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  ラストアクションヒーローズ  ◆kMUdcU2Mqo 博物館内部は時間の経過と共に混迷の度合いを増していった。 バスの激突によって崩れた玄関からゾンビが次々に侵入してくる。マクレーンはまだ 無事な裏口から観光客を逃がそうとするが、パニックに陥った人々を誘導するのは容易 いことではない。博物館の近くにいた警官が二人加勢に現れたが、すし詰め状態の 裏口からは中に入れず事態は一向に好転しない。出口に押し寄せる人の体がつかえて 身動きが取れないのだ。 博物館の裏口は元々スタッフら裏方の人間だけが使うもので、人が三人も横に並べば いっぱいになってしまう程度の幅しかなかったのだ。その狭い廊下に逃げ道を求める人たち がごった返していた。 「押すな! 押さないでくれ!」 「おかあさーーーーーん、まってーーーーーーーーー!」 「なんだよこれ? 映画の撮影かなんかじゃないの?」 「騒ぐんじゃない! ゆっくり進むんだ! そこのお前、子供を先に行かせてやれ!」 慣れない避難誘導に悪戦苦闘しながらもマクレーンは声を張り上げる。幸い動きのトロい ゾンビたちは人々の気配を見失ったようで確認した限りでは展示室をただうろついているだけだ。 しかし、もし気づかれて大挙してこの狭い廊下に押し寄せられたらもう打つ手がない。 手持ちのベレッタに予備の弾はなく、残っているのはマガジンの中の5発だけだ。 「マクレーンさん、倉庫の搬入口ならここよりも広いです! そっちに回った方が!」 「そりゃいいが倉庫ってどこだ!? それと弾丸がもうねえ! 搬入口でも何でもいいから持って来れないか!?」 「パトカーに予備の弾があります!」 「よし! 今すぐ持ってきてくれ!」 警官に指示を出し、自分も倉庫を探そうとしたマクレーンの元に中年の女が駆け寄る。 ラストアクションヒーローズ ◆kMUdcU2Mqo:2009/08/26(水) 21:43:48 「ああ、お巡りさん、ジェーンが、うちのジェーンがどこにもいないんです! あの子にもしもの ことがあったら私、わたし、おお神様!」 「ああ分かった分かったよ! あんたの娘さんは俺が探してくるからあんたは先に避難するんだ、 いいな!」  一方的に言い捨てると、展示室に飛び込む。文化と歴史を知らしめるはずの部屋はすでに死者 たちが闊歩する悪夢の場と化していた。室内にいるゾンビは目算でざっと十体、まともに相手を していたら弾があっという間になくなってしまう。ここには生き残っている人間はいないらしい。 囲まれる前にジェーンなる少女を見つけだし脱出しなければならない。  どうしていつも自分はこんな最悪の状況の中に放り込まれるのか、うんざりするが悠長に嘆いて いる暇はない。幸いなことに展示室は広く、展示物に阻まれて連中はバラバラに散らばって思う ようにはこちらには近づけない。マクレーンは腹をくくるとゾンビたちの間めがけて突っ込んだ。 「どけえええええぇぇぇぇ!」  マクレーンに気づいたゾンビたちが、彼を捕食しようといっせいに動き出す。揃って生気のない 青ざめた顔をして、それに反するように口だけは歯を剥き出しにしてその食欲を表しているのが おぞましい。  奴らの腕が獲物を捕らえようと伸ばされるが、陳列棚に体がぶつかってこちらにまで届かない。 その隙にマクレーンはショーケースを乗り越えて別の展示室へと向かう。  入植者の歴史を展示するその部屋の中央にはすでに数体のゾンビがたむろしていた。  犬歯を剥き出し、肉の削げ落ちた指をこちらに伸ばす。マクレーンは、傍らにあった等身大の アメリカ兵の人形からレプリカの小銃をもぎ取ると、大きく振りかぶる。  ゾンビが組み付くより早くフルスイングが炸裂、頭部を強打され接近していた一体が、他のゾン ビも巻き込みながら倒れる。常人なら昏倒間違いなしの一撃だが、ゾンビはなおも立ち上がろうと もがいている。    「クソッ、本格的にヤバいなこいつは……! ジェーン! どこだジェーン!」 へし折れたレプリカを投げ捨て奥へと向かう。目的の少女は見つからない、焦りばかりが募って ゆく。まさかすでに――  最悪の状況を覚悟した時、案内板のトイレのマークが目に飛び込んできた。そうだ、自分もナカ トミビルで追い詰められた時トイレに逃げ込んだではないか。個人差はあるだろうが、屋内での隠 れる場所でトイレという場所は思いつきやすいはずだ。すぐさまトイレへと向かう。  混乱で展示物が散乱した部屋を抜けていくと、白い壁に覆われた区画に出た。突き当たりにトイ レの看板がある。 (頼むからここにいてくれよ……!) 祈る思いで女子トイレへと入る。普段入ることのない女子トイレはいるだけで違和感を感じ、左 右に並んだ個室は、ゾンビが潜んでいるかもしれない危険もあいまって奇妙な圧迫感を感じさせる。 そんな中、奥の個室から何かが動く気配を感じた。 「ジェーン、いるか? お袋さんに頼まれて君を探しに来た。そこにいるんだろ?」  ベレッタを構え慎重に近づく。そこに誰かがいるのは確かだが、返事が全く無い。そこにいるのはゾンビかもしれない、だが、もしかしたら怯えて動けない少女かもしれない。確認しなければな らない。緊張で額に汗が流れる。  と、突然個室から小さな影が飛び出す! 「!!……、なんだ、脅かすなよ……」  現れたのは一匹のヨークシャー・テリアだった。気配の正体にマクレーンは思わず脱力する。 「こいつどっから紛れ込んだんだ? 首輪があるから飼い犬なんだろうが……ん? ちょっと待 て、まさか……」  猛烈に嫌な予感がする。チョロチョロと動き回るヨークシャー・テリアを捕まえて持ち上げてみ る。首輪の喉もとの部分には文字が書かれていた。『ジェーン』と。 「おいおい……犬かよ……」  どっと倦怠感が押し寄せてきた。自分は犬のために危ない橋を渡ってきたのかと思うとやるせな い気持ちになる。洗面台の鏡を見ると、実際、情けない表情の自分が映っていた。  とにかくこんなところに留まり続けるわけにはいかない。犬を抱えてトイレを出ようとする。だが、 その判断は少々遅きに失した。入り口付近からうめき声が聞こえ、数体のゾンビが姿を現す。後を つけられたのだ。  怒号と共にベレッタを連続発射、うち出された9ミリ弾が次々とゾンビを抉る。最後のゾンビを 倒した時点でベレッタのスライドが下がったままになる。ついに弾が切れてしまった。  トイレの外に出ると玄関口のほうからすでにゾンビたちが接近しつつあった。その数はとても 素手で相手できるものではない。たまらずにマクレーンは逃げ出す。    「神様! こんな事! 言いたか! 無いんですが! この仕打ちはあんまりじゃありませんか!」 しかし、逃げた先にもゾンビがいた。道を切り開くべく、ゾンビの一体を蹴り飛ばす、が、その 方向がまずかった。吹き飛んだゾンビが先住民の櫓のレプリカに激突、壊れた櫓がマクレーンに 向かって倒れ掛かる。 「しまっ――」  飛びのこうとするが間に合わない、倒れた櫓に足を挟まれてしまう。抜け出そうと必死にもがく が、引っ掛かって抜けない。その間にもゾンビたちは徐々に迫ってくる。犬はさっさと自分だけど こかへ逃げ出してしまった  突然連続した銃声が響き、マクレーンの近くにいたゾンビが体に複数の穴を開け倒れる。ようやく 応援が来たようだ。 「助かった、けどもう少し早くこれないのか!?」 「遅すぎるって? そりゃ失礼。でも俺ピザの配達人じゃねえんだから時間厳守を一方的に期待されても 困るな。」  現れたのは地元の警官ではなく、会ったこともない黒人の男だった。  車ドロを追いかけてアクセル・フォーリーがこの島にやってきたのは3日前のことだ。犯人が この島に逃げ込んだと確信した彼は、いつものように上司の許可を得ない強引な捜査で管轄外の この島にやってきて、ゾンビ騒動に出くわしたのだ。 「外にいた連中から弾渡してくれって頼まれたんだがおたくそれそころじゃなさそうだな……っと」 ゾンビたちはさらに近づいてくる。櫓を引き起こしている暇はないと判断、持ってきた9ミリ弾 をマクレーンに放り投げるとゾンビたちをひきつけるべく大声を張り上げる。 「オーケー全員注目! いい子のみんなも悪い子のゾンビたちもよーく聞けよ! ここにいるのは デトロイト育ちの新鮮なプリップリのお肉だ! 肌が黒いからって差別すんなよ! 先着一名様 にこのアクセル・フォーリーの肉をプレゼント! ルールは簡単、走って俺に追いつけた奴が勝ちだ!」 そこで大きく息を吸い込む。 「追いつけたらの話だけどな!」 ブローニングハイパワーをぶっ放しながら走り出す。マクレーンの近くのゾンビを排除し、残り が全員自分を追いかけてくるのを確認すると、隣の展示室に駆け込む。展示物を利用し、ゾンビと の距離を保ちながら一体一体倒していく。   「どうしたそんなんじゃ俺には追いつけないぜ!」  大半は獲物の多い外へと出て行ったのか、ゾンビは徐々に数を減じていく。  マクレーンが脱出するのに十分な時間は稼いだだろうか。思考がよそへ逸れたのがまずかった。 ゾンビの死体に蹴つまづいて転んでしまい、その拍子に銃を手放してしまう。さらに運の悪いことに、 彼がいた場所は行き止まりだった。 「よーし、ちょっと待て、いいから待て、落ち着こう。さっきのは実はアレ冗談なんだ、ジョーク、 分かる? 分かるわけないよな……」  当然、ゾンビはアクセルの弁解など意に介さずその牙をつきたてようと迫る。 「いやでも待った方がいいのは本当だ、マジで、それも分かんない? だってほら……」 ゾンビの後頭部に銃口が突きつけられる。その銃を握っていたのは櫓の下から抜け出したマクレーン だった。 「イピカイエ!」  至近距離で放たれた9ミリ弾がゾンビの頭部を吹き飛ばす。ようやく博物館に静寂が訪れた。  搬入口に接した博物館の倉庫、そこの床に二人は腰を下ろす。マクレーンはタバコを取り出し火 をつける。アクセルの方にも差し出すと「タバコは体に悪いぞ」と言われ返された。 「いやーお互いヒデェ目にあったな。おたくあのジョン・マクレーンだろ? オフのクリスマス だってのにナカトミタワーでテロリスト相手にドンパチやってたってツイてないあの有名人! アンタの奥さんがレポーターにかましたストレートは最高だったな! 俺すっかり奥さんのファン だよ。あ、俺はアクセル・フォーリー、いつもはデトロイトでデカやってる。よろしくな」 「ホリィのファンかよ、まあいい。俺もお前の噂は聞いたことがある。デトロイトにわざわざ管轄 外のビバリーヒルズに出張って武器の密売組織を潰した物好きがいるって話だったが、まさかセント ・マデリーナくんだりで会えるとは思って無かったよ」 「まああん時は色々あったんだよ、昔世話になった奴がヤバかったりとかな。それにしてもどうよ この状況。ゾンビだぜ? やっぱアレかな? ゾンビに噛まれたらゾンビになっちまうのかねぇ?」 「さあな、わざわざ好き好んで近づく奴がいるとも思えんがね」 「いやぁ分かんないぜ? 世の中死体相手におっ勃つ変態がいるんだ、ゾンビ見て興奮する奴がい てもおかしかぁないだろ、骨がはみ出た脚がそそるとか、腐りかけのうなじが艶っぽいとか、抉れ たオッパイがもうたまんねえとか」 「……やめてくれ、気分が悪くなってきた。そういや裏口で団子になってた連中はどうしたんだ?」 「とっくに避難したぜ。残ってたのはイヌっころ追いかけてたアンタだけだったってわけだ」 「……うるせえ」 大笑いしながら自分の肩を叩くアクセルに憮然とした表情で答え、タバコを床で揉み消した。 予想よりも時間をくってしまったが、これ以上ここに長居しても意味がない。最初の予定通り警察署 へ向かうべきだろう。  ふと壁際の消火用設備に目が行った。ベレッタ一丁だけでは、また先ほどのように弾切れになる かもしれない。消火用の斧を手に取る。アクセルも何か必要かと思って見ると、いつの間にかバール を持っていた。運び込まれた展示品の箱をこじ開けるためのものだろうか、要領のいい男だ。 「そろそろ行くか、お前も警察署にいくんだろ?」 「ああ、同じデカ同士なかよくやろうや。アンタラップ好きか?」 「俺はロック派だ」  どうでもいいことを話しながら外へ出る。久しぶりの日差しは目に痛かった。 【F−06/博物館外/1日目・日中】 【ジョン・マクレーン@ダイハード】  [状態]:疲労(中)、冷静  [服装]:Tシャツにジーパン  [装備]:ベレッタM92FS(9ミリパラベラム弾 14/15 予備弾30)、消火用斧  [道具]:たばこ、ライター、運転免許証、財布、博物館パンフレット(簡単な周辺マップあり)  [思考]   1:アクセルと警察署に行く   2:銃と弾薬を手に入れたい   3:要救助者は保護  [備考]   ※ マクレーンは警察官ですが、地元の警察官との知り合いなどはいません、ナカトミタワーの事件の関係者であることぐらいしか知りません   ※ マクレーンの設定はダイハード1から2の間です。 【アクセル・フォーリー@ビバリーヒルズ・コップ】  [状態]:疲労(小)、冷静  [服装]:Tシャツにジーパン、スタジャン  [装備]:ブローニングハイパワー(9ミリパラベラム弾 15/15 予備弾37)、バール  [道具]:ポケットナイフ、運転免許証、財布、ガム、観光ガイドマップ  [思考]   1:マクレーンと警察署に行く   2:銃と弾薬を手に入れたい   3:要救助者は保護  [備考]   ※登場時期は「ビバリーヒルズ・コップ2」の後です。

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