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俺は今昼食を摂っている。
目の前には古泉が居て、古泉が作ってきた手製の弁当が俺の膝の上にある。
「おいしいですか?」
俺が箸を口へと運ぶ度に、にこにこと笑みを浮かべる古泉の指先には小さく絆創膏が巻かれている。
今日はこれだけで止められたんだなと、その指を見て僅かに安堵した。

「あなたが……僕を食べてくれて嬉しいです」
うっとりと夢見るような眼差しで、咀嚼し続ける俺の口元を眺める古泉。
今食べている弁当に、そこまでの違和感は無かった。
食材の味を損なわずに混ぜるのが上手くなったものだ。
不快な歯ざわりも特に無い。今日は何を混ぜてあるのだろう。
「指、見せてみろ」
一度気になり始めると、俺も自制が効かない。
有無を言わせず俺は古泉の手を取り、絆創膏を剥がした。
そこは肉が削られている事もなく、鋭い刃物による切り傷だけがあった。
今朝調理の際に切ったのだろう。
俺が指先に力を込めれば、開いた傷口からじわりと血が滲み始めた。
やがてそれは、古泉の細く長い指を伝い降りていく。
その様をただ俺は眺めていた。

「……舐めてはくれないんですか?」
流れ行く血液を惜しいと思ったのだろうか。古泉が呟いた。
「既に弁当に入っているんだろう?」
俺が食べていたのは、古泉の血が混ざっているであろう弁当。
手違いで切ったと言う訳では無いはずだ。
当てられた事が嬉しいのか、古泉はふわりと笑う。
「はい。あまり固形物を混ぜると、味が悪くなりますしね」
固形物、か。
俺がそれも構わないと言えば、古泉は躊躇う事もなく自らの体を傷つけるのだろう。
俺に取り込まれる事を喜ぶ性癖が古泉にはあった。

古泉の愛情表現が歪んでいるのは、とっくに解っている。
他人の目がある日中にこの有様だ。
夜になり、古泉と過ごす時は更に色々な事を要求される。
食われるだけでなく、俺から与えられる苦痛も嬉しいのだそうだ。
俺にその感覚は理解出来そうに無い。
でも古泉がそれを望むのだから。
そっと古泉の指に舌を這わせ血を舐め取ると、目を細めた古泉の唇から小さな吐息が漏れた。