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月時計 ◆KJJLTUDBrA




「これは……博麗の巫女?」
「どうしました、八意さん?」
古泉は尋ねた。路地を出てまもなく塔だ、という時に、突然永琳が西を向いたからだ。
永琳はしばらくそちらを睨んでいたが、なんでもないわ、と言って首を振った。
そのまま、彼女は塔に近づく。
「知り合いの気配を感じたと思ったんだけど、こう遠いとなんとも言えないわ。ひとまず当初の目的を果たしましょう……?」
突然、永琳は塔の入り口で立ち止まった。
「変ね……」
「はい?」
永琳が呟く。眉をひそめ、何かを感じ取るように目を瞑る。
「あの、一体何が……」
「ちょっとあなたは黙ってて」
「…………」
彼女の気迫に押され、思わず古泉は黙り込んだ。
そんな古泉を気にも留めることなく、永琳は周囲に意識を向ける。
だが、すぐに彼女はその眼を見開いた。
「……馬鹿な」
気配がない。視認できる範囲は言うに及ばず、誰かが立てる音すらない。
もちろんそれには、彼女の目の前にある塔も含まれた。
「それと、これは……血の匂い」
「あ、ちょっと八意さん!?」
古泉の制止も聞かず、永琳は塔の中に飛び込んだ。

(ちょっと待ってください八意さん。あまり不審な行動は不味いですよ!)
ずんずんと塔の中を歩く永琳に、古泉が小声で叫ぶ。だが、彼女の耳に、彼の言葉は届かない。
古泉を置いて先へ行く。
「匂いの元は──ここね」
無造作に部屋へ一歩踏み出す。むわっとした血のにおいが彼女を襲った。
(これは弾痕……?)
床や壁に残った弾痕をなぞる。そして顔を上げ──



目の前が真っ赤に染まった。


目の前には男の死体が転がっている。貧弱そうな四肢をだらりと投げ出して。
そして、その顔は永琳の良く知るものだった。
「ニート……」
思考が上手く働かない。
目の前の光景が理解できない。
彼女にとって一番大事なものは、蓬莱山輝夜ただ一人である。
なにしろ、何百年ともに暮らしてきたのだ。特別でないわけがない。
だが、ともに過ごした時間こそ短かったが、ニートもまた、彼女にとって特別な人間だった。
どうみても、人間としてのスペックは底辺付近なのに、ここぞというところで持ちこたえる。
部下におんぶにだっこなのにもかかわらず、どこか憎めない。
人の上に立つものとしての貫禄はゼロなのに、どういうわけか人を育てる才はある。
とてもニートらしく、しかしニートらしくない存在だった。
だが、そんな彼がどうしてここで倒れている?
「八意さん! 八意さん!!」
「……なにかしら、一樹」
「大丈夫ですか! 死にそうな顔をしてますよ?」
追いついてきた古泉に、そう、とだけ彼女は答える。
古泉はニートの死体を見て、顔をしかめた。
「彼が、ニートですか?」
「ええそうよ。三国志時代に紛れ込み、一国を率いる者。それが彼だった」
ニートの死体を見つめながら、彼女は呟いた。
「人間としては、まったく尊敬できない奴だったけど、決して憎めない男だった……」
「へえ、そうですか。しかし、こんなことになってるなんて、わざわざ僕たちが来る必要もなかったようですね」
「…………」
彼女の感情は嘘だと言いたかった。彼がここで死んでいるはずがない、と。
何しろ彼は、底辺の人間だ。呆れられることがあっても、敵意を持たれる事はまずないといってもいい。
だが、彼女の強靭な理性はそれを許さなかった。現状を的確に認識し、彼の死因を分析する。
死因は心臓を撃たれたことによる失血死。おそらく即死だっただろう。
それを裏付けるように、彼は穏やかな表情で、眠っているようにも見える。
その情景を、眼を瞑って強引に遮断した。
深呼吸して、思考をクリアにする。
「今は。悲しんでいる暇はない」
呟き、眼を開ける。
悲鳴を上げる感情を、理性で無理やりねじ伏せる。
一般人ならすぐさま狂気に犯されかねないそれを、彼女は容易く行ってみせる。
何しろ彼女は月の頭脳。狂気を司るものの名を冠したその名には、その程度の狂気ではまだ足りない。
「しかし、こいつは例の萃香という奴がやったんですかね」
「いいえ、それはありえないわ」
古泉の呟きを永琳は否定する。
「あの伊吹の鬼が、こんなマシンガンみたいな近代兵器を使うわけがない。あの鬼が殺しをするなら、それは素手よ」
壁や床の弾痕に触れてあたりを調べる永琳。
「それにね、古泉。あれは曲りなりとも鬼。義を重んじる種族は、そう簡単に仲間を裏切ったりしないものよ」
「じゃあ、いったいだれがやったっていうんです?」
「あそこで聞いた話から推測すると、KASかロールかのいずれかね。
 とりあえず、その二人には、ここで何が起きたのか聞きたいものだけど……」
そこで、はた、と彼女は気付いた。
「どうしたんですか?」
「これは少しまずいわね。ここに萃香がいない以上、私達とすれ違ったのは間違いない。
 あちらの涼宮ハルヒの活躍遺憾によっては、こんどこそ詰むわよ」
古泉の問いに、永琳は答える。何しろ相手は幻想郷でも屈指の力を持つ鬼である。
ハルヒの工作が上手くいかず、そこに萃香が合流した場合、永琳たちにはどうしようもなくなる。
「あの女はなかなかしたたかですから、そう簡単にはくたばらないとは思いますが……」
「それでもよ。万一のことも考えないといけないわ」
永琳は今一度ニートの死体を見つめると、それから眼を逸らして塔の出口へ向かった。
「ああ、でも。他に人がいるかもしれないから、慎重にね?」


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


理性は感情をねじ伏せたが、感情もまた、彼女の理性の一部をねじ伏せていた。
彼女は知っていた。一度死んだ人間は、二度と蘇らないと。
確かに、蓬莱の薬を使えば不老不死になれるし、幻想郷にはほとんど永遠を生きる妖怪がごろごろいる。
だが、そのような中においても、死から舞い戻ったものはいない。
転生を繰り返す稗田家当主や、亡霊になったまま存在し続ける白玉楼の主などの例外こそあれど、
完全な蘇りを果たしたものなどいない。
それは、古今東西、いかなる伝承を紐解いても同じだ。
神代まで遡っても同じこと。イザナギはイザナミを連れ戻すことは叶わなかったし、他の伝承でもそうだ。
死から蘇りを果たしたものも、いないわけではないが、それは神代でもまれである。
なればこそ、現代で死者の復活ができる道理はない。
たとえ、閻魔に頼んだとしても、可能かどうか。
だからこそ、彼女はニートらを取り込めないか、と思っていたのだ。
なるべくならば、死んで欲しくない、というそれは、彼女の甘さであり矛盾だった。
自らが優勝するなら、いずれ彼を殺さなければならなかったから。
だが、彼女はそれらを全て、ねじ伏せた。
この殺し合いに最後まで生き残れば、何でも好きな願いが叶うというその可能性に賭けたのだ。
そんな可能性は万に一つもない、と理性は言い、感情はそれに反発した。
彼女は行く。自らを偽りながら。



【E-4 町・塔/二日目・黎明】
【八意永琳@東方シリーズ&新世紀 東方三国志~ひぐらしの憂鬱~】
[状態]:強靭な理性、肩に怪我(手当て済み)、体力消耗・中、背中に火傷(手当て済み)、古泉一樹を信頼、強い決意
[装備]:王者の剣@DQ3(刃毀れ)、小型爆弾*2、DCS-8sp*5
[道具]:なし
[思考・状況]
1.KASとロールを探して、何があったのか聞く。
2.塔組(レナたち)と萃香との合流阻止。
3.古泉一樹と協力して優勝を目指す。
4.参加者を何らかの方法で誘導し、互いに潰しあってくれる状況を作る。
5.レナ達のゲーム破壊を防ぐためにも、他のマーダー達に協力を呼びかける
6.薬を作りたいが、無理はしない。
7.ゲームに優勝し、悪魔と取引をして皆が元通りになれることを願う。できればニートも生き返らせたい。

※もしレナ達が脱出に成功したなら仕方ないので優勝を諦め、それに便乗しようと考えています。
※ハルヒの能力については半信半疑です。
※理性で感情を叩き潰しています。


【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部強打、八意永琳を信頼、 グロッキー(若干回復)
[装備]:ゆめにっき@ゆめにっき(手の形に血が付着)
[道具]:支給品一式*2(食料一食、水二本消費)、
逆刃刀@フタエノキワミ アッー!(るろうに剣心 英語版)、赤甲羅@スーパーマリオシリーズ、鎮痛剤一包み、睡眠薬一包み、
糸(あと二メートルほど)、裁縫針、ワンカップ一本(あと半分)、武器になりそうな薬物、小型爆弾、DCS-8sp(乾燥中のものも)、
退魔の剣@怪~ayakashi~化猫
[思考・状況]
1.ロール、KASを勧誘する。断られたら殺害などして、萃香を孤立させる。及び塔組(レナ達)と萃香の合流阻止。
2.ゆめにっきを上手く使って闘う。
3.キョン君(´Д`;)ハァハァ…ウッ……
4.殺し合いにのっていない参加者を優先的に始末。相手が強い場合は撤退や交渉も考える。
  レナ達のゲーム破壊を防ぐためにも、他のマーダー達に協力を呼びかける
5.八意永琳、涼宮ハルヒと協力する。八意方はかなり信頼。
6.優勝して「合法的に愛しの彼とニャンニャンできる世界」を願う(ただし、生き返らせることを優先)

※古泉は絶対に脱出なんて出来ないと考えています。
 が、万が一、レナ達が脱出に成功したならそれに便乗しようと考えています。
※ゆめにっき@ゆめにっき
 本編には出てこない日記、絵本の形式で書かれています。
 2m以内で最後のページを見た人は強制的にゆめにっきの世界に飛ばされます。出てくるには日記が開いている状態で頬を抓れば出てこられます。
 一部監視が行き届いていない所がありますが2人は知りません。
 あと薬が塗られているので並大抵の事じゃあ燃えません。



sm181:全並行世界ナイトメア(後編) 時系列順 sm183:リィンカーネーション(前編)
sm181:全並行世界ナイトメア(後編) 投下順 sm183:リィンカーネーション(前編)
sm177:The Book 八意永琳 sm185:フルボッコを追跡しながらやってみた
sm177:The Book 古泉一樹 sm185:フルボッコを追跡しながらやってみた



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