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Extra ステジー ◆0RbUzIT0To




KASの目の前を何かが通り過ぎ、次いで『ずばぁん!!』という快音が居間の方から聞こえてきた。

「な、何だっていう、今の音!?」

その音に反応したKASは、霊夢と紫が止める暇もなくすぐさまスキマから出て居間の方へと駆け出す。
障子は破れ崩れ落ちており、先ほどの音が空耳ではなかった事を証明している。
一体目の前を通り過ぎたのは何だったんだ?
疑問を解消する為に辺りに目を配ると、破れた障子の向かい側に新聞が置かれている事に気付いた。

「もしかして、こいつか?」

その新聞を拾いながら呟き、再び霊夢たちの元へ戻る。
見ると、霊夢は上空を見ながら怒った様子を見せていた。

「おいレムー、こんなのが居間に置いてあったけど――」
「あの烏天狗……! また障子破ったわね!! 置いてくのは別に構わないけど、障子は破るなって何度言ったらわかるのかしら!?」
「天狗?」

一瞬、KASの脳裏に『天狗じゃ!天狗の仕業じゃ!!』と何者かが叫ぶ光景が思い浮かぶ。

「それは『文々。新聞』……山の烏天狗が書いたものですわ」

不意に紫が声をかけてきて、KASはもう一度その新聞を見つめた。
『ぶんぶんまるしんぶん』……なるほど、これはそう読むのか。

一人関心しているKASを尻目に、紫は更に説明を続けていく。

「因みにその烏天狗の名は射命丸文。
 人や妖怪のスクープを付け狙う、幻想郷最速の妖怪ですわ」
「ふーん」

KASは紫の言葉を聞き流しながら新聞の記事に目を通していく。

吸血鬼、白昼の姉妹喧嘩――中国人女性一名が重傷。
西行の亡霊大食い記録突破。
騒霊三姉妹長女・ソロライブ開催決定。
氷精、また溶ける。

……なるほど、確かに外ではお目にかかれないような記事の目白押しだ。
KASは更にその先を読み進めようとして――ふと、気付く。

「ところで、そろそろあなたを送り出したいのだけd「最速だとおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?!?」っ!?」

紫の言葉を遮り、KASは新聞を握り締めて叫んだ。
その声に霊夢もハッと我に返る。
マズい……とてつもなくマズい、霊夢の勘が脳内で警鐘を鳴らし始める。
そして恐る恐るKASの方へと視線を向け……その勘は確信へと変わった。

「最速を名乗っていいのはTASとこのKAS様だけだ!!
 天狗なんかより俺の方が最速って事を教えてやるってう!!!」
「ちょっ、KAS!?」

言うより早く、幻想郷最速の烏天狗の後を追いかけるKAS。
その小さな体を一心不乱に動かしながら神社の階段を駆け下りていく。
恐らくはその小さな体に対して大きすぎる己が"最速"であるというプライドを傷つけられたのだろう。
或いは例のTASを超えるのは自分だけであるという何か特別な思いがあるのかもしれない。

一方霊夢はというと毎度ながらのKASの予想の出来ない動きに一瞬思考がついていかなかったが、
すぐに気を取り直すと体を宙へと浮かせその後を追いかける。
後ろを振り返ると紫は面白いものを見つけた時に見せるいつものいやらしい笑みを浮かべながら、こちらへと手を振っている。
その反応に少々腹が立ったが、今はそんな事を気にかけている場合ではない。
あの邪神との争いにも勝ち、シルバースキンとかいう防御用の核金とかいうのを持っているKASなら万が一という事もないかもしれないが、
この幻想郷には人食い妖怪がうようよといるのである。
いつそいつらに見つかって喰われてしまうかもわからない以上、彼を放っておけはしない。
最後の最後まで、彼は本当に面倒をかける。

「待ちなさいKAS!! あんたは帰るんでしょうがッ!!」

先ほどまでの憂鬱な気分を忘れたかのように大声を出しながら、霊夢は飛ぶ。
KASが向かったであろう場所――妖怪の山の方角へと。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

それから数十分後、霊夢はようやく妖怪の山付近に到着した。
見回りをしていた白狼天狗にKASを探している旨を伝えると、
その男なら先ほど止める暇もなく山を物凄いスピードで登っていったという。
頭を抱えながらも天狗に礼を言い、そこを飛び立ち山を登っていく。
更に数分登り続けると――居た。

「KAS!!」
「おっ? レムー! なんだ、お前も来たのか!?」
「げげっ、人間!?」

声をかけるとKASは振り向き、何が楽しいのかニヤニヤ笑いながら霊夢を見る。
その隣には何故か河童が立っており、こちらを見て驚いている様子だった。
霊夢はひとまず河童は無視し、KASまで近づいていくとその頭を盛大な音を立ててどつく。
それを見た河童はまたもや驚いた様子だったが、これもまた無視して霊夢は怒鳴る。

「あんた何考えてんの! 幻想郷はこいつらみたいな妖怪がうじゃうじゃいんのよ!?
 一人で出歩くなんて自殺行為なの!
 大体、あんたは自分の世界に帰るんでしょうが! うろちょろしてこっちを困らせるな!」

もう一度叩くと、KASは地面にへたり込んで小さくごめんなのサ、と呟く。
謝りながらも何故かまだ笑っているKASを見て、霊夢もまた小さく溜息をつきそれ以上は何も言わなかった。

「……で、あんたはどうしてここにいる訳?」
「私はこいつに注意してただけだよ。
 人間、知り合いならこいつを連れ帰ってくれ、どれだけ言っても帰ろうとしないんだ」

つまり、河童はこの山を駆け上っていたKASを止めて注意をしてくれていたらしい。
そういえば霊夢も以前この山を登った時もこの河童にそんな事をされたような気もする。

「いや、待ってくれ!
 俺は最速だってう天狗と勝負して俺の方が最速だって事教えてやりたいだけなんだ!
 それが終わったらこんな山スタラコサッサだぜぇ~」
「だから、それが駄目なんだってば! どう言ったらわかるかな~」

河童は何度言ってもわかってくれないKASに少々疲れ果てているようだ。

「もういいわ、にとり。 後は私に任せて……ちゃんと連れて帰るから。」
 ……ほらKAS、帰るわよ!」
「待てレムー! 頼むから天狗と勝負させてくれ!! 最速と聞いちゃこのKAS様も黙ってられねぇ!!」

まるで駄々っ子のように手足を振り回しながら嫌々をするKAS。
再度叩いてみるが、今度はそれでも止まらなかった。
どうやらKASにとって"最速"という称号は、霊夢の思っていた以上に重いものらしい。
周囲を縦横無尽に跳ね回りながら、KASは辺り構わず叫び始める。

「幻想郷だろうがどこだろうが、最速なのはこのKASなんだ!!
 TASでも無いし、ましてや天狗なんかじゃありゃしねぇ!!」

「あやややや、それは聞き捨てなりませんね」

KASの絶叫が妖怪の山に響き渡った時、上空より何者かの声が聞こえた。
その声を聞いた瞬間霊夢は眉間に皺を寄せ、頭を抱えて天を見上げる。

――またややこしい事になってきた。

上空には予想通り、KASが暴走をする発端となった幻想郷最速の烏天狗――射命丸文が飛んでいた。
彼女はいつも通りに首からカメラをぶら下げ、手にはペンと手帳を携えて興味深げにこちらを見ている。
一方KASもまた、上空を見上げ――少しだけ頬を染めてから、顔をそこから逸らした。
その行動の意味を霊夢はわかりかねたが、烏天狗の服装と彼女とKASとの位置関係を思い出してようやく悟った。
……とりあえず、なんとなくムカついたのでまた頭を叩いておく。

その隙に天狗は上空から降下し、KASまで近づくと色々な角度からKASをまじまじと見る。
KASはというと突然嘗め回すように見られ、少々面食らっている様子。

「ふむふむ、見た事無い妖怪ですね……外来種でしょうか?
 すみませんがあなた、お名前は?」
「な、名前はKASだ。 ……って、誰が妖怪だこのオコンタナス!!」
「カスさん、と。 それであなたは一体どのような妖怪で? 子泣き爺でしょうか?」
「だから妖怪じゃねえええええええええええええええええええええ!!!! むしろてめぇの方こそ一体何もんだ!!」
「ああああ、もう! あんたは少し黙ってなさい!」

KASを一喝し、霊夢は烏天狗に事情を説明し始める。

この男は姿かたちはどこからどう見ても妖怪にしか見えないが、一応は人間であるという事。
訳あって幻想郷にやってきた外来人で、そろそろ外の世界に戻らなければならないという事。
烏天狗と河童はKASが人間であると聞いて少しばかり驚いた様子を見せてはいたが、
この幻想郷には他にも色々と規格外な人間がいる。
それらに比べれば外見が少しおかしいくらい大した事はないだろう、と妙な納得の仕方をした。

一方のKASはというと、この目の前にいる少女こそが彼の探していた天狗であり。
また、その彼を止めようとしていた少女もまた河童だという事実を話され絶句する。
KASの中での天狗のイメージとは鼻が長くて赤い顔をした怖い妖怪であるし、
河童もまた、頭に皿を載せて背中には甲羅を背負っている怖い妖怪なのだ。
しかし、目の前にいるのは少々服装が特徴的ではあるものの顔や身体は普通の少女。
少しばかり半信半疑だったのだが、天狗の背に生えている翼を見てようやく納得をした。

「うおおおおおおおおおおおお、なら勝負だ天狗! 俺の方が最速だって事を教えてやる!!」
「馬鹿! だからあんたは帰るんでしょうが!!」

涙さえ流しながら懇願するKASを引きずりながら霊夢は下山しようとする。
河童と天狗は溜息をつきつつも手を振って二人を見送る。

「……ところで天狗様、もう新聞配達は終わったんですか? まだなら早く行かれた方が……」
「ああそれなら大丈夫、先ほど山の上の神のところに配達してきましたから、それでお終いです」

不意に、霊夢に引きずられていたKASの耳に後ろの方からそんな会話が聞こえてきた。
……神?

「神だとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!?!?」
「うわっ!?」

引きずられていたKASは、どこにまだそんな力が残っていたのか急に立ち上がると顔を山頂の方へと向ける。
先ほどKASは確かに聞いた。
二人を見送っていた天狗が、この山の上の神に新聞を配達してきたと。

「ふざけやがって、最速の次は神!? どこまでこのKASを舐め舐めしてくれる!!
 難易度神なのはこのKAS様に決まってるだろうがあああああああああああああああああああ!!!」
「う、うあっ!?」

そう叫ぶとKASは何を思ったか、急にキレた事に驚いていた河童の腕を引っ掴むと彼女を引き連れて山道をどんどんと駆け上っていく。
流石の烏天狗もその予想外の行動に反応が出来なかった様子で目を丸くしてKASの通り過ぎた後を見ている。
霊夢もまた唖然としていたが、彼の奇行には慣れている。
すぐに気を取り直すと、KASの後を追い山道を己に出せる最高速のスピードで駆け上り始めた。

「あ、ま、待って下さい!」

すると、烏天狗もまた正気に戻ったのか霊夢の後を追ってくる。
二人は平行しながら飛び、KASの姿を探した。

「あの馬鹿、本当に何考えてんのかしら……」
「何も考えてないんじゃないですかねぇ?」
「……そうね」

どうやらこの天狗は僅か数分であの男の本性を見抜いたらしい。

「しかし、どうしてあいつはにとりを連れてったのかしら?」
「道案内をさせるつもりなんじゃないですか?
 ほら、ここら辺って慣れてない人だと分かりにくい道してますし」
「……なるほどねぇ」
「霊夢さんだと連れ戻されるでしょうし、私は何だか目の敵にされてますしね。
 あの場だと彼女が適任だったという事でしょう」

溜息をつきながら霊夢と文は先を急いだ。
道中にKASやにとりの姿は無く、恐らくは本当に山の上の神社を目指しているのだろう。
まあ、あそこにいるのは妖怪なんかじゃなく人間や神なのだから、
そうそう危険な目には合わないかもしれないが……。
あのKASのことだ、何か問題を起こしているやもしれない。
焦りを感じながらも霊夢は山頂を目指して飛び――そして、ようやく見つけた。

「KAS!!」
「おっ? レムー!! なんだ、お前も来たのか!?」
「……今度はあなたですか」

神社にいたのは引きずり回されて目を回しているにとりと絶好調といった様子で笑みを見せているKAS。
そして、怒り心頭といった面持ちでこちらを睨んでいる巫女――東風谷早苗。

「こんな朝早くから参拝に来たのですか? うふふ」

表面上は笑っているように見えるが、内心はらわたが煮えくり返っているようだ。
その証拠にこめかみには青筋が立っており、持っているお払い棒は折れんばかりにギシギシと音を立てている。
十中八九、KASの仕業だ。

「……あんまり聞きたくないけど、一応聞いておくわ。
 ……何された?」
「ふ、ふふ……何された、ですか」

早苗は笑いながら語り始める、文はそんな早苗の様子を写真に収めているが早苗は全く気にしていない。
余程怒りの度合いが強いのだろう。
早苗の話によると、彼女は河童を引き連れて神社を訪れたKASに声をかけたらしい。
一体何の用事か、どうして河童を連れているのか、あなたは誰なのか……あくまでも優しく、声をかけたという。
しかしKASはというと、早苗を見るなり早苗の事を霊夢の偽者呼ばわりしたらしい。
その時点で早苗は少しばかりイラッとしたらしいが、まだ正気は保っていた。
その次のKASの言動がいけなかった。
用件はと聞かれれば神を倒して俺の方が難易度神だっていう事を見せてやる!といい。
それを早苗が注意すれば、早苗の事を『るいーじ』だとか何とか言ってみせた。

「そこまで言われて怒らないほど、私は出来た人間じゃないですよ……ふふ」
「あー……うん、そうね……」
「ルイージ……ふふ、私はルイージですか、そうですか……」
「なんだよルイージ! 嬉しくないのか!? ルイージは緑の人気者なんだぞ!?」
「あんたは黙ってなさい!!」

尚も黙らないKASを叩きながら、霊夢は頭を抱えた。
何だかこいつを放っておくとどんどん物事が悪い方向に転がっていく……そんな気がする。
霊夢が頭痛に悩んでいる一方で、KASは嬉々としてこの状況を楽しんでいた。
自分やTAS以外に最速や神を名乗る者達……。
怒りも覚えたが、それ以上にKASは大きな使命感と敵対心を感じている。
TASを失った時に同時に失ってしまった、自分が超えるべき目標のようなもの。
それが――見つかった。

「俺のロードは、"誰か"よりも俺の方が最速だって事を、難易度高い神って事を教えてやるロードだ!」

叫び、KASは大きく二、三度跳ね上がるとズビシと早苗に向かって指を指す。

「さぁ来い、ルイージ! まずはお前を倒して、この俺が神より難易度高い神って事を教えてやる!!」
「……ええ、望むところですよ」

KASの挑発的な言葉を聞き、早苗は口元を歪ませながらスペルカードを手に取った。
もう堪忍袋の緒も限界といったところか――危険を察知すると文は倒れていたにとりを抱えて後ろへと下がる。
さて、その様子を見て慌てたのは霊夢だ。
まさか弾幕ごっこなんてまるでやった事のないKASが、いきなり早苗に敵うはずがない。

「馬鹿、何考えてるのよ! あんた弾幕ごっこなんてまるっきりした事ないでしょうが!!」
「大丈夫! 気合で避ける!!」
「そういう問題じゃないっ!!」

「大体、あんた帰るんじゃなかったの!?」
「その前に神より難易度高い神って事教えなきゃ帰るに帰れねぇ!!」
「ああ……もう……!」

霊夢は髪を掻き毟りながらKASを見つめる。
こうまで言い切ったという事は、恐らくはもう何を言っても無駄なのだろう。
溜息を吐きながら――己も陰陽玉とアミュレットを取り出し、身構えて早苗に向き直る。

「わかったわよ! 手伝ってあげるわ!!」
「おっ!? マジかレムー!」
「その代わり、この神社の神様に勝ったらさっさと帰りなさいよ!?」
「おうサ! それじゃあまずその手先のこいつからコテンパンパンにするぞ、レムー!」

言うが早く、KASはその小さな身体を大きく跳ね回しながら縦横無尽に辺りを駆け回る。
一方の霊夢は落ち着ける為に小さく深呼吸をし……跳ね回っているKASを見た。
彼とこうして組んで戦うのが別にはじめてという訳じゃないからだろうか。
緊張感、高揚感、不思議と落ち着くような……それでいて腹立たしいような心地を感じる。
――もしかして、霊夢は彼に彼女の面影を被せているのだろうか?
自称・幻想郷最速の、変な帽子をかぶった彼女の面影を――。

「……それは、無いわね」

小さく呟き、霊夢はその考えを否定した。
彼女と彼はまるで似てなどいない、面影を被せられる訳が無い。

ただ……彼が隣にいる事で落ち着くというのもまた、認めたくは無いが事実だった。
ならば彼は一体何だろう。
友人とも違う、親友でもない、仲間ではあるがそれならレナ達だってそうだ。
男女の仲では断じてない……ならば一体、何なのか。

「来るぞレムー!」

KASの言葉に考えを一旦中断し、前を向く。
目の前にまで迫った数多の弾幕――。
必死で避けながらKASの方を見ると、彼もまたグレイズをしながらも避けていた。
それを見て少し微笑みながら、霊夢は手に握っていたアミュレットを射出する。
まずは目の前の巫女を倒す――考え事は、それからでも遅くは無い。

「行くわよ、KAS!」
「任せるのサ、レムー!!」

二人は同時に飛び上がり、巫女を見下げながら叫んだ。

「神に仕える巫女なんかより!」
「俺達の方が難易度高い神って事を、教えてやる!!」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

かつて、彼は彼女に対して括弧になると宣言をした。
割り切れない思いを持つのなら、自分の思いをプラスして割り切れるようにしろと。

最終局面の直前において、彼は彼女の前で倒れた。
彼女は不慣れながら彼を必死に励まそうとし……そして、彼は回復をした。

彼らはその時から既に、括弧などいらないような関係になっていた。
いや……これでは語弊がある。
正しく言い直すならば、彼らはその時から既に、"括弧のその先の関係"になっていた。

彼と彼女は括弧で繋がっていた。
それは無論、彼女に彼を加える為である。
加えられたが為に彼女は救われ、それが死の呪縛から立ち直る切っ掛けとなった。
つまり、彼女が立ち直ったその時から彼と彼女は括弧である関係ではなかったのだ。
彼女達が為ったもの――それは、和。

お互いを足しあったその時、括弧であった彼らは和となったのだ。
では、その和が一体どのようなものであったのか……。
それをここで語るというのは、やめておこう。
何故なら、あの殺戮劇はもう終わり――その"Extra Stage"もそろそろ幕引きの時間となっている。
ここから先はExtraではなく、彼らの歩みだした新たなるロード――この場で語るのは相応しくないのだ。

何故なら、彼と彼女がその"和"について気付くのは、そのロードの先の事なのだから。



             ニコニコ動画バトルロワイアル 完



ep-8:春です。 投下順
ep-8:春です。 博麗霊夢
ep-8:春です。 竜宮レナ
ep-8:春です。 KAS
ep-8:春です。 日吉若
ep-8:春です。 武藤遊戯
ep-8:春です。 柊つかさ



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