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奇跡の価値は(後編) ◆CMd1jz6iP2




私は、自分の未熟さをこれほど呪ったことはない。
私には……同志も……誓ったことすら守れなかった。

同志博之は、私が名前を呼ぶと空を飛んでいった。
信じられない光景だったが、説明を聞いていたためになんとか落ち着いていられた。
常識外の科学力。これが宇宙人の技術力なのか。
それならば、と思い当たったことがあった。
支給された品で、てっきり食料の一部だと思っていたもの。
説明書を読んだが、信じられずに言い出せなかったものだ。

どうすべきか考えていると、塔の中で爆発音が聞こえた。
何を迷っている場合か、私もこのゲームをスクラップにするために動かねばならない。
同志博之は、飛ぶ前に言っていたではないか。

「一人で行くのか?危険すぎる……ここは、あの腕を何とか拾って戻るべきではないか?」
「そこに立ち向かうのが、スクラップ&スクラップ。俺のコトワリですよ、外山さん」

彼は、私以上に私の言葉を理解してくれていた。
ならば、私がここで多数派に怯えてどうするというのか!
待っていろ、同志よ!

私は、塔の前のイタチに姿を現す。
もちろん警戒してきた。今にも飛び掛ってきそうだ。

「待つんだ……君は腹が空いていないかね?」
イタチの動きが止まる。
私は、自分の食料のパンをかじってから投げる。
毒など入っていない、と証明するためだ。
だが、警戒してイタチは近づかない。
「ならば、これならどうかな」
次に取り出したのは、団子。
「私は、君の好物を知っている。それと同じくらい美味い食べ物だ」
ピクッと反応するイタチ。嘘をついただけの価値は合ったらしい。
かじって、再び毒が入っていないことをアピールする。
「もしも嘘だったら、私に制裁を食らわせて構わない。
私は君の助けになりたい!主人に怒られるというのなら、すぐに立ち去るから大丈夫だ!」
それが決め手になったのか……私の投げた団子を、こちらへの警戒を忘れずに口にした。

「済まない」
食べ終わったイタチは、こちらに寄ってくる。
頭を撫でてやると、嬉しそうにしている。

私に支給された食品。
その名を「桃太郎印のきびだんご」
全ての動物が美味しく食べるというきびだんご。
食べた動物は、必ず食べさせた人間に30分だけ従順するという。
これは洗脳の類……恥ずべき行為だと、やはり悔やむ。
同志博之の仲間、水銀燈の腕を拾っておく。
「君の主人の下へ、連れて行ってくれ」
イタチは、笑顔で了承してくれた。

だが、全ては遅すぎた。
目の前で行われていた、怒りよりもなによりも、吐き気をもよおす行為。
私は、我を忘れて銃を撃ち、悪魔のような少年の頭を撃ちぬいた。
このゲームを支える多数派に、この私もなってしまったのだ。

「多数派め……なんということを」
あまりに酷いその死体に、愕然とする。
まだ顔の形以外はまともな同志博之とは違い、おそらくは彼の兄……
もはや、どんな姿だったのか、わからない。
「チィィ!」
30分経っていないが、イタチへのきびだんごの効果が切れたようだ。
少しかじって食べさせたためだろうが、絶望の淵にいる私には関係の無いこと。
イタチは主人が殺された怒りから、襲い掛かってくるだろう。
だが、それも仕方が無いこと。
せめて同志レナたちの無事を祈った私に、思いがけない光景が映る。
イタチは、博之の死体に体当たりをする。
死体に怒りをぶつけるのはやめろと……止めようとして驚愕する

「ど……同志博之!!」
体当たりの反動ではなく、彼の体が動いたではないか!
「しっかりするのだ!先ほどの薬草はこれだな、食え、食うんだ!」
無理やり薬草を口に押し込む。
更にイタチが胸に体当たりを繰り返す。
そのやり取りから何分経ったか……同志博之は、完全に息を吹き返した。

「よかった!本当によかった!」
「と、やま……さん?」
「なんとか君を追いかけてきたんだ、君だけでも無事でよかった!」
まだ焦点があっていない瞳が開く。
「いえ、まだ……奥にティアナ、が……?」
なにやら、気抜けした表情をする同志博之。

「どうした、体が痛むのかね?」
「そ、それもありよるけど……外山さん、なんで」
私の喜びは、彼の発言で、絶望へと変わった。
「なんで、こんなに真っ暗なんや?」
彼の視力は……失われていた。

「ウ……ゲエエエエエエエ……!!」
視力を失っている彼は、兄がどういう状態か知りたいと必死に願い出た。
一番まともな「部分」を触れさせて、彼はそれでも吐いた。
落ち着くのを待っている間、私も離れて吐いた。
それほどまでに、彼は酷い姿となってしまっていた。
私は、多数派に立ち向かった偉大なる同志浩二を埋葬するため、小部屋にあった箱へと収めた。
その時、同志浩二の首輪が壊れていることに気がついた。
爆発しなかったのは、死んでいたからだろうか。
ここまで壊れても、何も起きないということは、そうなのだろう。
その手伝いをしてくれたのは、あのイタチ……ヲタチというらしい。
彼は、途中に落ちていた同志浩二の片腕を拾ってきてくれた。
かなりの怪力であるヲタチは、同志浩二が収められていた箱と
襲撃者サトシの遺体を運ぶことも、埋葬する墓を作ることも、手早くしてくれた。

きびだんごの効果が切れて、なぜ私を襲わないのか不思議に思った。
だが、彼の体にあった銃創を見て、ある程度理解してしまった。
同志キバの武器と酷似した銃。これで撃たれたに違いなかった。
ヲタチもまた、多数派の犠牲者だったのだ。

サトシという少年の遺体と、同志浩二の埋葬場所は、すぐ近くの草原にした。
襲ってきた多数派を埋めたという場所。
そこで……同士レナの仲間の一人の墓だと気付いてしまった。
多数派だった……やはり宇宙人だったのか?
ともかく、これはまだ私の胸に秘めておこう。
だが、驚くべき出来事はそれだけではない。
ヲタチが、何かに気付く。……人が倒れているだと!?
「……そんな、馬鹿な」
その人物は、既に事切れていた。
胸に穿たれた穴以外は、綺麗な死体だった。
だが、驚いたのは……その人物の正体。
「……イ、チロー?」
「えっ!?」
同志博之も、驚きの声を上げる。
私もビビる。イチローという名は名簿にあったが、本人の可能性は低いと思っていた。
「野球界の少数派、イチロー。君も、こんなところで散るべき人間ではなかった……!」
支給品が無い。この辺りに落ちているのかもしれないが、探す時間も無い。
探索を諦め、彼を埋める穴も、ヲタチに掘ってもらった。

その際、二人の支給品を貰うことにした。
サトシの胸に食い込んだ装飾品だけは外せず、そのままにした。
同志博之も、賛同してくれたが、彼は、一つのキャンディを同志浩二と一緒に埋葬した。

「お前は……どんなに駄目人間でも……やっぱり特別な存在やったよ、兄貴」
涙を流し、お経を唱える同志博之と共に、彼の冥福を私も祈った。

「ティアナー!どこやー!」
「ティアナ君!もう安全だ、出てきてくれ!!」
同志博之に肩を貸し、二人でティアナ君を探す。
ヲタチは、モンスターボールに戻した。
少し疲れていたのと、おそらくは襲ったティアナ君への配慮か
自分から戻る意志を見せていたのだ。
彼女に伝えなければならないことは、あまりにも辛いことだ。
自分を守り、あんな姿になったと知って……正気を保てないかもしれない。
だからこそ、時間をかけてまで彼の死体を埋葬したのだ。
しかし、そのために時間までに探すことが出来なかった。
もうすぐ、始まってしまう。

あの、悪魔の放送が。


【E-4 塔内部/一日目・昼】
【外山恒一@現実】
[状態]:健康、多数派になってショック
[装備]:サイレンサー付き拳銃(3/6)@サイレンサーを付けた時とry
[道具]:支給品一式*3(食料二食分+水一食分消費)、桃太郎印のきびだんご(24/25)
ロールバスター@ロックマンシリーズ、暗視ゴーグル@現実、携帯電話@現実
ヲタチ(残りHP60%)@ポケットモンスター、アイテム2号のチップ@ロックマン2
DMカード(黒騎士の魔剣少女、セイバー、青眼の白龍)@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
(黒騎士の魔剣少女、セイバーは次の昼まで。青眼の白龍は次の午前まで使用不可)
[思考・状況]
1.ティアナを探す。
2.水銀燈の待つ民家に行き、同志レナたちと合流したい。
3.同志レナの友人が宇宙人の手先かどうか確認する。
4.極力、殺人はしない。襲ってきた相手も殺さず捕らえたい。
5.同志レナがゲームを支える(人を殺す)のを止めたい。
6.志を共にする少数派(参加者)の同志を集める
7.多数派(主催者)はスクラップ&スクラップ!ゲームなど滅ぼしてしまえ!

※桃太郎印のきびだんご
食べさせた動物を、30分だけ従順させるきびだんご。
参加者への効果は無い。
また、人間以上の知性を持つ生き物ほど効果は薄れる。
人間を含む、どんな生物でも絶賛する美味しさ。
※詩音が多数派だったと知りました。

【永井博之@永井先生】
[状態]:疲労、精神疲労、全身打撲、失明、顔面怪我、鼻骨折、肩部・太腿・脇腹銃傷、腹部強打(全負傷部位を薬草で治療中)
[装備]:金属バット、薬草(17/99)@勇者の代わりにry
[道具]:支給品一式*3(食料二食分消費)、座薬@東方project、鉈@ひぐらしのなく頃に、
DMカード(強制脱出装置、青眼の白龍、死者蘇生)@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
(強制脱出装置は次の0時まで。青眼の白龍は次の午前まで。死者蘇生は次の昼まで使用不可)、
くうき砲@ドラえもん、ゴム@思い出はおくせんまん、
自動ぶんなぐりガス(残り1/5)@ドラえもん、ヴェルタースオリジナル*2@ヴェル☆オリ
[思考・状況]
1.目が見えないことに対するショック
2.ジーコ……大馬鹿野朗……
3.ティアナを見つけて、一緒に水銀燈の待つ家に。
4.目が見えない今、それからどうするか考えられない。

※くうき砲の至近距離からの直撃で、視力を失いました。
目に傷がついたわけではなく、衝撃が原因で視神経が障害を起こしたためです。
治る見込みはありますが、薬草では治癒不可能です。

※死者蘇生
持ち主に関わらず、使用不能になったモンスターを復活させる魔法カード。
あくまでDMのみ。人間や他の生物には効果は無い。
使用不可能のカードを持った人間が同じエリアに居ない限り効果は発動しない。
元のカードが破れるなどした場合でも、死者蘇生のカードの発動時点で存在していれば
死者蘇生のカードの効果が消えるまで、モンスターは消えない。
使用者の死亡、カードの破壊、カードの譲渡で効果消失。
復活モンスターが場に居る限り、使用可能時間になっても、元カードは使用できない。

※黒騎士の魔剣少女【ブラックナイトマジシャンガール】@遊戯王 AIBOvs王様・社長・凡骨・顔芸
通称、B.K.M.G。フェイト・T・ハラオウンの名も持つ。
攻撃力2500防御200
相手がドローするたびにレベルアップ(攻撃力+1500)
召喚されてからの時間経過でも構わないかもしれない。
基本性能は、Lv0~1が第1期。Lv2~3が第二期。Lv4以降が第三期とする。
Lv3まで、声は大塚明夫。Lv4以降は水樹奈々となる。
このカードが場に召喚された場合・デッキ・手札・墓地よりWDMGを特殊召喚。
WDMGとBKMGが場に揃っているとき
お互いLv+1上昇。
WDMGへの攻撃をこのカードへ対象を変更することが出来る。
WDMGとの合体攻撃が可能。
WDMGが存在しないため、上記効果は発揮されない。

※セイバー@遊戯王 AIBOvs王様・社長・凡骨・顔芸
攻撃力2500防御2500
通称、騎士王、王様、腹ペコ王。
アルトリアと記載されているが、皆セイバーと呼ぶのでセイバーなのだ。
プレイヤーが魔法カードを一枚使用するたびに攻撃力1500増加
このカードが場に存在する限り召喚プレイヤーへのダイレクトアタックは無効となる
魔法カード、非常食を使用した場合攻撃力-5000&不機嫌に。
オレイカルコスの結界の使用でセイバーオルタナティブへと変貌する。

ビー玉(30個ほど)、塩素二号の鍵が塔中層通路に落ちています。
甲羅(黄色・青)は、塔の下層で停止しました。
塔の下層、中層までに、酷い戦闘の形跡が残っています。
塔中層に、サトシの支給品一式*3(水一本消費)が落ちています。
永井浩二、サトシ、イチローは、E-5に埋葬しました。
イチローの支給品一式は回収されませんでした。

【永井浩二@永井先生 死亡】
【サトシ@ポケットモンスター 死亡】
【残り46人】


「おい、起きろよ!」
せっかく気持ちよく寝てたっていうのに、一体なんだ?
「誰だ!この俺を……」
蹴った人間を見て、サトシは驚いた。
サトシを蹴ったのは、サトシだった。
「よくも、散々人の体で暴れてくれたな!」
「そ、そんなはずはない!お前は、俺に消されたはずだ!」

なんだか、大変なことに巻き込まれたみたいだ。
ピカチュウたちも、ここに呼ばれているかもしれない。
サトシは、支給品を確認した。
「ヲタチか。ポケモンが入ってるなんて、ラッキーだぜ」
それと、これは何だろうと、不思議なデザインの装飾品を手に取る。
「趣味じゃないな。けど……もしかしたら、凄いアイテムなのか?」
そう思い、サトシは首からその装飾品を下げた。
ザクッと、装飾品のトゲが胸に突き刺さる。
「痛ッな、なん……」
(はははははは!!!どうやらお前、バクラと似た波長を持ってるみたいじゃねえか!)
「な、この声……どこから!?」
(お前の体は、この俺が使ってやる!ありがたく思うんだな!)
「う……うああああああああ!?」

「ああ、おかげで死んだようなもんだったよ」
「なら、どうして……ま、まさか!?」
死人であるこいつが、自分の前に存在する理由……一つしかなかった。
「ようこそ、あの世の入り口へ!」
「嘘だ!そんな馬鹿なことがあってたまるかあああ!!」
サトシに殴りかかる闇サトシ。
「ピィカァアアアチューー!!
「ぎいああああ!?」
大電流が闇サトシを襲う。
その発生源にいたのは……ピカチュウ。

「あが……なんだ、この糞鼠は」
「ピカチュウ……迎えに来てくれたんだな」
体が痺れ、崩れ落ちる闇サトシ。
「ごめんな、ピカチュウ。俺は、お前のパートナー失格だ」
「そんなことはないよ。サトシは操られてただけで、悪くないんだから」
「そうは行かない。向こうに着いたら、俺はたくさん謝らないといけない」
「……うん、そうだね。先に待ってる浩二さんにも謝ろう」
ピカチュウを抱えて、サトシは光に向かって歩いていく。
「て、め……どこ、に……」
「僕も一緒に謝るよ。大丈夫、皆とても良い人たちから」
「そっか、ありがとう……謝ったら、また始めようぜ、ピカチュウ」
「始めるって、何を?」
「何言ってんだよ。ポケモンマスターになるための冒険に、決まってるだろ?」
ピカチュウは、一度驚いて……だけど、笑顔で。
「うん、そうだね。また冒険しよう!最初の頃みたいに……また二人で!」
そうして、二人は光の中へと、消えていった。

「お、おい……ま、待てよ」
光が消えて、闇だけが残った。
「あいつら、あの世に行ったのか?なら、俺は、どうすんだよ?」
光があった場所に走っても、何もない。
「ここは、ならどこなんだよ!俺は、どうすればいいんだよ!?」
闇サトシは、頭を掻き毟る。
「出してくれ!現実じゃなくてもいい!あの世でもいいから!!」

「俺を……俺様を、出せえええええええ!!!」

闇サトシは、死と生の中間に閉じ込められた。
そして出ることも死ぬこともできないので
―――そのうち闇サトシは考えるのをやめた。

【闇サトシ@ポケットモンスター? 封印】



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