ヒゲ☆パチ ◆IU4EWEf33I
このバトル・ロワイヤルという悲劇の舞台においてもかまわず核融合を黙々と行っている太陽が
空高く上ったころ、青い草原で青い作業着を来た少女はまさに真っ青になっていた。
わっ、ど…どうしよう、この本!!持ってきちゃったよ!
返しに行こうかな…アイドルが泥棒しちゃったなんて……こんなの大スキャンダルだよ………
こんなのバレたら謹慎か、ヘタをすれば芸能界追放されちゃうよう……
彼女の頭の中ではタバコを吸って追放された某モーニングな娘さんや倉庫荒らしをした
某アイドルの事件の始終がリピートされていた。
冷たい汗が亜美の頬を伝う。
「あぁ~~~~~!やっぱりかえし――――」
『こんにちはみんな、元気に殺し合いをしているかな?』
「えっ?」
――突然の大声――亜美はすぐに辺りを見渡す。
すると上空にピエロの格好をした長身の男が立っていた。忘れるはずも無い、真美を殺したあの憎いピエロだ。
どうやらさっきの声を発したのはあいつらしい。
真美を殺したピエロに対する怒りからくるものなのか、亜美は拳を固く握り締めていた。
「………そうか………放送があるって言ってたけど…これかぁ。
…………悔しいけど…ちゃんと聞いておかないと………メモメモ……あれ…放送って六時間に一度じゃなかったっけ?
もういまお昼だし………まあいいか、あっちのミスかなぁ…………」
思っている事をわざと声に出し、心を落ち着かせようと試みる。
「………禁止エリアは……十四時からB-1、十六時からC-1か。」
ドクリという心臓の音が聞こえた。
ここに来て自分の心臓はフル稼働していたつもりだったが、これほどまでに心臓が握りつぶされそうになった思いをしたのは初めてであった。
アイドルとして初めて舞台に上がった時ですら、ここまで心臓が張り裂けそうになる事はなかった。
『高町なのは、鈴仙・優曇華院・イナバ、琴姫…………オメガモン……サトシ』
オメガモンの名前が呼ばれた時、亜美はパッと目を見開き、すぐに瞬きをした。
涙は流さないと心に決めていた。瞬きを幾度かし、衝動を抑えることができたがやはり、とても辛い。
「………やっぱり、呼ばれちゃったか…………オメガモン…………あなたのお願い……絶対に亜美が叶えてあげるからね…」
『――私に会いたい人は次の次まで頑張って生き残るんだよ。じゃあね。また会えることを祈ってるよ。』
そう言い放ち、ピエロは消えていった。
緊張から解き放たれたからなのか、放送が終わると亜美はすぐに深呼吸をした。
「スゥゥ―フゥゥゥ――………よし!オメガモンのためにも…亜美は絶対に生き残るぞっ!!」
で、これからやることは……なんだっけ?……あっ、まず魔理沙ちゃんに謝らないと…
ちゃんと話せばわかってくれるよね……?
亜美は土煙を豪快に上げながらダッシュで西に向かっていった。
どうやら本を返しに行こうという考えはさっきの放送ですっかり飛んでいってしまったようだ。
約1時間後
「やっと見つけたぁ~~!ふぅ~………でもこれ、死んでない……よね?」
これが二人を発見した時の第一声。荒地のど真ん中に人が倒れていたのだ、まあ無理も無い。
お覇王が寝返りをうってくれたので一応亜美は生きているという事だけは感じ取れた。
「なんだ、寝てるのかぁ………」
よくこんな状況で寝られるなぁ……とりあえずこのままじゃイロイロ危ないし起こさないと…
魔理沙ちゃんよりさっき助けてくれた方の人から起こそう…なんとなく……
そう思い、亜美はお覇王の脇に座り込んだ。
「zzz…………タマゴを割らざるを―――」
「すみませーーん、起きて下さーい」
お覇王の体を前後に揺らしながら耳元で亜美は叫んでみた。
「う~~ん?……うるさいと言わざるを得ない…」
お覇王は起こしてくれた亜美に
「せっかくいい気分で寝てたのに………何をすると言わざるを得ない」
とでも言いたそうな眼で睨んだ。どうやら彼の寝起きは悪いらしい。
「あっ、すみません…………」
「んうぅ………で?どちら様と聞かざるを得ない……」
えっ?ああ、わたしはさっきそこの魔理沙さんに襲われたときに助けてもらった…双海亜美です……
あ…あの…………あなたの名前は?」
「え?あれ?声が………」
「どうしました?」
「あ…リョウ・サカザキと…言わざるを得ない………」
「わかりました、リョウさん……ですね?」
あれ?さっきからどうしたんだろう?不思議そうに亜美の顔をみて………
なんかついてるのかな?
――モッサァァァ――
………………………え!?
なに、今の?
も…もう一度触ってみよう。
――モッサァァァ――
え?………………えぇ?
スタンドも月までぶっ飛ぶこの衝撃!
「「「「えぇぇぇぇぇ!!!!!!!!??????」」」」
なに…なにこれぇ!!!
「「どうしてこんなものがついているのぉぉ!!!!」」
この艶、ボリューム、質感、そして綺麗に整ったこの長さ、紛れも無くルイージの自慢のヒゲであった。
アイテム屋に行ったら20%OFF以上はしてもらえただろう。
「「何これ?どう見ても ヒ ゲ じゃない!!何?あわわわわわわわ…………
ヒゲヒゲヒゲヒゲひげひげhigehigehi…………もう駄目だァァァ!!」
天をも劈くような大声に爆睡中の魔理沙も流石に飛び起きた。
「「っ!!なんだ!?リョウ!なにか起こったのか?」」
「いや…………訳がわからないと言わざるを得ない」
「お…おい!!訳がわからないって……あの大絶叫してる作業着のヒゲ男は誰なんだ!?」
「………さあ?」
「「「「「「「「「「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」」」」」
「この声……女?いや…でもヒゲ生えてるし……ってこんな大声出しちゃ他の奴らにも聞こえてるんじゃないのか?」
「肯定せざるを得ない」
「で…一旦ここから離れるか?……どうする?」
「まあ………遠い目をせざるを得ない……………」
「ああ……まあ…な」
いつの間にかヒゲが生えていた。
そしてヒゲは取ろうとしても取れないので
―――そのうち亜美は考えるのをやめた。
――ドサッ――
「「あっ、気絶した。」」
【E-2 元・草原/一日目・日中】
【双海亜美@THE IDOLM@STER】
[状態]: 気にならない程度の腹部の痛み、健康、とかちシスターズ、HI☆GE、大パニック、気絶
[装備]:ホーリーリング@デジモンアドベンチャー、ルイージの帽子@スーパーマリオワールド、弾幕の作り方@東方project
[道具]:支給品一式、妖精の剣@ドラゴンクエストシリーズ、マキシムトマト@星のカービィ
[思考・状況]
1:いやぁぁぁぁぁぁぁぁ
2:ヒゲがぁ!!ヒゲがぁ!!
3:ヒゲドルとして生きていきまーす、ふふふふふ………
※いまの亜美のパニック度は『クロックタワー』でいきなりシザーマンに出てこられた時以上です。
△ボタンを連打すれば何とかなるかもしれませんが、ルイージは任天堂なので△ボタンはありません。自然回復を待ちましょう。
※亜美の叫び声は半径1マス以上は届きました。少なくともE-3の街には全域で聞こえました。E-2の街まで届いたかは不明。
※ヒゲが生えました。
【お覇王(リョウ・サカザキ)@覇王翔吼拳を使わざるをえない】
[状態]:覇王翔吼拳を使える状況ではない、遠い目をせざるを得ない
[装備]:必要無いと言わざるを得ない
[道具]:支給品一式(水一本消費)、全自動卵割機@サザエさん、億千万の思い出@現実(?)
[思考・状況]
基本行動方針:覇王翔吼拳を使わざるをえない
第一行動方針:遠い目をせざるを得ない
第二行動方針:ヒゲ男(?)の叫びに驚嘆せざるを得ない
第三行動方針:イチローを待たざるを得ない
第四行動方針:バトルロワイアルを止めざるを得ない
第五行動方針:バイクを探さざるを得ない
※第二放送を聞き逃しました。
※イチローの死に気付いていません。
【霧雨魔理沙@東方project】
[状態]:更に服と腕に裂傷、口の中を軽く怪我、鼻が痛い、魔力消費、遠い目
[装備]:必要だと言わざるを得ない
[道具]:支給品一式、キーボードクラッシャーの音声(の入ったiPod)@キーボードクラッシャー、
マント羽根*2@スーパーマリオワールド
[思考・状況]
1:あのヒゲ男(?)……どうしようか…………(遠い目)
2:覇王翔吼拳を習得せざるを得ない
3:オメガモン、双海亜美は落ち着いて話してからシバく
4:霊夢とか探してみる。アリスも探すか
5:有益な武器かなんかが欲しい
6:異変解決
7:記憶を見れるアイテム(億千万の思い出)を家に持って帰りたいぜ。
※第一放送、第二放送を聞き逃しました。
※名簿は見せてもらいましたが、死亡者は聞いていません。
※魔理沙の言う「ヒゲ男(?)」が亜美だと気付いていません。
※魔理沙、お覇王の体力は大分回復しました。
最終更新:2013年02月09日 22:58