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674 :(仮名) ◆PzD3ftv2xo :2009/09/15(火) 22:39:40.80 ID:iyOC360FO
最近、街中で話題になっている事がある。
と言っても、とても物騒な話題だ。
最近、この世のものとは思えない生物が街を徘徊するようになった。
そいつらは人を襲う。
襲われた人は声が出なくなったり、酷い場合は体が動かなくなってしまうらしい。
今はまだ殺された人がいないのと、そいつらの個体数が少ない事が不幸中の幸いだ。
もちろん、これからそいつらが増えていかないとも限らず、未だに自衛隊による警戒が続いている。
自衛隊なんかいたら、余計不安になるんだけどな…。
そんなある日、桜が丘高校に非常勤講師が赴任してきた。
さわ子先生が病気で入院した為、急遽学校が音楽教師を2人着任させた。
なんで2人なのかはあえて気にしない事にした。
まあ、我らが軽音楽部がようやく認められたっていう、都合のいい解釈をしておこう。
679 :謎の小袋 ◆PzD3ftv2xo :2009/09/15(火) 23:02:55.35 ID:iyOC360FO
講師A「…と言うわけで、これから、宜しくお願いします。」
綺麗な人だな…。
さわ子先生も、第一印象はそうだった。
…まさか、実は猫被ってたりしないだろうな、あの人…さわ子先生みたいに。
いやいや、邪推はよそう。
講師B「俺の名前は扇 風太(おうぎふうた)。友達からはファン太って呼ばれてました。なんで、みんなも気軽にファン太って呼んでくれよ!」
意外と…カッコイイかも…。
ファン太「…あっ。一応先生付けてな。そういうとこうるさい先生もいるし。」
他の教師を流し見しながら言う扇先生。
生活指導の先生が咳払いをし、扇先生が苦笑いして頭を下げる。
生徒達の間に軽く笑いが起こる。

放課後、音楽室

ファン太「あ~、と言うわけで、今日から軽音楽部の臨時顧問を務める事になりました、扇…。」
律「かてーよファン太!さわちゃんが戻って来るまでの間、よろしくな~。」
688 :謎の小袋 ◆PzD3ftv2xo :2009/09/16(水) 00:28:19.18 ID:vtUIHC4+O
澪「おい律、先生付けろって。…あっあの…よ…よろしく、おねがっします。」
緊張して噛んじゃったよ…恥ずかしい…。
どうやら、軽音部に専属で顧問を付けてくれたみたいだ。
…さわ子先生は掛け持ちだからなあ…結構苦労してただろうな。
私としては迷惑かけられっぱなしだけど。
ファン太「うん、よろしくな。…可愛いなあ、秋山さんは。」
えっ!?
そ、そんな、そんな事は…。
みるみる真っ赤になって黙る私を見て律が言う。
律「悪いけど、澪はあたしのだからな!」
梓「何言ってんですか?私達のです!」
お前らは何を言ってるんだ?
ムギもなんかハアハアしてるし。
そんなこんなで、扇先生歓迎会が始まったのだった。

下校時間

曲を披露したりお茶したりで、あっという間に下校時間が来て、私達は帰り支度を始める。


901 :謎の小袋 ◆PzD3ftv2xo :2009/09/16(水) 20:16:01.04 ID:vtUIHC4+O
みんなと別れ、家路につく。
律は家の人に用事を頼まれたのを忘れていたらしく、大慌てで帰って行ったため、私は1人で帰る事になった。
普段は律が横で私をからかったりして話しかけてくれるので、帰り道があっという間に終わってしまうのだが、独りぼっちだといつもより長く感じる。
寂しい…。
漫画とかだと、こういう時に例の怪物と鉢合わせたりするんだよな…。
怖いよ…早く家に着かないかな…。
「キャアアアア!!」
突然、女性の叫び声がした。
澪「聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない!!」
って私のバカ!
声を出したら私まで怪物に見つかるじゃ…。
……………。
今起きた事をありのままに話そう。
『怪物から遠ざかろうとしたら怪物に鉢合わせた』
…な、何を言ってるか分からないと思う。
私自身、何が起きたのか分からなかった。


905 :謎の小袋 ◆PzD3ftv2xo :2009/09/16(水) 20:44:54.59 ID:vtUIHC4+O
…現実逃避してる場合じゃない、早く逃げないと!
私は怪物に気づかれない様に後ずさりする。
が、運悪く足を滑らせて転んでしまった。
ヤバい!気づかれた!
怪物がこっちに近づいてくる。
澪「ひっ!こ…来ないで…!」
恐怖で腰が抜けて立てない。
もう…ダメ…!
その時。
突然、風が吹く。
その風と共にもう一体怪物が現れ、私に襲いかかる怪物を一蹴した。
まるで鬼のようなその怪物は、蹴飛ばした怪物を指差し言う。
鬼「『音』は返して貰うぜ、デコーダ!」
『音』?何の?
それに…この声、どこかで…。
鬼は怪物-デコーダ-に向かっていく。
デコーダが口から火の玉を吐き出す。
鬼はそれを難なく振り払うと、強烈なパンチを繰り出す。
デコーダは避けきれずにその直撃を食らい、ふっ飛んでいく。
壁に激突してふらつくデコーダに向けて、鬼はトドメの跳び蹴りを食らわせる。
デコーダは跡形もなく爆発四散した。


912 :謎の小袋 ◆PzD3ftv2xo :2009/09/16(水) 21:20:09.26 ID:vtUIHC4+O
律「…お!気がついたか。大丈夫か?」
あれ?ここは…私の家?
いつの間に帰って来たんだろう?
それに、どうして律がいるんだ?
律「お~い、澪ちゃ~ん。大丈夫~?」
私の目の前で手を振る律。
澪「う、うん、大丈夫。ところで、なんで律がいるんだ?」
律「なんでって…帰り道の途中で気絶してたから、急いでお前んちまで担ぎ込んだんだよ。」
気絶…したんだ、あの後。
律「しっかし澪…お前またふべし!」
澪「その先は言うなあ!」
禁断の単語を言おうとした律の顔面に思い切り右ストレートを食らわせる私。
私は、ふ…太ってなんかない!
律「いてて…前歯折れるかと思ったよ…そういえば、なんであんなとこで気絶してたんだ?」
澪「じ、実は、怪物に襲われて…。」
律「マジかよ!?なんかされなかったか?体は何ともねーのか?ホントに大丈夫か?」
怪物と聞いた途端に極端に私の心配をする律。
澪「だ、大丈夫だよ。助けて貰ったんだ。えっと…鬼に。」


928 :謎の小袋 ◆PzD3ftv2xo :2009/09/16(水) 21:55:58.63 ID:vtUIHC4+O
律「…やっぱ大丈夫じゃねーや…頭でも打ったのかな…?」
澪「ちょっ!ホントなんだよ!」
律「あ~ハイハイ。いい夢見たね~。」
澪「嘘じゃないんだよ!ホントに鬼が助けてくれたんだって!信じてよお!」
律「分かった。分かったからもうそれ以上何も言わないでくれ!悲しくなってくるから!」
うう…。
悲しいのはこっちだよ。
本当の話なのに、全然信じてくれない律。
…まあ、当たり前って言えば当たり前だけどさ…。

次の日

和「おはよう澪。…律から話は聞いたわ。何ともないみたいで良かったわ。」
…まったく、みんなが心配するといけないから話すなって言ったのに。
まさか、鬼の事まで言ってないだろうな、あいつ…。
和「しばらくは、律と一緒に帰った方がいいかもね。また襲われるとアレだし。」
澪「うん。そうするつもり。」
まあ、律の事だから、嫌がっても一緒に帰るって言って聞かないだろうけどな。
どうせ帰り道一緒だし。


956 :謎の小袋 ◆PzD3ftv2xo :2009/09/16(水) 23:24:24.62 ID:vtUIHC4+O
放課後、音楽室

唯「澪ちゃん、怪物に襲われたんだよね?大丈夫だった?」
音楽室に入った側から、駆け寄ってきた唯が心配そうに聞いてくる。
澪「うん、大丈夫。平気だよ。」
律「鬼に助けて貰ったんだもんな~?」ニヤニヤ
澪「ばっ、それは言わない約束だろ!?」
紬「そうなの~。でも、鬼って普通、人を襲うものじゃないのかしら?」
梓「きっと、いい鬼だったんですよ!ね、澪先輩!」
澪「た、多分な…さあ、練習するぞ!」

一曲目の練習が終わる頃、扇先生がやってくる。
ファン太「おっ、やってるね。」
先生は椅子に座って、私達の練習を眺めている。
うう…恥ずかしい。
なんでこんなに恥ずかしいんだろう?
先生が見てるから?
先生は、私1人を見てるわけじゃないのに?
ふと先生と目が合う。
私はあまりの恥ずかしさに、思わず演奏を止めてしまう。


967 :謎の小袋 ◆PzD3ftv2xo :2009/09/17(木) 00:32:50.26 ID:UF2TeXl4O
梓「ど、どうしたんですか?澪先輩。」
澪「えっ!?ああ、いや、うん。なっ何でもないんだ!」
自分でも分かるほど、顔が真っ赤になっている私。
唯「澪ちゃん顔赤いよ?大丈夫?」
澪「う、うん。平気だよ。さあて、もう一曲やるか!」
律が怪しく微笑む。
律「さては澪、お前ファン太に惚れたんだろ~!」
!!!
澪「バ~カ~り~つ~!」



『扇風鬼!』第1話 完