この世界は人間と動物が多い。争いが大きいせいか、大抵の地方では、経済成長をしていない。その中の一つである、《フェルダイン地方》は荒野が多くって、町は少ないといわれている。地方の中の中部の町、《アファル》の北近くに一人の少年が倒れていた。
「くそ…。俺はここまでなのか…。
少年は戦った後なのか、かなり胴部に血を流している。そう、少年はもう人生の終わりを告げようとしていた。しかし。
「貴方は何をせずに終わるのですか?」
天使が舞い降りてきた。これは絶対に夢だろうと目をそらすが…。天使はこういった。
「何か思い残しはないですか?」
思い残しもない少年は「無い」と答えるが、天使は諦めなかった。
「そういえば、一体の魂獣が貴方に会いたいと行ってますよ」
魂獣? いきなり出てきた意味不明な名前。「魂獣って何」というと…。
「それは、今言えません。誰かに聞いてください。それ!」
天使は左手を上げて、その先から光が出てきて、少年も巻き込んでしまった……。
第1話 伝説竜光臨
ここは野生獣撲滅基地。地方一、そして町一大きい基地である。その医務室の中にあの少年がいた。
「兄貴…兄貴…」
後輩の人たちの声で気を取り戻した。
「ここは…」
「兄貴、ここはいつもの基地だよ。無傷で良かったよ」
「そうか…。俺はここにいるのか…」
後輩達はほっとして、医務室から出て行って、一人になった。何か気になったことが。
「そういえば、野生獣によって大怪我をして、死に掛けたよな…。でも何故。傷が治っているし、そして…。力がわいてくる…」
ちなみに、野生獣とは、獣のような姿をして、完全に野生になった、簡単に言うとライオンみたいな感じ。姿やタイプなどは色々ある。最近、その野生獣の増加に困っているらしい。下手でもすれば空間が揺れる恐れもある。
ずっと寝てられないと、少年は外出をした。何故そうなったか考えながら。
外出して、500メートルを離れたところに誰か一人いるようだ。走って近づいてみると、そこに野生獣らしき者も。話してみることに。
「すみません。何をやっているでしょうか。そしてあの野生獣らしき者は…」
「少年よ…我は野生獣ではないぞ」
少年はビックリした。普通、野生獣は喋らないからだ。
「それじゃ、君達は一体」
「私達は《魂獣》というちょっとずれた人間です」
「魂獣?」
「知らないのですか? 貴方も《魂獣》を宿しているのに」
「宿している? この俺が《魂獣》という変なものを持っていると。何故そういえる」
「それは、共鳴力だ。それで《魂獣者》であるか無いかはっきり分かる。かすかにあるってことは、まだ覚醒していないようだな」
「そういえば、《魂獣》って何でしょうか? それに《魂獣者》も」
「本当に知らないのですか? そのまえに、貴方の名前と所属しているところを教えてもらえるかな。先に私から。私の名前はアルマー。騎士獣アルマー」
「我の名前はストーム。石獣のストーム」
「俺の名前はリュウト。野生獣撲滅基地フェルダイン中央所属」
「野生獣撲滅基地か…。これは《魂獣》を知らなくてもおかしくない。そこは、自分達の力で魂獣を討伐しているからな。《魂獣》の存在は知らないもおかしくない」
「それじゃ教えてください。《魂獣》というものを」
必死に知りたがるリュウト。
「教えましょう。《魂獣》というものを」
魂獣 別名ではソウルビーストといわれている。死に掛けたときや、生まれつきに宿してくる。宿したら、その力や、治癒能力も上がる。そして、時に、自分からその魂獣そのものの姿へ変えることも可能である。
「色々な情報はあるが、簡単な話はコレだけだ」
「へぇ~。だから、傷が早く治せるんだ」
「そうさ。ストーム! いつまで石獣にいてるんだ」
石獣は汗をかいでいた。
「その逆…。アルマーさんが騎士獣になったほうがいいですよ。後ろに野生獣が」
野生獣が腕を振り落とした。すぐによけた。
「リュウト! 今、手本をみせよう。後ろに下がって」
「はい」
「それじゃ私も。うおおおお!」
アルマーの身体に光りだして右手に剣、左手に盾。そして背中にマント。騎士獣になった。
「でもやばいぞ…弱点相手だからな。私の属性は鋼、ウエホンは剣。石獣の属性は石。あの野生獣の属性は地、ウエホンは破壊だ…」
遠くから、リュウトは声を出す。
「あの野生獣、あの時、俺に死に掛けられた野生獣なんだ!」
「なんだって!? これはさすがに」
「グググググ…」
「まぁ、やるしかないでしょう。いくぞ! 石獣」
「おう!」
しかし、強かった。一瞬で、騎士獣は剣を、石獣は全面壊れ、元に戻った。そして、すぐに何も出来ずにいるリュウトの方へ来た。
「あ…ああ…」
「リュウト!」
アルマーの声が届かない。野生獣はリュウトを攻撃する。次の瞬間、リュウトの身体に変化が。身体が大きく、ツメを持っている。翼が無いが、ドラゴンみたいだ。
「この姿は…。伝説竜《速訊竜》」
「グオオオオオオオオ」
「でも、正気あるかが問題…」
速訊竜になっても怖がらないのか、野生獣は破壊ウエホンを使って速訊竜を攻撃するが、すぐに受け止め、野生獣を倒れさせた。そして、口からビームを発射し、野生獣は消えた。
「早い…これが、速訊竜の力…」
速訊竜からリュウトにもどったが、動かない。アルマーは、リュウトのところへ来て、意識確認をする。
「リュウト! 立ちながら気を失うんじゃないぞ!」
アルマーはリュウトに肩をたたいた。リュウトは気づいたようだ。
「は! 俺は一体」
「貴方がやったんだ。速訊竜で野生獣を。だろう? ストーム」
「はい。驚きました」
「そうだったな。でも、やったのは俺じゃないんだ…。意識は俺にもあったんだが…」
「え!?」
ありえないことに驚くアルマーとストーム。アルマーはある言葉を言った。
「リュウト、一緒に私達と一緒に行かないか」
「一緒に…何のために」
「平和のために、そして、自分の中にある速訊竜を上手く使いこなすために。といいたいところだが、仲間が心配だぞ。日が暮れている」
「そうだった!」
「深夜4時頃に正門前で待っている。行くか行かないかは個人次第だ」
「分かりました」
帰ってきたあと、図書館で《魂獣》についての本を探し、見つけ、読んでみる。しかし、読めない。諦める。
「どうすればいいんだ…。くそ…」
『(旅に出るのだ)』
「!?」
誰かからの声。大声を出して確認するが、だれもいないため、無反応だ。
「これは…一体…」
念のためあの声を従うしかないっと思ったリュウト。
基地長室
「お! リュウト君じゃないか。どうしたんだい?」
陽気な顔で言ったのはセーヴァン。野生獣撲滅基地フェルダイン中央の基地長である。
「セーヴァン基地長、話したいことがありますけど…」
リュウトは数時間前の話と、前、野生獣と接触で大怪我を負ったことを全て話した。
「ほほー。その大怪我で《魂獣》に宿した《魂獣者》になったのか…」
「はい。地域外へ旅に出るべきか、迷っていますが…」
「う…ん…」
セーヴァンは考えた。考えたあと、結論は…。
「旅に出るべきかな。覚醒しても、最初は不安定だからな、旅をしながらも、《魂獣》になれ、世界を救ってくれれば」
「そうですか。ということは、地域外外出は許可してくれますよね?」
「勿論!」
「有難うございます!」
その基地長室の外ドアの前で聞いていた後輩。
「リュウト兄貴…」
その深夜、携帯テントや旅の用品などをカバンに入れて、門を出ようとすると、門の前で誰かいる。
「リュウト兄貴…本当にでるの?」
「ああ。もう、手続きは終えたからな」
リュウトを心配に来ていたのは、リュウトより年下のフレイ。あの時の野生獣との戦いのとき、一緒にいた人だ。
「やっぱりおかしいと思いました。《魂獣》になったってリュウト兄貴から言ってたよね」
「何故そんなことを。まさか、ひそかに聞いていたのか」
「はい…足手纏の僕のせいで…。リュウトさんが旅に出るなんて思ってもいませんでした」
「いや、嬉しく思っているよ。地域外のところへ出られるからな。それじゃ」
「リュウト兄貴!!!」
そして、基地から出て行った。前にいたのはアルマーとストームだった。
「旅に出ると選択したな。よろしくな」
「よろしく! アルマー師匠!」
物語の始まり、そして旅の始まりである。これから、《速訊竜》の強さと謎が明かされるだろう。
最終更新:2008年07月20日 14:00