出土遺物の保存・分析

 

調査の早い段階で遺跡の性格と出土遺物の想定。保存処理が必要な遺物が出土する可能性がある場合は関係機関及び保存科学系の会社に連絡しておくこと。

 

保存処理が必要な遺物を取り上げる時はその状況を明確に記録しておく。自分たちで仮の処理をする場合は、どんな薬品を使い、どのように処理または保管していたかを記録しておくこと。後の処理の参考になるので。

資料的価値の高いもので処理に緊急を要するものは、速やかに保存処理会社に預ける。予算取や入札の事項は後で調整する。

 

具体的な保存方法

1 木製品&木器

水に漬けて保存しておく、光を遮断して出来るだけ涼しいところに保管する。小さい遺物なら密封容器に水をまたは調湿剤を入れて冷蔵庫(5℃)程度で保管する。大型の木製品はプールやコンテナに入れホウ酸水に漬ける。水は常に循環させ、暗く涼しい部屋で保管する(10℃)程度。常に水量を監視する。

2 有機物

有機物が出土した場合はまずは乾燥を防ぐ。直射日光を避けて、水に浸したガーゼなどで遺物を覆い、さらに防水シートなどを掛ける。現場での図面取り等が終われば速やかに事務所等に持ち帰り水に漬けて保管。水に漬けることが出来ないものは冷蔵庫等で乾燥に注意して保管する。カビの発生にも注意する。カビはメチルアルコールで除去・除菌する。

3 金属器

まずは乾燥させて、大きさに応じて密閉容器やポリ袋に保管する。ポリエチレン袋だけでは高い防湿効果が望めないのでさらに多いな容器に保管する。シリカゲルの量は遺物に応じていれる。基本的に相対湿度が40%以下になるように保管。必要に応じて脱酸素剤をしようする。

4脆弱遺物

現場で出土する脆弱な遺物は、大きさに応じて強化して取り上げる。小型の遺物であれば四方の土ごと切取って持ち帰る。緊急を要し尚且つ予算がない場合は木工用ボンドを水に溶かして強化剤を作る方法もある。梱包材はガーゼや綿・石膏・ホットメルトギブス・ウレタンギブスなどを使用する。(ウレタンギブスはホームセンターの水道品コーナーにある。)

5炭化材

炭は分析に使用できるので、安定した環境で保存する。取り上げ段階で、層位と遺構との関係を明確にしておく。記録も明確に取っておく。取り上げは人の手で行うが軍手等を着用すること。新しい炭素の付着を避けるために、タバコの煙等には注意を払う。

6各種分析

自然科学分析は発掘調査に大きな情報を与えてくれるので、適時行うとよい。基本的に遺跡内のものはすべて分析の資料となりうるので、分析のためのサンプリングを行う場合は、記録写真とサンプルの地点、採取方法等を明確に記録しておく。出来れば専門家と一緒にサンプリングを行う。

                          

 

 

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最終更新:2007年09月07日 11:40