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研究会の人たちに内緒で、サイパンはひそかに変わろうとしていた。 この東京で、人に優しくして生きていこうと思っていた。 ・・・でも、実際にやってみようと思っても、何をしていいか解らない。 困っている老人を助けたり、道に迷ってる人に道を教えてあげたり。 そんなもんでいいのだろうか?もっと漠然と優しく出来ないのだろうか? い、いやぁ・・・。そんなこと言っちゃいけないな、 小さなことからやらなければ、大きなことはきっと出来ない。 うん、きっとそうだ。まずは小さなことから始めよう! あ!ほらそこに、困っているおじいさんがいるよ!助けてあげよう! どうかしましたか?おじいさん! 「おおっ!なんじゃ、サイパン殿じゃないか!」 大失敗☆作戦大失敗だぜ!! だ、だが・・・こんな簡単に挫けてたまるかっ 「な、何しているんですか?かもめさん、こんなところで・・・?」 「ちょいと道に迷ってしまっての・・・困っとるんじゃ」 なるほど・・・道に迷って困っている老人ね・・・・ビンゴ☆! 「どこに行こうとしていたんですか?」 「洋酒取り扱い店の〔クリスタル〕じゃ、この近くにあるはずなんじゃが・・・」 「ああ、そこなら俺知ってますよ」 というわけで、サイパンを案内役として「クリスタル」にたどり着いたかもめは、 それなりの手続きを済ませて、「日本酒」と書かれたダンボールを抱えてさっさと店を出た。 サイパンも「今日はどうせ暇だしな」と言って、「ビール」と書かれた箱を持ってかもめに同行した。 その帰り道。。 「お前さんには、将来の夢とかないのか?」 「特に無いですかね・・・」 「まぁ、その答えが何よりだな。それは自分の将来を決めつけていない、つまり真剣に 考えてるって事だからな」 「そうですか?普通はこう答えたら「つまらない人間だね」とか言われるのがオチですが」 「そんなこと言う奴はほっとけ」 「はぁ・・・そうですか・・・」 俺はもうちょっと教訓めいたことを期待したんだが・・・。ああ、でもまぁほっとくのが最善か・・・。 「はいっ、そうですね」 さっきは生返事をしたが言い直しておいた。俺の気分的になんとなく。 その後もとりとめのない世間話が続いた。 研究会メンバーの組み合わせで最も年齢差のあるこの二人だが、会話はけっこう弾んでいた。 もちろんサイパンは「俺、人に優しくしようと思ってるんです」なんてことは言わなかったが。 そんなこんなしているうちに、「フルハウス」にたどり着いた。 「結構大変だったな・・・・」 かもめは真夏の日差しを見上げているサイパンに、 「人に優しくしようと思った時点で、お前さんは優しい奴だ」 とだけ言って扉を開けた。 ガチャリ。 「ただいまぁ~」 おかえり~という声が小さく聞こえる。 「はぁ、そうですか。・・・・・・・・・はいっ、そうかもしれないですね」 独り呟き、サイパンは中へと入っていった。
研究会の人たちに内緒で、サイパンはひそかに変わろうとしていた。 この東京で、人に優しくして生きていこうと思っていた。 でも、実際にやってみようと思っても、何をしていいか解らない。 困っている老人を助けたり、道に迷ってる人に道を教えてあげたり。 そんなもんでいいのだろうか?もっと漠然と優しく出来ないのだろうか? い、いやぁ・・・。そんなこと言っちゃいけないな、 小さなことからやらなければ、大きなことはきっと出来ない。 うん、きっとそうだ。まずは小さなことから始めよう! あ!ほらそこに、困っているおじいさんがいるよ!助けてあげよう! どうかしましたか?おじいさん! 「おおっ!なんじゃ、サイパン殿じゃないか!」 大失敗☆作戦大失敗だぜ!! だ、だが・・・こんな簡単に挫けてたまるかっ 「な、何しているんですか?かもめさん、こんなところで・・・?」 「ちょいと道に迷ってしまっての・・・困っとるんじゃ」 なるほど・・・道に迷って困っている老人ね・・・・ビンゴ☆! 「どこに行こうとしていたんですか?」 「洋酒取り扱い店の〔クリスタル〕じゃ、この近くにあるはずなんじゃが・・・」 「ああ、そこなら俺知ってますよ」 というわけで、サイパンを案内役として「クリスタル」にたどり着いたかもめは、 それなりの手続きを済ませて、「日本酒」と書かれたダンボールを抱えてさっさと店を出た。 サイパンも「今日はどうせ暇だしな」と言って、「ビール」と書かれた箱を持ってかもめに同行した。 その帰り道。。 「お前さんには、将来の夢とかないのか?」 「特に無いですかね・・・」 「まぁ、その答えが何よりだな。それは自分の将来を決めつけていない、つまり真剣に 考えてるって事だからな」 「そうですか?普通はこう答えたら「つまらない人間だね」とか言われるのがオチですが」 「そんなこと言う奴はほっとけ」 「はぁ・・・そうですか・・・」 俺はもうちょっと教訓めいたことを期待したんだが・・・。ああ、でもまぁほっとくのが最善か・・・。 「はいっ、そうですね」 さっきは生返事をしたが言い直しておいた。俺の気分的になんとなく。 その後もとりとめのない世間話が続いた。 研究会メンバーの組み合わせで最も年齢差のあるこの二人だが、会話はけっこう弾んでいた。 もちろんサイパンは「俺、人に優しくしようと思ってるんです」なんてことは言わなかったが。 そんなこんなしているうちに、「フルハウス」にたどり着いた。 「結構大変だったな・・・・」 かもめは真夏の日差しを見上げているサイパンに、 「人に優しくしようと思った時点で、お前さんは優しい奴だ」 とだけ言って扉を開けた。 ガチャリ。 「ただいまぁ~」 おかえり~という声が小さく聞こえる。 「はぁ、そうですか。・・・・・・・・・はいっ、そうかもしれないですね」 独り呟き、サイパンは中へと入っていった。

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