かがみん海へ行く

284 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/12(土) 17:41:56.96 ID:A7JUHfIr0

俺は改札を抜けたところでかがみんを発見した。
夏服のスカートが、腰のくびれから張り出した丸いお尻を包んでいる。
そこから覗いているのは、健康的な白い太腿である。
その脚線と、スカートのふくらみを滑らかにつないでやると・・・
お尻の形まで何となく分かるような気がする。
俺はその背中に駆け寄った。

俺「おはよう、柊!」
かがみ「ああ、おはよう、○○」(○○は俺の名前)
俺「今日はつかさちゃんいっしょじゃないの?」
かがみ「あの子、夏風邪ひいちゃって・・・」
俺「そうなの?そりゃ心配だね」
かがみ「まあ、こう毎日暑かったら無理もないわよ」
俺「確かに。満員電車も辛いよね。あー早く夏休みにならないかな」
かがみ「○○は夏休み予定とかあるの?」
俺「うーん、特にないなあ。でも、せっかくだから海とか行きたいなあ」
かがみ「いいわね~。でもいっしょに行く相手はいないんでしょ?」
俺「うぐぅ・・・」

そう、残念なことに番外編である。



285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/12(土) 17:46:45.59 ID:A7JUHfIr0
俺「柊だってそうだろ!」
かがみ「わ、私は・・・夏のうちに、たぶん」
俺「へー、貪欲なことで。柊って好きな男とかいるの?」
かがみ「そ、そりゃ私だってそのくらいは・・・いるわよ」
俺「ふーん」ニヤニヤ
かがみ「って、なんであんたにそんなこと言わなきゃいけないのよ!」
俺「ま、そういうことならお互い頑張ろうや」
かがみ「・・・そうね」

人ごみの中を並んで歩く二人。
ホームに向かう階段に足をかけたところで、俺は思い切って提案した。
俺「ね、今からいっしょに海まで行ってみない?」



288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/12(土) 17:51:09.49 ID:A7JUHfIr0
かがみ「は、はあ?何言ってんの、学校は・・・」
俺「一日くらいいいじゃん!絶対いい思い出になるよ!」
かがみ「え、で、でも・・・」
俺はかがみんの腕を引張る。かがみんは戸惑いながらも俺についてくる。
かがみんも・・・大げさに言えば、抑圧からの開放を欲していたのだろう。
俺たちは海に向かう電車に乗り込んだ。

はじめは混んでいた電車も少しずつ空いて、車内は明るくなってくる。
かがみ「まったく強引なんだから」
俺「ごめんごめん・・・」
かがみ「無断欠席で家に連絡されたらどういう言い訳すればいいのよ」
俺「いや、・・・どうしても今行きたかったんだよ」
二人は窓の外の、少しずつのどかになる景色を眺める。

かがみ「・・・ま、いいわ!何とかなるわよね」
俺「そうそう!夏休みを一日前借りしたと思えばいいんだよ」
かがみ「夏休みを前借りかー・・・」
かがみんは車窓の外に向いていた顔を俺のほうに向けて笑顔を見せた。
かがみ「それいいわね!何かワクワクする!」



290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/12(土) 17:56:37.07 ID:A7JUHfIr0
かがみ「見て見て、海が見えるわよ!」
俺「あー、綺麗だなあ。まだ人もいないし」
かがみ「ね、次で降りようよ。砂浜まで降りてみたいわ」
かがみんは俺の腕を引張る。もはやかがみんの方が楽しんでいる感じだ。

いつもと違って、ボロくて人も少ない、線路も二本しかない駅。
ホームに降りると、夏の日差しが照りつけて、潮の香りが鼻をつく。
ほんの一時間も電車に揺られれば、こんな素敵な冒険ができるのだ。

無人の改札を、定期を見せるフリをして抜ける。
犯罪とはこのような開放的な気分が行わせるものだと俺が言うと、
かがみはいたずらっぽい笑顔を見せて、俺の唇に人差し指をあててしーっと言った。
こんなことも二人だけの秘密になる。

まだ早い時間なのに日差しが暑い。しかし、額ににじむ汗に吹きつける風が気持ちいい。
堤防沿いの狭い車道の真ん中を、二つの陰が並んで歩いている。
かがみ「もう授業始まってるかしら」
俺「もう始まってるだろうな」
かがみ「なんか得した気分ね!」



291 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/12(土) 18:00:48.57 ID:A7JUHfIr0
ふたりで誰もいない砂浜に降りる。遠くで空と海の青が並んでいる。
かがみ「気持ちいい・・・」
かがみはかばんを砂浜に放って伸びをした。俺も横に並んで同様にする。
眩しいくらい白い砂浜が暑さを増長する。それ以上に、爽快な開放感を。
無限に広い空間に響き渡る波の音は、この世で最高の音楽であった。
かがみ「嫌なことなんて全部消えちゃいそう」

かがみんのツインテールとセーラー服の襟が、風に吹かれてはたはたとひらめく。
きっとスカートもめくれているはずだ。
しかし、あからさまに見るのはいかがなものか・・・
もう少し後ろに立てばよかったなあ。かがみんのパンティ見たいなあ。
必死に横目を使っていると、かがみんが俺の腕に両手をかけてきた。

かがみ「ね、ばかやろーって叫んでみてよ!」
俺「えー、何だよそれ。お前がやれよ」
かがみ「あんたがやったら私もやるから!早く早く!」
俺「・・・」

少しの沈黙の後、「好きだ」という声。
それは響くこともなく、はるかに高く、青い空に吸い込まれていった。



293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/12(土) 18:06:34.88 ID:A7JUHfIr0
熱い砂浜の白に、並んで映るふたつの影・・・

ひとつふたつ、震える声で短い言葉が交わされる。
空中に頼りなく浮かんだそれは、波の音にさらわれて風に流れていく。

何もかもが風に吹かれて、人の心までも移ろわせてしまう。
でも・・・変わらないでほしい、色褪せないでほしい。
そんな思い出を、そんな気持ちを、誰もが大切にしまっている。

もうひとつ、高い声が銀色の波の上を抜けていく。
そして、影はひとつになった。


夏でも遠慮なく寒い番外編 終了


~~inspired by... 鈴木彩子(歌)「GOAL」~~

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最終更新:2008年08月19日 16:11
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