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(FRING)} *1.1 フリンジフィットはなぜ必要か フリンジフィットとは、遅延時間残差や遅延変化率残差の補正を行って位相を揃え、ビジビリティをコヒーレントに積分できるようにする操作です。AIPSでは FRING という task を用いて遅延時間残差や遅延変化率残差の値を SN extension table に記録し、CLCAL によって CL extansion tableに適用します。 遅延時間残差とは、相関処理の際に追尾し切れなかった遅延のことです。観測局の時計オフセットや局位置の誤差, 天体位置の誤差, 大気の光路長などが原因で、相関器での遅延追尾はパーフェクトではありません。遅延残差をΔτ とすると、位相のズレは周波数νの関数で、 #ref(image-3.png) となります。 遅延残差が時々刻々変化していくとき、その変化率を遅延変化率残差&ref(image-4.png)といいます。 #ref(image-5.png) となりますね。ビジビリティをベクトルで、位相をベクトル矢印の向きで表すとすると、下図の左のような具合です。 #ref(image-6.gif) 左のように、遅延残差や遅延変化率残差によってビジビリティ位相が(時間-周波数)空間で揃っていない状態だと、積分したときにコヒーレンス損失が起こります。ビジビリティ振幅が低下してしまうわけですね。ではどうやって遅延残差や遅延変化率残差を補正したらいいでしょうか。それには、&ref(image-7.png)の空間においてビジビリティを積分し、その振幅が最大になるような&ref(image-7.png)を探すのです。いわば&ref(image-7.png)の絨毯爆撃。この操作をフリンジサーチといいます。 #ref(image-9.gif) 上図はフリンジサーチの例です。横軸が遅延残差 (Residual Delay), 縦軸が遅延変化率残差 (Residual Rate) で、グレースケールでビジビリティ振幅を表現しています。ビジビリティ振幅が最大になるのは遅延残差が0.081 μsec, 遅延変化率残差が-2.75×10-12のとき、ということがわかります。そのときの振幅が雑音レベルより有意に大きければ (SNR: 信号雑音比が大きければ)、「フリンジ検出」というわけです。 サーチを行う&ref(image-7.png)の範囲のことを、フリンジサーチ窓といいます。上図の表示範囲が「窓」ですね。 ***1.2 FRINGの実行 それでは、fring という task を走らせてフリンジフィットをしてみましょう。 >&u(){task 'fring'}  FRINGというtaskの使用宣言 >&u(){getn 2}  カタログ番号2番のファイルを選択 >AIPS 1: Got(1) disk= 1 user=3018 type=UV BK084.MSORT.1 >&u(){calsou 'da193'''}  天体名がDA193のスキャンにおいてフリンジサーチ >&u(){freqid 1}  周波数番号を1番 (15.4 GHz) に指定 >&u(){timer 0}  全ての時間範囲でフリンジサーチ >&u(){docal -1}  CLテーブルによる補正は適用しない >&u(){doban -1}  BPテーブルによる補正は適用しない >&u(){outn ''}  出力のための新しいファイルは作成しない(既存ファイルのextension に書き出す) >&u(){outcl ''}  出力のための新しいファイルは作成しない >&u(){outs 0}  出力のための新しいファイルは作成しない >&u(){outd 0}  出力のための新しいファイルは作成しない >&u(){refan 9}  基準局としてアンテナ9番(PT)を選択 >&u(){solin 2}  2分毎の積分で遅延残差, 遅延変化率残差を求める >&u(){inv -1}  天体の構造モデル (CC extension table) は使用しない(点源と見做す) >&u(){flagv 1}  フラッギング情報としてFG version 1を使用 >&u(){search 0}  基線サーチの順番は特に指定しない >&u(){dofit 0}  全てのアンテナ番号について遅延残差, 遅延変化率残差を求める >&u(){aparm 2, 0, 0, 0, 0, 2, 5, 0, 1, 0}  5番目はIF毎にサーチ, 6番目は途中経過を表示, 7番目は検出限界のSNR閾値 >&u(){dparm 0, 400, 100, 0}  2番目はサーチ窓の遅延残差範囲, 3番目は遅延変化率残差範囲 >&u(){snv 3}  サーチ結果の遅延残差, 遅延変化率残差を書き出すSNテーブルのバージョン >&u(){bchan 2}  周波数積分の分光チャネル範囲 >&u(){echan 63}  周波数積分の分光チャネル範囲(両端は捨てています) >&u(){inp}  パラメーターの一覧を表示して確認します。 [[(fringのパラメーターの一覧はこちら)>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step31.fring.prm.txt]] goと打って実行します。このtaskは実行に結構長い時間を要します。メッセージウィンドウに[[fring実行時のメッセージ>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step31.fring.msg.txt]]が表示されますので、進捗状況を確認しましょう。R= と書かれたのが遅延変化率残差(&ref(image-4.png)に観測周波数νを掛けた値が表示され、単位はミリヘルツです)、D= と書かれたのが遅延残差(単位はナノ秒)です。SNR= と書かれたのが信号雑音比で、aparm(7)で指定した値を上回ればフリンジが検出されたものとして&ref(image-7.png)の値をSN extension tableに記録します。SNRの値がaparm(7)の値を下回る場合は、有意には検出できなかったと見做して&ref(image-7.png)を無効にします。 終了したら、imhで SN extension tableのバージョン3が追加されたことを確認しましょう。 ***1.3 できたSN table を確認する (SNPLT) SNPLT を用いて、作成されたSN extension tableを確認しましょう。 >&u(){task 'snplt'}  SNPLTというtaskの使用宣言 >&u(){getn 2}  カタログ番号2番のファイルを選択 >AIPS 1: Got(1) disk= 1 user=3018 type=UV BK084.MSORT.1 >&u(){inext 'sn'}  SN extension tableを表示する、と指定 (SNPLTはCLやTYも表示できる) >&u(){inv 3}  SN extension tableのバージョン3を表示するように指定 >&u(){optyp 'dela'}  遅延残差を表示するように指定 >&u(){nplot 10}  1ページの画面に10個(アンテナの数)のデータを表示するよう指定。 >&u(){inp}  パラメーターの一覧を表示して確認します。 >[[(snpltのパラメーターの一覧はこちら)>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step32.snplt.prm.txt]] >&u(){tvinit}  TV画面を初期化(クリア) goと打って実行すると、TV画面上に下図のようなプロットが表示されます。横軸が時刻で、縦軸が遅延残差です。optyp 'rate'と設定してからgoすると、縦軸が遅延変化率残差になります。VLBAなら、遅延残差は±100 nsecの範囲, 遅延変化率残差は± 50 mHzの範囲に収まるのが普通です。 #image(image-8.gif,http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step32.snplt.png) ***1.4 SN table をCL tableに適用する (CLCAL) SN extension table に格納された&ref(image-7.png)を、CLCALを使ってCL extension tableに適用します。 >&u(){task 'clcal'}  CLCALというtaskの使用宣言 >&u(){getn 2}  カタログ番号2番のファイルを選択 >AIPS 1: Got(1) disk= 1 user=3018 type=UV BK084.MSORT.1 >&u(){BPARM 0.1}  median window filterの時間窓を1 hourに >&u(){SMOTYPE 'full'}  位相, 遅延, 遅延変化率の平滑化 >&u(){SNVER 3}  SN extension tableのversion 3を使用 >&u(){GAINVER 3}  CL extension tableの version 3を補正元に指定 >&u(){gainu 4}  補正後の結果をCL extension table version 4に格納 >&u(){refan 9}  基準局としてアンテナ9番(PT)を選択 >&u(){inp}  パラメーターの一覧を表示して確認します。 [[(clcalのパラメーターの一覧はこちら)>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step33.clcal.prm.txt]] goと打って実行します。終了したら、imhで CL extension tableのバージョン4が追加されたことを確認しましょう。 ***1.5 できたCL table を確認する (SNPLT) CL tableもSN tableと同様にSNPLTというtaskで表示・確認できます。 >&u(){tget snpl}  SNPLTの使用宣言。tget という verbを用いると、前回実行時のパラメーターがセットされる。 >&u(){inext 'cl'}  CL extension tableを表示するよう指定 >&u(){inv 4}  CL extension tableのバージョン4を表示するように指定 >&u(){optyp 'dela'}  遅延残差の補正量を表示するように指定 >&u(){inp}  パラメーターの一覧を表示して確認します。 >[[(CL確認のためのsnpltのパラメーター一覧はこちら)>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step34.snplt.prm.txt]] >&u(){tvinit}  TV画面を初期化(クリア) goと打って実行すると、下図のようにTV画面に表示されます。 #image(image-10.gif,http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step34.snplt.png) &bgcolor(#66ff99){以上でフリンジフィットは終了です。では、帯域通過特性の較正に行きましょー!} ←[[前へ>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/22.html]]↑[[目次>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/20.html]]→[[次へ>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/25.html]]
[[コメント>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/18.html]] ←[[前へ>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/22.html]]↑[[目次>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/20.html]]→[[次へ>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/25.html]] *&u(){AIPSによる処理(5) 位相の較正} ---- 位相の較正には二つの目的があります。第一に、ビジビリティの位相は電波源の位置を反映するものなので、正しい天体の位置や構造を推定するためには、正しいビジビリティ位相が必要です。第二に、ビジビリティをコヒーレントに積分するためには位相が揃っている必要があります。 第二のポイントに着目してみましょう。ビジビリティの積分は信号雑音比を向上させるために必要ですし、ビジビリティをフーリエ変換して電波像にする操作だって積分です(フーリエ変換は別名フーリエ積分とも呼び、式からも分かるようにビジビリティのコヒーレントな積分です)。 位相が揃っていない状態でビジビリティを積分すると、コヒーレンス損失を起こして、ビジビリティ振幅が低下しています。コヒーレンス損失の概念については、こちらの[[アニメーション>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/image/coherence.html]]をご覧下さい。 ビジビリティ位相が真の値からφだけずれていたとき、有効なビジビリティの値は真のビジビリティへの投影成分、つまりV cos φになります。位相φが標準偏差σでばらついているとき、ビジビリティ振幅は #ref(image-1.png) で与えられます。ここで、位相の確率密度分布p(φ)を正規分布だと仮定しました。例えばσ=1 radの標準偏差で位相がばらついていると、振幅は約40%も低下してしまうわけですね。これを防ぐために、位相の較正をきちっとおこない、位相を揃えた状態で積分することが肝要です。 &image(right,image-2.gif)位相の標準偏差とコヒーレンスとの関係。σ=1 radのときコヒーレンスは約0.6で、約40%の損失が発生する。 **&u(){1. フリンジフィット (FRING)} *1.1 フリンジフィットはなぜ必要か フリンジフィットとは、遅延時間残差や遅延変化率残差の補正を行って位相を揃え、ビジビリティをコヒーレントに積分できるようにする操作です。AIPSでは FRING という task を用いて遅延時間残差や遅延変化率残差の値を SN extension table に記録し、CLCAL によって CL extansion tableに適用します。 遅延時間残差とは、相関処理の際に追尾し切れなかった遅延のことです。観測局の時計オフセットや局位置の誤差, 天体位置の誤差, 大気の光路長などが原因で、相関器での遅延追尾はパーフェクトではありません。遅延残差をΔτ とすると、位相のズレは周波数νの関数で、 #ref(image-3.png) となります。 遅延残差が時々刻々変化していくとき、その変化率を遅延変化率残差&ref(image-4.png)といいます。 #ref(image-5.png) となりますね。ビジビリティをベクトルで、位相をベクトル矢印の向きで表すとすると、下図の左のような具合です。 #ref(image-6.gif) 左のように、遅延残差や遅延変化率残差によってビジビリティ位相が(時間-周波数)空間で揃っていない状態だと、積分したときにコヒーレンス損失が起こります。ビジビリティ振幅が低下してしまうわけですね。ではどうやって遅延残差や遅延変化率残差を補正したらいいでしょうか。それには、&ref(image-7.png)の空間においてビジビリティを積分し、その振幅が最大になるような&ref(image-7.png)を探すのです。いわば&ref(image-7.png)の絨毯爆撃。この操作をフリンジサーチといいます。 #ref(image-9.gif) 上図はフリンジサーチの例です。横軸が遅延残差 (Residual Delay), 縦軸が遅延変化率残差 (Residual Rate) で、グレースケールでビジビリティ振幅を表現しています。ビジビリティ振幅が最大になるのは遅延残差が0.081 μsec, 遅延変化率残差が-2.75×10-12のとき、ということがわかります。そのときの振幅が雑音レベルより有意に大きければ (SNR: 信号雑音比が大きければ)、「フリンジ検出」というわけです。 サーチを行う&ref(image-7.png)の範囲のことを、フリンジサーチ窓といいます。上図の表示範囲が「窓」ですね。 ***1.2 FRINGの実行 それでは、fring という task を走らせてフリンジフィットをしてみましょう。 >&u(){task 'fring'}  FRINGというtaskの使用宣言 >&u(){getn 2}  カタログ番号2番のファイルを選択 >AIPS 1: Got(1) disk= 1 user=3018 type=UV BK084.MSORT.1 >&u(){calsou 'da193'''}  天体名がDA193のスキャンにおいてフリンジサーチ >&u(){freqid 1}  周波数番号を1番 (15.4 GHz) に指定 >&u(){timer 0}  全ての時間範囲でフリンジサーチ >&u(){docal -1}  CLテーブルによる補正は適用しない >&u(){doban -1}  BPテーブルによる補正は適用しない >&u(){outn ''}  出力のための新しいファイルは作成しない(既存ファイルのextension に書き出す) >&u(){outcl ''}  出力のための新しいファイルは作成しない >&u(){outs 0}  出力のための新しいファイルは作成しない >&u(){outd 0}  出力のための新しいファイルは作成しない >&u(){refan 9}  基準局としてアンテナ9番(PT)を選択 >&u(){solin 2}  2分毎の積分で遅延残差, 遅延変化率残差を求める >&u(){inv -1}  天体の構造モデル (CC extension table) は使用しない(点源と見做す) >&u(){flagv 1}  フラッギング情報としてFG version 1を使用 >&u(){search 0}  基線サーチの順番は特に指定しない >&u(){dofit 0}  全てのアンテナ番号について遅延残差, 遅延変化率残差を求める >&u(){aparm 2, 0, 0, 0, 0, 2, 5, 0, 1, 0}  5番目はIF毎にサーチ, 6番目は途中経過を表示, 7番目は検出限界のSNR閾値 >&u(){dparm 0, 400, 100, 0}  2番目はサーチ窓の遅延残差範囲, 3番目は遅延変化率残差範囲 >&u(){snv 3}  サーチ結果の遅延残差, 遅延変化率残差を書き出すSNテーブルのバージョン >&u(){bchan 2}  周波数積分の分光チャネル範囲 >&u(){echan 63}  周波数積分の分光チャネル範囲(両端は捨てています) >&u(){inp}  パラメーターの一覧を表示して確認します。 [[(fringのパラメーターの一覧はこちら)>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step31.fring.prm.txt]] goと打って実行します。このtaskは実行に結構長い時間を要します。メッセージウィンドウに[[fring実行時のメッセージ>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step31.fring.msg.txt]]が表示されますので、進捗状況を確認しましょう。R= と書かれたのが遅延変化率残差(&ref(image-4.png)に観測周波数νを掛けた値が表示され、単位はミリヘルツです)、D= と書かれたのが遅延残差(単位はナノ秒)です。SNR= と書かれたのが信号雑音比で、aparm(7)で指定した値を上回ればフリンジが検出されたものとして&ref(image-7.png)の値をSN extension tableに記録します。SNRの値がaparm(7)の値を下回る場合は、有意には検出できなかったと見做して&ref(image-7.png)を無効にします。 終了したら、imhで SN extension tableのバージョン3が追加されたことを確認しましょう。 ***1.3 できたSN table を確認する (SNPLT) SNPLT を用いて、作成されたSN extension tableを確認しましょう。 >&u(){task 'snplt'}  SNPLTというtaskの使用宣言 >&u(){getn 2}  カタログ番号2番のファイルを選択 >AIPS 1: Got(1) disk= 1 user=3018 type=UV BK084.MSORT.1 >&u(){inext 'sn'}  SN extension tableを表示する、と指定 (SNPLTはCLやTYも表示できる) >&u(){inv 3}  SN extension tableのバージョン3を表示するように指定 >&u(){optyp 'dela'}  遅延残差を表示するように指定 >&u(){nplot 10}  1ページの画面に10個(アンテナの数)のデータを表示するよう指定。 >&u(){inp}  パラメーターの一覧を表示して確認します。 >[[(snpltのパラメーターの一覧はこちら)>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step32.snplt.prm.txt]] >&u(){tvinit}  TV画面を初期化(クリア) goと打って実行すると、TV画面上に下図のようなプロットが表示されます。横軸が時刻で、縦軸が遅延残差です。optyp 'rate'と設定してからgoすると、縦軸が遅延変化率残差になります。VLBAなら、遅延残差は±100 nsecの範囲, 遅延変化率残差は± 50 mHzの範囲に収まるのが普通です。 #image(image-8.gif,http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step32.snplt.png) ***1.4 SN table をCL tableに適用する (CLCAL) SN extension table に格納された&ref(image-7.png)を、CLCALを使ってCL extension tableに適用します。 >&u(){task 'clcal'}  CLCALというtaskの使用宣言 >&u(){getn 2}  カタログ番号2番のファイルを選択 >AIPS 1: Got(1) disk= 1 user=3018 type=UV BK084.MSORT.1 >&u(){BPARM 0.1}  median window filterの時間窓を1 hourに >&u(){SMOTYPE 'full'}  位相, 遅延, 遅延変化率の平滑化 >&u(){SNVER 3}  SN extension tableのversion 3を使用 >&u(){GAINVER 3}  CL extension tableの version 3を補正元に指定 >&u(){gainu 4}  補正後の結果をCL extension table version 4に格納 >&u(){refan 9}  基準局としてアンテナ9番(PT)を選択 >&u(){inp}  パラメーターの一覧を表示して確認します。 [[(clcalのパラメーターの一覧はこちら)>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step33.clcal.prm.txt]] goと打って実行します。終了したら、imhで CL extension tableのバージョン4が追加されたことを確認しましょう。 ***1.5 できたCL table を確認する (SNPLT) CL tableもSN tableと同様にSNPLTというtaskで表示・確認できます。 >&u(){tget snpl}  SNPLTの使用宣言。tget という verbを用いると、前回実行時のパラメーターがセットされる。 >&u(){inext 'cl'}  CL extension tableを表示するよう指定 >&u(){inv 4}  CL extension tableのバージョン4を表示するように指定 >&u(){optyp 'dela'}  遅延残差の補正量を表示するように指定 >&u(){inp}  パラメーターの一覧を表示して確認します。 >[[(CL確認のためのsnpltのパラメーター一覧はこちら)>http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step34.snplt.prm.txt]] >&u(){tvinit}  TV画面を初期化(クリア) goと打って実行すると、下図のようにTV画面に表示されます。 #image(image-10.gif,http://astro.sci.kagoshima-u.ac.jp/omodaka-nishio/member/kameno/AIPS-Difmap/DA193/AIPSMEMO/step34.snplt.png) &bgcolor(#66ff99){以上でフリンジフィットは終了です。では、帯域通過特性の較正に行きましょー!} ←[[前へ>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/22.html]]↑[[目次>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/20.html]]→[[次へ>http://www39.atwiki.jp/vitaminc/pages/25.html]]

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