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761: ◆Heaaunpf3c :sage:07/19(日) 10:24:47.20 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA
 唯ってばなんで普段あんなよくわからないセンスの服着てるのかしら……
 昔はここまでひどくなかったのにどうしてこうなったのかしら……

「ちょっと唯聞きたいことがあるんだけど」
「なにー?のどかちゃん」
「いつも着てる部屋着あるじゃない?あれどんな気持ちで着てるのかなって」
「気持ち?どーゆーこと?」
「ちょっと言いにくいんだけど変わってるなーていうか」
「そーおー?かわいいと思うんだけどなー」

 やっぱり自覚はないみたいね。軽音部の新しい友達もできたことだし、なにかお洒落な物を着させないと。
 その友達が唯の服のセンスを見て引いちゃったらまずいもんね。
 服のセンスが悪いことほど寒いものはないわ。

765:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:07/19(日) 10:33:18.19 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA
「今から家行ってもいい?ちょっと服見せて欲しいの」
「いいよぉー」

 改善するのは今の内。
 友達がいなくなって学校に来るのもまちまちになってやがてはひきこもり、ニート。
 なんでも世話してくれる憂ちゃんがいるだけにその可能性は極めて高いわね。

「着いたよー」

 何度も唯の家には来たことがあるけれどクローゼットの中を見るのは初めてね。
 少しでもマシな服があればいいんだけど。 

766:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:07/19(日) 10:40:16.81 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA

 早速クローゼットの中を見せて欲しいと頼む

「いいよぉー」

 ちょっとドキドキするわね。センスの悪い服のこともそうだけど唯の下着とか出てきたらどうしよう。
 持って帰……いやいやそれは犯罪だから匂いを嗅ぐくらいならバチは当たらないよね。
 唯のファッションセンスを矯正しに来たんだし。

「これ?」
「そだよー」

 目の前に大きな木製の扉が現れた。
 この大きさだとかなりの量の衣類が収納されてるわね。
 それじゃあ早速、

 扉を開けるとそこは別世界でした。

768:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:07/19(日) 10:52:31.12 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA
「すごいこれ全部唯の服?」
「そだよー。憂のはまた別のところにしまってあるの」

 扉を開けて少しの間呆然としてしまった。
 クローゼットの中の衣類の量に圧倒されたのもあるけどやっぱりあるわね。
 微妙な単語がプリントされた衣類の数々。
 ハネムーン、おやつ、ロマンス、いなかの米、ポリスマン。
 これを作ったデザイナーはどんな顔して作ったのかしら。

「うーん……。やっぱりこれは無いわね……」
「ない?なにが?」
「センスよ」
「ガ―――ン!!」

772:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:07/19(日) 10:59:28.51 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA
「え?え?ダメかな?」
「さすがにこれはちょっと……プリントされた言葉のチョイスもなんだかおかしいわ」
「でもこれブランド品でけっこう高かったんだよ!」

 ブランド品?私もブランドには詳しいわけじゃないけどこんな服どこのブランドが作ってるのかしら。

「どこのブランド?」
「ちょっと待っててね!」

 しばらくすると両手いっぱいに服のタグを持った唯が帰ってきた。
 いちいちタグを保管してるなんてマメな子ね……
 いやただ単に物が捨てられないだけなのかも。
 こんなところにもニートの片鱗が見え隠れしてるわね。 

774:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:07/19(日) 11:07:13.03 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA
 タグを1枚拾い上げて顔に近づけてみる。
 驚いた。そこには誰でも知っているブランドのロゴマークがあった。
 どうやらブランド品っていうのは本当のようね。
 裏返して別の情報を確認してみる。原材料……そんなものはどうでもいいのよ。

「え……?」

 裏面に表示されている数字のケタ数を確認するのにしばらく時間がかかった。

ロマンス  49800円

 なによこの金額……楽にゲーム機が買えるじゃない。

779:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:07/19(日) 11:14:58.45 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA
「ね?ね?ブランド品でしょ?」
「確かにそうみたいね。でもどんなにいい服でもダサイことには変わりないわ」

 昔からの付き合いもあってか少し辛辣な意見を述べてみる。
 このくらいのことでへこむような子じゃないのはわかってるし。

「う~……。で、でも!」

 自分のセンスを否定されるはつらいと思うけどまだ言い訳をするつもりなのね。
 今日はあなたを馬鹿にするつもりではなくてファッションセンスを正すために来たんだから。その辺は理解して頂戴。

「のどかちゃんの服もなんかへんだよ!!」

「えっ」

785:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:07/19(日) 11:27:46.38 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA
 私?私の服が?
 唯はどんなことがあっても悪口を言うような子じゃない。
 昔からの付き合いでそれくらいのことはわかる。
 じゃあそれって本心?ちょっとよく解らないんですけど。

「どういうことよ?唯」
「そ、その言いにくいんだけど……」
「はっきり言って頂戴別に怒ったりしないから」
「んーと……その……」

 モジモジしちゃってイチイチ可愛いわねこの子。
 ってそんなことはいいから早く話しなさいよ。

「のどかちゃんの服ってなんだか色がババ臭いし……流行とは真逆っていうか……
 それにその服何年も着てるでしょ?毛玉も付いてるし袖もボロボロだよ?」

 確かにこの服は気に入ってて何年も着てるけどそんなに変な色?
 私のセンスがおかしいの?流行に乗ってないとダメなの?

「なんだか変なおじさんみたいだよ?」

 志村?私は志村なの?ねぇ答えてよ、チョーさん。

「他の服は持ってないの?いつも同じようなのばっかりだし……」



791:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:07/19(日) 11:45:05.11 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA
「それにのどかちゃんが変だって言ってるの全部部屋着だし外に着ていくわけじゃないよ?」

 もう一度クローゼットの中をよく確認してみる。
 指摘した微妙な単語がプリントされたシャツの奥を弄ってみる。
 確かにそこには小奇麗なシャツやジーンズが吊り下げられている。

「そっちのほうは4000円とか5000円であんまり高くないから恥ずかしいんだけど……」

 なんということ。安くて確かなもの選ぶセンスを持ってるのねこの子は。
 かくいう私はどうだろうか。急に心配になってきた。

「ちょっと唯、姿見ある?」
「私の部屋にあるよぉー」

 唯の部屋に移動し鏡で自分の全身を確認してみる。
 冷静になって見てみるとやはり変かもしれない。
 クローゼットの奥にあった唯の服と今私が身に纏っているそれとでは雲泥の差があった。

803:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage:07/19(日) 12:23:50.98 ID:AxuTjvCd0 (25) ID AA
「私ってダサかったのね……」
「そ、そんなことないよぉ!ちょっと個性的というか……」
「いいのよ慰めは……。どうせ私は原始人でさえダサくて着ないような服を着て人生を全うするんだから……」
「わ、私の服何着があげるから!ほら!これなんかのどかちゃんにピッタリ!」

 自分のセンスの無さに絶望しへたり込んでる私に服をあてがってそう言ってきた。
 うぅ……、やっぱりいい子ね。マイペースで能天気で頭のネジ1本どころか2、3本抜けてるような子だけど、
 こういうときには本当に救われるわね。

「そうだ今度の日曜日いっしょに服買いに行こう!」
「うん……ありがと」
「のどかちゃんかわいいんだからオシャレするともっとかわいくなるよ!
 そうだ!メガネも外してコンタクトにしたらどうかな!?」
「それは……また今度にするわ。いっしょに服を選んでくれるだけで十分だから」

 少し気が楽になった今なら言える気がする。

「その……服を貰うついでにパ、パンツも1枚……」
「ふぇ?パンツ?」
「やっ、やっぱりなんでもない!今のは忘れて!!」
「ふ~ん、へんなのどかちゃん♪」



こうして唯によって和のファッションセンスはまともな方向に矯正されるのであった。
やったね!のどかちゃん!これで笑われずに街を歩けるよ!

                                       おしまい