親子の人形


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親子の人形



(愛を知れば、人間になれる。人形たちが語る、夢のような御伽話――)




目覚めたとき そばにいたのは
優しいお父様(パパ)だった
銀色の髪 優しい翡翠の瞳
私はとても幸せで いつもお父様(パパ)の側にいたいと思った



気づいたとき 世界にいたのは
可愛らしい娘(Maria)だった
黒色の髪 輝く瑠璃の瞳
私はとても幸せで 常に娘(Maria)を愛したいと思った




お父様「Maria、君は幸せかい?」
Maria「ええ。私はとても幸せよ、お父様(パパ)。だって、お父様(パパ)と一緒なんですもの」
お父様「そう、か……」
Maria「お父様(パパ)は? 幸せじゃ……ないの?」
お父様「いや。私もとても幸せだよ、Maria。だって、娘(Maria)と一緒なのだから――」




(夢があるとすれば、唯一つ。人間に、なりたかった――)




愛を知りて 人間(I)に至る
物語の真理 酷く些細で当たり前の事柄
哀を知りて 人間(I)に至る
物語の真実 心を痛めぬ人間(ひと)などいない




(幻想と現実の境目。
愛し合う親子。人に至るのはそう難しいことでは無い。
唯彼らには、人間で在り続ける為の物が足りなかった――)




Maria「お父様(パパ)……大丈夫?」
お父様「大丈夫。大丈夫だよ、Maria。Mariaこそ、早くシチューをお飲みなさい」
Maria「駄目。駄目よ、お父様(パパ)。だって、お父様(パパ)が死んじゃうじゃない……!」
お父様「嗚呼、Maria……我侭を言わないで、さあ……」
Maria「お父様(パパ)…………」




(幾度となく流転する、紅と蒼。過ぎていく時間。
存在する以上朽ち果てるのが存在。そして、彼らは――)




嗚呼……ごめんなさい 私は駄目な人間(/人形)だったね
それでも貴方は 愛してくれた
愛/哀を知ったから 私はI(私)に至れたの(/のだ)
ありがとう(/ごめんなさい) ごめんなさい(/ありがとう)




(くずおれた少女
広がる黒い髪
雫に濡れる 瑠璃の瞳



朽ち果てた男
散らばる銀の髪
床を転がる 濡れた翡翠の硝子球



心臓(/歯車)の音が、停止した)