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最近マンションに帰るのが楽しい。
と言っても奥さんや彼女ができたわけではない。同居人が増えただけなのだが。
仕事柄と性分が相まってよくぶっ倒れるオレを姉貴が心配して連れてきたのは、
職業、犬。
名前は古泉一樹…と紹介された。
「どうぞ、一樹とお呼びください」
何で犬のくせに名字までついてる、という突っ込みは無しにしていただきたい。…無駄だからだ。
姉貴はジャーマン・シェパードだと言い張るが、なぜかオレには犬耳と尻尾のついた高校生くらいの青年にしか見えない。
どうなってんだ、オレの視神経。

いつも通り部屋の鍵を開けると、玄関先にちょこんと座っている一樹がいた。
「おかえりなさい、遅かったですね」
「遅かったって…たった5分だろ。」
口調は静かだが、尻尾がちぎれんばかりに振られている。素直な奴だ。
こいつは犬…らしいのだが、家事もこなせるなどよく働いてくれ、一人身のオレにとってはとても助かる存在だ。…ある一点を除いては、な。
「明日お休みなんですよね?」
「そうだな。」
「…じゃあ、大丈夫ですよね」
「何が?」
一樹のほうを振り返ると、何故か悲しそうな目をしている。何か言っちゃいけないことでも言っただろうか。
「ヒドイです…約束したじゃないですか…してくれるって」
あ…とオレは一週間前の会話を思い出していた。…そう、こいつの唯一の欠点。それは。
「一週間も我慢したんです…もう、限界で…」
「わ、思い出した、思い出したからのしかかるな!重い!!」
「あぅ…すみません」
やったら性欲が強い。でかいぬいぐるみにすら腰を振る始末だ。なんでもいいのか、お前は。
「わ…わかった。ただし、オレの仕事を完全に妨害できたらな」
「はい!」
オレが仕事を開始してから数秒も経たないうちに、一樹がひざに乗ってきて局部をいじり始めた。
「ふっ…ん、は」
したいときは『おねだり』するように教えたのはオレだ。命令を守って健気にもこうするのは…きっと犬だからだろう。
もとから仕事なんてする気はないが、楽しいのでもう少し眺めてみるとする。
「早く…かまってください…っ」
オレに縋ってきて腰をふりふりする姿は必死でかわいらしい、が。
「まだだ。もう少し自分でがんばってみろ。」
「そん、なぁ…」
耳がめいっぱい垂れてしょんぼりしているのが分かる。
「はふ…な、んで…いじわるですぅ…」
オレがいかにも興味なさげにキーボードを叩くと、フサフサした尻尾で画面を隠してくる。
「これで、仕事…できませんね」
「ブラインドタッチくらい出来るさ」
まあ、目の前で一樹が盛大に盛っていては、揺れてブラインドタッチなんて出来やしないんだが。
と、精密機械の前でそんな行為が都合よく長続きするわけもなく。
ガシャン。絶望的な音を響かせて、キーボードが割れた。
「「あ………」」
オレが非難の目を向けると、
「あ、あの、これはその…不可抗力、といいましょうか…」
「いーや、10割お前が悪い」
「す…みません……」
一樹は基本放し飼いだが、悪いことをすればつなぐことになっている。
「毎回思うんですが…すこし、鎖が短いのでは…」
「キーボードぶっ壊しといて文句言うな。いいから恥ずかしい格好して反省してろ」
低い位置に短い鎖でつなぐもんだから、普通に四つん這いになっていても首が引っ張られる。つまり必然的に尻を突き出す格好になるわけで。
いやいや言いながら最近少し喜んでいるフシがあるようだ。なんでだろうな。
「一樹…そのままで『おねだり』してみろ。そうしたら許さんでもない」
オレを見上げていた一樹は一瞬恥ずかしそうに顔をそらしたが、すぐにオレを見て、
「それで許していただけるなら…」
左手と頬を床にくっつけて、『おねだり』は再開された。目をつぶっているのは行為に没頭するためか、はたまた単に恥ずかしいのか。
いや…本当に恥ずかしければ尻尾を上げたままなんて出来ないはずだ。
「ん…ぅ、はぁ…」
「お前、そんなに好きか?こういうことするの」
「す…スキです…っ、だって…っふぅ、あ…の、みて、ますか?…ぁっ」
「見てるよ…お前の後ろでな。やっぱり見られたくてあげてるのか、尻尾は。」
「おねだり、してます…からっ…だから…はやく…ぅ!」
オレの視神経が正しいのなら写真でも撮ってコアなファンの反応を見るのも面白いかもしれない。だが一歩間違えば犬にオナニー強要しているアレな飼い主として、痛いニュースくらいには載るだろう。
などとぼんやり考えながら震える尻尾を眺めて、そこで限界が近いことを知る。そういえば尻尾の付け根が好きなんだったな、一樹は。
「ひゃん…っ!?あ、ああ…!!」
少しくすぐってやるだけで腰が揺れる。いちいち返ってくる反応が面白くってついついいろんなところを撫で回してしまう。
「あう、そんなにっ、触ったら…出ちゃい…ますぅ!」
一樹のイき方はかなり特殊で、限界になると手も使わず腰を激しく振って一気に精を吐き出す。調べてみたら犬の射精行動にかなり近いらしいことが分かった。
やっぱりオレの目のほうが暗闇状態なのだろうか。
「ひぃ、ん!…ぁ…、ふぅ…」
力が抜けたのか、床の飛沫も気にせずその場にへたり込んでしまった。鎖を外してやっても動かないところを見ると、どうやらそのまま眠ってしまったようだ。
もしかしたら、いや…もしかしなくとも一樹は確実にオレの婚期を遅らすだろうが、それでもいいと思っている。
こんなにも健気でかわいい生き物は一生幸せでいるべきなのだ。