第八十一話

267 :スノーフのお嬢さん ◆AOGu5v68Us :2008/08/23(土) 04:00:08 ID:uLinYK8f0
「百物語」1/2

子供の頃の出来事。
俺と兄貴は昔から、怖い話が大好きだった。
ある年の夏、百物語の本を買って貰い喜んだ俺たちは、実際に二人でやってみようと思い立った。

勿論大人は参加してくれないし、夜中に友達を招く訳にもいかないので、二人で交互に本を読むことにした。
蝋燭は親に頼んでみると、案外あっさり買って貰えた。
場所は家の隣の作業小屋。家の仕事で使っている場所なので、広さはかなりある。

で、いざ挑戦!と、二人で蝋燭を立て始めたまでは良かったが、
いかんせん蝋燭が小さ過ぎ、百本どころか半分立て終える頃には、初めの一本が燃え尽きる始末www
あまりにお粗末な展開に笑うしかなく、この話はその後も機会があるごとに、笑い話として披露していた。



268 :スノーフのお嬢さん ◆AOGu5v68Us :2008/08/23(土) 04:00:53 ID:uLinYK8f0
2/2

それから十年ほど経った頃。

この話を二人でするのは初めてではないのだが、この時に限って、話している内に段々と、お互い首を傾げることになった。

小さな蝋燭はあっという間に燃え尽きた。
記憶の光景に間違いがなければ、最後辺りに点けた蝋燭は、ほんの数秒しか持たなかった。
いくら小さいといっても、十秒も持たないなんてことがあるだろうか。
しかし、当時の俺達は見る間に燃え尽きる蝋燭に、大喜びしていただけだった。

なぜおかしいと思わなかったのか。
なぜその後何年も疑問を抱かなかったのか。
今になって、とても不思議に思う。



269 :スノーフのお嬢さん ◆AOGu5v68Us :2008/08/23(土) 04:06:16 ID:0KyHG90G0
-完-

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最終更新:2008年08月29日 20:11