380 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 03:12:58 ID:m65ZiO1p
キーンコーンカーンコーン…
今日もいつものように放課を告げるチャイムが鳴る。さて、今日は何分で来るかな?
唯「あーずーにゃーん!」
新記録達成だ。1分も経たないうちに私の恋人は教室にやってきた。
なんというか、すごい人だ。
唯「あずにゃーん!部活いこー!」
梓「わ、わかりましたから大声出さないでください!」
クスクス…と教室全体から笑い声が聞こえて、恥ずかしくなってしまう。
いわゆるバカップル、とでも思われているのだろうか。
純「梓、今日もお熱いねえ~?このこの!」
梓「べ、別にお熱いなんて…」
憂「いいじゃない梓ちゃん、とってもお似合いだよ♪」
梓「もう、憂まで…」
二人にこういう風に言われるのは嬉しいんだけど、やっぱり気恥ずかしい。
私は意味深な笑みを浮かべる二人をあしらって、逃げるように教室を後にした。
梓「ふぅ…待たせちゃってすいま…きゃ!」
唯「あずにゃん…会いたかったー♪」
息つく暇もなく、唯先輩が私に抱きつく。この人はどうしてこう大胆なんだろう…
381 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 03:15:55 ID:m65ZiO1p
梓「あ、あの先輩…こんな廊下で抱きつくのはちょっと…」
唯「いいでしょー?なんてったって私たちは恋人同士なんだから!」
梓「み、皆見てますって…いいから早く部室行きますよ!」
唯「ああん、あずにゃんの意地悪!」
別に意地悪じゃない。
誰でもこんな公衆の面前でイチャイチャするのは恥ずかしいはずだ…
音楽室
梓「まだ皆来てないみたいですね。ムギ先輩たちは掃除ですか?」
唯「うん、皆遅れるみたい!だからぁ…」
唯先輩は再び私に抱きついた。
突然体重をかけられて、私はバランスを崩して壁にもたれてしまう。
梓「きゃ…もう、先輩ったら…」
唯「ねぇあずにゃん…今二人きりだし…唯って呼んで?」
梓「うん…さっきはあんなこと言ったけど、私もずっと会いたかったんだよ、唯」
そう言いながら私は唯の頭を撫でる。髪の毛がふわふわしていて、とてもいい気持ちだ。
唯「ねぇあずにゃん…ぎゅーってして?」
梓「…うん、いいよ」
私は唯の背中に手を回して静かに抱き締める。私よりも少し大きいその体は、とても温かかった。
382 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 03:19:22 ID:m65ZiO1p
唯「えへへ、なんだか落ち着くなぁー♪」
梓「もう、甘えんぼなんだから…ねぇ唯…チューしよっか」
唯「いいよー?こないだみたいに鼻ぶっつけないようにしようね」
梓「うん、気をつけるね。…唯?」
唯「…なあに?」
梓「大好きだよ」
私はそっと唯にキスをした。唯は目を閉じて、私に身を委ねてくれた。
唯は私のことを信じてくれている。そして私も。こういうのが、愛っていうのかな。
唯「…えへへ、今回は上手くできたね」
梓「…うん。ね、今度する時は唯からして?」
唯「いいけど、今度じゃなくて…今しちゃうもんね」
そういって唯先輩が私に唇を重ねようとした瞬間、部室の扉が開く。
律「おー、遅れてわり…あ…」
澪「い…」
紬「う…ふふ…」
3人が入ってきたのを見て、私は即座に唯先輩を突き飛ばす。
梓「い、いい嫌だな先輩、いくら顔を近づけても私のまつ毛にはゴミなんてついていませんですよ!?」
唯「うぅ、痛いよあずにゃん…」
梓「ささ、さぁ皆さん!今日も練習がんばりましょう!全力で死ぬ気で死んでも!」
私はよく意味のわからないことを口走っていたが仕方ない。
それくらい恥ずかしかったのだ。
383 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/05(月) 03:22:52 ID:m65ZiO1p
律「やれやれ、隠さなくたっていいのになぁ」
澪「で、でもまだキスは早くないか?」
紬「うふふ…ふふ…」
私は自分でも挙動不審だと思うような動きでギターを取り出す。
それを眺めながら先輩たちはニヤニヤしつつお茶の用意を始めた。どうやらしのげたようだ。
…でも、せっかく唯がキスしてくれるとこだったのにな…残念。
と、起き上がった唯が私の耳元で不意にささやいた。
唯「…あずにゃん、続きはまた放課後にね♪」
梓「え…あ…う、うん…」
真っ赤になる私の顔を見て、唯が幸せそうに微笑む。
どうやら今日は、練習に集中できそうにないや。
終わり
すばらしい作品をありがとう
最終更新:2009年10月05日 03:33