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海☆馬☆王 ◆2kGkudiwr6




月明かりに照らされた草木が風にそよぐ。それをここで感じているのは、海馬瀬人ただ一人。
周囲に誰もいない、というのは彼にとって好都合だった。
周りからとやかく言われずに済む。海馬にとって、必要以上に人の助けを借りるのは好ましいことではない。
支給品でも確認するか……そう思いデイパックを探る手は、一着の服を取り出していた。

「これは……正義の味方カイバーマンの!」

何の因果か。
海馬が取り出した支給品はデュエルモンスターズのモンスター、
「正義の味方 カイバーマン」が着用している服だった。
ブルーアイズをあしらったヘルメット。海馬の着ているコートを更に派手にしたそれ。
おまけに、これまたブルーアイズをモチーフにしたデュエルディスクまでセットだ。

「ふつくしい……」

思わず、そんな吐息を漏らす。海馬は迷わずにその格好に着替えた。
……目を隠したヘルメットを被っているその姿は明らかに怪しいが、海馬にそんな事を気にする意識はない。
彼が思い浮かべるのは、カイバーマンの特殊効果。
カイバーマンは生贄に捧げることで手札にあるブルーアイズ・ホワイトドラゴンを特殊召還することができる。
まさにブルーアイズのために存在するカードであり、
カイバーマンの存在意義はブルーアイズのためにこそあると言えるのだ。

「……そうだ。
 俺はブルーアイズを持つにふさわしい男を、兄を目指していたのだ」

そう。
ならば、するべきはこんなところでへこたれていることではない。

「思い出せ海馬瀬人!
 俺が歩くロードこそが未来となる! 歩むことをやめてしまっては未来などない!」

カイバーマンの格好で、海馬は海馬自身を叱咤した。
そのまま迷いを振り切るように、作業に没頭する。

「まだ入っているな……これは他会社のゲームディスクか。それと……」

そのままディパックを探り続ける海馬の上に、影が映る。
その影の持ち主は金属バットを振り下ろし……素早く海馬はデュエルディスクでそれを受け止めていた。
カウンターを叩き込もうとする海馬だったが、相手が予想以上に素早く距離を開けたに舌打ちする。
どうやら、素人ではないようだ。

「抵抗なんかして……悟史君のためにさっさと死ね!」
「……ふぅん、そいつのために貴様はこの下らんゲームに乗ったということか」


人影――詩音の言葉に、蔑むような口調で海馬は答えた。
海馬の身長は高い。文字通り、視線は上から見下ろすような形になる。
その視線で以って、海馬はじっくりと詩音を観察した。その、鬼のような表情を。
少しだけ歯を噛み締め……次の瞬間、海馬は心底見下した様子で口を開いていた。
まるで、自身の闇をも振り払うかのように。

「俺は認めん……絶対に認めんぞ!
 ゲームと称して人の命を弄ぶ輩を! ブルーアイズの敗北を!
 そんな輩が俺の目の前に立ちふさがると言うなら、俺がすることは一つだけだ……
 いついかなる次元であろうと、その馬の骨にも劣る下衆どもを粉砕する!
 そういう意味では貴様にも感謝してやろう……その醜さ、あさましさ。踏ん切りがついた」

決然とした様子で詩音……否、このゲームを開催した者、乗った者全てに彼は宣戦を布告した。
だが周囲には詩音を除いて誰もいない。見ている者がいないということはつまり、助けてくれる人間はいないということ。
1vs1が約束された状況……武器がある詩音にとっては有利であり、まだない海馬にとっては不利だ。
先ほどまで海馬に都合がよかった孤独は、今度は彼に牙を向いている。

――故に、まだ見ぬ手持ちのカードに賭ける。

再び襲い掛かってくる詩音に、海馬は取り出したDVDディスク
(フロムソフトウェア製作『A.C.E.3』キャッチコピーは『戦場に響く歌声が、エースの魂を揺さぶる』)
を素早く投擲した。もちろん、こんなものに殺傷力はほとんどない。
しかし海馬の実力ならば、こんなディスクでも相手の手に突き刺すことくらいはできる。

「っつう……!?」
「チッ!」

詩音の動きが止まる。しかし、得物は取り落とさない。
舌打ちをしながら、海馬はデイパックに手を入れた。決意と共に。

(俺は諦めん……俺は信じる! この俺の運命を! この決意を!)

そうして妙に格好つけたポーズと共に、デイパックの中から最後の支給品をドローする。
引いたのは、花。落胆に染まりかける海馬の表情。だが……付属していた説明書が、それを変えた。

「ふ……ふふふ、はははははははははは!」
「何さ、高笑いしてぇ!?」
「貴様の得物はただの金属バットが一つだけ……既に勝利は俺の手中に収まった!
 貴様は確かに素人ではないようだが、大事なことを一つ忘れているぞ……
 貴様は今、宇宙の波動の意志を受けた俺と言う地上で最強のデュエリストを敵にしているということだ!」
「は、はぁ……!?」

海馬のいきなりの発言に、さすがの詩音も普通の表情に戻っていた。
もっとも言っている方はそんなことは全くおかまいなしだ。

「魔法アイテム発動! ファイアーフラワー!
 このアイテムを使うことで、プレイヤーは炎を出せるようになる!」

ノリノリで手に持った花を握り締め、もう片方の手を突き出して叫ぶ海馬。
いったい何をやっているんだコイツは……詩音がそう呆れかけた瞬間、

「滅びのバァァァァァストストリィィィィィム!!!」
「熱ッ!?」

小さな火の玉が彼女の腕に直撃した。慌てて詩音が見れば、彼女の肌が焼け焦げている。
もっとも、致命傷というには遠すぎる……というか、我慢すれば右腕を動かせる程度の火傷だが。
大仰な名前の必殺技を大声で叫んだ結果が、これ。

(ぜんぜん大した事ない……)

それに気付いた詩音が再び表情を怒りに歪ませ向き直った、その瞬間。
海馬が連射していたファイアーボールが今度は腹に当たった。

「あ、熱い、熱いってば!」
「強靭! 無敵! 最強!!!
 粉砕! 玉砕! 大・喝・采!!!!
 ふはははははははははははははは!!!」

さすがに我慢しきれずに、詩音は慌てて走り去っていく。
そうしてその場に残ったのは、海馬が響かせる高笑い。

……見ている人間が誰もいなかったのはやはり海馬にとって幸運だったのだろう、きっと。


ひたすら走り続けていた詩音は、隠れられそうな草むらに飛び込んでやっと止まった。
そのまま、火の玉を食らった場所に服の上から水をかける。

「畜生畜生畜生、悔しい悔しい!」

ギギギ……と歯軋りが聞こえそうなほどに詩音の表情は歪んでいた、最初こそは。
しかし海馬の言っていた言葉の一部と自分の記憶を思い出して、つかさから奪い取ったデイパックを慌てて探る。
最初見た時は「どうせ嘘に決まっている」と信じなかったあのカード。
けれど、あんなことができる花があるならあのカードも本当なのではないか?

そうして彼女が取り出したのは――神の名を冠する三枚のカードと、瘴気を発する結界のカードだった。

【D-5 草むら/一日目・黎明】
【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:雛見沢症候群発症、全身に軽い火傷、体が少し熱い
[装備]:金属バット 三幻神@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ オレイカルコスの結界@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
[道具]:支給品一式*2、座薬@東方project
[思考・状況]
1.このカード、使える?
2.いさじと海馬はいつか必ず殺す
3.優勝して北条悟史を蘇らせる

【C-5 草原/一日目・黎明】
【海馬瀬人@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】
[状態]:断固たる決意、ファイアーカイバーマン
[装備]:正義の味方カイバーマンのコスプレグッズ@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ、
   ファイアーフラワー@マリオシリーズ、A.C.E.3@現実(少し詩音の血がついている)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:主催者を叩きのめす
2:殺しあいには絶対に乗らない



sm30:ナイトメア 時系列順 sm38:不完全自殺マニュアル―思い出をありがとう―
sm35:ニアミス・ハピネス 投下順 sm37:湖畔協奏曲第一幕 “名もなき王と歌姫”
sm31:モクバ死す 海馬の涙 海馬瀬人 sm40:カイバーマン、夜を往く
sm08:私の救世主様 園崎詩音 sm60:ひろくんのローゼン☆テンセイ



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