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どうあがいても絶望~夢の国のアリス ◆irB6rw04uk




うふふ……
あははは……
ケタケタケタケタケタケタケタ……

何も考えてない状態の顔がこのニコニコになってから何時間経っただろうか?
撃った拳銃の衝撃は――
人を拳銃で撃った時は――
『人を殺してしまった』という後悔よりも面白さのほうが上であった。

狩猟を趣味にしている人の気持ちが分かった気がするよ。
さて、どうしようかな? この殺されても仕方が無い、もはや水呑百姓以下の存在のコレと私の道に立ちふさがる石ころ……いや旧ピンクボールかな。
ラッチ部を引いて弾倉を開放する。ぼこっと膨らんだ黄銅製の薬莢が2つ、そしてまだ先端に銃弾が付いているのが3つ。
後3発か。
ため息が自然と出る。すこし少ないかな?
まだまだまだまだまだ! コレには苦痛を、恐怖を、そして絶望を『味逢わせて』あげなければならない。

ホーミング機能を持った高性能魚雷を撃てるのなら見たところ何も武器を持っていないアイツに負けるはずは無いだろう。

だけどね、万が一ってあるよね? その時のために備えとかなくちゃね。ケタケタケタケタケタケタケタ……

つかさは手首をひねりニューナンブの弾倉を慣性で定位置に戻した。カシャっという音が心地よかった。

           〆

つかさをとめるにはどうすればいいのだろう?
つかさはいさを殺した。
でもいさはつかさを助けるために死んだ。
だったらぼくはつかさを助けなければいけない。

いさは必死で説得をした。でもつかさは言葉では心を変えてくれなかった。
ぼくは言葉で心を変えられるほど言葉を知ってはいない。
ぼくができることは戦って魔獣を倒すことだけだ。

何時のことだったかわからないけどぼくはある村に住んでいた。
その村には頻繁に魔獣が襲ってきた。
純粋にぼくを倒そうとして襲ってくる魔獣もいたけど、村人達を操って間接的にぼくを倒そうとしてきた魔物も少なくなかった。
その異変をぼくはどうやって解決したんだっけ?

――親玉の魔獣を倒したんだ。
今度もつかさが変になってるのは魔獣がつかさを操っているからなんだ。
だったら魔獣を倒してつかさをもとに戻さないと!

           〆

それぞれの思いを持って戦いは始まった。

「ごめんなさい、死んでください。ごめんなさい、死んでください。ごめんなさい、死んでください。ごめんなさい、死んでください……」
ティロモンは呪文のように謝罪の言葉を並べる。
殺したくはない。しかし自分の責で死なせてしまった仲間に許しを乞うために殺さなければならない。
つかさの仲間であるカービィはティロモンにとっても仲間である。
その仲間を殺して他の仲間の許しをもらう……明らかに矛盾である。
しかし、ティロモンの心の中につかさと言う人物が居るのなら話は別だった。
つかさが全主導権の最高司令官であり、神の域の存在なのだ。
つかさが殺せと言えば殺し、自殺しろと言われれば『つかさ、万歳!』とでも叫んで喜んで命を放り投げる。

ティロモンの自我はすでにつかさの欲求そのものになっていた。

だから魚雷を撃つのだ。
「トーピードアタック!」
対峙したカービィに向かって魚雷を放った。

その瞬間カービィの目付きが鋭くなる。星の戦士の血が目覚めたのだ。
何も持っていない手から『ぽん』っとバレーボール程度の大きさの黒い爆弾が現れた。

「やぁああ!!」

爆弾は放物線状に放たれ魚雷に衝突した。直後、激しい爆風が巻き起こる。

「打ち落とされた!?」

ティロモンは何が起こったかわからず、隙を作ってしまった。
カービィはその隙を逃さなかった。すぐに新たな爆弾を作り上げ、それをティロモンに向けて投げつける。

「ぐぁぁあああ!!」
爆弾はティロモンの直前に落ち、爆発した。
爆発の激しい熱風と地面に落ちていた礫が鉄砲玉のように体に突き刺さり、ティロモンの体は仰向けに地面に叩き落された。

「ぐぅぅうう……痛い、痛いよ……」

今までの疲労、そして数々の攻撃による体の痛み……
自分の意思では体は動かなかった。

「私の意志なら動くよね?」

心をナイフで切り裂くような声が聞こえ、体がガタガタと震え始める。
恐る恐る目を開ける……そこにはつかさがニコニコしながら立っていた。

「私の意志なら動くよね?ティロモン?」
「あ……あぁあああ」
「どうしちゃったのかな? コレくらいで動けないとかどんだけー? ティロモンはまだ一人も許してもらってないんだよ。こうして倒れている間にも許してもらわなくちゃいけない人が一人、また一人って死んでいってるんだよ? ティロモンのせいで!!」

つかさはティロモンの頭を撫でる。
しかし、ティロモンの体の振るえは益々激しくなる。

「さっき放送があったけどなんと○人も死んじゃってたよ。どうしようか? ねぇどうするの? ティロモン、また謝れない人が○人も増えちゃったよ? ティロモンのせいで……」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい――」
「あはははははは、ティロモンは馬鹿だね!! わたしに謝ってもだーれも許してくれない、死んだ人も、生きている人も……あ!」

とつぜんつかさが大きな声を上げる。ティロモンは全身のこわばらせた。

「悲鳴が聞こえたよ。どうしようか? また許してもらえる人が死んじゃったよ?」

言い終わるとつかさはふっと笑う。これは演技だ。
さぁて、どう反応するかな?

「う……うわわぁぁぁあああぁあああ!!」

予想通り、コレ風情が戦闘放棄なんて早すぎだよぉ。せめてカンブリア紀位まで進化したら考えてあげなくもないかな?
さぁて、とどめの一言、エンジンに火を入れる言の葉。

「私の意思なら……動くよね?」
「分かった! 分かったよ!! こいつを殺すよ!」

再びティロモンは空中に浮かびだす。
あはははは、待ってるのも疲れるから早くしてよ。

           〆

カービィはつかさの茶番に付き合うほど暇ではなかった。
腕が千切れているのだから体の負担は計り知れない。現に切断面からは血が流れ出ている。
カービィは隙を見て洞窟の中に戻った。
すぐに目的のものを見つける。いさのディパックだ。
それをひっくり返す。水と拡声器、それと求めていたものが出てきた。
食料である。
一度パッチを外して元の姿に戻る。そして食料全てを吸い込みで一気に体の中に収めた。
バイタリティがあふれ出るのを感じる。流石に失った左腕は復元しなかったが切断面はほとんど塞がった。

「ぽよ!」
ようやくこれでまともに戦える!
ふと拡声器が目に入った。


――拡声器だけをいさのデイパックに入れ外に飛び出す。

外に出るとティロモンが浮かび始めた所だった。
ティロモンと目が合った刹那、魚雷がこちらに向かって走って来た。
パッチをつけて爆弾を精製、魚雷に投げる。
再び大きな爆発が起こった。

「こんどはこっちのばん!」

爆弾をティロモンに投げつける。今度は直接当たるように。
だが、何度もうまくいくはずはなかった。

ティロモンは横に飛び、あっさりと爆撃を避けた。
さっき命中したのは爆発に驚いただけで放物線を描いて飛んでくる爆弾を避けるなどティロモンにとっては朝飯前だった。
2回、3回と爆弾を作っては投げるを繰り返した。
そのたびにひょいひょいっと避けられてしまう。

コピー技を使うこと自体は疲労を感じることはないがこの爆弾は一つで数キロある。そんなものを何回も投げていると腕に疲労が少しずつ蓄積されていく。
カービィの爆弾を投げるペースと飛距離は確実に落ちていた。

それを待っていたかのようにティロモンは魚雷を発射した。
カービィは応戦しようと爆弾を作り投げる。しかし空中で勢いをなくし魚雷に当たる前に墜落してしまった。

「くっ!!」

あの魚雷はかなり高性能のホーミング機能を備えているから避けることは不可能だ!
それに腕を簡単に吹き飛ばす破壊力……当たれば二度はない!!
迎撃はもう無理だ、時間がない!!!

「まけられないんだ!」
いさは自分が死んでしまってもつかさを闇から助け出そうとした。
だけどまだつかさは闇の中に居る。いさが出来なかったことをぼくがやらなくちゃいけないんだ!

直後、大きな爆発が起こった。


「うぐぅ……」


魚雷に当たる寸前、カービィは爆弾を目の前に設置し、その後すぐに自分は後方にヘッドスライディングをした。
次の瞬間、魚雷は置いた爆弾に命中し、爆発。
カービィは爆風にきりもみされながら吹き飛ばされたが何とか生きていた。
全身にナイフが刺さっているみたいに痛み、視界はスノーノイズのようにはっきりしなかったが、右腕、左足、右足、残っていた手足は全てあり、頭にはまだボムのコピーの象徴である水色の帽子が乗っていた。
ボムの能力はまだ使える。

でも……

このままでは勝てない……
カービィは自分の脳を最大限に使い、最善の方法を考える。

他のコピーを使う? たしかメガホンがあった。それでマイクを使えば……
だめだ、つかさまで巻き込んでしまう。
パッチをつけて少し頭がよくなったから分かる。
本気で自分が歌えばあの魔獣だけでなくつかさまで殺めてしまう。いままで歌ってきて仲間を殺さなかったことが不思議なくらいだ。
やはりここはボムで戦わなければ……

せめてもっと強力な爆弾なら……

――強力な爆弾って何だろう?
大きな爆弾? それは違うような気がする。
強力、強い、大爆発?
もっと大人のぼくはそれを使っていたと思う。
何だっけ? 何だっけ!? 何だっけ!!!

           〆

倒れているカービィを遠目で見下ろしながらつかさは笑いながらとどめを刺せと合図を送った。
「もう、ティロモン! 仲間なのにそんなにいじめちゃかわいそうだよ。一撃で殺してっていってるのに」
「ご……ごめん。これで終わるから……トーピードアタック!!」

脇の発射管から魚雷が発射された。
発射された魚雷は一瞬だけ空中に静止すると後部のスクリューが回転し始め、加速し始める。
ホーミング機能は正常に稼動し、信管を真っ直ぐカービィめがけて突撃する。

――これだ!
カービィの手から爆弾が精製され始める。
しかし今回の爆弾は黒く丸い爆弾ではない。
まず赤い三角錐が現れ、そこから白い円柱がスラリと伸び、最後に赤い三角翼が生える。
一つの小さい有翼ミサイルであった。

カービィは紙飛行機を飛ばすように投げる。それだけでミサイルは炎を吹かし魚雷に向かって飛んでいく。
三度目の大爆発……黒煙の量や爆発によって出来たクレーターの大きさはこれまでとは比べ物にならなかった。

ティロモンは驚いた。しかし一回目の爆発のときに油断したから痛い目を食らったのだ。
二度と同じ過ちは繰りかえさない! そう意気込んで黒煙の向こう側に集中する。

!? 煙の向こうから何かが飛んでくる!!
大きさは先ほどのミサイルと同じくらいの大きさである。ミサイルだとしたらやばい!!
魚雷の装填はギリギリだった。装填が完了した瞬間に発射する。
ミサイルはまだ黒煙の中だったがホーミングなので心配は要らない。勝手にぶつかって爆発してくれる。

予想通り爆発が起こった。しかし、明らかにその規模は小さかった。
爆風に呑まれてあるものが空中に舞い上がる……それは所々にヒビが入った拡声器だった。

「え?」

今爆破したのは拡声器だって言うのか?
なら敵はどこに……

「ティロモン! 後ろ!!」

つかさの声がした。はっとして後ろを……
ティロモンが後ろを向くよりも早くカービィは鋭く切り込んでいた。その距離はもう1メートルもない。

カービィの手にはまた別の形状の爆弾が握られていた。
近くに落ちていた石を媒体にして作り上げた特製爆弾、その形状は細い竹を何本も束ねたような形、そしてカラーリングは警告を表す朱だった。

「だ……ダイナマイト!?」
「ストォォォオオオン・ボム!!」

カービィはティロモンの背中にそのダイナマイト……いや、ストーンボムを押し付けた。


「て……ティルトアンカー!」
とっさにティルトアンカーを放つ。それを食らったカービィは洞窟とは反対方向に吹き飛ばされる。
だがあわてて放ったためか致命傷どころか服と表面の皮膚を少し切り裂いただけだった。

それでも近づいてきたカービィを遠ざけられたというだけで胸をなでおろす。
「つかさが教えてくれなかったら危なかったよ。ごめん次こそは……次こそは確実に『ねぇ、ティロモン……背中のやつ、なに?』殺……え?」

つかさはニコニコと笑ったまま自分の背中を指差す。
自分の背中に な に が ?

しゅるしゅるしゅると線香花火が燃えるような音が耳に入ってきた。
そういえば背中に何かが乗っているような感覚がある。
脳内にある言葉が再生された。

『ストォォォオオオン・ボム!!』

まさか!
ティロモンの予想通りストーンボムがティロモンの背中にくっついていた。

「うわぁぁああ!! 離れろ!」
狂ったようにじたばたと動かし、体を木や地面にこすり付ける。それでもストーンボムは自分の体と同化してしまったかのようにまったく取れる気配は無い。
その間にも長かった導火線は少しずつ燃焼し炸薬を目指して走り、長さは半分を切った。

「つかさ! 助けてよ! これとってよ」

はぁぁあ……
つかさは大きな溜め息とついた。

「ティロモン、何勘違いしているのかな?」
「え?」
「ティロモンは『私を守る』とは約束したけど『私が守る』なんて一言も言ってない。それに火のついた爆弾に近づいたら危ないよ。どこが『私を守る』? 逆に危ない目にあわしてるし!!」
「そ……そんな……」

「そ れ に」

つかさのニコニコがいっそう激しくなる。漫画なら菊の花がバックにあるだろう。

「まだ誰一人として許してもらっていないんだよ」

ティロモンの心にその言葉が突き刺さる。


殺シタ皆ニ、永遠ニ許サレナイナンテ、嫌デショ?


嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!

頭をブンブン振り回して苦悩を振り払おうとする。

そんなティロモンに聖者の声が聞こえてきた。
「わかったよ。じゃぁこれでも食べてさっさと進化しちゃえばいいよ」
つかさは洞窟のほうを指差す。

そこにあるのは自分が撃ち殺したいさじの死体。

「うわぁぁああぁあ!!」

深海のジェット機と呼ばれるだけある。物凄いスピードでいさじの死体に近づくと胴体を口ではさむ。
口に力を入れるとゴギッと鈍い音を立て水風船のように血を撒き散らしいさじの体が2つになる。
白石と違い死んだばかりの死肉は物凄い生臭くて、苦くリバースしそうになる。
でも食べなければ死んでしまい、死ぬより辛い目にあってしまう。
涙を流しながら無理やり腹の中に死肉をぶち込む。

導火線の炎はもう炸薬の目と鼻の先だ。

最後に残ったいさじの頭……これを食べればいさじはこの世から完全に消滅してしまう。

「ごめんなさい、許してください、お願いします」
大きく口を開けていさじの頭を丸呑みにした。

次の瞬間、背中に取り付けられたストーンボムが爆発した。
爆風は洞窟の天井を破壊し、無数の瓦礫を降らした。


「よく、できました。よく、苦しみましたか? あはははは」
つかさの持っているデジヴァイスから怪しい光を放ったのは爆発とほぼ同時だった。


【C-3 洞窟前/一日目・夜】
【ゴマモン(ティロモン?)@デジモンアドベンチャー】
[状態]:火傷、体力低、疲労大、精神衰、つかさの言いなり、瓦礫の下敷き
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1.つかさに許してもらうために、死なない
2.つかさに許してもらう
3.オメガモン、真、琴姫の仲間にも許してもらう
※つかさを精神の拠所にしています。つかさが死ねば壊れるでしょう。
※放送を聞き逃しました。

【柊つかさ@らき☆すた】
[状態]:全身に軽い打撲、手のひらを怪我。精神に異変、感情欠落、ニコニコ、怒り?
[装備]:ニューナンブ(弾数3/5)@現実
[道具]:支給品一式*3(食事二食分消費)、ピーピーマックス*2@ポケットモンスター
飛行石のペンダント@天空の城ラピュタ、Fooさんの笛@ニコニコ動画(γ)
デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、テニスボール*2
光の護封剣@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ(現在使用不可)、琴姫の髪
不明支給品0~1個(武器はなかったものと思われる)
[思考・状況]
基本行動方針:ゴマモンを許すまで利用する(許すつもりなどない)
第一行動方針:カービィを敵と判断。殺したい
第二行動方針:搭に行く
第三行動方針:福山さんを埋葬してあげたい
第四行動方針:基本的に敵はゴマモンに殺してもらう。できるなら自分でもやる。
第五行動方針:最後に、ゴマモンを残酷に殺す
第六行動方針:笑顔が取れないよ?
※ティロモンの考えていることが表情で読めるようになってきました。

※爆発によって洞窟は崩壊しました。
※拡声器はどこかに飛んでいきました。ティロモンの攻撃を受けてひびが入ってます。まだ使えるかどうかは不明。


『午後六時をお知らせします』

電子音の後に無駄に発音がいい声が流れる。それに続くようにして笑い声が聞こえた。

『キャハ、キャハハハハハハハハハッ!!』

日が落ち、徐々に暗くなっていく空。
その夕焼け空をバックに巨大な立体映像が現れる。

私たちは足を止め空を見上げた。
「放送か……どうする?」
放送を聴き続ければ銃声が聞こえたところに到着するのが遅れてしまう。
反対に、そのまま銃声の聞こえた所に向かえば大事な放送を聞き逃し、最悪禁止エリアに足を踏み入れてしまい……

ズァアアアン!!

「え?」
「な!? 何だ今の爆発は」
「ハロゲーン」
『火薬の炎は嫌いだ……奴らは礼儀ってものをしらねぇ』

銃声が聞こえた辺りから激しい爆音とオレンジ色の光が見えた。

「今の爆発、尋常じゃないわ! はっきりとは聞き取れないかもしれないけど走りながらでも放送は聴けるわ。禁止エリアのところだけしっかり覚えればいいのよ。さぁ、早く行きましょう」
「分かった。こっちのほうだ」

彦麿が先陣を切って走り出す。私はその後を追い、朝倉が続く。
爆音は続いている。ラストスペル同士をぶつけ合ってでもいるのだろうか?

『キ……ハ! ―――――――
前のボクの放送か……
―――――今回から時間がわかり……に時報……てみたよ。』

走るほうに集中しているし、爆発とかの雑音が入って思ったよりも上手く聞き取れないわね。

『……止エリ――発表』

私は足を止めた。そして前を走る彦麿に声を掛ける。
「禁止エリアの発表みたい。ここだけはしっかり聞きましょう」

『二十時からA-1、二十二時からB-4。
ボクはちゃんと言ったからね? 間違えて入っても知らないサ!』

「20がA-1、22がB-4ね。さ、急ぎましょ」
「うむ、目的地はすぐそこだ」

私達は再び走り出す。それでも放送は流れ続けるのだった。
残る放送内容は死亡した人の名前を呼び上げて、それから退屈な話が少しあるだけ。
死んだ人なんてこのゲームでは関係ないし退屈な話を聞くつもりもない、そんな時間が勿体無い。

『んなが……者の発――時
の死……は──』

それでも、それでも放送は流れ続け、私の耳に否応無にズカズカと土足で入り込んでくる。

―――
前…圭一
菊――
……

はぁ? だれそれ……

谷……
ス……ダーマン

あ! そういえば谷口とか言う奴いたわね。御愁傷様。
やっぱり関係ない事ね。早く行かないと……



『霧雨魔理沙』



皮肉なことに走っていて、それに雑音も多いのにこの部分だけは何故かはっきりと聞き取ることができた。
今一番聞きたくない名前だったからかもしれない。
私は勘違いをしていたのかもしれない。
魔理沙が負けるはずが無い、この放送で名前が読み上げられることは無い! と……

私は歩むことをやめ、その場に呆然と立ち尽くした。そして平衡感覚が麻痺してペタンと崩れ落ちる。腹の底から煮えたぎった溶鉄のような胃液がこみ上げてくる。意識が曖昧になる。

彦麿が不審に思ってこちらを振り返る。しかし、アリスの目には彼は映っていなかった。

魔理沙の名前が読み上げられた時、まず『聞き間違いでは無いか?』と疑った。
でも……頭の中で何回も何回もあのピエロの鳥肌が立つような声で『霧雨魔理沙』という名前がリピート再生される。
もはや聞き間違えるほうがありえない。

その名前が魔理沙以外の名前なら『○○が死んだのは本当なんだ』とこの時点で悔しい気持ちで満たされながらも納得していただろう。
今の私は納得することができなかった。

真っ暗な闇の道を進んでいく……そして壁にぶつかった。壁に背を向けて今来た道を振り返る。
進んできた道は白い光に塗られていた。その光は少しずつ向かってくる。そのことに喩えようの無い恐怖を感じた。
なんで光を怖いと思うのだろうか? 別人がこの部屋にいたとするなら暗闇から逃げ出したくて光に向かうものもいるはずだ。
でも、私はいやだった。

私は背中の壁を叩く。打ち付ける度に手から血が流れ出る。
手がぼろぼろになった頃、壁は壊れた。

「この放送は間違いなんだ!!」

新しくできた闇の道を走る。光から逃れるために……
……また壁にぶつかった。
前の壁よりも大きい。いや巨大すぎる。闇にまぎれて端のほうが見えない。
この世の終わりのような大きな壁。私はぼろぼろになっている腕を振り上げる。

何回叩いても壊れる気配は無い。自分の体を傷つけるだけだ。
その間にも光は後ろから這い寄って来る

いや……来ないで……

「いや……いや……いやあぁああぁああああ!!」

私の体は光に飲まれる。

『魔理沙は死んだんだ!!』



「 嘘 よ ! ! 」

アリスの悲痛な叫びは悲しく山に木霊した。
もう逃避と言う闇の道は残っていない。あるのは現実と言う名の光。

そしてその光も絶望の光だった。
光に飲まれた体は光に溶けていく。修正液のような光だ。
直感的にこの光に体全てを飲まれたら私が私でなくなってしまうことを感じ取った。

ああ、私はたぶんこのまま悲しみに任せて人を殺してまわる。
魔理沙を黄泉帰らそうと……

もう左半分の体はホワイトに塗りつぶされている。

これでいいかもね?
どうせ魔理沙のいない世界なんて不幸しかない。

ホワイトは体右半分を侵食し終え残す頭を消しにかかった。
じわじわと侵食してくるホワイトに対抗するすべは無い。

口も耳も鼻の消されてしまった。

さよなら……ごめんなさい。

私を諦めた時だった。

「どーまん!せーまん!」
どこかで聞いたことのある声がした。

突然体が自由になる。ホワイトに消されていた手足は元に戻っていた。
私は何が起こったかまったく分からなかった。




…………間に合った…………。



「……ひ、…………ひ」


アリス、



君を



助けに来た!!


「彦麿!!」

白い世界の中に彦麿が立っていた。
「病む心を慰めるのが陰陽師の使命。辛い時、悲しい時、人はそんな時、心の隙間に闇が出来る。その心の闇に魔物達は容赦無く入り込んでくるのだ。だから苦しくても挫けるな、落ち込むな、ぷよぷよするな!」
彦麿は言い終わるとスッと手を伸ばしてきた。


パシッ……
「余計なお世話よ!!」
私はその手はたいた。私の口は続けて言葉を並べる。

「あなたなんかに私の悲しみ……苦しみが分かるはずなんてないわ!! 私は……魔理沙のことが……」

そこで私の口は言葉を紡ぐことをやめてしまう。伝えたら壊れてしまうから。
でも彦麿は私の言いたかったことが分かってしまったみたいだ。
なんともいえない表情で私を見ている。

「おかしいでしょ? 笑いなさいよ」
自称気味に笑いながら彦麿に言葉を投げつける。彦麿から帰ってくる言葉はどうせ『変』だの『頭おかしい』だの、そんな言葉に決まっているから。

「笑いはしない」
でも、彦麿から帰ってきた言葉は予想とは違った。
「たとえ愛するものが男だろうと女だろうと人を愛すると言う点では違いはないだろう。
 アリス、魔理沙は死んでしまった。それは変えようがない事実だ。では残されたお前はどうする?
 本当に愛しているなら彼女の意志を継ぐべきではないか? たとえ片思いだったとしても」

魔理沙の意志を継ぐ?

「心の闇にとらわれて自暴自棄に陥るなんて彼女への冒涜に他ならない。アリス、後はお前が決めろ」


言い終わると彦麿は目を静かにつぶった。

魔理沙の意志……
魔理沙なら間違いなくこの殺し合いを止めようとしたはずだ。
私がその殺し合いに乗ったら魔理沙の意志を正面から踏み躙るようなものだ……

私は両手で思いっきり自分の頬をたたいた。

「彦麿、私はもう迷わない」

彦麿は答えを聞くと満足げに笑った。

           〆

私が目を開けると真っ暗だった。
何だろうと考えたがまったく分からない。ただ少し汗臭く、生暖かく、そして心臓の音が聞こえて呼吸に合わせて胸が動いている。

ん? 胸?

ようやく頭が高速で回転し始めた。この服、見たことがある!
「ちょ! なにやってるのよ!!」
「おお、起きたか」

何故か私を彦麿が抱きしめていた。
私はすぐに離れる。顔が熱い……たぶん真っ赤だ。

彦麿が言うには突然アリスが倒れそうになったのであわてて受け止めようとしたらしい。だが無理な体勢で受け止めてしまったためアリスがおきるまでまったく動くことが出来なかったらしい。

と言うことは……今のは夢?

それにしてはリアルな夢だった。
「魔理沙の意志……か」
あの夢のおかげで幾分か救われたような気がする。
誰かが言ったか忘れたけど、夢を見るのは心が健康な証拠らしい。


私が気絶していた間に彦麿がラインを引いた名簿を見せてもらった。
本当に霧雨魔理沙のところに赤ラインが引いてあった。

「ねぇ、彦麿、急いでいるのは分かるけど……30秒でいいから後ろ向いてくれる?」
彦麿は頭に疑問符を浮かべながらも「わかった」と言い後ろを向く。

           〆

アリスに後ろを向かされて何をされるのだろうと考えていると突如アリスが背中にぶつかった。
そして背中に熱いものを感じる。
後ろを振り返ろうとすると……

「見ないで!」

と怒られてしまった。アリスはさらに私の背中にしがみ付く。
アリスの体は震えていて、時折嗚咽が聞こえてくる。

泣いているのか?

詳しくは分からないがどうやら今回の放送で親しい者がなくなったようだ。
私の背中にはアリスの涙で濡れていく。

いつもの私なら『ぷよぷよするな!』と怒鳴っていた。
でもアリスにどこか心の底で熱く燃える焔のようなものを感じる。
きっとこのままでも大丈夫であろう。


「ありがとう、もう大丈夫」
私の背中に引っ付いていたアリスはキッカリ30秒で顔を上げた。

ちょうどその時3度目の大爆発が起こった。
近いと言っても100m以上離れているのにこちらまで爆風が届くほどだ。

それとほぼ同時に足音が聞こえてきた。
朝倉は持っている剣を構える。

茂みから出てきたのはカービィだった。
その体はズタボロで左腕がなくなっている。体はススで汚れ、胸から腹部にかけて刀で斬られたようになっている。
さっきの爆発の正体は彼女だったのか。

「いったい何があったの?」
「つかさがいさをころして……」

つかさがいさじを殺した!?
カービィは話を続けた。

           〆

カービィの話によればいさじとつかさが口論になりつかさが持っていた銃で射殺。
その後つかさが連れてきた魔物と戦闘になったらしい。
その魔物はミサイルのような武器を使い、苦戦しながらも爆弾を背中に設置することに成功。

そこで体力が底を付き一時撤退、今に至る。

「なるほど、今の爆発は背中の爆弾が爆発したのね」
「ビックリダヨ」
「うん、すごくつよかった」
「なら、話が早いわね」
アリスはスッと立ち上がるとカービィが来た方向に歩き出した。

「ぽよ? どこに行くの?」
「決まってるわ、魔物を退治に行くのよ」
するとカービィは無理やり体を動かしアリスの前に立ちはだかった。

「ダメ! ダメ! ダメ! 絶対ダメ!」
「なんで? 魔物は今の爆発で弱っているはずよ」

カービィは鋭い目付きで言う。
「魔獣、とおくから攻撃してくる。 アリス、とおくからこうげきできない」
「遠距離なら一応持ってるわ。朝倉!」
「ハイヨー」
朝倉は落ちている石ころを槍に変えて前方に飛ばす。それでもカービィは退こうとはしない。
「もっと強いのがひつよう」

アリスは深いため息をついた。
「コノゴウジョウモノ」

「アリス、戦った本人が言っているのだ。今は一時撤退しよう」
「……分かったわ」
「テッタイシテマジュウノデカタヲミル」

アリスはしぶしぶながらも山から撤退を開始した。


【C-3 南東部/一日目・夜】

【カービィ@星のカービィ】
[状態]:左腕爆破、胸部から腹部にかけてきり傷、疲労、幼女化、ボムカービィ改
[装備]:萌えもんパッチ@ポケモン言えるかなで擬人化してみた
[道具]:支給品一式(食料以外)
[思考・状況]
1.魔獣を倒すために一時撤退。
2.戦う時はこの姿のほうがいいみたい
3.魅音お姉さんの人探しを手伝う。スマブラ経由の知り合いには会いたくない
4.でも、ヨッシーとか、知らないヨッシーかも
5.マルクを倒して殺し合いを止める
※様々な記憶が内包しています。パッチをつけることで思い出しやすくなります。
※ミックスコピーを思い出しました。

【矢部野彦麿@新・豪血寺一族 -煩悩解放 - レッツゴー!陰陽師】
[状態]:全身に打撲によるダメージ(中)、軽いショック(多少回復)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ネギ@ロイツマ、孔明ブロック(中・大)@スーパーマリオワールド(友人マリオ) 、長門の首輪
    コイン@スーパーマリオワールド
[思考・状況]
基本.主催を含む悪霊退散
1.戦略的撤退
2.つかさを心の闇から連れ戻す
3.琴姫の意思を継いで、悪霊を退散させる。
4.悪霊退散の為の修行を積む
5.猿の物の怪を改めて退散する

【アリス・マーガトロイド@東方Project】
[状態]:健康、魔力小消費
[装備]:朝倉涼子、炎道イフリナのフィギュア@ふぃぎゅ@メイト
[道具]:支給品一式、プラスパワー*6@ポケットモンスター、炎道イフリナのフィギュア@ふぃぎゅ@メイト
[思考・状況]
基本.しょうがないので異変解決。魔理沙の意思を継ぐ
1.とりあえず最悪の展開だけは避けないと……
2.涼子のため……じゃない、生き残るために少しやる気を出す
3.涼子の力でブレインな弾幕を作る方法を考える
4.いさじに貰った人形の性能を確かめる
5.お気に入りの人形とグリモワールオブアリスを探す
6.なんで魔理沙の服装……

【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:普通の朝倉人形
[装備]:レヴァンティン@くらっとけ!スターライトブレイカー(魔法少女リリカルなのはシリーズ)
白黒魔法使い風バリアジャケット
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:デカタヲミルヨー
2:アサクーラダヨー
2:マユゲダヨー
3:コーセーノーバックアーップダヨー
※朝倉涼子
死亡扱いです。首輪はついています。
命令がなければアリスを自動で守ります。
アリスの魔力が尽きない限り、表情もあり、人間と区別がつきません。
魔力が尽きた状態で数時間放置すると死体になり、二度と操れません。
朝倉涼子の情報改変能力は、暗黒長門の半分以下まで落ちています。
※アリスの魔力を消費して、シグナムの魔法が使えるかもしれません。
演算処理のバックアップをさせることで、情報改変能力が上がっている可能性があります。
服装がどうみても魔理沙です、本当にありがとうございました。

※ゴマモンの危険性を十分理解しました。



sm142:人間食ってすぐ落ちる~暗黒面のYOKODUNA 時系列順 sm145:OVERLAP
sm143:とある道化師の回想録 投下順 sm145:OVERLAP
sm128:戦火予防の時間だよ ゴマモン sm150:無限大な思いのあとの
sm128:戦火予防の時間だよ 柊つかさ sm150:無限大な思いのあとの
sm128:戦火予防の時間だよ カービィ sm153:サイレント魔女
sm128:戦火予防の時間だよ 矢部野彦麿 sm153:サイレント魔女
sm128:戦火予防の時間だよ アリス・マーガトロイド sm153:サイレント魔女



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