※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

590 :584@トリップ適当 ◆auBcFvKvLIOK :2009/07/13(月) 14:11:47.64 ID:y4ijAXVnO

梓が入部してから数日がたったある日のこと。自分が新入部員ということもあり、部室に最初に着いた梓。
「こんにちはー……って誰も居ないか」
「あ、あずにゃん早いねー」
「…………」
間。
「唯先輩? なんか来るの早くないですか?」
「そんなことないと思うよ? ムギちゃんのお菓子待ち遠しくて、ね?」
「……えーっと取り敢えず、掃除とか掃除とか授業とかSHRとかどうしたんですか?」
「うん、りっちゃんに任せたよ?」
目頭を押さえる梓。
「それはそれで……でも、ムギ先輩と同じクラスなら、ムギ先輩が終らないとお菓子も食べれないんじゃ……?」
「…………あ!」
思わぬ落とし穴があったことを発見したかのように驚く唯。
「何はともあれ、ちゃんとすることしないと部活出来なくなっちゃいますよ?」
「うーん、そうだね。えへへ……」
「全く……しっかりしてくださいよ!」


597 :584@トリップ適当 ◆auBcFvKvLIOK :2009/07/13(月) 14:32:50.11 ID:y4ijAXVnO

唯と談笑しながら、器材のセットをしていく梓。
「そういえば、前に聞きそびれてたことがあって、一つ質問いいですか?」
「もっちろん! 私になんでも聞いていいよ!」
先輩風を吹かすように胸を張る唯。
「えーっと、唯先輩が軽音部に入った理由ってなんですか?」
……間。
「あ、セッティング手伝うよ」
「ありがとうございます。で、先輩」
「言わないとダメ?」
「無理にとはいいませんけど……」
(言えない……けいおん部が軽いノリで、お菓子が食べられるから入ったなんて言えない……)
(そんなに言うのが恥ずかしいのかな……?)
「な、内緒! ちょっと言うのが恥ずかしいから内緒!」
「そうですか……そうですね。唯先輩も他の先輩方も『目指せ武道館!』で頑張ってますし、恥ずかしいですよね。唯先輩、頑張りましょう!」
「うん、そうだね! となれば、早速練習、練習!」
ギターを取り出し、練習を始める唯。
ガチャッ
「あ゙ー終わったー……」
「あ、律先輩。お疲れ様です」

634 :584@トリップ適当 ◆auBcFvKvLIOK :2009/07/13(月) 15:21:29.17 ID:y4ijAXVnO
「唯ー! あれほど掃除逃げるなっていっただろー!」
スティックを翳して唯を叩こうとする律。
「まぁまぁ、りっちゃん。お菓子でも食べて一息入れましょう?」
そんな律を宥める紬。
「むっ? お菓子! 待ぁってましたぁぁぁぁ!!」
ギターをソファに立てかけ、ダッシュで席に着く唯。まるで餌を待つ犬のごとく待ち遠しくしている。
「あっ! 唯先輩! 練習しないんですか!?」
「それよりもお菓子だよ、お・菓・子! あ、ムギちゃん。私、アイスレモンティーで」
「ちょ……」
唖然とする梓に嗜虐的な笑みを浮かる律。
「ほっほぅ? なら、梓はお菓子いらないのな? 梓の分も私が貰……」
「いただきます!」
……墜ちた。
「はい、おまちどおさま。今日はフルーツタルトよ」
「それでは」
「「「いただきまーす!」」」
丸いタルト記事の上に生クリームで土台を作り、ふんだんに、それでありながら繊細にフルーツを盛り、艶出しのシロップがかけられたフルーツタルトだった。パティシエのこだわりが感じられる一品だ。


639 :584@トリップ適当 ◆auBcFvKvLIOK :2009/07/13(月) 15:31:59.42 ID:y4ijAXVnO
「にしても今回はいつにも増して、豪華だなー」
「ほら、前にりっちゃんが『タルトが食べたいって』言ってたから、家から持ってくるときに『タルトはないのかしら?』って言ったのよ。そしたらこのタルトはあったの」
「へー……そりゃスゲェ……」
ガチャッ
「あ、先生。こんにちはー」
「ちょっと! 私が来る前から美味しいもの食べてるんじゃないにょ!」
…………間。
「にょ?」
「『にょ』じゃなかったにょじゃにゃじょじゃ……アッー!」
まるで嵐が通り過ぎた後のような静寂という言葉が相応しい。
「何だったんだろうね? さわちゃん」
ガチャッ!
「律! 唯! 助けて!」
必死の形相で部室に駆け込んできた澪。
「ちょっ、どうした澪!?」
「みーおーちゃぁん? 私から逃げられると思ってるのかしらぁぁぁ!?」
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「おー、澪がんばれ」
襟首を掴まれ、どこかに消え去る澪とさわ子。
「何気に唯先輩も、律先輩も冷たいですね……」
「うふふ、世の中は常に弱肉強食で無常なものなのよ」
そして梓は改めてけいおん部の非情さに気づかされたのであった。

一先ず、完。