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第三回定時放送 ◆KJJLTUDBrA




ピ、
ピ、
ピ、
ポーン。

『午後六時をお知らせします』

突如、会場にチャイムが響く。
そして、それに続くようにして笑い声が聞こえた。

『キャハ、キャハハハハハハハハハッ!!』

日が落ち、徐々に暗くなっていく空。
その夕焼け空をバックに巨大な立体映像が現れる。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

『キャハハ! 参加者のみんな、こんにちわ! 三回目の放送の時間なのサ。
いや、こんばんは、なのかな? まあいいサ。
前のボクの放送から十二時間。またボクの声を聞けてるみんなは幸運サ!
ちなみに、今回から時間がわかりやすいように時報を入れてみたよ。喜んでもらえるかナ?

じゃ、早速禁止エリアの発表サ。
禁止エリアは二十時からA-1、二十二時からB-4。
ボクはちゃんと言ったからね? 間違えて入っても知らないサ!

そして! みんなが待ってた脱落者の発表の時間サ!
今回の死亡者は──

外山恒一
前原圭一
菊地真
フシギダネ
谷口
スパイダーマン
お覇王
霧雨魔理沙
いさじ

──以上9名サ!
いよいよ残りの参加者も半分! みんな、もっとがんばってね~。

じゃあ、ボクの放送はここまで。
次回の放送はまた六時間後、ピエモン君だよ。
ボクとは次の日までお別れサ。
さぁて、それまでいったい何人が生き残れるかな?
じゃあ、まッたねー』

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

放送室をでて、司令室へ向かうと、ピエモンが扉の前でマルクを待っていた。

「あ、ピエモン君。時報はどうだった?」
「ふむ。やはり私はいらないと思うのだがね。とりあえず、これを受け取れ」

ピエモンが何かを投げる。
それをマルクは、パシリ、とキャッチした。

「ん? このUSBメモリは?」
「例の、クラモンについてのデータだ。危険度の高い方をA、そうでない方をBとおいている」
「ふーん、なるほどね。まあ、とりあえず入るのサ」

プシュー、と音を立てて扉が開く。
ピエモンはマルクの後から部屋に入り、ソファーにどっかりと腰を下ろす。
マルクがデスクのPCにUSBメモリを接続すると、壁のモニターに映像が投影された。
映っているのはクラモンたちである。

「うーん、ボクとしてはBの方は放っておいてもいいと思うのサ。便利な支給品として動いてるわけだし」
「だが、Aはそうではない。放置すれば、大きな害をこのゲームに与えかねない存在だ。早々に手を打たねばならぬ」
「バグがあるのもゲームの楽しみ方の一つだと思うんだけど、確かに一人殺してるからね~」

そうだ、とマルクが手元の端末を操作すると、いくつかの写真が、別ウィンドウで開く。

「クラモンもそうだけど、結構他にもバグが多いよね。例えばこれとかサ」

指差したのは川に浮かぶ豪華客船である。

「いつの間にか会場に出てたんだよね。出すつもりはなかったのにサ。まったく、困っちゃうよ」

会場を用意したのは貴様だろうが、とピエモンがボソリと呟くが、マルクには聞こえなかった。

「他にも、よくわからないバグが出てるみたいだしサ、うーん」
「そういえばマルク。コイヅカ氏がどこへいったか知らないか?
 彼にもこのことを知らせようと思ったんだが、連絡がつかんのだ」
「ああ、コイヅカ君? 彼ならコンピュータを壊された所為で、働きすぎて倒れちゃった」
「なるほ……いや待て、コンピュータを壊された、だと? 首輪や制限システムに異常はないのか?」

ピエモンが若干慌てたような声を上げる。

「いやいや、会場制御用のコンピュータの方サ。会場の地下にある脳みそをいくつもつなげた生体コンピュータ」
「なるほど、そっちの方だったか。だが、破壊された、というのは初耳なのだが」

おや、と不思議そうな顔をするマルク。

「あれ、君の方には報告来てないの? どうやってか知らないけど、
 YOKODUNAが会場地下のコンピュータ室に侵入したらしくてね。
 そのとき暴れた所為で、生体部品が全滅したのサ」

ちなみにピエモンに報告が来なかったのは、YOKODUNAの襲撃にパニックになったデジモンたちが
警備中のアンダーグラウンドサーチライトから退避していたためである。
それに気付いたピエモンが苦虫を噛み潰したような顔をする中、マルクは話を続ける。

「コイヅカ君はたまたま席を外していたらしくて、妨害も何もできなかったらしいのサ。
 で、予備のコンピュータでバックアップ処理を続けたら、日頃の無理がたたって倒れちゃったのサ」
「うーむ。それぞれのバグに関しては彼は何か言っていたか?」
「そうだね。倒れる直前に『これ以上のバグ発生はないだろうけど、これまでに出てしまったバグはどうしようもない』
 とかいってたね。なんでも、それ以上は予備のコンピュータじゃ、対応しきれないらしいのサ」
「では、彼の助力は得られないと言うことか。ふーむ……」

腕を組んで考え込むピエモン。

「念のために聞くが、本当に首輪や制限システムに影響や異常はないのだな?」
「当たり前サ。あのシステムは完璧なんだよ? ちょっとやそっとのバグでどうにかなるなんてありえないのサ!」

力説するマルクに、ピエモンは眉をしかめた。

「仕方がない。クラモンAについては保留だ。討伐することもできないわけではないが、
 コイヅカ氏の助力なしに奴を倒すのは骨が折れる。ネットワークに接続してきたならいざ知らず……」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

そのとき、司令室への直通回線が開いた。
壁のモニターに、オペレータールームが見える。

『ピ、ピエモン様、マルク様』
「なんだ。今は討議中だ。後にしろ」
『そそ、それが! サブコンピュータが何者かによるハッキングを受けています!』
「なに?」
「なんだって?」

目の色を変える二人。

『擬似エントリー展開!』
『逆探を開始』『擬似エントリー、解除されました! 防壁を解凍!』
『逆探まで残り十秒』
『防壁突破されました! 擬似エントリー、展開! さらに防壁を解凍!』
『逆探に成功。場所はE-3 民家からです!』『Section a3 からb7 まで突破されました』
『不明侵入者、侵攻ルート上の情報を無作為に取り込みながら、メインに迫っています!』
「やれやれ、生体がやられたと思ったら、次はこれか」

あたふたと動き回るデジモンたち。悲鳴や怒号が飛び交うオペレータールーム。
しかし、ピエモンとマルクの二人は、余裕の表情を浮かべていた。
今、会場で、これほど派手、かつ力押しができる存在は、一つしかいなかったからだ。

「なんとまあ、これは。飛んで火にいるなんとやらってところだね。
 これだけばればれだと、見つけてくれって言ってるようなものサ」
「ああ、間違いない。件のクラモンAだ。おそらく、短期決戦に持ち込むつもりだろう。
 物理的干渉が難しかったが、……これならいける」

笑みを浮かべながら、ピエモンが叫ぶ。

「総員、ネットワーク戦闘第一種戦闘態勢! 全種の攻性防壁、防壁迷路を展開しろ!
 それと奴の侵攻ルートにはありったけのウイルスをばら撒いてやれ。こっそりと、とびっきりの奴をだ。
 時にマルク、ノヴァのメインコンピュータは使えるか?」
「うん。さっきまで会場制御のサポートをやってたけど、今なら問題なくいけるサ」
「よし、ならば準備は万全だ。緊急時にはそれを使うぞ。それと……最終手段として、田代砲の発射準備を」
『了解しました。田代砲発射準備に入ります!』

くくく、と肩を震わせて笑うピエモンにマルクが言う。
心配そうな声で、しかし、その顔をどこか緩めながら。

「いいのかい? 田代砲なんて危険な兵器を持ち出してサ。下手すればこっちにもダメージがあるよ?」
「なに、それでもかまわん。忘れたのか? 我々の目的はなんだ?」
「キャハハ、わかってるよ」
「ふん、信用ならんな」
「いいよ、じゃあ、せーので言うサ」

そして二人は、合図に合わせて高らかに宣言する。

「「バトルロワイアルを完遂すること!」」

「くくく。今の私に、あの、人の子らに倒されたときのような慢心はない。
 生まれて間もないデジモンよ。年季の違いと言うもの、見せてやる!」


※YOKODUNAが見つけた穴の向こうには、こいづか君の部屋になっています。
※会場制御用のコンピュータ(脳髄型)が破壊されたため、様々なイレギュラーに対応しにくくなっています。
 ですが、バックアップはすでに終了しているので、今後新たなバグが発生することはないでしょう。



sm143:とある道化師の回想録 時系列順 sm139:難題「何故、類は友を呼ぶのか」
sm137:芽を出せば再び廻る罪 投下順 sm139:難題「何故、類は友を呼ぶのか」
sm131:黒の預言書 マルク sm146:生き残るんだどんな手段を使っても
sm143:とある道化師の回想録 ピエモン sm146:生き残るんだどんな手段を使っても



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