魔法少女リリカルなのはStrikerS 第8話 【願い、ふたりで】
スバル「私達は、ずっと一緒にやってきた。辛い時も苦しい時も楽しい時も…
支えあって、助け合って…一緒に戦ってきた。大好きな友達!っていうと怒るけど、
私にとっては夢への道を一緒に進む、大切なパートナー。失敗も躓きも後悔も一緒に背負う。
だから、一緒に立ちあがろう?魔法少女リリカルなのはStrikerS…始まります」
なのは「えっと…。報告は以上かな。現場検証は調査班がやってくれてるけど、皆も協力してあげてね。
しばらく待機して何もないようなら、撤退だから」
スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!!」
なのは「で。ティアナは……。ちょっと、私とお散歩しよっか?」
ティアナ「あっ……はい…」
なのは「失敗しちゃったみたいだね」
ティアナ「すみません。…一発…それちゃって…」
なのは「私は現場にいなかったしヴィータ副隊長に叱られて、もうちゃんと反省してると思うから、
改めて叱ったりはしないけど」
なのは「ティアナは時々、一生懸命すぎるんだよね。それでちょっと、やんちゃしちゃうんだ」
なのは「でもね。ティアナは一人で戦ってるわけじゃないんだよ。
集団戦での、私やティアナのポジションは前後左右、全部が味方なんだから」
ティアナ「……!!」
なのは「その意味と今回のミスの理由、ちゃんと考えて同じことを二度と繰り返さないって…約束できる?」
ティアナ「はい」
なのは「うん。…なら、私からはそれだけ」
なのは「約束したからね」
ティアナ「……はい」
キャロ「えっと…シャーリーさん?」
シャーリー「はいな~?」
キャロ「フェイトさんと一緒にいらっしゃる方、考古学者のユーノ先生って伺ったんですが」
シャーリー「そう!ユーノ・スクライア先生。時空管理局のデータベース、
無限書庫の司書長にして古代遺跡の発掘や研究で業績を上げてる考古学者。
局員待遇の民間学者さんっていうのが、一番しっくりくるかな~。なのはさん、フェイトさんの幼馴染なんだって」
キャロ「はぁ~」
ユーノ「そう…。ジュエルシードが…」
フェイト「うん…」
フェイト「局の保管庫から地方の施設に貸し出してて…そこで盗まれちゃったみたい」
フェイト「まあ、引き続き追跡調査はしてるし、私がこのまま六課で事件を追っていけば…
きっと、たどり着くはずだから」
ユーノ「フェイトが追ってる、スカリエッティ…」
フェイト「うん……でも、ジュエルシードをみて、懐かしい気持ちも出てきたんだ。
寂しいさよならもあったけど、私にとっては、いろんなことの始まりのきっかけでもあったから」
なのは「今日は…偶然なのかな?」
ヴェロッサ「僕も何か手伝えたらいいんだけどね」
はやて「アコース査察官も遅刻とサボリは常習やけど、基本的には忙しいやん」
ヴェロッサ「ひどいや」
ヴィータに「ちょっといいか?」
ヴィータ「訓練中から時々気になってたんだよ、ティアナのこと」
なのは「うん」
ヴィータ「強くなりたいなんてのは若い魔道師なら皆そうだし、無茶も多少はするもんだけど、
時々ちょっと度を超えてる。あいつ…ここに来る前、何かあったのか?」
なのは「うん……」
キャロ「ティアさんの…お兄さん?」
スバル「うん。…執務官志望の、魔道師だったんだけど。ご両親を事故で亡くしてからは、
お兄さんが一人でティアを育ててくれたんだって。だけど…任務中に…」
キャロ「亡くなっちゃったんですか?」
スバル「ティアがまだ…10歳の時にね」
なのは「ティアナのお兄さん、ディータ・ランスター。当時の階級は一等空尉。所属は首都航空隊。享年21歳」
ヴィータ「結構なエリートだな」
フェイト「そう…。エリートだったから、なんだよね。ディータ一等空尉が亡くなったときの任務。
逃走中の違法魔道師に手傷は負わせたんだけど、取り逃がしちゃってて…」
なのは「まぁ、地上の陸士部隊に協力を仰いだおかげで、犯人はその日のうちに取り押さえられたそうなんだけど」
フェイト「その件についてね、心無い上司がちょっとひどいコメントをして…一時期、問題になったの」
ヴィータ「コメントって……なんて?」
スバル「犯人を追い詰めながらも逃すなんて、首都航空隊の魔道師としてあるまじき失態で、
たとえ死んでも取り押さえるべきだった…とか。もっと直球に、任務を失敗するような役立たずはうんぬん…とか」
なのは「ティアナはその時、まだ10歳。たった一人の肉親を失くして、
しかもその最後の仕事が無意味で役にたたなかったって言われて…。
きっともの凄く傷ついて、悲しんで…」
スバル「だからティアは、証明するんだって。お兄さんが教えてくれた魔法は、
役立たずじゃない。どんな場所でも、どんな任務でもこなせるって。それで…残された夢を、
お兄さんが叶えられないで終わっちゃった執務官になるって夢を、叶えるんだって。
ティアがあんなに一生懸命で必死なのは、そのせいなんだよ」
スバル「で、ティアが考えてることって?」
ティアナ「短期間で、とりあえず戦力をアップさせる方法。うまくできれば、
あんたとのコンビネーションの幅もぐっと広がるし、エリオやキャロのフォローももっとできる」
なのは「じゃあ、引き続き個人スキルね。基礎の繰り返しになるけど、ここはしっかり頑張ろう!」
スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!!」
スバル「なのはさん…。優しいから」
フェイト「私も手伝おうと思ったんだけど」
ヴィータ「今はスターズの番」
フェイト「ほんとは、スターズの模擬戦も私が引き受けようと思ったんだけどね」
ヴィータ「あー。なのはもここんとこ訓練密度こい~からな。少し休ませねぇと」
フェイト「なのは。部屋に戻ってからもずっとモニターに向かいっぱなしなんだよ。訓練メニュー作ったり、
ビデオで皆の陣形をチェックしたり…」
エリオ「なのはさん。訓練中も、いつもボクたちのことを見ててくれるんですよね」
キャロ「ほんとに。ずっと…」
なのは「私の本気はこんなもんじゃないの」
なのは「こぉらスバル。駄目だよ。そんな危ない軌道!」
スバル「すいません!でも、ちゃんと防ぎますから!」
フェイト「なのはっ!!」
なのは「おかしいな。…二人とも、どうしちゃったのかな?」
「がんばってるのは分かるけど、模擬戦は喧嘩じゃないんだよ。
練習のときだけ言うこと聞いてる振りで、本番でこんな危険な無茶するんなら、練習の意味…ないじゃない」
なのは「ちゃんとさ…。練習どおりやろうよ。ねぇ。私の言ってること…私の訓練…。そんなに間違ってる?」
ティアナ「私は!もう、誰も傷つけたくないから!失くしたくないから!だから…っ、強くなりたいんです!!」
なのは「少し……頭冷やそうか」
なのは「じっとして。よく見てなさい」
なのは「伝えたいことがある。勇気の意味と一番最初に、守るべきもの。
次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS…第9話、たいせつなこと。
皆がいつか、自分の空をゆく日まで…」