※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

691 :ぽんじゅーす ◆v88/Arvq1E :2009/12/21(月) 20:45:42.15 ID:kACKKHM0
「ねぇムギちゃん」

「ん? どうしたの唯ちゃん」

「ムギちゃんは、


女の子が好きなの?」


その場が、凍った。

693 :ぽんじゅーす ◆v88/Arvq1E :2009/12/21(月) 20:53:04.35 ID:kACKKHM0
「い、いいいいいきなり何を言い出すんだ唯!?」

「そそそそそそそうだぞ唯! 何でいきなりそんな突拍子もないことを!?」

律と澪は明らかに狼狽を見せながら反応を見せる。
梓やさわ子はそれとは正反対。正に『目を点にして』といった感じで完全に固まっていた。

「い、いやぁ、だってムギちゃんがあずにゃんのことをず~っと見てたから・・・」

唯は『その話の意味』を意識していないのだろう。
てへへと頭を掻きながら、かわいらしく舌を出してトボケる。
だが、他の。特に律と澪は少なからず感づいていたのだ。

ムギってけっこうなガチじゃないの? と。

695 :ぽんじゅーす ◆v88/Arvq1E :2009/12/21(月) 20:59:33.36 ID:kACKKHM0
「と、ともかくだな、唯。アタシ達健全な女子高生は男子高校生に飢えてるんだよ!
 特にイケメンならよけいに大歓迎だ。あと股間のスティックが・・・」

「わー! こら律! おまえ何をいってるんだ!」

「なんだよ澪。これぐらいで赤くなるなって。お前もそのうちピーだとかピーだとかを口ばs」

「なるか!」

いつもならその単語で脳がショートして倒れる澪だが、律の目配せで何とか持ちこたえる。
そう、その話からはなんとかして遠ざけなければいけなかった。
ガチならば、ガチで気まずいし、ガチじゃないならそれでいい。
幼なじみである二人の無言のコミュニティー能力が開花した瞬間。
二人はお互いの友情を再び目配せで確かめあい、次なる会話を繰りd

「女の子が好きなのね!」

せなかった。
696 :ぽんじゅーす ◆v88/Arvq1E :2009/12/21(月) 21:09:35.74 ID:kACKKHM0
声の主は嗚呼なんということか。
技術指導もあまりせず、普段から顔を出すのはティータイム。
昔はVを駆り、ヘドバンにデスヴォイスで一世(主に学校内)を風靡したさわちゃんことさわ子だった。

「いいじゃないいいじゃない! オンナノコ同士の神秘なるSE・KA・I☆
 なんならお洋服だって作っちゃうわよ! メイドがいい? ナースがいい? それとも女王様?」

なんだか話の流れがずれてきてるんじゃないかなー、いやでもそっちの方がいいんじゃないかな~
などと律が固まったまま考えていると、さわ子は一人でボルテージを上げていく。

「純愛! だけれども周囲からの視線を気にしての密会! ああなんという背徳感!
 いいわいいわ! でも安心して! 私が全力で守るから! なんなら私の部屋を使ってもいいわ!」

キラキラと光る眼を見て、誰がこの猛る性獣を止めることができようか。
いや主にかかわり合いを持ちたくない、というマイナス的な意味でだろうが。

698 :ぽんじゅーす ◆v88/Arvq1E :2009/12/21(月) 21:14:25.95 ID:kACKKHM0
「あ、あのーさわちゃん。一人でちょっと盛り上がりすぎじゃ・・・」

「何をいってるの! 乙女の秘密よ! いいみんな。ムギちゃんがオンナノコが好きだって絶対他言無用よ!
 わかってるのそこのあずにゃん!」

「は、はい!」

「あと唯もそういうことは軽々しく口にしない!」

「は、はひ」

「他の二人は大丈夫ね。ふふふ、楽しくなってきたわ! ぜったい成就させて見せるんだからー!」

各々に入念なだめ押しをして、窓を開けたさわ子が外に向かってなにやら吼えている。
シュールというべきかなんとうか、メンバーがふう、と一息ついたところで、

「あの・・・」

話の中心人物である、ムギが控えめに手を挙げた。
699 :ぽんじゅーす ◆v88/Arvq1E :2009/12/21(月) 21:22:59.70 ID:kACKKHM0
「な、なんだムギ。さわちゃん黙らせるか?」

「そ、そうだよな。こうやって騒ぎ立てられるのが一番辛いよな。ごめんな」

「ご、ごめんなさいムギちゃん」

わたわたと狼狽する三人。そして再び静観を決め込む梓。
うおー! だの、ぎゃー! だの、とても酷いとしか言いようがないBGMがより状況をカオスにさせる。
野球部のランニングのかけ声と謎の共演を果たしている叫び声をだれもが意識の外に向けることにした。
ようやくムギが意志を固めたのか、一度深呼吸をした。

そして、

「そういう話、やめてくれる?
 正直、私ノーマルだし、ぶっちゃけ傷つくんだけど」

まさかの大穴。完全に雰囲気に飲まれたままでの回答しか見えていなかったメンバーは、完全に凍結した。
例えるなら、発動するリバースカードが完全に封殺され、さらにはカウンターでダメージを受けるぐらいの裏切られっぷり。

702 :ぽんじゅーす ◆v88/Arvq1E :2009/12/21(月) 21:31:40.74 ID:kACKKHM0
「ごめん、私今日帰るね」

ムギはそそくさと荷物をまとめて部屋を出ていった。

「はは・・・」

「は、はははははは」

完全に笑うしかない。
そう、最初の候補であるはずの「ノーマルである」という選択肢を完全にさわ子の暴走により見失っていたのだ。
絶対的・・・敗北・・・ッ!
メンバーがただ笑うしかない状況。野球部と吹奏楽部とさわことメンバーの謎のロンド。部屋の中はシュールというにもおこがましい状況になっていた。
ただ、その中において、一人安堵の表情を浮かべている人物がいた。

(ああ、よかった)

窓から吹き込む風が、彼女の二つに結った髪をさらっていく。
そして、クスリとだれにもわからないように小さく笑う。

(私が、そういう百合だってばれてなくて)

午後の音楽室、一人の乙女の秘密は守られたのであった。
703 :ぽんじゅーす ◆v88/Arvq1E :2009/12/21(月) 21:34:45.90 ID:kACKKHM0
後日談

「ところで、梓はどんな奴がタイプなんだ?」

「えっ!? えっと・・・それは、かわいくて、明るくて、ギターが弾ける人です・・・」

「なんだよそれー、完全に唯じゃないか。いっそのこと唯と付き合っちゃえばいいんじゃない?」

「ああ、それもありですね」

「えっ」

「えっ」

「まさか、お前・・・」

「あっ」

おわり。