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それは突然の事だった。
昼休みを終え、5時間目の授業を受けていた時だ。体が急に熱くなったのだ。
妙に息苦しく、鼓動も早まっている気がした。風邪でも引いたのだろうか。
しかしこんな急に急変するようなものか?
それに体温や呼吸だけでなく、体に違和感を覚えた。
俯く僕に気が付いたクラスメイトの一人が、先生に申し出てくれ
彼の付き添いの元保健室へと向かう事になった。
しかし、保健室の教員は丁度居らず。
「おまえ具合悪そうだし寝ておけば?先生には言っとくからさ」
力なくベッドに腰掛けた僕に、クラスメイトの彼はそう言って戻っていった。

僕は一人ベッド周りのカーテンを閉めた。
体が熱い。彼が戻ってくれて良かったと今は思う。
制服の上着で隠れてはいたが、僕は何故か勃起していた。
理由は解らない。何か悪い物でも食べただろうか。
しかしそれなら気分が悪くなるか、腹を下すくらいだろう。
寝てしまおうかとも思ったが、こんな状態では無理だ。
霞掛かった頭で考える。一度抜くしかない。

何時誰が来るとも解らない保健室では……とも思ったが
今更トイレまで移動するのもつらかった。
クラスメイトは出て行ったし、この場で処理してしまおう。
ティッシュ片手にズボンを寛げてガチガチに硬くなっていた自身に触れた。
場所のせいなのか、他に理由が有るのか。いつも以上にそこは敏感だった。
軽く擦るだけで先走りが次々と溢れて来る。
必死に声を押し殺し目を閉じ眉根を寄せて。
こんな所を万が一誰かに見られたら恥ずかしくて生きていけない。
出来るだけ早く終わらせたくて、忙しなく手を動かし自分を慰めた。

僕は吐き出したそれをティッシュで拭って。
生理的な涙で滲んだ視界を上げれば
風も無いのにカーテンが揺らいでいるように見えた。

その日、結局僕は5時間目を保健室で過ごした。

吐精し衣服を整えた後、疲れたのか少しベッドで微睡んで。
教室に戻った時、少しだけ気後れはしたけれど
皆変わった様子はなく体調は大丈夫かと心配してくれた。
だから僕はああなった理由を深く考えず、そういう事もあるだろうと
気にせずに過ごそうと思ったのだ。

数日が過ぎた授業中、マナーモードにしていた携帯が振動した。
閉鎖空間が発生した気配は無いので、急ぐ事では無いのかも知れないが
ポケットから取り出して確認をする。
見たことの無いアドレスからメールが届いていた。
件名は――周囲に注意
どういう意味かと訝しく思いつつもメールを開く。
本文は無かった。しかし画像が添付されていて。
そこには自らの性器を掴んでいる男子生徒の俯いた姿があった。

その画像の男子生徒は、俯いているためにはっきりと顔までは写っていない。
でも、髪型や体格、それに白いベッドの上にいる時点で
その被写体が誰なのか、考えるまでも無かった。
すっと血の気が引いていく感覚。
誰もいないと思っていたのに見られていたのか。
あまつさえこんな写真を撮られるとは。
「じゃあ次の問いを……そうだな、古泉やってみろ。おーい聞いてるか古泉!」
「え、あ、はい」
先生に指されて携帯をしまい慌てて立ち上がる。
クラスメイトのくすくすという笑い声が異質な物に感じたのは
この時僕が動揺していた為だろう。

席に戻ってからも差出人が気になって仕方が無い。
メールには何も書かれていなかった。
しかし周囲に注意を促していると言う事は
相手はまだこの画像を、衆目に晒す気は無いと言う事だ。
内密にする事に何の意味があるか。あまりにも明白だ。
おそらく遠からず次のメールが来るのだろう。
画像を揺さぶりのネタとして。
いっそ僕の方から返信してみるか。だがなんと返すべきだろう。
あの写真を撮るには、あの時僕が保健室に行ったのを知っていないとならない。
真っ先に浮かぶのは、連れて行ってくれたクラスメイトだ。
しかし彼は教室へ戻って行った。本当に戻ったのか確認はしていない。
休み時間に彼に直接聞いてみるか?でも本当に彼だったら?
……答える訳が無い。いや逆に面と向かって脅される可能性もある。
揉め事は起こしたくは無い。
涼宮さん絡みならば、機関で幾らでも対処は出来るだろうが
今回のは僕の不注意に過ぎない。
詰まる所、自分から動くにはまだ情報が足りない。
そう結論付けて、僕は授業へと耳を傾けた。

一体何時メールが来るかと内心待ち構えていたが
結局その日は何も来なかった。
だが、それで安心出来る訳がなく。
逆に相手の意図が解らなくて気味が悪かった。