153 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/22(土) 21:38:46.63 ID:II/RIJOO0
【懐かしの公園】
「なぁ、澪」
律と澪はいつもの帰り道を歩いていた。
「なんだ、律」
「あれ、見てみてなよ」
律の目線を追うと、そこには公園があった。
「懐かしいなぁ。小さい頃、2人でよく遊んだ公園じゃないか」
澪は公園を見渡した。その目には、幼い時の光景が蘇っていた。
「そうなんだけどさ、これ見てみてみなよ」
律は澪にも分かるように、公園の入り口近くに貼ってあった紙を指差した。
そこには、この公園がマンションになるということが書いてあった。
157 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/22(土) 21:43:47.62 ID:II/RIJOO0
「ここ、無くなっちゃうのか…」
澪はぽつりとつぶやいた。
「寂しいよなぁ…」
律もそれに応えるようにつぶやく。
「なぁ、ちょっと中に入ってみないか」
「えっ、いいのか律」
「ちょっとぐらいいいじゃんか。もう無くなっちゃうんだぞ、ここ」
澪は律につられて公園の中に入った。
そこは、幼い頃に遊んだ時と何も変わっていなかった。
2人は近くにあったブランコに腰かけた。
159 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/22(土) 21:45:48.55 ID:II/RIJOO0
律はそれとなく澪に話しかけた。
「澪が滑り台滑れなくて泣いてたの、よく覚えてるぞ」
澪は少し照れくさそうに顔を赤らめた。
「しょ、しょうがないだろ、怖かったんだから。律だって、よくブランコから落ちてたじゃんか」
「あれ、そうだっけ」
律は思わず首をかしげる。
「おっちょこちょいなのは昔から変わらないもんな」
「そう言う澪だって」
「はは、お互い様だなっ」
2人はゆるやかにブランコをこいでいた。
164 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/22(土) 21:49:00.97 ID:II/RIJOO0
「なんか、思い出が消えちゃうみたいでやだよなぁ」
律は空を仰ぎながらつぶやいた。
「なぁ、律。写真取らないか?」
「えっ?カメラ持ってきてんの?」
「私はいつも持ち歩いてるぞ」
澪は少し得意げな顔をした。
「何かストーカーみたいだな」
「ばかっ。シャッターチャンスを逃したくないだけだっ」
2人はブランコを降りると、滑り台に向かって歩いて行った。
166 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/08/22(土) 21:50:54.50 ID:II/RIJOO0
澪がカバンからカメラを取りだした。
2人は肩を組む。
律がカメラを構えた。
「これからも、ずっとずっと、仲良くいられますように」
「なんか、くさいなぁ」
「照れんなよっ、澪」
「うっさい、律。…これからも一緒だぞ」
「分かってるって」
律はシャッターを切った。
Fin
最終更新:2009年08月23日 06:52