太古より人は闇を恐れてきた。先を見通すことの出来ぬ深く暗い闇は心を不安にさせていく。
しかし、その闇を好む者がいるのもまた事実。光浴びること無き者にとっては闇こそが全て。闇の中こそが安息の場。
そして、そんな光溢れる未来など何一つ見えぬ闇の中に彷徨える者達が集まりつつあった。
＊ ＊ ＊
「どこだ…ここは…？」
青年が一人、光の全く見えない闇の中を手探りで歩いていた。暗黒とは正にこのような闇のことをいうのだと、その青年－藤宮博也 －は実感していた。
当てもなく暫くの間、闇を彷徨い歩いていると藤宮は不意に宙に浮かぶような感覚に襲われた。
＊ ＊ ＊
闇を抜け出した向こうに広がっていたのは奇妙な山々や剥き出しの岩盤が立ち並び、黒いペンキを零したような暗い空に覆われた不可思議な世界。現実とは思えない異空間に藤宮は一人で立ち尽くしていた。目の前に広がる、この光景が夢ではないことを首に感じる冷たさが知らせた。気がつけば藤宮の首には首輪のようなものがはめられているようだった。
「これで参加者は揃った…」
どこからともなく声が辺りに響き始めた。
「全宇宙より集まった54名の勇士よ…」
54名の勇士。つまり自分以外にもこのような状況に陥った者がいると藤宮は理解した。暫しの沈黙の後に再び声が響きわたった。
「只今よりゲームを開始する」
藤宮の目の前の空間が歪み、デイパックが足下へと落とされた。
「ルールは単純。お前達には最後の一人となるまで殺し合ってもらう。詳細は支給したバッグに入っているメモに書かれている」
藤宮は即座にバックの中身に目をやり、メモと思しき紙を取り出した。地図や筆記用具の数々よりも一際大きな紙には次のように書かれていた。
参加者は最後の一人になるまで殺し合わなければならない。
首輪を外してはいけない。
勝者には如何なる望みも叶う強大な力が与えられる。如何なる手段を用いようとも最後の一人に勝ち残ればよい。
地図記載の禁止エリアに入ってはならない。
ゲームの脱落者、追加される禁止エリアは6時間毎に定時放送で伝えられる。
参加者は以下の通り。
【ウルトラQ】一ノ谷
【ウルトラマン】ハヤタ／イデ／ゾフィー／メフィラス星人
【ウルトラセブン】諸星ダン／ガッツ星人
【帰ってきたウルトラマン】郷秀樹／ナックル星人
【ウルトラマンA】北斗星司
【ウルトラマンT】東光太郎／テンペラー星人
【ウルトラマンレオ】おおとりゲン／アストラ／マグマ星人
【ウルトラマンティガ】マドカダイゴ／マサキケイゴ／ハヤテシン／レギュラン星人／キリエロイドⅡ／カミーラ／ダーラム
【ウルトラマンダイナ】アスカシン／岸悟／グランスフィア／グレゴール人
【ウルトラマンガイア】高山我夢／藤宮博也／死神
【ウルトラマンネクサス】姫矢准／孤門一輝／西条凪／溝呂木眞也／斎田リコ／千樹憐
【ULTRAMAN】真木舜一／有働貴文
【ウルトラマンマックス】トウマカイト／エリー／メトロン星人／タイニーバルタン／ダークバルタン
【ウルトラマンメビウス】ヒビノミライ／ウルトラマンヒカリ／ザムシャー／クゼテッペイ／アマガイコノミ／エンペラ星人
【ULTRA SEVEN X】ジン／沢渡スミレ／冴木エレア
【ウルトラギャラクシー大怪獣バトル】レイ／熊野正彦／隠岐恒一
「尚、ゲームのルールを犯した者には罰を与える」
漆黒の空をスクリーンの如く、映像が移し出された。
「やめろぉ！ 化け物…離してくれぇ！！」
移し出された映像の中、蛭川光彦は体中に絡みつかれた触手に拘束されながら泣き叫んでいた。
「ウルトラマン！ GUYS！ 頼むよぉ！ 誰でもいいから助けてくれよぉ！！」
泣き崩れる蛭川の顔は涙とも鼻水ともわからぬ液体にまみれていた。
「首輪に注目を…」
主催者の合図と同時に蛭川の首輪を触手が引きちぎった。
「ひぃ！！」
外された首輪から闇が吹き出してきた。
「な…何だよ、これ！ 誰か…誰かぁ！！」
闇は見る見るうちに広がっていき蛭川の体を覆い尽くすとその姿を完全に消し去った。そして、そこには蠢く触手だけが残されていた。
「ルールを犯した者には永久の闇を味わって頂こう」
＊ ＊ ＊
アルケミースターズ、天才と評された藤宮の頭脳をもってしても先程の映像を理解するのは難かった。ただ一つ、確実にいえること。それは一人の人間が闇の中に消え去ったということ。
「時間だ…会場へと移動してもらおう」
鳴り響くサイレンと共に藤宮は再び暗黒の闇に包まれた。他の参加者も同様に移動を始めているのだろうか。
－果てしない闇の向こうに見えるものは一体何なのだろうか－
…その答えはまだ誰も知らない。
蛭川光彦 死亡
残り54名
最終更新：2008年09月21日 14:33
