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当方に迎撃の用意あり ◆jVERyrq1dU




城のバルコニーに立ち、遥か遠方を凝視する三人。黒い人影は序々にその姿を大きくさせ、近づいて来る。
これが主催者の本気。今まで参加者達を首輪という呪縛で支配してきた道化どもの真の力。
アリスの首に緊張の汗が流れた。着ぐるみの頭の部分を脱ぎ、目から血が出るほどに凝視する。
横に並んで立っている日吉、つかさも同じように動揺を隠しえない。

「どうするんだよ……!?」

日吉がアリス、つかさに向けて言った。二人は聞こえなかったかのように、そのままジアースを見つめ続けた。
日吉の心にフラストレーションが溜まっていく。今まで戦わずにただ寝ていた、という背徳心があるため、彼の心は猛っている。

「聞け……ロボットに限った事じゃないかもしれないがとにかく……ああいうのには決まった弱点がある」
日吉の小さな、それでいて力の籠った声に、漸くアリスとつかさはジアースから目を離し日吉に顔を向けた。
日吉を焦った目で見つめ、話の続きを促す。

「俺も今思いついたんだがな……ああいうのはきっと……いや確実に」
そう言いながらジアースを指差す。前よりも少し大きくなっているような気がする。

「────関節への攻撃に弱い。ロボットを作るには腕とか脚とかのパーツがいるだろ?
その繋ぎ目はきっと脆いはずだ」

確かに……そんなイメージがある。ロボットよりも遥かに柔軟な動きをする人間であっても、関節はある意味弱点なのだ。
ロボットよりも遥かに小さい私達が、巨大な関節を集中攻撃する。そして破壊。
アリスとつかさの脳裏に、そんな映像が再生された。

「い、いけるよきっと」
「だけど、あんな巨体に、私達が少しでもダメージを与えられるのかしら……」
つかさは希望に目を輝かせたが、アリスはそうはいかない。あのロボットという奴は、それほどまでに脆いものだろうか。
あれはおそらく主催者達の切り札。もっと……私達が想定するものよりももっと……規格外のモノなのでは?

「考えるしかねえ……あのロボットは城に向かって来ている。だったら俺達がどうにかするしかないんだ……
下剋上……絶対に下剋上だ。くそ……あのチビ助もいれば何かの戦力になったかもしれないのに」
日吉の愚痴を聞き、アリスは押し黙る。
何か……何か奇策はないか……今のままではただ蹴散らされるだけのような……そんな悪寒。

「支給品、支給品を見てみようよ!」

つかさの提案により、現在三人が持つ全ての支給品を確認する事になった。
バルコニーで、デイパックを逆さまに向け全て取り出す。少ない……
自分達の持つ大半の武器は船に向かった四人、そしてKASが持っている。
元々三人は『待機組』だった。あのロボットを倒せるような強力な武器。そんな物はなかった。

「使えそうなのは……サテライト30、ひらりマント、そしてそのレヴァなんとか言う奴だけか……」
「逃げるのに役立ちそうね」
アリスが皮肉を込めて言った。日吉がすぐさま睨みつけると、すぐに平謝りをした。
「待って! これ、光ってる!」
つかさがXBOX360を指差し言った。確かに光っている。これはいったい……

3人は当然知る由もないが、主催者の一人、マルクは以前こんな事を言っていた。
『ジアースと相対する時、XBOX360に隠された偽装ファイルが開き巨大ロボの現実化プログラムが発動する、のサ!』
これこそがまさに、マルクが仕掛けた『お遊び』。楽しむ事に全てを賭けたマルク、一世一代の大博打。
もしピエモンやコイヅカに発覚していれば大目玉を喰らい、全てを敵に回していたかもしれない。

さらにXBOX360が発光し、眩しいほどになる。
回転が加わり、少しずつ少しすづ、XBOX360が宙に浮く。

「い、いったい何なのよ!」
「お前らさっさと伏せろ!」
日吉の叫びに従い、つかさとアリスは伏せる。3人が頭を抑えつつ、上目使いでXBOX360の様子を見守る。

しばらくすると、発光は終わった。
そこにはXBOX360はなく、巨大な二つの何かがあった。

「これって……何?」
「二つあるぜ」
「飛行機……かな……もう片方はなんだろ…」

三者三様の言葉を発し、いきなり出現した何かに近づく。
一つは星のようなモノに跨り、何やらいかにも飛べそうな外見をしている。
もう片方は、目玉のようなロボット。こう言う以外にない。

近づいてみると、機械の近くに説明書が落ちていた。


『面白そうだからこういうのも支給してみるよ~~
一応名前を教えてあげるのサ。両方とも名前はスターシップ。まあロボットみたいな方はヘルパーと呼んでくれてもいいかな
外見は全然違うけど性能は全く同じなのサ。まあ戦闘機と考えてくれていいと思うよ。
それじゃあこいつで人殺すなり色々と役に立ててね~~シューティング頑張れなのサ!

                         マルクより

追伸・カービィの奴はこれの扱いウマいだろうね。なんせ経験ありだもんね』


「あの野郎……」
日吉は説明書を読み終わると、怒りの衝動に任せ思い切り破り捨てた。
「くそ……舐められてるな」
「でも、これは使えるわ……」
アリスは機体を触り、胸を躍らせる。扱い方は見当もつかない。
だが、自分なら上手く扱えそうな予感。根拠のない予感が湧き出してくる。

何なのかしら……このいけそうな予感……

「み、見てッッ!!」

つかさの裏返った声が後方から聞こえてきた。アリスと日吉は素早く振り返る。
一目で異変が分かった。ロボットの口の辺りに、光が集まっている。
日吉の背中に寒気が走った。何か恐ろしい事が、とてつもない事が……

「やべえ……!」
日吉は急いでスターシップの片方を担ぎあげ、走りだす。
「ちょ、ちょっと何なのよ!」
「馬鹿野郎!! ビームが飛んでくるに決まってるじゃねえかッ! 少しは想像力働かせろッ!」
アリスの問に日吉は乱暴に返す。

「アリス! お前もアサクーラと協力してヘルパーの方を運べ! これを破壊されたら本気で打つ手がなくなるぞ!」
「そ、そんな事言ったって!」
アリスは魔法を使えるが、腕力は普通の女の子と同じレベル。
アサクーラを使おうにも、運ぶという細かい作業をするにはそれなりの魔力が必要になる。
それほどの魔力、今のアリスにはない。

「わ、私も何か手伝う!」
「お前に出来る事なんかねえッ!さっさと逃げろ!邪魔だ!」
日吉が痛みに耐えつつ、スターシップを担いだままバルコニーから飛び降りる。
そして一目散に城から離れる。

「アリスちゃん! 私にも何か……!」

日吉に何を言われようと、皆の役に立ちたい。そういった思いがつかさを引き留める。
アリスはつかさに向かって手をひらひらと振った。逃げろというサインだ。
このヘルパーという兵器だけは死守しなければならない。これを破壊されれば全てが終わる。

「涼子……行くわよ」
「ハイナー」
涼子の情報操作でどうにかして……こいつを運ぶ。
魔力を涼子に込め、ヘルパーを動かす。

が……! 駄目……!

「くぅぅぅぅう……りょ、涼子ぉ!」
ジアースに光が集まる。後数秒、SF映画染みた大口径のレーザーが城を貫くのだろう。
しかし、しかしそれでもヘルパーはぴくりとも動かない。

「馬鹿野郎がッ!」
日吉がバルコニーへと再び戻ってきた。息を切らせ、全力で駆けてきたのだろう。
未だ重症の体。いつ動けなくなってもおかしくない。

「あんた、スターシップは!?」
「遠くに避難させてきた!多分大丈夫だ!それよりもうそいつは俺に任せて逃げろッ!この女もさっさと連れてけッ!」
つかさを乱暴に指差し日吉は叫ぶ。
「駄目……後ろ見て!」

アリスの青ざめた表情を見て、日吉とつかさは即座に振り替える。
ジアースの攻撃の準備が整ったようだ。さっきまでのように、エネルギーが砲口へ収束していく様子は見られない。
エネルギーを貯め終わったという事か。不気味な静寂が辺りを支配した。
特大の恐怖と絶望が三人を襲う。気持ち悪い汗が下着を濡らす。

まさに蛇に睨まれた蛙。三人の心に恐怖という魔物がひたひたと出現する。

「つかさを連れて……逃げて」
アリスの声は小声だったが、日吉は妙に鮮明に聞きとれた。
「お、お前は……」
死刑台に立つ心境だ。死ぬ一歩手前といった心境。アリス、日吉共々、どうしても小さな声しか出ない。

「ヘルパーを守る……」
「無理だ……」
「いいから……」
アリスの目には涙が溜まっていた。やはりこの女も死ぬのが怖いのか、日吉は頭の端でそんな事を考えた。
余計な思考を働かせる余裕があった事に少し驚く。

「逃げてくれなきゃ三人死ぬ。逃げなきゃ……私が今ここで貴方達をこ、殺す」
涙目のまま訴えるアリス。つかさは勿論の事、日吉も悲痛な表情をしていた。

つかさを抱き抱え、日吉は俊敏な動きで城から離れていく。
アリスはそんな二人を遠い眼で眺めた後、思考を切り替える。
遠方ではロボットが巨大なエネルギーを抱え、不気味に静止していた。

死ぬかもしれない。だけど、やるしかない。

「涼子……調べて」
アサクーラがヘルパーへと手をかざす。



日吉は馬鹿な夢でも見ているのかと思った。超特大のレーザーが発射された時はこの世の終わりかと思った。
そのレーザーが城を跡形もなく吹き飛ばした時は幻を見たのかと思った。

その直後、恐ろしいまでの大轟音が日吉とつかさを吹き飛ばした。
音で吹き飛ぶ!?馬鹿な! 日吉は未だにこれが現実の事と信じられなかった。
つかさもまた、未知の衝撃に身体そして精神を大きく揺さぶられ気絶しかけている。

日吉は、そして薄れゆく意識の中つかさもまた、思った。


────アリスは……


「アリスちゃん……」
つかさは涙を浮かべている。また自分の近くで人が死んだ。
今度は自分の行動が裏目に出て死んだ。何かの役に立ちたかった。でも、やっぱり無理だった。
死神……そんな言葉がつかさの脳裏に反復する。

やっぱり……私は、死神なのかもしれない……

日吉は地面を思い切り殴った。勝手に行動し、勝手に涙を流しているつかさが鬱陶しくて仕方がない。
まだあのチビ助の方がましだ。ボブ術の弟子として、俺の教えを素直に聞いていた。
こいつは……つかさは……あいつとは違う!


その時、二人の頭上を何かが横切った。とてつもなく速い何か。
日吉とつかさは急いで空を見渡した。小さな小さな、それこそあのロボットに比べれば点に過ぎない物体が光速で飛び回っていた。
あれは……

「ヘルパー……そうか、あいつあれに乗り込んで……よくあれだけ自由自在に動かせるな……」

つかさを横目で見ると、また泣いていた。今度は安堵の涙か。
ちっ、鬱陶しい奴だ。

ヘルパーは旋回し、二人の頭上でぴたりと止まった。コックピットが開き、中からアリスが出てくる。
アリスは二人に向け、してやったりという笑みを見せ親指を立てた。
日吉も軽く微笑んで返す。つかさは相変わらず涙を浮かべている。

「日吉ィ。勝つにはカービィの力が必要よ。説明書によると、そのスターシップを一番上手く扱えるのはどうもカービィらしいわ」
上空から彼女の声が聞こえてくる。先ほどまでの怯えた声とは全く違う。快活な声だった。
「そんな事分かってるぜ。だがこのスターシップをどうやって船に向かったカービィに届けるか……それが問題だな。
俺が運べばいいんだが、もう体力ない……」

「…………」
いったいどれだけ休めば気が済むのか……アリスはふとそんな事を思った。

「まあ何にしろ……」
アリスは思考を切り替え言葉を紡ぐ。
「貴方がスターシップに乗るのは駄目だからね。生身では最強クラスなんじゃない?」
「あのデブ助には負けたけどな……ま、という事は」

日吉とアリス、二人同時につかさへと視線を向けた。

「え……?」
つかさは動揺し、目を丸くした。
「スターシップに乗って船まで行け。そしてカービィにスターシップを渡してやるんだ。海馬さん達にも協力してくれと頼むんだ」
日吉は淡々と言った。余計な感情を込めずに。

つかさにはそう言ったが、日吉はつかさにたいして期待をしていなかった。
すぐに泣く。そしてすぐに自分を責める。今回だって失敗するんじゃねぇか?いや、話自体を断るかもしれない。
むしろその可能性の方が高いように思えた。土壇場で動けない人間ほど使えない人間はいない。
ボブ術の師範から教わった言葉だ。

しかしつかさは──

「やります。やらせて下さい!」
今度は日吉が目を丸くする。ま、やってくれるなら頑張って貰おう。

「いいか、お前……」
日吉はつかさの頭を掴んだ。ぐいと自分へと引き寄せる。
上空でアリスが苦い顔をした事に日吉は気づかない。それが女の子に向かってする事か。

「俺はお前の過去なんてどうでもいい。色々と暴れたらしいがどうでもいいんだ。
ただ俺はあのロボットの、最高に調子に乗っているパイロットの野郎を地面に引きずり降ろしたいんだ。
お前も勝つ事だけを考えて動け。下剋上……やろうぜ」

言う事は一応まとも……なのかな? アリスは今度は首を傾げる。
つかさは強く強く頷くと、スターシップへと駆けて行った。城でアリスに見せたような迷いはもうない。

しかし、それでも日吉は妙な予感を禁じえなかった。何かとてつもない事をあの女が仕出かす予感。
考えても仕方ない事だが、その予感は日吉の心にカビのようにこびりついている。
あいつは未だに自分を責めている。心のどこかで、それが何かを引き起こしそうで気が気ではなかった。

アリスが上空からつかさにスターシップの簡単な操作方法を教える。
はい、はい、とつかさが受け答えする。何度も質問を繰り返した後、つかさは飛び立って行った。
物凄く不安だ。

ふと日吉は遠くに佇むロボットを眺めた。先ほどのレーザー発射から、何故か動きを止めている。
その沈黙が日吉にはひどく不気味に感じられた。


「きゃ、きゃああああああああああああ」

つかさの乗ったスターシップは、何度か墜落しそうになったりもしたが、ふらふらと確実に目的地である船に近付きつつあった。
搭乗しているつかさはさっきとは違う意味で涙目である。
純粋な恐怖。ただの女子高生に過ぎないつかさには、耐えがたい恐怖だ。

それでも、勇気を振り絞り、悲鳴を上げながら、つかさを懸命に操縦する。
未だにカービィの姿は見えない。あの空飛ぶ女の子はもうかなりの所まで行っているようだ。
カービィにこの船を渡す。それがつかさの使命だ。

必死なつかさがふと地上を見ると、上空からも分かる胡散臭さを持った男が一人歩いていた。
あれは……彦麿さんだ!
スターシップを操縦し、なんとか彦麿の上空に静止する事に成功する。
彦麿は気づいていない。

「彦麿さん!」
「……!? おお、つかさ!」
驚いた様子でこちらに顔を向ける彦麿。無理もない。
つかさは簡単にスターシップの事について説明する。

「そうか……アレに対抗しようとして戦力を……」
アレというのはジアースの事だ。アリスや日吉だけでは到底敵うはずがない。
少しでも戦力を掻き集めたい。彦麿はつかさの話を噛みしめ、一刻を争う事態であると理解する。

「つかさは……船に行くのだな?」
「はい。彦麿さんはどうしたんですか?」

彦麿は思考する。船に行き、海馬達に何らかの協力要請、例えば結界解除など、を出来ないかと考えていた。
しかし、あの奇怪なロボットを片づけなければ結界どころではない。
放置したまま結界解除などありえない。なんらかの対抗手段を築かなければたちまち全滅させられるだろう。

「つかさはそのまま船に向かってくれ」
「? 彦麿さんは?」
「私も遊戯達に協力を求めに行く。相手は城を一瞬で消し去るようなロボットだ。ハルヒ達よりも遥かに危険……」

もしかしたら……もう6ターン経っているかもしれない。博之どのが復活していれば戦力になってくれるはず……

「つかさ、急ぐのだ! 事態は一刻を争う!」
「あ、はっはい!」
そう言い残すと、彦麿は振り返り、元来た道を駆けて行った。


「レナ……海馬は……」
「ええ……さっき死にました」

悲痛な空気が船室を支配する。しかし、レナは海馬の手を握りしめてはいたが、もう涙は流してはいなかった。
それは霊夢も同じ、海馬の死に顔を見て若干表情を濁したが、すぐに元の鋭い表情に戻る。
今私がするべき事は、主催者達やヴァンデモンを倒す事。それ以外にない。

悲しみにはもう捕らわれない。私は私……するべき事を自分の意思で気ままにする。
ただそれだけよ。

レナがすっくと立ち上がり、霊夢の元へ歩く。手には何やらCPUの形状をした何かがある。

「これは……?」
「海馬さんから、レイハさんへの最後の贈り物……らしいです」
霊夢はレナの手からCPUを受け取った。何なのだろうか。

その時、突然レナの表情が一変し言葉を失う。驚きの表情のままある一点をこれでもかというほど凝視している。
霊夢はレナの見ている方向へ視線を動かす。そして、霊夢もまた驚愕。
視線の先には巨大なロボットが草原を闊歩し、城へと接近していく。

「そんな……あんなモノまで用意できるの!?」
「あれが主催の本気……やっぱり、首輪からも分かるように、ピエロ達の文明は私達よりもずっと高度みたい」
文明といった類の事は霊夢にはよく分からない。ただ、あれがとんでもないモノ、という事だけはビリビリと伝わってくる。

どう戦えばいいか……レナは思考に耽る。あんなモノ、文字通り怪獣映画などでしか見た事がない。
あれだけ規格外のモノ、どうやって戦えばいいのか。いやそもそも戦いにすらならないのでは……

ロボットが吠えた。規格外のレーザー光線を城に向けて発射。城は一瞬にして破壊され、跡形も残らない。
残ったの巨大なキノコ雲のみだ。その直後、とてつもない轟音と衝撃波が二人を襲う。

「ぐぅぅ……」
床に伏せ、耳を塞ぎ、耐える。船は大きく揺さぶられた。
しばらく耐え、船の揺れが収まるのを確認し霊夢は言った。

「レナ……とにかく海馬の遺産を調べましょう」
そう。とにかくそれが先決だ。藁にも縋る思いという事は理解している、しかし何かがあるのかもしれない。
レイジングハートがCPUを調べる。それに対応して、ノートパソコンの画面に様々な文字列が現れる。
レナには全く理解できなかった。レイジングハートは順調に作業を進めていく。

(レイム……海馬は実に凄いものを残してくれました……)
「それは……何?」

パソコンの画面が一気に切り替わる。
Nice boat.が奇妙な様子で揺れる。レナと霊夢は怪訝に思い、辺りを見回した。

《レナ、レイム、この船は海馬の手によって、真の力を使えるようになりました》
パソコンにレイハの言葉が映る。
「それはどういう意味かな……かな」
《今から操作方法を説明します。この船の武装を最大限に用いれば、あのロボットを倒す事が出来るかもしれません》
「武装が使えるようになったって事?」
霊夢が感じたままの疑問を口にした。真の力とは一体何だ?

《それもそうなんですが……それよりも、この船は──飛べるようになりました!》
Nice boat.に仕込まれた飛空石。その絶大なエネルギーは船の武装を行使するためだけに存在するのではない。
飛空石はNice boat.を強力な飛空艇に変えた。それこそジアースに対抗出来るような強力な兵器に。

「「……な、なんだってーーー!!!」」
一拍遅れてレナと霊夢が驚嘆の声を上げた。レイハは次々に操作方法をパソコンに打ち込んでいく。
操作自体は簡単そうだ。二人でも充分に操作できそう。

ふと、レナはスクリーンに映る何やら怪しげなファイルに目をやる。
こんな事全然詳しくないが、海馬の作業を見ているうちに何となく理解できるようになっていた。
「これなんなのかな……かな」
《それはまだ開いてはいけません》
レイハがぴしゃりと言い放つ。レナは疑問符を浮かべる。

《海馬から言われていたんです。『打開』が成功した時、このファイルを開けろ。それまでは何があっても開けるな。
 こう言ってました》

レナはその言葉を聞き、黙る。いったい何なんだろう。海馬さんは何か残してくれたのだろうか。


「レナ……二手に別れましょう」
レナは霊夢の方を振り向く。霊夢の突然の申し出。レナは大して驚かず、霊夢の瞳を見つめた。
「私ならこの船に乗らなくてもなんとか戦えると思う。この船は貴方が操縦するのよ。
多分、城に残っている奴らはまだ生きてると思う。あんな予備動作の長いレーザーから逃げきれないとは思えないの」
霊夢の言葉を黙って聞き、レナは静かに頷いた。

「分かったよ。でも、霊夢ちゃんはどうする気なの?何か勝算があるのかな……かな」
レナの言葉に、霊夢は顎に手を当てて思考する。確かにあんな巨大なモノを自分一人でどうにか出来るとは思えない。
しかしこの船に乗ったままでは自分の持つ戦力を生かす事が出来ないのもまた事実。
と、なると、自分の仕事はロボットの注意を引き付け、レナが攻撃し易くする事……か。
いずれにせよ、裏方に回る事になりそうだ。

「私一人でどうにか出来るとは思えない……そうね。何か策を考えておくわ……レイジングハート、すぐに動かせるの?」
《もうしばらくかかります。この機能はずっと使われなかったようですから……》
そう、と霊夢は呟き椅子に腰かけた。

「主催の本気、きっととんでもないものだと思う」
誰に言うでもなし、霊夢は静かに呟く。
「私もそう思うよ。だから……いっぱい考えようよ。作戦を……」

遥か遠くに佇むジアースを二人は睨みつける。これが所謂最終決戦。
私達の命運を賭けた死闘の始まり……


「ぽよ!」「レナ~~」
船の戦闘準備が整いかけた矢先、懐かしい声が聞こえてきた。
「かー君! クラちゃん!」
レナが喜びの声を上げる。クラちゃんはちゃんと連れて来てくれたんだ。

「カービィ!これを」
霊夢がカービィにとあるROMを渡す。海馬が流星群によって掠め盗ったデータを纏めたもの。
カービィが来たら、とりあえず渡せと海馬に言われた。
カービィはROMを見つめ、首を傾げる。当たり前だ。何をどうしていいのか分からないに違いない。

「霊夢ちゃん……そんなの渡してもどうしようもないんじゃ……」
「だって海馬に言われたもの!」
揉める二人を尻目に、カービィはしばらくROMを弄った後、食べた。

「「あっ!?」」
二人が驚くのも無理はない。海馬が命を繋いで残した物。それをあっさりと食べてしまった。
「ちょ、ちょっと駄目だよかーくん!」
カービィがおかしい。眼を回している。腹を壊したのだろうか。いや、それはあり得ない。
何しろカービィなのだから……

海馬がカービィに託したROMに纏めたデータ。それは『銀河に願いを』のデータ。
流星群によって揺さぶられた主催者達のコンピュータから、カービィの過去に関する物が大量に流出したのだ。
カービィはバトルロワイアルに参加する直前、マルクとピエモンによって記憶を改ざんされた。
そして、それが今、元に戻る。

「ペポォォーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」
大音量で叫び、カービィは立ち上がる。以前のような、幼児レベルの知能ではない事が顔つきから伺える。
カービィは記憶を取り戻したのだ。
クラモンから萌えもんパッチインストール済みROMを引ったくり、それもまた飲み込んだ。姿を変え、幼女となる。

「か、かぁいい……」
レナが目をキラキラさせる。
「レナ!レイム! ありがとう」
カービィはペコリと頭を下げた。レナはもう衝動を抑える事が出来なかった。
カービィを思い切り抱きしめ、恍惚とした表情で頬ずりする。
「く、くるし」

「動くわよッ!」
唯一平静を保っていた霊夢が、船の準備が完了した事を告げる。
しかし、レナは勿論、カービィも霊夢の話を聞こうとはしなかった。
「ちょ、ちょっとあんた達!」

船が浮く。大きな振動が三人を襲い、さすがのレナも平静を取り戻した。
何故か動きを止めているジアースを見つめ、決心したようにカービィから手を離す。
カービィはほっとしたように伸びをした。

「よし……じゃあ行こうよ……あのロボットを倒しに」
「さっきまでカービィに頬ずりしてた奴が言うんじゃないわよ」

すかさず霊夢が突っ込みを入れた。



sm214:K.P.城は全自動なのか? 最終鬼畜全部擬人化 時系列順 sm215:第一次ニコロワ大戦 俺たちは勝てる
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