貰ったんだけど…」

悪ノリすることにした、比呂美を笑わせたくて

「じゃあ、比呂美が味見して」

「味見?」

「責任を持ってどっちがどっちか確かめて欲しいな」

「う、うん」

そういうと今川焼きを取り出して割ろうとする

「待った!」

「え?」

比呂美は驚いてこちらを見た

「それは邪道だ、今川焼きの神様に対して失礼になるんだ」

少し大げさに似非ウンチクを並べてみる

「そ、そうなの?」

比呂美はそんなの聞いたことないと言いたげな表情だ

「今川焼きはちゃんとかぶりついて食べるのがマナーなんだ」

似非ウンチクを続行する

「うん、じゃあ そうするね …あれっ?」

意味が分ったらしい

「それじゃあ…」

比呂美は頬を赤くしながら俺を見上げる

「ホラ、早くしないと冷めちゃうよ」

意味が分ったかい? と目で付け加える

「う、うん」

比呂美は迷ってから片方の今川焼きを一口だけ可愛く食べた

「あたり! こっちが白です」

比呂美はくじ引きで大当たりでも引き当てたみたいに嬉しそうだ

「うーん」

「はい、じゃあこっちが黒ね」

残った方を俺に差し出してくる
もちろん、ここで引き下がるわけには行かない

「いーや、まだ分らない」

「え?」

「店員さんが間違えているかもしれない」

「そんなこと…」

「もう片方も責任を持って確認してくれ」

「え? も、もう、わかっててそんなイジワルなこと…」

「冷めちゃうから急がないと」

「イジワル…」

恨めしそうな表情でそういうと
比呂美は後ろを向いて残りの今川焼きを味見した

「はい、間違いなく 黒でした」

向き直った比呂美は少しだけ怒ったような顔をしている
だけど頬に加えて耳の辺りまで赤くなってるので
本気で怒っているわけではないのは確実だ
比呂美の両手にはそれぞれ黒と白の今川焼きが握られている
もちろんどちらもカワイイかじり痕のおかげで中身が確認できる

「うむ、ご苦労、では早速…」

恥ずかしさを飲み込んで口をあけた

「え? え?」

「比呂美が食べさせてくれないと、俺 荷物持ったままだし…」

両手の荷物を少し掲げて見せた

「あ、そうだね、ごめんね」

比呂美はそういって荷物を引き取ろうとするが
両手は今川焼きで塞がってしまっていることに気がついた

「困ったね」

「ああ、これは仕方のないことなんだ」

「仕方のないこと?」

「ああ、いくつもの偶然が重なってしまった事故なんだよ」

「事故なの?」

「嬉しい事故さ」

「もう、なんだか人為的な事故のような気もするけど?」

「ほら、冷めちゃうよ」

「…うん」

比呂美は覚悟を決めたみたいだ
恐る恐る俺の口元に差し出してくる
不安げな表情と少し開いた口元が
俺を魅了した

「じゃあ、はい、…あーん」

比呂美自身の口もあーんって感じで小さく開いている
あまりのかわいらしさに
差し出された甘味を忘れてしまう
俺は動けなかった
俺の無反応を訝しく思ったのか
比呂美が目を開け再び俺を不安そうに見上げた

「あの… どうして食べてくれないの?」

比呂美は少し泣きそうな顔になってしまった

「…ごめん」

『比呂美が可愛すぎて』とは言いにくく言葉が続かなかった

「あ、もしかして冗談だったのを、私が真に受けちゃったのかな?」

比呂美は困り顔を耳まで赤くさせたまま
目尻にうっすら涙まで浮かべてしまった

あわてて、言葉を続ける

「いや、冗談じゃなかったんだけど、急に照れくさくなって…」

比呂美は一瞬きょとんとしてから

「もう、照れくさいのは私もおんなじなんだから…」

困り顔のまま少し怒っている
取りあえず泣かれるよりは良かった
このまま比呂美に恥をかかせたまま終わる訳にはいかない
覚悟を決める

「冷めないうちにいただこうか」

俺はそう言って口をあけた

「はい」

比呂美はそう答えると
再び甘味を差し出してきた
ワザと横にずらしてあるのだろう
比呂美の食べかけの部分からかぶりついた
見ていた比呂美はハッとして俯いてしまった
俺も恥ずかしさのあまり
愛ちゃんには悪いが何の味も感じない
これはあまりにも恥ずかしい
もうこうなったらヤケである

「比呂美の味付けも効いていて すごく甘いな」

そう言って二口目、三口目と頬張った

「しらない…」

比呂美は困り顔のままで俺を見上げる
少しボーっとなっているみたいだ
残りひとかけらを口で受け取り
お礼を指先にお返しした

「あんっ」

比呂美はかわいい悲鳴を上げた

「な、なに?」

あわてて手を引っ込めながら
そう訊いて来た

「あんこが付いてたんでね」

そううそぶいた

「本当?」

少し苦笑しながら俺の顔を覗き込んでくる

「ウソの方がよければ そうしとこうか?」

こちらも少し笑いながらそう返す

「もう、不意打ちは反則です」

「ごめん」

「クスッ」

「ははっ」

少し笑った後、残りの問題を片付けることにした

「じゃあ、交代」

「え?」

「だから、今度は俺が比呂美に食べさせる番」

「え、私はいいよ」

「あ、比呂美は俺の手からのものは食べられないんだ?」

「そんなつもりじゃ ないんだけど…」

「よし、じゃあ、ハイこれ」

そういって比呂美の空いた手に比呂美の鞄をにぎらせる

「かして」

紙袋に残ってる比呂美の分の甘味を半ば強引に受け取る

「じゃあ、ハイ」

そう言ってから比呂美の前に甘味を差し出す
比呂美は困り顔の表情のまま固まっている
あれ?
比呂美と視線があう
呪縛を解かれたお姫様はこうおっしゃった

「眞一郎くんはしてくれないの?」

「何を?」

「何って、味見…」

「だって、もう中身は判ってるし…」

「ううん、私は眞一郎くんの好きな味を味見したけど
 眞一郎くんは私の方の味を確かめてくれてないもん」

「それは…」

これは罠か?
さっきのお返しに違いない…
意を決し
さっきの比呂美を真似てみる
比呂美に背を向け
比呂美のかわいい歯形の横に並んで歯形を残す
やっぱり味なんてさっぱり分らない
とにかくこれでクリアした
向き直る
今度こそ

「ハイ、どうぞ」

比呂美の口元に差し出そうとした

「眞一郎くんは言ってくれないの?」

今度の比呂美は『私いま一生懸命です』
という表情でそう訊いて来た

「なに?」

「だから、こういうときのお約束…」

「んー ん?」

数秒で気が付いた
まさか『あーん』なのか?
視線で問いかける
『当たり』
そんな視線が比呂美から返される
恥ずかしそうに何かを期待している表情
それならば
と言いかけて気が付いた
なかなか『あーん』などとは言えない
恥ずかしい
すごく恥ずかしい
とてつもなく恥ずかしい
簡単な一言がものすごいプレッシャーだ
さっきの比呂美はこのプレッシャーをどうやって
跳ね除けたんだろう?
先程の破壊力絶大な比呂美の表情が浮かぶ…
いかん、ここで引いたら比呂美ひとりに
恥ずかしい思いをさせることになる

「ん、んんっ」

軽く咳払いしてから覚悟を決める

「はい、あーん」

『これは劇だ』自分にそう言い聞かせながら
比呂美の前に再び甘味を差し出す

「いただきます」

そう告げてから俺の歯形のほうから食べだした
空いてる手で口元を隠しながら

「えへへ 誰かさんの味付けのせいで、すごく甘い…」

比呂美は悪戯そうにそう告げると
続けて二口目、三口目と続けた
テレながらニコニコしてる
こうして見ていると
まるでかわいいリスかウサギを相手にしているような
気分になってくる
やがて最後のひとかけらを口で受け取った比呂美は…

俺よりも大胆だった

俺が指先へのお返しを期待していると
すっと、一歩近寄ってきて
背伸びしながら俺の頬に
なさった…
お返しを…

「えへへ ほっぺにあんこが付いてたよ」

すっと元の位置まで後退
比呂美は真っ赤になりながら
微笑んでそう告げた

さっき比呂美はなんと言ったっけ?
記憶検索を拒否する脳を何とかして思い出した

「ふ、不意打ちとは卑怯なり」

「クスッ」

「はあ」

うーん、どこまで本気なんだか…
まあ、これで終わりだ
うやむやのうちに話題を変えて…
それから戦線離脱を…

「いよう、おふたりさん」

側面からの新たな脅威が出現した
勘弁してくれ!
ニヤニヤしながらミヨキチが現れた
忘れてた
ここは奴のテリトリーだ

「相変わらず仲がよろしいようで…」

「ミヨキチ!」

「野伏君!」

思わず二人とも一歩ずつ飛びのいた
こんなときの息はピッタリだ
ミヨキチはニヤニヤしながら近寄ってくる
逃げるか?
俺は比呂美に近寄った
イザというときには
比呂美の手を取って逃げることにする

「なあ、眞一郎、俺からプレゼントがあるんだが」

「プレゼント?」

「ああ、ひょっとしたら湯浅も欲しがるかもしれん」

「私も?」

「ちょっと、待ってな…」

そう言うとミヨキチは携帯を取り出し操作し始めた
この先の展開が全く読めない
何が起きてるんだ
比呂美を覗う
比呂美も訳が判ってないみたいだ
突然、俺の携帯に着信音がした
ミヨキチを見るとこちらを見てニヤッと笑っている
携帯を取り出して確認する
ミヨキチからのメールだ
チラとミヨキチを見てから開封する

やられた

写真が添付されている
4枚

俺が比呂美の手から甘味を食べているところ
俺が比呂美の手にお返しをしているところ
比呂美が俺の手から甘味を食べているところ
比呂美が俺の頬にお返しをしているところ

確実にハッキリと写っていた
覗き込む比呂美も言葉を失っている

ミヨキチを見据える
どういうつもりだ?

「おっと、誤解すんなよ」

ミヨキチはそういって自分の携帯を
俺達の方に向けながら操作し
先程の写真を消去してみせた

「記念になると思ったんでな
 あとはお前さんたちの好きにしな」

「声くらい掛けてくれれば…」

「ははっ、でもな、俺に全然気付かずに二人の世界に浸ってる
 お二人のお邪魔は出来ないさ」

「う…」

「でも、気をつけろよ、俺以外誰も見てなくて、な?」

「あ…」

「じゃあなー」

ミヨキチはそう言い残すと店に入っていった
ここはひとまず退散だ
うつむいて固まっている比呂美の手を引き撤退開始



しばらく歩いて公園のベンチで一休み

「びっくりしたね」

「ああ」

「野伏君、あのお店知ってるのかな?」

「ああ、そうみたいだな」

「ごめんね」

「なにが?」

「あのお店、バスケ部の子に教えてもらったの」

「うん」

「あのね、私、ホントはさっきみたいな事じゃなくて…
 学校の帰りに眞一郎くんと一緒に何か食べながら
 並んで歩いてみたかっただけなの…」

「え?」

「前からね、一度やってみたかったの
 少しお行儀悪く
 同じ物を食べながら
 一緒に歩いてみたかったんだ」

「そか」

「うん」

俺とミヨキチなら毎日のようにやっていることでも
比呂美にとってはそれがとても大切な夢だったのかもしれない
だとすると今日の俺の行いはやりすぎだ

「ごめん、俺が悪ノリしすぎたな…」

「ううん、あれはあれで楽しかった… かな?
 ずいぶんエスカレートしちゃったけど、クスッ」

「でも、比呂美って大胆なんだな」

「だって、今日の眞一郎くん、少し強引だったから…
 私もなんだか調子が狂っちゃった」

「まあ、見られたのがミヨキチでよかった」

「野伏君なら大丈夫?」

「ああ、アイツなら誰にも言ったりしないさ」

「ふうん、野伏君かあ、なんだか頼りがいがありそうだもんね…」

「…ああ」

「ん? え? あ、ち、違うの! ヘンに思わないでね!」

「うん」

「わ、私にとっては、なんといっても眞一郎くんが1番で…」

ここで俺の顔を窺ってから少し小さな声で付け加えた

「2番や3番や… 特に4番なんて 全然無いんだから…」

俺は内心驚いていた
比呂美が駄洒落なんて…
ずいぶん砕けてきてくれた
リラックスしてくれている
比呂美にとって俺は安らげる相手になりつつある
そんな事がとても嬉しかった

「あの、ごめんなさい… 嫌なこと思い出した?」

比呂美が俺の顔を心配そうに覗き込んできた
ああ、また失敗だ

「いや、比呂美が駄洒落なんていうから…
 明日の天気を心配してたんだ」

俺はそう答えてニヤッと笑いかけた

「もうっ! 気分を悪くさせちゃったかと思って、
 心配したんだからっ」

比呂美はそう言ってあっちを向いてしまった

「なあ?」

「なあに?」

背中を向けたまま比呂美が答える

「今度は俺がつきあって欲しい場所があるんだけど いいかな?」

「え?」

「あー、今度の部活が休みの日とかどうかな?」

「どこか連れてってくれるの?」

嬉しそうに身体ごとこちらに向き直ってくれた

「今日のお返しに、おでんのおいしい店なんだけど」

「おでん?」

「あ、やっぱり女の子は嫌かな?」

「ううん、眞一郎くんが連れてってくれるんならどんなトコでも付いて行くっ!」

「いや、あんまり期待されても困るんだけどな」

「うん、じゃああんまり期待せずに待ってる」

比呂美はニコニコ顔に戻ってくれた
とりあえず今日のご機嫌は直ったみたいだ
あとでミヨキチに相談だ
ホントに比呂美を連れてって大丈夫かどうか…
多分、大丈夫だと思うけど…
いつまでも知らん振りできないしな
ミヨキチの言っていた
ダブルデートなんて出来るんだろうか?
まあ心配してもしょうがない
いざとなったらいさぎよく怒られよう
もし、あのこと比呂美が知ったら…
怒るだろうか?
泣くだろうか?
気にしないだろうか?
愛想を付かされるだろうか?
もし、俺が逆の立場なら?
比呂美を許せるだろうか?
許す?
そもそも比呂美は俺に許しを請うことなど
何一つしてはいない
少し遠回りしただけだ

「眞一郎くん?」

「ん?」

「どうしたの?」

「いや、何でも」

「目を閉じて瞑想でもしてるのかと思っちゃった」

「比呂美のこと考えてた」

「え? 私のこと?」

「ああ」

「あの… 私のなに?」

「内緒♪」

「あー、ズルイ」

「帰ろ」

「もう」

「おいてくゾ」

「待ってったら」

「遠回りしちゃったな」

「うん、でもこの方が一緒に長く歩けるよ」

「クッ、そうだな」

「あのね?」

「うん?」

「いつものコースに戻るまで もう少し近くに寄ってもいい?」

「ああ」

「よかった♪」

「そんな事が嬉しいのか?」

「もちろん!」

「そか」

「毎日だって遠回りしたいくらい」

「それも悪くないかもな」

「うん あ、さっきの写真転送してもらっていいかな?」

「え?」

「記念に、ね」

「ホントか?」

「あー、眞一郎くんは私との思い出いらないの?」

「い、いや、それは…」

「いいもん、ちゃんと転送してね、私は永久保存するんだから」

「永久?」

「もちろん! パパとママの記念って事で」

「え?」

「ううん、なんでもない♪」







●あとからあとがき
9話まで視聴済み

とにかくイチャイチャさせるためのおハナシです
本シリーズ中初の「4番」登場?です(本人が出てくることはありえません)
本編では愛ちゃんからのキスについて比呂美の知るところとなるかどうか…
怖いですね
ツールボックス

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