【双葉学園の怖い噂 三怪目「瓶詰の少女」】

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[[縦読み版>http://rano.jp/3005]] 「ちょっとそこの少年。少し見て行かないかい」  もうすっかり日が沈み、暗くなった道を目比《めくらべ》が歩いていると、そう呼びかけられた。  声のほうへ目を向けると、奇妙な老婆が道の隅に座り込んでいるのが見えた。真っ黒なフードを被り、顔だけが見えているだけだ。 (なんだこの人)  怪しい人間には関わらないほうがいい。  そう思った目比は、目を前に向け、老婆を無視して通り過ぎようとした。 「そこの少年。女の子にモテないだろ。顔見ればわかるよ」  老婆はそんな失礼なことを言った。それには思わず目比も足を止める。目比が老婆を睨むと、老婆は怪しげに「ひひひ」と笑う。 「なんなんですかあなたは」 「そう怒るなよ少年。あたしはあんたの願いを叶えてやろうっていうんだよ」 「願いを?」  その言葉は凄まじく怪しかったが、それゆえに魅力的でもあった。  目比は老婆の前にやってきた。老婆の傍らには、大きな鞄がある。その鞄を開き、老婆はとあるものを取り出した。  それは、ジャムでも入っていたかのような瓶であった。 「これを、きみにあげよう」 「な、なんだよこれ……」  戸惑う目比を無視し、老婆はその瓶を押し付ける。目比はその瓶を覗き見る。最初、彼はそれがなんなのかわからなかった。何であるかは明白なはずなのに、頭がそれを拒否するかのようであった。  それほどに、その瓶の中身はありえない、あってはならないものだった。 「どうだい。可愛いだろ。あたしのとっておきなのさ」  その瓶の中には少女が入っていた。  一糸まとわぬ可愛いらしい少女が、その瓶に詰められていたのだ。身長約五センチほどの、小さな少女。それが瓶の中で、まるで助けをこうように目比を見上げていた。 「な、なんだよこれ……」 「小人族さ。見ての通りの、小さな人間さ。だけどこいつらは人間だけど人間じゃない。ラルヴァさ。可哀想なんて思わないだろ? ひひひ」  瓶の中の少女は恥ずかしそうに体を屈め、裸体を隠すように目比から背を向けた。人形ではなく、本当に生きているようであった。瓶の蓋にはきちんと空気穴があり、窒息しないようになっている。  可愛い。  目比はその少女に情欲を抱いていた。これが欲しい。どうしても自分のものにしたい。 「こ、これくれるんですか……?」 「馬鹿だねぇ。タダでやるわけないだろう」  そう言って老婆はお金を請求した。その金額は決して非現実的なものではなかったが、中学生である目比では手の届かない数字であった。 「なんだい。最近の子供はお金を持ってるって聞いたけど。無いなら返してもらうよ」 「い、いやだ!」  取り上げようとする老婆の手を、目比は振り払った。それでも老婆は喰いかかってきたので、彼はドンっと老婆を突き飛ばし、走り出した。 「ま、まて……ハァハァゼヒ!」  ふと後ろを見ると、老婆が胸を押さえて倒れてしまっていた。もしかしてあの衝撃で心臓麻痺でも起こしたのかもしれない。だけど目比にはそんなことどうでもよかった。今自分の手の中にあるものにだけ、心が奪われていた。  女の子が自分の物になる。  これほど思春期の好奇心を満たすものはない。  目比はドキドキと高鳴る胸を押さえながら、アパートの自室へと飛び込んだ。そして、その瓶を机の上に置き、食い入るようにその少女を見つめる。 「可愛いなぁ。なんて綺麗な体なんだろう……」  恐らく自分と同じくらいの年だろう。その少女は長い髪で、真っ白な肌をしていた。すらっと伸びる四肢、大きく膨らんだ乳房、そしてピンク色の……。少女のすべてが見える。少女が恥ずかしがって体を隠そうとしても、カンっと指で瓶を弾くと、怯えた表情で裸体を目比に見せてくれる。 (ぼくだけの、ぼくだけの女の子……)  目比は彼女の虜になっていた。  それから目比は学校に行かなくなり、最低限の食事しかせず、部屋から一切出ないでその少女を愛で続けた。  来る日も、来る日も、少女の美しい姿を見ていた。  少女は食事を必要とせず、老廃物を出さないせいか汚れも匂いもなく、風呂に入れることもない。排泄もしないし、声も上げない。目比にとっての理想の少女像がここにある。  しかし日が経つにつれ、その少女に変化が訪れた。  ある日、目比が浅い眠りから目を覚ますと、少女の身体が少しだけ大きくなっていたのだ。瓶いっぱいに多くなった少女は、とても苦しそうである。  もうこの小さな瓶では窮屈で、このままでは少女は圧死してしまうかもしれない。そう思った目比べは二周りほど大きな瓶をゴミ捨て場から拾ってきて、少女をそれに移し替えた。その時初めて目比は少女の身体に、じかに触れた。人間とまったく同じ、柔らかな感触。それは目比の欲望を肥大化させるには十分であった。  今のままでは無理でも、この調子で大きくなればあるいは……。  そう考えた目比は、少女の体の成長を楽しみ始めた。  一週間に一度くらいのペースで、少女の身体はじょじょに大きくなっていく。そのたびにもっと大きな入れ物を用意しなくてはならなかった。瓶に詰めなければ逃げ出してしまいそうな気がした目比は、執拗に彼女を瓶の中に閉じ込める。  やがて、少女は目比と同じくらいの背丈になった。もう瓶に入れることすらはできない。だけどこれでいい。これでようやく目比の欲望は満たされることになった。  その日の夜、目比は少女を抱いた。  ぎこちなくも最後までことに至った。幼い容姿に似合わず、少女の豊満な体は、思春期の彼の情欲を駆り立てるには十分すぎるほどであった。目比はその欲望のすべてを少女の身体にぶつけていく。ほかの女の子の身体を知らないが、その少女の具合は人間のそれと同じだろうと思った。人間ではないとは言え、自分のことを満たしてくれるその少女に、やがて目比は性欲だけではなく、愛情を抱き始める。  いつまでも彼女を愛し続けよう。  ずっとずっと、いつまでも。  それから三か月が過ぎた。  目比は台車に大きな水槽を乗せてアパートへ向かった。ゴミ捨て場で拾ってきた中で最大の水槽だ。それを改造し、少女が入れるようにした。  それをここまでひっぱてくるのは苦労したが、休んでいる暇は無い。  目比は自室の扉を開ける。  そこには部屋いっぱいに巨大化した少女の姿があった。  目比は肩を落とす。水槽を取りに行っている間に、また大きくなってしまっていた。もうこれでもおさまらない。いや、これ以上大きくなれば部屋の中にも収まらないだろう。  一体彼女はどこまで大きくなるのかわからなかった。  彼女の巨大化に終わりはあるのだろうか。  それでも目比はうっとりと彼女を見つめる。 「ああ、可愛いなぁ……ぼくの小人ちゃん……」  その目は愛情に満ちていた。  だけどもう、少女からすれば、自分のほうが小人になってしまっていることに、彼は気づかない。  オワリ   ---- [[トップに戻る>トップページ]] [[作品保管庫に戻る>投稿作品のまとめ]]
[[縦読み版>http://rano.jp/3005]]   「瓶詰の少女」 「ちょっとそこの少年。少し見て行かないかい」  もうすっかり日が沈み、暗くなった道を目比《めくらべ》が歩いていると、そう呼びかけられた。  声のほうへ目を向けると、奇妙な老婆が道の隅に座り込んでいるのが見えた。真っ黒なフードを被り、顔だけが見えているだけだ。 (なんだこの人)  怪しい人間には関わらないほうがいい。  そう思った目比は、目を前に向け、老婆を無視して通り過ぎようとした。 「そこの少年。女の子にモテないだろ。顔見ればわかるよ」  老婆はそんな失礼なことを言った。それには思わず目比も足を止める。目比が老婆を睨むと、老婆は怪しげに「ひひひ」と笑う。 「なんなんですかあなたは」 「そう怒るなよ少年。あたしはあんたの願いを叶えてやろうっていうんだよ」 「願いを?」  その言葉は凄まじく怪しかったが、それゆえに魅力的でもあった。  目比は老婆の前にやってきた。老婆の傍らには、大きな鞄がある。その鞄を開き、老婆はとあるものを取り出した。  それは、ジャムでも入っていたかのような瓶であった。 「これを、きみにあげよう」 「な、なんだよこれ……」  戸惑う目比を無視し、老婆はその瓶を押し付ける。目比はその瓶を覗き見る。最初、彼はそれがなんなのかわからなかった。何であるかは明白なはずなのに、頭がそれを拒否するかのようであった。  それほどに、その瓶の中身はありえない、あってはならないものだった。 「どうだい。可愛いだろ。あたしのとっておきなのさ」  その瓶の中には少女が入っていた。  一糸まとわぬ可愛いらしい少女が、その瓶に詰められていたのだ。身長約五センチほどの、小さな少女。それが瓶の中で、まるで助けをこうように目比を見上げていた。 「な、なんだよこれ……」 「小人族さ。見ての通りの、小さな人間さ。だけどこいつらは人間だけど人間じゃない。ラルヴァさ。可哀想なんて思わないだろ? ひひひ」  瓶の中の少女は恥ずかしそうに体を屈め、裸体を隠すように目比から背を向けた。人形ではなく、本当に生きているようであった。瓶の蓋にはきちんと空気穴があり、窒息しないようになっている。  可愛い。  目比はその少女に情欲を抱いていた。これが欲しい。どうしても自分のものにしたい。 「こ、これくれるんですか……?」 「馬鹿だねぇ。タダでやるわけないだろう」  そう言って老婆はお金を請求した。その金額は決して非現実的なものではなかったが、中学生である目比では手の届かない数字であった。 「なんだい。最近の子供はお金を持ってるって聞いたけど。無いなら返してもらうよ」 「い、いやだ!」  取り上げようとする老婆の手を、目比は振り払った。それでも老婆は喰いかかってきたので、彼はドンっと老婆を突き飛ばし、走り出した。 「ま、まて……ハァハァゼヒ!」  ふと後ろを見ると、老婆が胸を押さえて倒れてしまっていた。もしかしてあの衝撃で心臓麻痺でも起こしたのかもしれない。だけど目比にはそんなことどうでもよかった。今自分の手の中にあるものにだけ、心が奪われていた。  女の子が自分の物になる。  これほど思春期の好奇心を満たすものはない。  目比はドキドキと高鳴る胸を押さえながら、アパートの自室へと飛び込んだ。そして、その瓶を机の上に置き、食い入るようにその少女を見つめる。 「可愛いなぁ。なんて綺麗な体なんだろう……」  恐らく自分と同じくらいの年だろう。その少女は長い髪で、真っ白な肌をしていた。すらっと伸びる四肢、大きく膨らんだ乳房、そしてピンク色の……。少女のすべてが見える。少女が恥ずかしがって体を隠そうとしても、カンっと指で瓶を弾くと、怯えた表情で裸体を目比に見せてくれる。 (ぼくだけの、ぼくだけの女の子……)  目比は彼女の虜になっていた。  それから目比は学校に行かなくなり、最低限の食事しかせず、部屋から一切出ないでその少女を愛で続けた。  来る日も、来る日も、少女の美しい姿を見ていた。  少女は食事を必要とせず、老廃物を出さないせいか汚れも匂いもなく、風呂に入れることもない。排泄もしないし、声も上げない。目比にとっての理想の少女像がここにある。  しかし日が経つにつれ、その少女に変化が訪れた。  ある日、目比が浅い眠りから目を覚ますと、少女の身体が少しだけ大きくなっていたのだ。瓶いっぱいに多くなった少女は、とても苦しそうである。  もうこの小さな瓶では窮屈で、このままでは少女は圧死してしまうかもしれない。そう思った目比べは二周りほど大きな瓶をゴミ捨て場から拾ってきて、少女をそれに移し替えた。その時初めて目比は少女の身体に、じかに触れた。人間とまったく同じ、柔らかな感触。それは目比の欲望を肥大化させるには十分であった。  今のままでは無理でも、この調子で大きくなればあるいは……。  そう考えた目比は、少女の体の成長を楽しみ始めた。  一週間に一度くらいのペースで、少女の身体はじょじょに大きくなっていく。そのたびにもっと大きな入れ物を用意しなくてはならなかった。瓶に詰めなければ逃げ出してしまいそうな気がした目比は、執拗に彼女を瓶の中に閉じ込める。  やがて、少女は目比と同じくらいの背丈になった。もう瓶に入れることすらはできない。だけどこれでいい。これでようやく目比の欲望は満たされることになった。  その日の夜、目比は少女を抱いた。  ぎこちなくも最後までことに至った。幼い容姿に似合わず、少女の豊満な体は、思春期の彼の情欲を駆り立てるには十分すぎるほどであった。目比はその欲望のすべてを少女の身体にぶつけていく。ほかの女の子の身体を知らないが、その少女の具合は人間のそれと同じだろうと思った。人間ではないとは言え、自分のことを満たしてくれるその少女に、やがて目比は性欲だけではなく、愛情を抱き始める。  いつまでも彼女を愛し続けよう。  ずっとずっと、いつまでも。  それから三か月が過ぎた。  目比は台車に大きな水槽を乗せてアパートへ向かった。ゴミ捨て場で拾ってきた中で最大の水槽だ。それを改造し、少女が入れるようにした。  それをここまでひっぱてくるのは苦労したが、休んでいる暇は無い。  目比は自室の扉を開ける。  そこには部屋いっぱいに巨大化した少女の姿があった。  目比は肩を落とす。水槽を取りに行っている間に、また大きくなってしまっていた。もうこれでもおさまらない。いや、これ以上大きくなれば部屋の中にも収まらないだろう。  一体彼女はどこまで大きくなるのかわからなかった。  彼女の巨大化に終わりはあるのだろうか。  それでも目比はうっとりと彼女を見つめる。 「ああ、可愛いなぁ……ぼくの小人ちゃん……」  その目は愛情に満ちていた。  だけどもう、少女からすれば、自分のほうが小人になってしまっていることに、彼は気づかない。  オワリ   ---- [[トップに戻る>トップページ]] [[作品保管庫に戻る>投稿作品のまとめ]]

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