229 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:19:16.51 ID:DGR91ubv0
【勉強、されど勉強】
夏休み。今日は終戦記念日の8月15日である
唯は夏休みの課題に四苦八苦していた
「あぁ~集中できない!そうだ、数学はやめにして、英語をやろうっ!」
数分後
「だめだぁ~やっぱり集中できないっ…」
ふと、唯の目にギ―太が目に入った
「ジャンジャン♪」
唯は「はっ」と我に返った
「まただ…これで15回目。ギ―太はかわいいからなぁ」
ギ―太をなでてから壁に立てかけると、唯は再び勉強机に向かった
「こんどこそっ…」
231 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:20:29.46 ID:DGR91ubv0
数分後
「ふぁ~ぁ。眠くなってきた~」
ガチャッ
憂が入ってきた
「おね~ちゃんっ、勉強はかどってる?」
「おぉ、うぃ~」
「夜食、持ってきたよっ」
「ありがとうっ」
「じゃ、頑張ってね、おねえちゃんっ」
「あいよ~」
233 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:21:08.59 ID:DGR91ubv0
数分後
「お腹いっぱい…眠い…」
唯は憂の持ってきた夜食をあっという間にたいらげてしまっていた
「ねちゃおっかな……」
その時、携帯がぶるぶると震え始めた
「あ、メールだっ」
澪からのメールだった
「『勉強はかどってるか?分かんないとこがあったら質問して構わないぞ』か…やさしいよぉ、みおちゃんっ」
唯は一人感激していた
「ん~と、『どうやったら集中できますかっ?』と。送信送信っ♪」
すぐに返事、ではなく電話がかかってきた
234 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:22:32.44 ID:DGR91ubv0
『そっからかいっ!』
「えへへ、どうしても集中でくなくて…」
『唯はやればできる子なんだから、きっと出来るって』
「また、いっしょに勉強したりできないかな?」
『構わないけど、私に依存してばかりはダメだからな』
「わかってるよぉ~」
『とりあえず、今日出来ることはちゃんとやって、明日駅前の喫茶店に集合しよう』
「おっけい~」
『じゃ、頑張れよっ』
ピッ、バタン
「ぐぅ~ぐぅ~」
唯はそのまま寝てしまった
235 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:23:12.73 ID:DGR91ubv0
次の日
「はわわっ!!もうこんな時間っ!」
突然バサッと起き上って、目ざまし時計を見るともう9時半
10時の集合まであと30分しかない
「あわわわ、あれっ?メールが来てる」
口で下着をくわえながら、唯は携帯を開いた
「はむはむっ…」
『すこしぐらい遅くなってもいいから、忘れものだけはするなよ』
「…ふぁふぁふぃいふぉっ!ふぃふぉふぁんっ!」
バタバタと階段を降りて、そのまま唯は玄関を出て行った。
所要時間7分。なかなかのベストタイムである
「ふぅ~なんとか間に合ったぁ。持ち物も…よかった、大丈夫だっ」
ぱたぱたと一目散に駅に向かって駆け出して行った
237 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:24:26.67 ID:DGR91ubv0
駅に着くと、澪はすでに来ていた
「ごめ~んっ!」
「唯にしては珍しく時間ピッタリだぞ」
「えへへ」
「暑いし、店の中入るか」
そう言って澪は自動ドアに向かって歩きだす
「一応メール送っておいたけど、勉強道具とか大丈夫だよな?」
「もちろんっ!助けられたよ、みおちゃんっ!」
唯はビシッとガッツポーズを決めた
「そ、それならいいんだけど…」
自動ドアが開き、その先にはウェイトレス姿のムギが立っていた
「がんばってね、唯ちゃん。時間があれば私も教えてあげるから」
ニッコリと微笑むと
「こちらでございます」
と2人を席まで案内した
240 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:25:45.08 ID:DGR91ubv0
2人が席に着くと、ムギはオーダーを聞いた
「えっと、カフェオレでっ!」
「砂糖ミルク無しのブラックでお願い、ムギ」
「かしこまりました」
そう言ってムギはカウンターに戻って行った
「よしっ!じゃぁ始めるかっ!」
「なんか大張りきりだね、みおちゃんっ」
「この夏休みに軽音部5人の学力アップ!それを夏休みの目標にしたんだ」
「なるほどぉ、がんばんなくっちゃね」
「2年生の夏休み明け課題テストは4人で上位独占だぞっ」
「は、はは、がんばんなきゃねっ…」
澪は超やる気のようだ
243 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:27:48.87 ID:DGR91ubv0
「カフェオレとブラックコーヒーでございます」
…2人は勉強に熱心で気付いていないようだ
(頑張ってね…!澪ちゃんと唯ちゃん!)
心の中でそうつぶやいてから、ムギはそっとオーダーを置いて行った
「むむむ…なんだこれ」
「ほら、前に出てきた解法と同じだよ」
「あぁっ!ホントだっ!」
澪が分かりやすく教えてくれたので、思ったより勉強ははかどった
山のようにたまっていた課題にも、終わりが見えてきた
「よしっ、ここが出来れば後は応用するだけだから」
「よしっ、頑張るよっ」
「あ、飲み物来てるぞ。これが終わったら休憩にしようか」
「うんっ」
突然、唯のペースが3倍速ぐらいになった。残っていた数学の課題は、あっという間に終わってしまった
244 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:29:01.31 ID:DGR91ubv0
「やれば出来るじゃないか!」
「えへへ~のど乾いてたから」
そう言って唯はカフェオレを手に取ると、ゴクゴクと飲みだした
澪もそれに続く
「ん~まいっ!おいしいねっ!」
「かーっ!!スッキリするなっ!」
「みおちゃんってホントにブラック大好きなんだね」
「キリっとするからな、ブラックは」
「なんか、アイス欲しくなってきちゃったなぁ」
すると、突然ムギがアイスを持ってやってきた
「あ、アイスだぁ!ムギちゃんどうしてわかったの?
「ちょうど休憩だったし、唯ちゃんもアイス待ってるかな、って思って♪」
「さすがだな…ムギ」
「じゃ、お邪魔しますね」
ムギは席に座った
247 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:30:21.10 ID:DGR91ubv0
「このアイスおいひ~」
「当店特製のバニラアイスですわ」
「唯、ちょっともらっていいか?」
澪はスプーンひとすくいのアイスをもらった
「確かにっ、おいしいっ!」
「みんなに喜んでいただけると、嬉しい限りですわ」
ムギはまたニッコリと微笑んだ
その時、窓の外を律が通りかかった
「あ、あれりっちゃんじゃない?」
「ホントだ。なんでここにいるんだろ」
「ちょっと、呼んできますわ」
ムギは入口の所へ行って、律を呼びとめた
「お、みんな。おいす~っ!」
「おいす~っ!りっちゃん隊員」
「どうしたんだ律。一人で駅前にいるなんて珍しい」
「ちょっと図書館で勉強してたんだ」
「ほ~っ」と3人は感嘆のため息をついた
250 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:32:27.76 ID:DGR91ubv0
「雪が降るぞ。雪が」
「ほんとだ~っ。さまーくりすますだ~っ!」
「おいっ」
澪と唯のボケを律が制した
「家で聡が勉強してるの見て、さすがにヤバいと思ったから、図書館に来てみたんだけど…」
「で、どんな感じなんだ?」
澪は律の課題ノートをパラパラとめくった
「…全然進んでないな」
「えへへ~これでも頑張ったんだぞ、みお~っ」
律は澪に抱きつく
「手伝って…くれるよね?」
(うるうるした目で見るなっ!)
結局4人で夕方まで勉強することとなった
255 ギ―助 ◆CvdBdYFR7. sage 2009/08/17(月) 21:34:11.26 ID:DGR91ubv0
「よし…こんなもんかな」
周りはすっかり暗くなりつつあった
ムギもバイトを終えて、着替えを済ませていた
「じゃ、帰りますか」
律はぐぐっと伸びをすると、席を立つ
「ありがとな、澪」
「いつものことさ。これで残りの夏休みは部活に集中できるな」
「よしっ、明日から頑張るぞぉ~!」
「…ただし、私がいないときでも、ちゃんと自主自学をすること!2人ともいいかっ?」
「は~いっ!」
4人は駅前で別れることにした
「じゃ、また明日~っ!」
「遅刻するなよ~ゆいっ!」
「だいじょうぶだよ~っ!今日はありがとね~っ!」
唯は元気に家に向かって駆けて行った
夏休み明けの課題テストの結果は…言わないでおこう
Fin
最終更新:2009年08月20日 01:50