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「AVを撮るわよ!」

ある晴れた日のこと、SOS団員全員が勢揃いの中、SOS団部室でハルヒが唐突に言い出した。
「……お前、頭大丈夫か?」
他の三人がハルヒを凝視する中、俺はハルヒの額に手を当てて俺の額の熱と比べてみる。
どうやら平熱のようで熱に浮かされたというわけではなさそうだ。
「何するのよ、キョン!」
ハルヒは顔を真っ赤にして額に乗せていた俺の手を払いのける。
「あまりにもぶっ飛んだ発言をしたから熱に浮かされたかと思った」
「平団員の癖に失礼ね!」
「申し訳ありませんが」
両腕を組んで憤慨しているハルヒに、古泉はいつもと変わらない偽善者めいた笑みを浮かべて話しかける。
「これは一体どのような意図があってのことでしょうか? 大変申し上げにくいことなのですが、我々のような凡人には涼宮さんの深い思慮を測り知ること出来ません。出来ましたらご説明願いたいのですが」
相変わらず一の単語を十の言葉で飾ったような台詞だが、ハルヒは気をよくしたのかあっけらかんと言い放つ。
「実は昨日、その手の業界では評判なAV見たんだけど、これが超ツマラナイありきたりな内容だったのよ。こんなので売り上げナンバーワンなら、あたしが監督したら超ナンバーワンになること請け合いだわ!」
冗談じゃない。こんな超ツマランありきたりな理由でAV撮影会になってたまるか。
「おいおい、俺たちは一応高校生で未成年なんだぞ。色々な法律に引っかかるだろうが」
ハルヒ公認で朝比奈さんや長門とヤれるのはいいかもしれんが、それが世に出回ったら首つりものだ。
「あら、あたしたちが高校生だからこそいいのよ! 実際の高校生が贈る自主制作AV! これだけで売り上げ倍増間違いなしだわ!」
誰かこの超監督さんを止めてくれ――という思いで周囲を見渡すが、朝比奈さんは涙目でオロオロするばかりで、長門はいつも通りの無表情なままだ。
「なるほど、そうでしたか」
そして、ハルヒのイエスマンと化してる古泉は、先程と変わらない偽善者めいた笑みを浮かべている。
「涼宮さんがご監督されたものなら、さぞ素晴らしいAVとなることでしょう。微力ながらこの古泉、カメラマンとしてお手伝いさせて頂きます」
「どこかの誰かと違っていい心がけね、古泉くん!」
止めても無駄なことは解っているが、後押ししないで少しはうろたえるとかしろよ。
「それじゃあ、今日の主演女優はみくるちゃん! 有希はレフ板係!! 仕方ないからアンタは主演男優ね!!」
「了承した」
「ほ、本当にするんですかぁ~?」
「当たり前じゃない! 何も怖いことはないから大丈夫よ!!」
「ふぇぇぇ~ん」
俺はハルヒが朝比奈さんの胸を触りまくってる隙に、古泉にヒソヒソ声で話しかける。
「このままだと俺たちがハルヒが作り上げるトンデモな超AVとやらに収まってしまうんだが、お前はそれでいいのか?」
「ですから、僕はカメラマンに名乗り出たわけです」
……なるほど、そういうことか。
確かにカメラマンだと主演男優にはならなくて済むからな。無論、撮影記録に残ることもないだろう。
だが、残された俺はどうなる!? このままだと俺が主演男優をやる羽目になるんだぞ。
朝比奈さんとヤれるのは誠にもって結構なことだが、それが記録として残って世に出回るなんてとんでもない。
「あなたの痴態を涼宮さんが世に広めたいとも思えませんから、完成されても発売されないと見ていますが」
「だったらお前も出ろよ。AVにはありがちな3P要員とかで。こんな機会でもないと朝比奈さんとヤれる機会はないぞ」
「折角ですが、ご遠慮させて頂きます。涼宮さんが望む『古泉一樹』という人物設定を崩すような行動は取りたくありませんから」
「ああ、そうかい」
俺としては、その偽善者めいた笑みが崩れる様子を見てみたかったんだがな。
こいつが自慰に耽る姿も女相手に突っ込んでる姿も想像出来んが、幾ら何でもヤってる間、終始にこやかな笑顔を振りまいていられるわけはないだろう。
例えば……そうだな、真っ赤にした顔に潤んだ目で俺を睨み付ける一方で、身体は快楽に流されて口からは涎が……って、これじゃあ古泉が主演男優その2じゃなくて主演女優じゃないか。
「それじゃあ、早速足りない機材や衣装を借りてくるわ! あたしについて来なさい、キョン!!」
「……まて、俺は主演男優じゃないのか?」
「そうよ」
「主演男優なる者が荷物運びとかはないだろう。それこそカメラマンの仕事だ」
映画撮影の際はさんざん荷物運びをやらされたからな。
「何言ってるの。古泉くんがカメラマンを引き受けてくれたからこそ、アンタは主演男優としてみくるちゃんとヤれるのよ。ただでさえアンタには分不相応な役割なんだから、せめて雑用係も兼ねなさい!」
こうして、俺は苦笑している古泉に見送られながら、ハルヒと共に部室を出た。