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すれ違い通信、成功?

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すれ違い通信、成功? ◆Y47IPLbgaw


草が一帯に繁茂する草原。
緑一色に染まった中に佇む男が一人。
その風貌は、金色と赤色という目立つ色に髪を染め、耳には銀のピアスを開けている。
更には目つきは獣の様に鋭く、その姿だけで間違いなく常人なら目を合わせるのを避けるだろう。

「チッ、調子に乗りやがって」

彼の名前は国分寺多聞(男子八番〈こくぶんじ・たもん〉)。古風な名前と反比例し、強者かつ変人揃いの高校の中でも最強と呼び名が高い不良である。
それもそのはず。
彼の父は有名な『鬼の国分寺』と呼ばれる柔道家であるからだ。
それゆえか、父からは嫌という程柔道を教え込まれている。

(まぁその父さんも母さんも、今は何処かの外国だろうが)

ちなみに多聞の母の職業は老古学者である。
といっても有名ではなく、父と息子二人揃ってその事について忘れていたが、高校一年のたまたま出かけたとある外国にて、

『なんかありそうだから私ここ掘るわ』

と旅行そっちのけで掘り始めたところが、なんと白亜紀の恐竜の化石があったのだ。
しかもその恐竜の化石は白亜紀の他の恐竜の生活が詳しく分かる物であり、そのまま発掘への参加を余儀なくされてしまったのだ。

そしてその後は父がとあるヨーロッパ在住のオリンピックに何度も優勝している柔道選手の講師に呼ばれてしまい、多聞は日本で一人暮らしを始めてしまう事になってしまったのだ。

それでそんな二人の有名な親を持つ多聞だったがある日の事、不良グループの数人が多聞に絡んできてしまったのが彼を大きく変えた。

校舎裏にまで呼びつけられて、文句を言われていた時までは黙っていた。
だが不良グループの一員が、多聞を金属バットで殴ったのが悪かった。

『テメェ…人の体を勝手に傷つけて、入院させたらどうしようと思わねぇのか!』

…結果論で行くと、逆に怒った多聞が不良達を病院送りにしてしまったのだ。
(しかし、多聞も頭部を8針縫う大怪我をしたのだが)
それ以降、彼は一気に校内で恐れられてしまったのだった。

生まれつきの目つきもあってか、なんとなく一般生徒をチラ見しただけで、その生徒が泣いて謝ってきたり、
中にはプリントを落とした生徒を手伝おうと声をかけたら逃げられて、何故か呼ばれた風紀委員と勝負を繰り広げる羽目になったり、
噂を聞いた琴浦という同学年の男とも戦ったりと、勝負を挑むのならば、必ずと言っていい程それを受けた。

だがしかし、多聞は喧嘩は嫌いである。
父から教えてもらった柔道を、いざというとき以外そう簡単に喧嘩に使う事は、父に対して失礼と考えるからだ。
無論、立場を弱い人をいたぶるカツアゲなんてする奴なんてもっと嫌い。
夜に人に迷惑をかけて走り回る暴走族も、嫌っている。

だからこそ、彼はなるべく人を避ける為に髪をわざと派手に染め、耳のピアスも穴を開けなくて良い様なタイプを付け、外見だけで威嚇出来る様な物にしたのだった。

無論、学業をおろそかにする事なぞ出来ない。
『質実剛健』をモットーとした父に育てられた多聞からしたら、学業は必要不可欠である。
日々売られた喧嘩で消えた授業を、独学での勉強に費やしているおかげか、テストでは毎回半分以上を取り無遅刻無欠席。
ついでに趣味は動物と遊ぶ事と読書という、『そんな不良で大丈夫か』と言われてしまいそうな男である。
だからそんな不良らしからぬ男が、国分寺多聞なのである。

「蝶野…絶対に、お前は許さねェ…絶対に!」

だからこそ、多聞は怒りに燃えていた。
残虐性に溢れ、人の命を弄び、『生徒』を守るべき役目である教師の職業を捨てた蝶野杜夫を、心の底から憎んでいた。

(テメェが俺らがあがく姿を見たいなら、お前の言う通りあがいてやるよ。
でもな、蝶野。そのうちテメェの面を原型留めない程に殴ってやる)

―――だから、覚悟しとけよ。馬鹿ヤロー。
そう思いながら、蝶野の醜く笑う顔を思い浮かべながら、多聞は高々と、夜空へと拳を突き上げた。
反抗の意志を貫くが如く、夜空を突き破るかの様な拳だった。

「…てか、そうやったとはいえここに居ても何も始まんねぇし…動くとすっか」

そう呟いて高らかに上げた拳を静かに下ろし、多聞は派手な赤色と金色の髪を掻きながらも歩みを進めた。
◇◆◇◆◇◆◇◆


「だーれもいねぇな…」

と、少し歩いてみた多聞であったが、何故か生憎、周りには誰一人とも居ない。
いや、多聞としても誰かに会った瞬間に殺されるなぞ決意を固めた直後としては、あまりにも腑抜けすぎるのだが。

(ま、流石にそんなアホみてぇな事はねぇだろ…と信じたいが)

そんな風になったら、ギャグ以外の他でもない。
―――もしそれで死んだら、安佐蔵と最強堂から笑われる覚悟しなきゃな。
と一人で勝手に思いつつ、ふと苦笑いが浮かんだ。

「しかし、こうも誰も居ないのもおかしいよな…俺、呪われてるのかなぁ」
「多分そうじゃない?ほら、キミ、案外馬鹿みたいだし…」
「そうだよなぁ…俺、結構頑張ってると思うんだけど」
「ていうかさ、もしかたらそんな風に殺し合いに反抗しようなんて、キミだけなんじゃない」
「そんな事言うなよ…大体周りには俺しか…ふぁ?」

妙に抜けた声を出してしまった。
今確実に自分は誰かと話していた。
気付くのが遅い多聞も多聞だが、目を見開いて、誰なのかを知る為に、後ろを振り向いた。

「やっほー」

そして振り向いた多聞のすぐそばには、髪を纏めてお団子頭にしている問芒操(女子十三番〈といのぎ・みさお〉)の姿があった。
やけに近かったので、多聞は少し仰け反ったが、睨む様にして、突如として自らと会話した操へと問い掛けた。

「問芒…どういうつもりだ?」
「どーゆーつもりだって…尾行?(笑)」
「…わざわざ【かっこわらい】って言うヤツ、初めて見たぞ…」


真剣に聞いた所為でか、操のやけに軽い答えに頭を抱えて突っ込む多聞。
一方の操は、どこからか取り出したかも分からない様な菓子パンを貪る。

「はむはむ…あー、一応言っとくけどさ。殺し合いなんて馬鹿馬鹿しくてやる気ないから。キミは?」
「お前と同じだ。生憎だが、あんなオッサンにどうこうされる訳にはいかねェ…」
「はむはむ…かっこいーじゃん。多聞クン」
「名前、分かってたのか」
「勿論!その目立つ頭してりゃ、誰だってキミって分かるよ」

「っせぇよ」とやや拗ねながらも、多聞は菓子パンを食べおわった問芒の瞳を改めて見る。
純粋な瞳が、こちらに敵意を無しに向けられている。
多聞には分かる。
これまで幾度と喧嘩を受け付ける度に相手に共通していた、人それぞれの『敵意』が。

そして彼が今現在一番憎む蝶野杜夫からは、それが多く感じられた。
ただ、憎悪とも殺意とも読み取れない。
なんとも言いづらい、『敵意』が自分達に向けられていたのだから。

(と、なると…一応問芒には敵意は無いって事にしとっか…)
「問芒、お前これからの予定無いなら、ちょっと付き合わないか?」
「え、別に良いけど…何処に行くの?」
「あ?何処に…って。何処にも行かねぇで行動をだな…」
「ダーメ!それはダメだよ!多聞クン!地図ってものがあるんだからさ」

と、操がまたこれも何処から出したか分からない様に、地図を取り出す。
丁寧に折り畳まれている地図を開くと、問芒は指でなぞりながら自分達の居る場所を探す。

「…えーと…さっき操が来た道を考えると、ここB-7らしいね…
ここから近い施設は多いけど一番良いのは診療所かな。多聞クンはどうかな…?」
「お前すげぇな…地図とか何処で見つけたんだ?」
「最初からディパックの中にあったよ?…もしかして見てないの」
「なっ!?ち、違う!み、見たんだからな!ただ、小さくて気付かなかっただけだ!」

「嘘バレバレじゃん…」と操は心の中で静かにそう思った。
一方の多聞はまだやけにテンパっているが、操としてはどうでもいい。

「とにかく!多聞クンが提案したのが『同行』なら、操は『行動』の提案があるはず!そのまま慌ててるんなら、れっつらごー!」
「や、やめろ!襟を掴むな!くそ、馬鹿力にも程があるだろお前ぇぇぇ!」

◇◆◇◆◇◆◇◆


ごめんね多聞クン。
操、一つだけまだキミに言ってない事があるんだ。
あのね、操ね。
本当はね、人間じゃないんだよ。
色々あって他人に体を改造された、改造人間。
だから、最初は『人間』じゃないから、キミ達普通の『人間』を殺してもいいかなー、って思ったんだ。
クラスメイトでも、正当防衛は成立するかな、なんて考えて。

…だからさ、キミを最初、殺そうとしたんだよ?
操に渡された武器がアイスピックでね。
後ろ姿を見つけた時は、油断した隙に殺そうって思った。
でも、無理だった。
ニーソに隠しておいたそれを出す直前に、キミがじろっと操を見たんだよ?
そしてそれは、操を信じきった目をしてたんだよ。

そこでね…操、戸惑ったんだ。
でも、やっぱりそのアイスピックを取り出そうとした瞬間に、操気付いたの。

―――あぁ、操…まだ人間らしいじゃん。

…だからさ、だからさ多聞クン。
操はキミに助けられたんだよ?
操はキミが見てくれたから、人間らしさを保てたんだよ?
だからね、多聞クン。

操も、君と一緒に行かせてほしいんだ。
だから、それがせめてもの操に出来ること。
だからどうか見ていて。
キミを信じる、操の瞳を。



【B-7 草原/一日目・深夜】
【男子八番:国分寺多聞】
【1:俺(ら) 2:お前(ら) 3:あいつ(ら)、○○(名字呼び捨て)】
[状態]:健康、蝶野に対しての怒り
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考・状況]
基本思考: 蝶野杜夫を殴る為に行動する
0:…もう抵抗は諦めた
1:戦闘はなるべくしたくない。
2:よかった、荷物の中身確認してない事バレてない。HAHAHA。
3:…どうせなら診療所で隠れて見るか…



【女子十三番:問芒操】
【1:操(達) 2:君() 3:皆、○○クン(下の名前)】
[状態]:健康
[装備]:アイスピック(ニーソの下に隠したまま)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本思考: 国分寺多聞とともに行く。
0:一応改造された体だけど、大丈夫かな。
1:診療所だったら薬あるかもしれないしね~♪
2:…多聞クン、嘘付くの下手すぎ。



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