498 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 06:53:51.54 ID:qq08YQ6g0
【いつもの朝】
「朝ごはんできたよーっ!おねーちゃんっ!」
私はいつものようにお姉ちゃんを起こしに行く。もう、何年も続けていることだ
「ほら、おねーちゃんつっ!」
そして、大抵はベッドの数メートル手前まで近づいても起きない
何度見ても可愛い寝顔…じゃなくて、今ははまず起こさないと
私にも学校あるんだし
「ほらっ!おねーちゃんっ!おきてぇ!」
「むにゃむにゃ…あずにゃぁん」
まさかのまさか、お姉ちゃんの口からは梓ちゃんの名前が飛び出した
一体お姉ちゃんは軽音部で梓ちゃんとどんな関係なんだろ…いやいや、早く起こさないと
「もうっ!しょうがないなぁ」
私はお姉ちゃん愛用のギ―太を小型アンプにつないだ
499 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 06:55:18.77 ID:qq08YQ6g0
ちなみに、この小型アンプは、少し前に私とお姉ちゃんのお小遣いをためて買ったものだ
「これで家でもライブできる!ありがとぉ!唯!」
「近所迷惑にならないように気をつけてねっ」
「うんっ!小さめの音でやるからっ!」
お姉ちゃんの満開の笑顔見れて満足だったけど…
さらば私の半年分のお小遣い…そして安眠…
家は一応防音工事はしっかりとしてるから、近所迷惑は無いと思うんだけど
って、回想にふけってる場合じゃないっ!
「えーいっ!」
私はギ―太を構え、ボリュームを半分まで上げて、渾身の力を込めて
「おはよ…うい」
何も弾かなかった
Fin
505 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 07:31:20.88 ID:qq08YQ6g0
【いつもの朝2】
「え…?」
私は目の前の状況に当惑していた
確かに今、お姉ちゃんはむっくりと起き上った
私は何も弾かなかった。そうしたら、お姉ちゃんはまた寝てしまった…
「何だったんだろう、今の」
(お姉ちゃんには、まだまだ隠された秘密があるのかな…)
そう心のなかでつぶやきながら、私はまたギ―太を構えた
こんどこそ…
「えーいっ!」
506 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/19(水) 07:32:49.72 ID:qq08YQ6g0
「あ、あれっ?」
音が鳴らない。何を弾いても音が鳴らない
「どうしてっ?どうしてっ?」
私は必死になってギターを弾いた。でも、鳴らない
「ならないギターを、ひくんだじぇ~」
ハッとして声のした方を向いた。お姉ちゃんだ。いつの間に…
なんか手には、抜いたコード握ってるし…
「お姉ちゃん、起きてるなら言ってよ~」
「ごめんごめん。ごはんにしよっか?うぃ」
「そうだね、おねーちゃんっ!」
はぁ、やっぱりあの可愛い笑顔には勝てないや…
幸せだなぁ、私
Fin
最終更新:2009年08月19日 21:11