第3章 シリウスとの再会(前編)
「誰? 誰なの…?」
めがねをかけて起き上がったハリーは、トランクの中が異様に明るくなっていることに気づいた。
(あの中は、確か…!)
ハリーは音を立てないように気をつけながら、ベッドから降りた。
そして、トランクのふたをそっと開けた。
シリウスの鏡のかけらの一部が光を放っている。
(まさか… ここから…?)
半信半疑でハリーは鏡を見つめた。 直後、聞き覚えのある声が響いた。
「聞こえるか…? ハリー。 私だ」
(……シリ…ウス…!?)
ハリーはわずかな期待をこめて、杖を手に取った。
「レパロ!」
割れていた鏡が元に戻っていく。
ハリーは眠っているロンや他のみんなを起こさないように気をつけながら、透明マントをかぶった。
そしてそっと、寝室を抜け出した。
談話室と寝室とを結ぶ廊下に立ったハリーは、修復した鏡を手に持ち、自分の顔の高さまで持ち上げた。 誰かに見つかってもまずいと思い、透明マントはかぶったままだった。
「シリウス…」
ハリーは震える声で、彼の名前を呼んだ。