「もうすぐ完成だ…。私自作バイオビースト第1号が」
この大きな水槽の中に第1号が眠っている。実はあの人もバイオビーストらしい。
バイオビーストとは、野生獣の心に支配し、人間の心がない悪の魂獣のこと。味方の悪の魂獣だって倒さなければいけない相手なのだ。
「さあ目覚めろ! 第1号よ!」
水槽のガラス破壊とともに目覚めた。
「完成した…。これで、第1号! あいつらを倒すのだ!」
「グオオオオオオオオオオオオ」
第6話 電気土竜
テントの中。
「はぁ~。ストームは気をうしなうわ、リュウトは疲労で動けなくなる…。想定外だった…」
「すみません…」
「でも何故だ? リュウトが速訊竜と同化の時と同じく、ストームの時も最後のときはかなり疲れきっている。私は全然なんともなかったのに…」
「俺にも知らない。速訊竜と意識同化した時、急に身体に負担がかかってきて…」
「うむ……。ちょっとまってよ」
アルマーのアイテムボックスから《魂獣大辞典》とかかれた大きな本を出した。
「こ…これは…」
「ああ。昔から使っていた大辞典だよ。昔までは相手の戦略のために見ていたが、今は、魂獣について色々と調べる道具となったんだ」
「へぇ~」
「えーっと、意識同化は…。ここだ!」
辞書から意識同化を見つけて、それを声を出して読む。
意識同化とは、その名の通り、姿だけではなく、意識も同化させるいわゆる完全覚醒といわれている。しかし、初めて意識同化したとき、激しい負担が出てくる。下手でもすれば死に至るケースも。2回目以降、別の魂獣を同化してもしっかりと慣れているため問題はない。
「こういうものなのか…」
「そう見たいだな。今日一日ストームは目覚めそうもないな。今日一日ゆっくりしよう」
しょうがなく今日は休息をとることに。
その夜。静かで、ほとんどの野生獣は眠っている頃、何か音がうるさい。気になったアルマーは外へ出て行くと…。大きな野生獣(?)が一体ここへやってくる。これはっとアルマーは騎士獣になって野生獣のところへ走り、とめようとするが…。
「なんだって!? こんなに野生獣は強かったっけ? (弱点相手は除く)」
「野生獣……なんかじゃない…」
「!?」
「人間の力を借りて作られた悪の魂獣《バイオビースト》だ」
「バイオビースト…。改造獣ってことか。かなり強いと思っていたよ。でも…なんというパワーだ…。ぐあ…」
「このまま地面にたたきつければいい…うおおおおお!」
凄い怪力で騎士獣を地面にたたきつけた。すぐには動けない。
「これで最後だ!」
その時! 地中から土竜が出てきた。
「土竜!」
「いや…。ただの土竜ではない…。見たことあるような…」
「久しぶりに地上へ出られたかと思いきや、バイオビーストじゃないか」
「せっかく騎士獣に勝てるかと思いきや、空気読めないやつが…。破壊!」
「改造獣! その土竜に手を出すな!」
でも遅かった。バイオビーストの右手が土竜に触れた。すると…。
「エレキビリビリ!!!」
凄い電気がバイオビーストに襲い掛かる。
「ぐあああああああ」
そして、身体中麻痺になって、倒れた。
「やっぱり凄い…。電気を使うってことは電気土竜エレギンか?」
「あ! お久しぶりです。騎士獣アルマー! バイオビースト相手に苦戦しちゃって。もう年をとっているんかい?」
「ただ単に油断してしまっただけだ!」
「まぁ、無断で電気土竜の身体に触れると。感電してしまうぜ!」
「(いや、感電どころではない)そういえば、これからどうする気?」
「うーん…。今行きたい場所はないし…暇つぶしのためにお前と一緒に旅についていくよ」
「本当なの!?」
「ああ! あ! 情報だと、新しい仲間が入ったって情報があるけど、その場所に連れてってくれないか」
「いや、すぐ近くのテントにいるから」
騎士獣はアルマーに、電気土竜はエレギンに戻り、テントへ入った。
最終更新:2008年07月20日 13:49