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 ビーチ×ゾンビ  ◆WfkxWy5nfs 灼熱の炎天下、ビーチという場所は、特にこのセント・マデリーナ島ではすばらしい場所になる。 特に太陽が昇りきった昼頃では、日焼けや泳ぎに来た観光客、観光客目当ての商売をする地元民などでビーチは大いに賑わう。 ビーチではスタイルのいい美女や美男子が、トップレスや、殆ど裸と言っていい姿で日焼けをしている姿を見ることができる。 このような光景もこのセント・マデリーナ島の観光スポットの一つだという事である。 野原ひろしも、ビーチでの美女を観察するためにやってきた観光客の一人である。 最も家族でこのセント・マデリーナ島に来ているので、シロの散歩に行くという名目でこのビーチに来ているのだが… 砂浜でビーチチェアに座りながら、泳いでいる美女や日焼けをしている美女をいやらしい目線で見ている。 目線を隠すためにサングラスをしているが、口元がにやついているのであまり効果があるとは言えない。 「いやぁー!にしてもピチピチギャルがこんなにたくさんいるとは…」 ひろしは、金髪のトップレスな美人を見ながら呟く。 座っているひろしの横では、シロが呆れたように首を振っている。 日頃とは違う場所を散歩でき嬉しかったシロだが、大部分の時間をこのビーチで過ごしている、さすがにシロもこの光景に飽きてきていた。 そんなシロの思いとは別にひろしは、まだビーチ周辺にいる美女達を眺めていた。 (日本のビーチでは、見ることのできない素晴らしい外人の肉体美… もはや芸術的と言っていいほどの胸に尻… ああ…俺はこの島に来てよかった…!ありがとう商店街の福引券…!) ひろしは心の中で感涙していた。 そんなことを考えつつ、日頃の生活では味わえないなんともいえない開放感にひたりながら、ひろしはおもむろに携帯電話の時計を見てみた。 「ゲッ!もうホテルからでてきてもう4時間もたってる!」 さすがに、これだけの時間外で遊んでいてはシロの散歩という言い訳がききそうには無い。 もっとも割と感のいいみさえのことである、実は美女鑑賞のためにビーチにきているということがばれているという可能性も捨てきれない… (ホテルへと戻るべきか、戻らずべきか…) そう思考していると、露天の方から香ばしい匂いが漂ってきた。 ボルボ西郷と左近寺龍之介は、ビーチで焼きそばを売る露天を開いていた。 しかもこの露天、回りにある地元民が経営しているような、アメリカによくある一般的な露天や販売車ではなく、日本のお祭りでよく見られるような露天である。 さらに、ボルボ西郷は性分から武器を身体から離すことができず、H&K P11、ベレッタM92を足と胸にホルダーに収めている。 また左近寺龍之介は、見事な逆三角形で雰囲気からしてかなりの強面である、中国系のマフィアかヤクザと間違えられてもおかしくは無い。 そのためか、他の観光客からは怪訝な目で見られており、あまり繁盛はしていなかった。 「なあ左近寺、なんで俺達はこんな所で焼きそば売ってるんだろうな…」 「言うな、ボルボ。あの両津からの提案に乗ってしまった時点で俺達の負けだったんだ」 彼らがこんな場所で、露天をしているのはあの葛飾署の問題児、両津勘吉のせいであった。 両津の提案とは、セント・マデリーナ島である商売をするので一緒にきて欲しい、来るだけで分け前の5分の1はもらうことができるという事だった。 左近寺は沙織の限定グッズのため、ボルボは米軍放出品の新しい銃を購入するために、今回このセント・マデリーナ行きを決意した。 だが、両津はセント・マデリーナに着くや、露天の商売道具をボルボ達に渡し、こう告げる。 「お前らは、しばらく露天で金を稼いできてくれ、なんだ?不安そうな顔をしているが大丈夫だ!決して見捨てたりはしないぞ」 「一緒に付いてくるだけでよかったんじゃなかったのか?」 「ボルボ!大丈夫だ、何の不安もない、これも商売の際に必要なことなんだ!」 ボルボ、左近寺両名はお互いに目を合わせながら(やっぱりくるんじゃなかった…)と心の底から後悔していた… 「あのー、一つ焼きそば貰えるかな?」 白い犬を引き連れた日本人観光客がやってきた。 「いらっしゃい!焼きそば一つですね、少しお時間がかかりますがよろしいですか?」 左近寺がいかつい営業スマイルで答える。 「い、いいですよ…」 客は若干後ろに引きながら答える。 左近寺が客とのやり取りをしている間、ボルボは道路に不審な動きをした人を見ていた。 道路の真ん中で、挙動不審な動きをしている、幸いに交通量が少ないためか轢かれてはおらず、時折罵声やクラクションが不審者に対して投げかけられていた。 業を煮やしたドライバーの一人が、車から降り不審者に近寄る。 ドライバーが何か一言言おうとした瞬間に出来事は起きた。 不審者がドライバーの首を噛んだのである、鮮血がドライバーの首からまき散らされあたりを汚した。 首を噛んだ不審者は、そのまま首筋の肉を食らい、道路の真ん中で世にもおぞましい食事をし始めていた。 辺りはを騒然と化していた。警察を呼ぶ人の声、男女の叫び声が入り乱れ、ビーチ周辺は一種のパニック状態に陥っていた。 屋台で焼きそばを作っていた左近寺と、それを待っていた野原ひろしも、その様子を見て驚愕した。 「な、なんですかね…アレ?映画の撮影とかでしょうかね…?は、はは…」 ひろしが左近寺に尋ねる、左近寺もあまりの出来事に焼きそばを作る手を止めている。 「いや、俺にも解らん。なんなんだアレは?」 あまりの状況に左近寺とひろしは混乱していた。 だが、ボルボだけは軍隊経験やニューヨーク市警の経験のおかげか比較的冷静な状態であった。 「左近寺とお客さんも落ち着いてくれ、もしこれが暴動かなにかの類か麻薬をやってラリッている野郎が暴れているだけなのかは解らんが。 なるべくあの男に刺激を与えないようにするのが、ベストだ。できるだけ情報を集めよう、もし何かあったとしたらここの警察も無能じゃない 何か対策をうつはずだ」 ボルボは一連の出来事を見ながら、冷静に状況を判断していた。 屋台には、両津から商売道具と共に渡されたラジオが置かれていた。 情報収集をするためにラジオのスイッチを入れ、ボリュームをボルボが上げる。 ラジオからアナウンサーの緊迫した声が聞こえる。 『住民の方々は警察が救助に来るまで、家を出たりせず、その場で待機していてください。繰り返します、現在、セント・マデリーナ島全体で――』 ニュース内容は、島全体で暴動が起きていることや暴動を積極的に行っている者たちは噛みついたり、信じられない事だが人の肉を食らうことが伝えらていた。 放送局側も情報が錯綜しており、具体的に確信のある情報では無いと断りをいれているが、このビーチでの出来事を見る限り、ラジオから情報は本当だといえる。 「ワン!」 突如としてシロが吠える、吠えた先には先ほどの不審者と同じような挙動不審な者たちが大勢いた。 すでにビーチの周辺道路に彼らが多数出現しており、ビーチ周辺の混乱は収まる気配がなかった。 「警察はまだこないのかよ〜、島全体に暴動ってみさえ達は大丈夫なのか?」 ひろしが頭をかきながら嘆く。 「島全体で暴動が起きるなんてここはどうなってるんだ!」 左近寺も自分の理解が超えている状況に対応できず、悪態をついている。。 幸いな事に、屋台の付近には奴らの姿は無い。 だがビーチ周辺に奴らが集まってきているので、避難するなら早くした方がいいことは明白である。 「左近寺!お客さん!ここは避難する方がいい!」 ボルボが叫ぶ、左近寺、ひろし両名軽いパニック状態になっている、ここはボルボがリーダーになり行動した方が適切に対応できる。 「避難するったってどこに?」 ひろしがボルボに尋ねる。 「回りの治安と安全が保障されている場所だ。警察署か病院…そうだな確かこのビーチからは警察署が近いはずだ、そちらに避難して暴動のほとぼりが冷めるまで待とう」 「そ、そうだな。さすがにこんなことが起きてまで焼きそばを売る必要は無いな、屋台もここに置いておこう、移動する時に邪魔になるだけだしな」 左近寺は焼きそばのヘラを持ちながら相槌をうつ。 「なら、いくぞ!」 掛声とともにボルボが胸にしまっていたベレッタM92を取りだして先導する。 「あ、あのー俺も一緒にいっていいの?」 ひろしが情けない声で先導し始めたボルボに尋ねた。 「心配するな、屋台は副業で、俺はこうみえても日本の警察官なんだ。市民を守ることは当たり前のことだ」 「そうだったんですか…いやぁ、失礼ながら地元のヤクザかマフィアの方かと思っちゃいまして…」 軽い笑いがボルボとひろしの間で起きる、なんとかひろしもパニック状態から脱出しつつあった。 ボルボに先導された左近寺、ひろしは奴らの群れを避けながら警察署を目指していく。 ビーチからやや離れた人通りの少ない街路で小休憩をする、警察署にはまだまだ遠い場所である。。 街全体の様子はまだ、混乱が収まっておらずサイレン音があたりにこだましている。 周囲の安全に気を配りながらボルボは、ひろしに対して会話をする。 「改めて自己紹介しよう、俺はボルボ西郷さっき言った通り日本の警察官だ。こっちは、左近寺龍之介俺と同じ警察官だ」 「よろしく」 歩きながら左近寺がひろしと握手をする。 「私は双葉商事に努めるサラリーマンで野原ひろしって言います。こっちはウチの家の犬でシロっていいます」 シロは礼儀正しくお辞儀をする。 「利口な犬だな、さきほどみさえって言ってたが、家族もこの島に?」 「ええ、家族旅行でして、今はホテルに居るんで多分大丈夫だと思うんですが…」 ひろしが心配そうな顔をする。 「多分、大丈夫だろう。こんな観光地だ、警察は観光客の安全を確保するのに躍起だろう。島としての評判を落としたくないからな」 「そうだといいんですが…」 「なんなら、今携帯電話で連絡を取ってみたらどうだ?」 「それが繋がらないんですよ、混線状態なのか知りませんが警察や消防にも掛からないみたいなんです」 ひろしが携帯電話を手に持った携帯電話を見つめる、電波は届いてるようだ。 「なら、警察署で聞くべきだな。よかったら家族の写真でも見せてくれないか?」 「いいですよ」 携帯電話を操作し、みさえ達の写真を見せる。どうやらこの島に来た時記念撮影した物のらしい。 「息子と娘がいるようだが…」 「しんのすけとひまわりっていいます、無事ならいいんですが…」 不安そうな顔で返事をする。 (家族が相当心配のようだな…今の段階、何を言っても不安を取り除くことはできないな) ボルボは、陰鬱な表情のひろしの肩を叩き元気つける。 「そういえば両津はどうなったんだ?」 ボルボと同じように周辺を警戒していた左近寺がボルボに尋ねる 「いや、俺も知らないが…まぁあの男ならどんな状況でも生きてるだろう。逆にこの騒動を利用して何かしているのかもしれん」 ボルボがぶっきらぼうに答える、もともと何をしでかすか解らない男である、もしかしたらこの騒動を引き起こしたのかもしれないそんな考えがボルボによぎる。 「すいませんが、両津さんて?」 「同じ警察官なんだが、かなりのトラブルメーカーでな。俺達がこの島に行くきっかけを作った男なんだ」 ボルボが簡単に両津の外見について説明した。 「本当ならあいつを捜しにいってもいいんだが、あの男は、はっきりいって何をしでかすか解らん。同じ警察官だが、自分の欲望のためになんどか俺らもヒドイ目にあわされた 事が何度かある。とりあえず奴と合流することを先決するよりも警察署で情報を入手したほうが安全で確実だ」 「そ、そうなんですか」 ひろしは、その両津という男性は見たこともないが相当クレイジーな奴だということは解った。 会話も途切れた後、ボルボは周辺の様子を確認し、仲間達にこれからのことを話した。 「さて、そろそろ休憩も終わりだ。ここはビーチほど、混乱していないが何が起きるかわからんからな ビーチで会ったあのゾンビみたいな不審者に出会う可能性がある。気を付けていくぞ」 そうボルボが告げると、一同は彼を先頭として進み始めた。 男3人と犬1匹の逃走劇は今まさにはじまったばかりである。 (どうせなら、チャーリーズ・エンジェルみたいな美女だったらなぁ…) ひろしの嘆きはゾンビ達には聞こえない。 【H−05/メインビーチ/1日目・昼 10〜12時】 【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】  [状態]: 健康、不安  [服装]: アロハシャツ、半ズボン、サングラス、帽子  [装備]: 携帯電話、財布  [道具]: なし  [思考]  1:みさえ、しんのすけ、ひまわりが心配  2:左近寺、ボルボと警察署に行く 【しろ@クレヨンしんちゃん】  [状態]: 健康  [服装]: なし  [装備]: なし  [道具]: なし  [思考]  1:ひろしに付いていく  2:しんのすけが心配 【ボルボ西郷@こち亀】  [状態]: 健康、  [服装]: 迷彩服  [装備]: H&K P11(7.62mmx36(特殊弾薬)弾数5)、ベレッタM92(9mm弾 弾数15)、マガジン(9mm弾 15発)×1  [道具]: やきそばのヘラ  [思考]  1:警察署に行く  2:ゾンビのような行動をする不審者に対する情報収集  3:両津との合流 【左近寺龍之介@こち亀】  [状態]: 健康、  [服装]: 上下ともにジャージ  [装備]: なし  [道具]: やきそばのヘラ  [思考]  1:警察署に行く  2:両津との合流  [備考]  共通事項   ※H−05からG−06に裏路地を使いながら移動中です。   ※銃器に関してボルボ西郷は豊富な知識がありますが、左近寺はニューナンブが扱えるだけの知識しかありません   ※ボルボの持っているH&K P11は弾をリロードすることができませんが、水中で撃つことができます   ※ボルボはゾンビの存在に対してまだ完全に認めていません。   ※野原ひろしは、両津勘吉の容姿や服装を把握しています。   ※ボルボと左近寺は、野原しんのすけ、みさえ、ひまわりの容姿や服装を把握しています。
 ビーチ×ゾンビ  ◆WfkxWy5nfs 【-7日目】 ボルボ西郷と左近寺龍之介は、両津に呼び出され葛飾署の休憩室に呼ばれていた。 この休憩室は、昼頃になると署員が持ってきた弁当などを食べる場所である、だが今はボルボ、左近寺が持参してきたプロテイン、レーションによって いつもの昼時とは違い異質な光景になっていた。 「両津、話があるって言ってたが、いったいどんな要件だ」 左近寺が正面に座っている両津勘吉に話しかけた。 「ちょっとしたアルバイトをしないか?左近寺、ボルボ」 「アルバイト?」 ボルボが怪訝な表情で聞き返す。 「セント・マデリーナ島って知っているか?わしはそこに行って商売の取引をしなくちゃならん、だが現地に行くまで一人では心細い そこでだ、ボルボと左近寺がわしと一緒に島までボディガードとして一緒に来てくれんか?」 両津が二人に問いかける。 「両津、お前にボディガードなんて要らないだろう」 左近寺が答える。それもそのはずである、この両津という男、ゴキブリ並の生命力と悪知恵だけは働く頭脳を持っている。 はっきり言ってこの男にボディガードは必要無いと言える。 「お前の能力があれば、どんな奴がきても一人で退治できるはずだ」 ボルボもそう断定する。ボルボと左近寺は何度か両津と組んで仕事の手伝いをしたことがあるが、いい目にあった記憶はあまりない。 はっきり言えば、彼らは、トラブルメーカーである両津と組みたくなかったのである。 「そう言うと思ったぞ、お前ら。そして嫌そうな顔をするな!ボディガードと言ってもただついてくるだけでいい、それだけだ」 両津が二人の顔を見つつ仕事の内容を話す。 「セント・マデリーナ島で、ちょっと取引の商談があるんだが、先方がなかなか疑い深い人間でな、わし一人だと信じてくれんのだ そこで、お前ら二人が一緒にきてくれれば、向こうも信頼する」 「そんなことなら、俺らより、中川や麗子と一緒に方がいいと思うぞ」 ボルボが答える、頭脳派というより筋肉派のボルボと左近寺である、商談となれば自分達より商売に慣れている彼ら二人の方が断然いいはずである。 「ちょっと訳有りでな…派出所の面々とは、一緒に行けんのだ、もし部長にばれたらとんでもないことになる。だから頼む!」 両津が両手を合わせてボルボと左近寺に懇願している、だがボルボと左近寺は首を振ろうとはしない。 「そうか…この商談に付いてくるだけでお前らが今欲しがっている物を買えるほどの金額が貰えるというのに…」 彼らの反応を見て、席を立ちながら両津が呟く。 「そ、そんなに貰えるのか?」 左近寺が席に乗り出しながら両津に尋ねる。 「ああ、そうだ分け前の5分の1をお前らにバイト代として渡そう。まぁそれでも十分な金額だがな」 こうしてボルボと左近寺はセント・マデリーナ島に行くことになったのである。 【-5日目】 セント・マデリナーナに行く前にボルボは、自分の部屋で準備をしていた。 気が乗らないといってもボディガードとして行くのである、それなりの装備をしていかないとどんな状況でも対応ができない。 「MP-5は必須かもしれんな、短距離でも制圧能力がある。屋内戦でも活躍できるしな…」 バックパックの中に銃を入れていく、すでに30丁は超えている。中には手榴弾やスタングレネード、対防弾チョッキなど、観光地にボディガードをするための武装とはいえ過剰装備である。 予備のグレネード弾をどうやって運ぼうかとボルボが頭を悩ませていると、鈍い轟音とともにドアが乱雑に開けられた。 「ボルボ!入るぞ」 両津が、唐突にボルボの部屋に入ってきたのだった。 「両津か、どうしたんだ?」 ボルボが驚いた様子で両津を見る。 「お前の荷物が心配でな…やっぱりこうなっていたか…」 両津が渋い顔をしながら、ボルボが準備をしている銃器に目を通した。 ボルボは近くにあったM4A1の銃器をチェックしながら、両津に笑いながら話す。 「これだけあれば、いかなる状況においても対処できる。一応ボディガードとして行くんだ、これくらいの装備は当然だろう」 突如として両津の鉄拳が、ボルボの頭部にあたる。 「あいた!」 ボルボが殴られた頭を抱えながら両津の顔をみた。 「お前はアホか!最近のアメリカの事情もしらんのか!向こうじゃナカトミタワーという所でテロがあってから、銃に対する規制が厳しくなったんだよ!せいぜい持ってけるのは1丁までだ!」 両津が鬼のような形相でボルボに話す。 ボルボがかなり動揺しながら、両津に向かって吠える。 「1丁なんて少なすぎますよ!最悪5丁か…いや10丁はどんな状況でも必要です!」 もう一度、両津の鉄拳が飛ぶ。 「じゃあ5丁だ!ただしマシンガン、軽機関銃、マシンピストル、ライフル、突撃銃、手榴弾、地雷、ナパームは駄目だ!もちろんショットガンもな!」 「それじゃあ拳銃だけか…」 ボルボが残念そうな顔をする。 「言っとくが行く前には、身体検査をするからな。パンツの中まで調べさせてもらう、覚悟しておけよ」 「そんな…」 ボルボが嘆く。一度銃を取り上げられ葛飾区を裸で走った経験のあるボルボは落胆を隠せない。 「大体、お前は銃を持ち過ぎだろ…普通は予備のマガジンを持っていくもんだろ」 両津は呆れながらボルボの部屋を出て行った。 ================================================================================================================= こうしてボルボは、セント・マデリーナ島には武器商人にように大量の銃器を持つことができなくなったのである。 これが良い結果を生み出すのか悪い結果を生み出すのか… 灼熱の炎天下、ビーチという場所は、特にこのセント・マデリーナ島ではすばらしい場所になる。 特に太陽が昇りきった昼頃では、日焼けや泳ぎに来た観光客、観光客目当ての商売をする地元民などでビーチは大いに賑わう。 ビーチではスタイルのいい美女や美男子が、トップレスや、殆ど裸と言っていい姿で日焼けをしている姿を見ることができる。 このような光景もこのセント・マデリーナ島の観光スポットの一つだという事である。 野原ひろしも、ビーチでの美女を観察するためにやってきた観光客の一人である。 最も家族でこのセント・マデリーナ島に来ているので、シロの散歩に行くという名目でこのビーチに来ているのだが… 砂浜でビーチチェアに座りながら、泳いでいる美女や日焼けをしている美女をいやらしい目線で見ている。 目線を隠すためにサングラスをしているが、口元がにやついているのであまり効果があるとは言えない。 「いやぁー!にしてもピチピチギャルがこんなにたくさんいるとは…」 ひろしは、金髪のトップレスな美人を見ながら呟く。 座っているひろしの横では、シロが呆れたように首を振っている。 日頃とは違う場所を散歩でき嬉しかったシロだが、大部分の時間をこのビーチで過ごしている、さすがにシロもこの光景に飽きてきていた。 そんなシロの思いとは別にひろしは、まだビーチ周辺にいる美女達を眺めていた。 (日本のビーチでは、見ることのできない素晴らしい外人の肉体美… もはや芸術的と言っていいほどの胸に尻… ああ…俺はこの島に来てよかった…!ありがとう商店街の福引券…!) ひろしは心の中で感涙していた。 そんなことを考えつつ、日頃の生活では味わえないなんともいえない開放感にひたりながら、ひろしはおもむろに携帯電話の時計を見てみた。 「ゲッ!もうホテルからでてきてもう4時間もたってる!」 さすがに、これだけの時間外で遊んでいてはシロの散歩という言い訳がききそうには無い。 もっとも割と感のいいみさえのことである、実は美女鑑賞のためにビーチにきているということがばれているという可能性も捨てきれない… (ホテルへと戻るべきか、戻らずべきか…) そう思考していると、露天の方から香ばしい匂いが漂ってきた。 ボルボ西郷と左近寺龍之介は、ビーチで焼きそばを売る露天を開いていた。 しかもこの露天、回りにある地元民が経営しているような、アメリカによくある一般的な露天や販売車ではなく、日本のお祭りでよく見られるような露天である。 さらに、ボルボ西郷は性分から武器を身体から離すことができず、H&K P11、ベレッタM92を足と胸にホルダーに収めている。 また左近寺龍之介は、見事な逆三角形で雰囲気からしてかなりの強面である、中国系のマフィアかヤクザと間違えられてもおかしくは無い。 そのためか、他の観光客からは怪訝な目で見られており、あまり繁盛はしていなかった。 「なあ左近寺、なんで俺達はこんな所で焼きそば売ってるんだろうな…」 「言うな、ボルボ。あの両津からの提案に乗ってしまった時点で俺達の負けだったんだ」 彼らがこんな場所で、露天をしているのはあの葛飾署の問題児、両津勘吉のせいであった。 両津の提案とは、セント・マデリーナ島である商売をするので一緒にきて欲しい、来るだけで分け前の5分の1はもらうことができるという事だった。 左近寺は沙織の限定グッズのため、ボルボは米軍放出品の新しい銃を購入するために、今回このセント・マデリーナ行きを決意した。 だが、両津はセント・マデリーナに着くや、露天の商売道具をボルボ達に渡し、こう告げる。 「お前らは、しばらく露天で金を稼いできてくれ、なんだ?不安そうな顔をしているが大丈夫だ!決して見捨てたりはしないぞ」 「一緒に付いてくるだけでよかったんじゃなかったのか?」 「ボルボ!大丈夫だ、何の不安もない、これも商売の際に必要なことなんだ!」 ボルボ、左近寺両名はお互いに目を合わせながら(やっぱりくるんじゃなかった…)と心の底から後悔していた… 「あのー、一つ焼きそば貰えるかな?」 白い犬を引き連れた日本人観光客がやってきた。 「いらっしゃい!焼きそば一つですね、少しお時間がかかりますがよろしいですか?」 左近寺がいかつい営業スマイルで答える。 「い、いいですよ…」 客は若干後ろに引きながら答える。 左近寺が客とのやり取りをしている間、ボルボは道路に不審な動きをした人を見ていた。 道路の真ん中で、挙動不審な動きをしている、幸いに交通量が少ないためか轢かれてはおらず、時折罵声やクラクションが不審者に対して投げかけられていた。 業を煮やしたドライバーの一人が、車から降り不審者に近寄る。 ドライバーが何か一言言おうとした瞬間に出来事は起きた。 不審者がドライバーの首を噛んだのである、鮮血がドライバーの首からまき散らされあたりを汚した。 首を噛んだ不審者は、そのまま首筋の肉を食らい、道路の真ん中で世にもおぞましい食事をし始めていた。 辺りはを騒然と化していた。警察を呼ぶ人の声、男女の叫び声が入り乱れ、ビーチ周辺は一種のパニック状態に陥っていた。 屋台で焼きそばを作っていた左近寺と、それを待っていた野原ひろしも、その様子を見て驚愕した。 「な、なんですかね…アレ?映画の撮影とかでしょうかね…?は、はは…」 ひろしが左近寺に尋ねる、左近寺もあまりの出来事に焼きそばを作る手を止めている。 「いや、俺にも解らん。なんなんだアレは?」 あまりの状況に左近寺とひろしは混乱していた。 だが、ボルボだけは軍隊経験やニューヨーク市警の経験のおかげか比較的冷静な状態であった。 「左近寺とお客さんも落ち着いてくれ、もしこれが暴動かなにかの類か麻薬をやってラリッている野郎が暴れているだけなのかは解らんが。 なるべくあの男に刺激を与えないようにするのが、ベストだ。できるだけ情報を集めよう、もし何かあったとしたらここの警察も無能じゃない 何か対策をうつはずだ」 ボルボは一連の出来事を見ながら、冷静に状況を判断していた。 屋台には、両津から商売道具と共に渡されたラジオが置かれていた。 情報収集をするためにラジオのスイッチを入れ、ボリュームをボルボが上げる。 ラジオからアナウンサーの緊迫した声が聞こえる。 『住民の方々は警察が救助に来るまで、家を出たりせず、その場で待機していてください。繰り返します、現在、セント・マデリーナ島全体で――』 ニュース内容は、島全体で暴動が起きていることや暴動を積極的に行っている者たちは噛みついたり、信じられない事だが人の肉を食らうことが伝えらていた。 放送局側も情報が錯綜しており、具体的に確信のある情報では無いと断りをいれているが、このビーチでの出来事を見る限り、ラジオから情報は本当だといえる。 「ワン!」 突如としてシロが吠える、吠えた先には先ほどの不審者と同じような挙動不審な者たちが大勢いた。 すでにビーチの周辺道路に彼らが多数出現しており、ビーチ周辺の混乱は収まる気配がなかった。 「警察はまだこないのかよ〜、島全体に暴動ってみさえ達は大丈夫なのか?」 ひろしが頭をかきながら嘆く。 「島全体で暴動が起きるなんてここはどうなってるんだ!」 左近寺も自分の理解が超えている状況に対応できず、悪態をついている。。 幸いな事に、屋台の付近には奴らの姿は無い。 だがビーチ周辺に奴らが集まってきているので、避難するなら早くした方がいいことは明白である。 「左近寺!お客さん!ここは避難する方がいい!」 ボルボが叫ぶ、左近寺、ひろし両名軽いパニック状態になっている、ここはボルボがリーダーになり行動した方が適切に対応できる。 「避難するったってどこに?」 ひろしがボルボに尋ねる。 「回りの治安と安全が保障されている場所だ。警察署か病院…そうだな確かこのビーチからは警察署が近いはずだ、そちらに避難して暴動のほとぼりが冷めるまで待とう」 「そ、そうだな。さすがにこんなことが起きてまで焼きそばを売る必要は無いな、屋台もここに置いておこう、移動する時に邪魔になるだけだしな」 左近寺は焼きそばのヘラを持ちながら相槌をうつ。 「なら、いくぞ!」 掛声とともにボルボが胸にしまっていたベレッタM92を取りだして先導する。 「あ、あのー俺も一緒にいっていいの?」 ひろしが情けない声で先導し始めたボルボに尋ねた。 「心配するな、屋台は副業で、俺はこうみえても日本の警察官なんだ。市民を守ることは当たり前のことだ」 「そうだったんですか…いやぁ、失礼ながら地元のヤクザかマフィアの方かと思っちゃいまして…」 軽い笑いがボルボとひろしの間で起きる、なんとかひろしもパニック状態から脱出しつつあった。 ボルボに先導された左近寺、ひろしは奴らの群れを避けながら警察署を目指していく。 ビーチからやや離れた人通りの少ない街路で小休憩をする、警察署にはまだまだ遠い場所である。。 街全体の様子はまだ、混乱が収まっておらずサイレン音があたりにこだましている。 周囲の安全に気を配りながらボルボは、ひろしに対して会話をする。 「改めて自己紹介しよう、俺はボルボ西郷さっき言った通り日本の警察官だ。こっちは、左近寺龍之介俺と同じ警察官だ」 「よろしく」 歩きながら左近寺がひろしと握手をする。 「私は双葉商事に努めるサラリーマンで野原ひろしって言います。こっちはウチの家の犬でシロっていいます」 シロは礼儀正しくお辞儀をする。 「利口な犬だな、さきほどみさえって言ってたが、家族もこの島に?」 「ええ、家族旅行でして、今はホテルに居るんで多分大丈夫だと思うんですが…」 ひろしが心配そうな顔をする。 「多分、大丈夫だろう。こんな観光地だ、警察は観光客の安全を確保するのに躍起だろう。島としての評判を落としたくないからな」 「そうだといいんですが…」 「なんなら、今携帯電話で連絡を取ってみたらどうだ?」 「それが繋がらないんですよ、混線状態なのか知りませんが警察や消防にも掛からないみたいなんです」 ひろしが携帯電話を手に持った携帯電話を見つめる、電波は届いてるようだ。 「なら、警察署で聞くべきだな。よかったら家族の写真でも見せてくれないか?」 「いいですよ」 携帯電話を操作し、みさえ達の写真を見せる。どうやらこの島に来た時記念撮影した物のらしい。 「息子と娘がいるようだが…」 「しんのすけとひまわりっていいます、無事ならいいんですが…」 不安そうな顔で返事をする。 (家族が相当心配のようだな…今の段階、何を言っても不安を取り除くことはできないな) ボルボは、陰鬱な表情のひろしの肩を叩き元気つける。 「そういえば両津はどうなったんだ?」 ボルボと同じように周辺を警戒していた左近寺がボルボに尋ねる 「いや、俺も知らないが…まぁあの男ならどんな状況でも生きてるだろう。逆にこの騒動を利用して何かしているのかもしれん」 ボルボがぶっきらぼうに答える、もともと何をしでかすか解らない男である、もしかしたらこの騒動を引き起こしたのかもしれないそんな考えがボルボによぎる。 「すいませんが、両津さんて?」 「同じ警察官なんだが、かなりのトラブルメーカーでな。俺達がこの島に行くきっかけを作った男なんだ」 ボルボが簡単に両津の外見について説明した。 「本当ならあいつを捜しにいってもいいんだが、あの男は、はっきりいって何をしでかすか解らん。同じ警察官だが、自分の欲望のためになんどか俺らもヒドイ目にあわされた 事が何度かある。とりあえず奴と合流することを先決するよりも警察署で情報を入手したほうが安全で確実だ」 「そ、そうなんですか」 ひろしは、その両津という男性は見たこともないが相当クレイジーな奴だということは解った。 会話も途切れた後、ボルボは周辺の様子を確認し、仲間達にこれからのことを話した。 「さて、そろそろ休憩も終わりだ。ここはビーチほど、混乱していないが何が起きるかわからんからな ビーチで会ったあのゾンビみたいな不審者に出会う可能性がある。気を付けていくぞ」 そうボルボが告げると、一同は彼を先頭として進み始めた。 男3人と犬1匹の逃走劇は今まさにはじまったばかりである。 (どうせなら、チャーリーズ・エンジェルみたいな美女だったらなぁ…) ひろしの嘆きはゾンビ達には聞こえない。 【H−05/メインビーチ/1日目・昼 10〜12時】 【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】  [状態]: 健康、不安  [服装]: アロハシャツ、半ズボン、サングラス、帽子  [装備]: 携帯電話、財布  [道具]: なし  [思考]  1:みさえ、しんのすけ、ひまわりが心配  2:左近寺、ボルボと警察署に行く 【しろ@クレヨンしんちゃん】  [状態]: 健康  [服装]: なし  [装備]: なし  [道具]: なし  [思考]  1:ひろしに付いていく  2:しんのすけが心配 【ボルボ西郷@こち亀】  [状態]: 健康、  [服装]: 迷彩服  [装備]: H&K P11(7.62mmx36(特殊弾薬)弾数5)、ベレッタM92(9mm弾 弾数15)、グロック17C(9mm 弾数17)、H&K USP(9mm弾 弾数15)、マガジン(9mm弾 15発)×1  [道具]: やきそばのヘラ  [思考]  1:警察署に行く  2:ゾンビのような行動をする不審者に対する情報収集 3:両津との合流 【左近寺龍之介@こち亀】  [状態]: 健康、  [服装]: 上下ともにジャージ  [装備]: なし  [道具]: やきそばのヘラ  [思考]  1:警察署に行く  2:両津との合流  [備考]  共通事項   ※H−05からG−06に裏路地を使いながら移動中です。   ※銃器に関してボルボ西郷は豊富な知識がありますが、左近寺はニューナンブが扱えるだけの知識しかありません   ※ボルボの持っているH&K P11は弾をリロードすることができませんが、水中で撃つことができます   ※ボルボはゾンビの存在に対してまだ完全に認めていません。   ※野原ひろしは、両津勘吉の容姿や服装を把握しています。   ※ボルボと左近寺は、野原しんのすけ、みさえ、ひまわりの容姿や服装を把握しています。

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