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580 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo [第2話投下]:2009/12/09(水) 23:05:43.47 ID:n8CcEsAO
 どこかの一室のベッドの上で目を覚ます私。……あれ?私、何してたんだっけ?
 え~と……確か。真っ黒な化け物に舞ちゃんがやらそうになって……それで、舞ちゃんを助けようとして、それで……。
弓子「おはようございます」
唯「ほえ? あ、え~と、おはよ~ございます」
 気がつくと、私のそばに微笑む女の人がいた。ていうか、ここどこ?
弓子「ここは私の家です。貴女はあの時、『ペルソナ』を召還してシャドウを倒したんですが、その後気を失ってしまったんですよ」
唯「そっかあ、それで私をここまで運んでくれたんですね」
弓子「ええ、あの子がね」
 ドタドタと誰かが走ってくる音がする。音が止むのとほぼ同時に、この部屋のドアが勢いよく開かれる。
舞「唯先輩!目が覚めたんですね!」
弓子「もう少し、静かに行動しましょうね?」
舞「だってさあ、いてもたってもいられなくて!」
弓子「……もう少し、静 か に 行動しましょうね?」
舞「はい、スイマセンでした」
 おお……舞ちゃん地獄耳……ていうか、あの人なんか怖い……。
581 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:08:08.52 ID:n8CcEsAO
弓子「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私は菱守弓子。以後、お見知り置きを」
 私の方を向き直り、自己紹介をする弓子さん。言葉遣いが丁寧な人だなあ。
唯「あっ、私は……」
弓子「舞から聞いていますよ。平沢唯さん、ですよね?」
唯「はい。よろしくお願いします」
 私は手を差し出す。弓子さんはその意味を察してくれたみたいで、私の手を取って握手をした。
舞「唯先輩、体なんともないですか?
唯「あはは、大丈夫だよ~、舞ちゃんは心配性だなあ。って、舞ちゃんこそ大丈夫なの?シャドウに吹っ飛ばされてたけど」
舞「大丈夫です!鍛えてますから!」
 えっへんと言わんばかりに胸を張る舞ちゃん。それを見た弓子さんが呆れ顔で言う。
弓子「全く、どこが大丈夫なのかしら?」
舞「むう……弓子にはお見通しか……」
 舞ちゃんはバレたか、と言いたげに苦笑いをしながら左腕を出す。うわあ、凄い青あざ!痛そう……。
舞「とっさに腕で庇ったから肋骨は大丈夫だと思うけどね。左腕の感覚ないや」
 ニコニコ笑いながら言う舞ちゃん。
582 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:11:35.35 ID:n8CcEsAO
唯「舞ちゃん病院行かないと!腕折れてるかもよ!?」
舞「へーきへーき。寝て起きれば治りますから」
唯「ほえ?そうなの?」
弓子「ええ。彼女のペルソナは治療が専門ですから」
 舞ちゃんのペルソナ、アスクレピオスは医術の神様。そのおかげか、舞ちゃん自身の自己治癒力も凄くなってるみたいなんだって。
 う~ん、病院いらずなんてうらやましいなあ。
唯「あ、そう言えば、私のペルソナってどんな人なんですか?」
弓子「キュプリス……アプロディーテともいう、愛の女神ですね」
唯「愛……ですか。なんか分かんないけど、愛の力って凄いんですね!シャドウ倒しちゃったし!」
弓子「愛の力……かどうかは分かりませんが、キュプリスは炎の魔法を操るようです」
 私はあの世界やシャドウ、ペルソナについて教えてもらった。……けど……難しくて、よく分かりません……。
舞「あ~、えっと、弓子さん?唯先輩、頭からケムリ噴いてるんですけど」
弓子「さすがに理解出来なかったかしら?……まあ、追々説明していきましょうか」
舞「んだね」
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/09(水) 23:13:39.90 ID:iH.UrfYo
久々に見た気がスルー
584 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:15:12.30 ID:n8CcEsAO
弓子「平沢さん、ひとつお願いがあるんですが」
唯「ほえ?なんですか?」
弓子「私達は《領域》の調査を行いたいのですが、2人だけでは戦力不足でして……出来れば平沢さんに協力して頂きたいのですが……」
 あれ?やっぱり握手だけじゃ伝わらなかったかあ……うん、ちゃんと言わなきゃダメだよね。
唯「もちろん!むしろ手伝わせてください!せっかく力を手に入れたんだもん、この力で誰かを助けられるならそうしたい!」
弓子「本当に!?……ありがとう!」
 こうして私は、《領域》調査隊に加わっる事になっのだった。

憂「お帰りなさい、お姉ちゃん」
 弓子さんちの車で送ってもらい、家に着く。
弓子「話があります。お邪魔していいかしら?」
 私と一緒に家に入ってくる弓子さん達。
憂「えっ、は、はい。いいです、けど……」
舞「まずは名を名乗れ、話はそれからだ」
弓子「そうだった。……初めまして。私は菱守弓子と言います。以後お見知り置きを」
憂「唯の妹の憂です。こちらこそよろしくお願いします」
 2人は握手を交わした。
585 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:17:09.23 ID:n8CcEsAO
憂「それで、話ってなんですか?」
 家に上がった弓子さん達をリビングに通してお茶を出す憂。それを受け取って微笑む弓子さん。
弓子「ありがとうございます。お姉さん……唯さんの事なのですが……」
 弓子さんは昨日私達に起こった事、これからの事を憂に話し始める。
憂「……それで、お姉ちゃんが手伝うって言ったんですね?」
舞「んだよ~。……やっぱ、心配だよね?」
憂「確かに、心配だけど……お姉ちゃんがやるって決めたんなら、私はお姉ちゃんを応援するよ!」
唯「憂……ありがと~!」だきっ
憂「えへへ。……お姉ちゃんを、よろしくお願いします」
 弓子さん達は静かに頷いた。

次の日

律「おーっす唯!風邪大丈夫かー?」
唯「まだ治りかけだから、近づいたら移しちゃうぞ~!」
律「おいおい、やめろよ~!」
澪「じゃれ合ってないで、練習始めるぞ!」
 久しぶりの朝練で澪ちゃん気合い入ってるな~。私も頑張るぞ!
紬「そう言えば唯ちゃん、昨日部活の後、どこに行ってたの?」
唯「ほえ?え~と、実はりょうい……」
586 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:19:57.79 ID:n8CcEsAO
 おっといけない!コレは言わない約束だった!……え~と……。
唯「料理の本買いに行ってたの。憂に頼まれてたのすっかり忘れててさあ」
梓「相変わらず忘れっぽいですね……ギターの弾き方まで忘れてないといいですけど」
 う~、相変わらずあずにゃんは厳しいなあ。

 放課後。
 ひと通り練習を終えて帰路につく私達。りっちゃんと澪ちゃんは今日も一緒に帰るみたい。
唯「ラブラブですな~ひゅ~ひゅ~!」
澪「か、からかうなあ!」カアア
律「帰り道が一緒なだけだっての!」カアア
紬「私はそういう関係もいいと思うわ!」キラキラ
梓舞(この人は何を言ってるんだろう……)

 一旦自分の家に帰った後、弓子さんの家に来た私。ていうか、こんなに大きい家だったんだ……!
弓子「いらっしゃい、平沢さん」
舞「おいでやす~」
唯「お邪魔しま~す。……ねえねえ弓子さん」
弓子「何かしら?」
唯「せっかく仲間になったんだし、もうちょっと気軽に呼び合おうよ」
弓子「では……唯さん、でいいかしら?」
唯「うん!私はゆみちゃんって呼ぶね!」
587 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:23:31.36 ID:n8CcEsAO
 その頃。
 私と律は、いつも通り他愛のない話をしながら家路を行く。
 もし男女なら、恋人同士に見えるんだろうな、私達。……一部の人が見れば、女の子同士の私達でも恋人同士に見えるんだろうけど。
律「しっかし唯のやつ、変な事言いやがって。……ちょっと意識しちまったじゃねーか」
澪「へっ!?」カアア
律「あはは、冗談だよ冗談!本気にしちゃったのかな~澪ちゃん?」
澪「うっ……バ~カ~り~つ~!」
律「うわ~澪が怒った~逃げろ~!」
澪「待てー!」
 こんなバカみたいなやり取りをする、本当に他愛のない、でも愛おしい日常。こんな日がずっと続くと思っていた……その時までは。

 律が急に立ち止まる。どうしたんだろう?
律「なあ澪……ここ、どこだか分かるか?」
澪「何言ってんだよ。もうすぐ家に……あれ?」
 おかしい。
 道を間違えたハズはない。まっすぐ家に向かってたハズだ。なのに……見た事のない街並みが、目の前に広がっていた。
澪「嘘……何、コレ……一体、何がどうなってるんだよ!?ここはどこだよ!?」
588 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:26:53.80 ID:n8CcEsAO
律「と、とりあえず、落ち着けよ澪。元来た道を引き返しゃあ……」
 そう言いながら振り返った律が硬直する。今度は、何……?私もゆっくりと振り返る。
 そこには、夕闇よりも真っ黒な、影みたいな怪物が存在していた!
律「逃げるぞ澪!」
 律が私の手を掴んで走り出した!

 どれだけ走っただろう。何とか怪物を振り切った私達は、物影に隠れながら息をつく。
澪「何なんだよアイツは!?」
律「あたしが知るかよ!……でも、なんとなく分かったぜ。あたし達は……」
澪「言うな!……分かってる……私だって、そうとしか思えない……けど!」
 そう……分かってるんだ……頭では。でも、心のどこかで、その事実を信じたくない自分がいる。
 《神隠し》。
 昨今世間で騒がれているそれに、私達が巻き込まれてしまったのだという事を。
 ……とにかく、何とかして脱出しなくちゃ。この、《神隠し》の世界から。
シャドウ「ヴォオオオオ!」
 !!
 ふと周りを見回すと、私達はたくさんの怪物達に囲まれていた!
律「いつの間に……くそ!」
589 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:29:30.52 ID:n8CcEsAO
律「澪……あたしがアイツ等の注意を引きつける。そのうちに逃げろ!」
澪「何言ってるんだよ!一緒に逃げようよ!」
律「大丈夫だって。アイツ等撒いたら、すぐ追いつくからさ」
澪「カッコつけるな!律にもしもの事があったら……」
律「澪!……頼む、逃げてくれ!」
 律は物影から飛び出し、怪物達の注意を引きつける。
澪(律……ゴメン!)
 私は振り返らずに走り出した!

 どれだけ走っただろう?まだ律は来ない。本当に、大丈夫かな?……いや。大丈夫な訳、無いよ……。
 律だって怖いはずだ。なのに、私を逃がす為に、あんな事……。
 ……情けない。いつもいつも、危ない事は律に押し付けて、私は逃げてばかり……もう、そんなのは嫌だ!

 さっきの場所まで戻る私。そこで私は、信じがたい光景を見た。律の頭上に、不思議な人物が浮かんでいる!
律「へへ……さすがに数が多いや……悪いけど、もうちょっと踏ん張ってくれよ、オリオン」
 律は、頭上の人物-オリオン-にそう言う。オリオンは律の言葉に応える様に、静かに頷く。
590 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:31:59.64 ID:n8CcEsAO
 見ると、怪物達はまだまだいるようだ。その時、律の背後の怪物が律に襲いかかる!
律「うわっ!」
 何とか攻撃をかわすも、へたり込んでしまう律。オリオンも消えてしまった。そこに怪物が追い討ちをかける!
澪「律ーーー!!」
 私は近くにあった鉄パイプを握りしめ、怪物と律の間に割って入り、怪物に一撃を叩き込む!
律「澪!なんで逃げてないんだよ!」
澪「馬鹿!親友を……律を置いて逃げるなんて出来るか!」
 怖い。凄く怖い。酷く震えて、涙が止まらなくて、腰が抜けそう。今すぐ逃げたい。でも……戦わなきゃ!今、律を守れるのは、私だけなんだ!
 その時。
-我は汝……汝は我……-
 頭の中に声が響く。
-我……汝が心の光に導かれ、顕現せり……-
 あなたは誰?……いや。分かってるよ、あなたの名前。そう、その名は……!
-我が名を呼べ……さすれば我、汝が力とならん……-
 一枚の薄青く輝くカードが、私の目の前に現れる。私はカードを掴む。手の中でカードが砕けると同時に、その名を叫ぶ!
澪「アルテミス!」
591 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:35:47.25 ID:n8CcEsAO
律「澪……お前……」
 驚いて私を見上げる律。……もう、大丈夫だよ。
澪「律は休んでて。後は……私がやる!」
律「冗談……まだやれるっての!オリオン!」
 律は立ち上がると、再びオリオンを喚び出す。
澪「だったら……行くぞ、律!」
律「おう!」
 私達は怪物達に向かっていく!
……………
…………
………
 何とか怪物達を一掃した私達。
澪「ふう。……怖かったよ~律う~」だきっ
律「うわっちょっ!……よく頑張ったな、澪」
 急に泣きついた私を慰めてくれる律。こういう時、やっぱり律は優しい奴だって実感する。
 気分が落ち着いてから、気になってた事を律に尋ねる。
澪「そう言えば、律。お前のあの力……いつ身についたんだ?」
律「ん? ああ、あいつはな……昨日の夜、《神隠し》にあった時に出てきたんだ」
澪「えっ!? 昨日も《神隠し》にあってたのか!? 何で言わなかったんだよ!」
律「言っても信じてもらえねーと思ったからさ。黙ってたんだ」
澪「まあ、確かにそうかも……」
律「お互い、無事でよかったな」
592 :ぺるそな! ◆PzD3ftv2xo :2009/12/09(水) 23:39:42.30 ID:n8CcEsAO
 次の日。
 私達は普段通りに登校する。しばらく歩いていると、唯が駆け寄って来る。
唯「2人とも!良かったあ~、無事だったんだね~!」
澪「ん? 何の話?」
律「無事に決まってるだろ?なにしろペル痛っ」
 私は律の耳を引っ張って言う。
澪「その事は内緒にしとこうって言っただろ?」ボソボソ
律「そ、そうだったな。ゴメン」ボソボソ
唯「おやおや、デートのお約束ですかお2人さん?」ニヤニヤ
澪「なっ……!」カアア
律「そ、そんな訳あるかあ!」カアア
紬「あらあら。うふふ」
舞「ムギ先輩……鼻血が……」
梓「大丈夫、いつもの事だから……」
 また、他愛のない日常が始まった。いや、もしかしたら束の間の休息ってやつなのかも知れない。これからもきっと私達は、あの怪物達と戦う事になるんだろう。
だったら、この他愛のない日常を、こういう時間を大事にしていかなくちゃ。

舞「……むう。あの時のペルソナの反応、澪先輩達じゃなかったのかな?」ボソボソ
律「……ん?」



第2話「目覚める力」 終